平成3269日目
1997/12/20
この日のできごと(何の日)
【伊丹十三監督】死去
「マルサの女」などの作品で知られる映画監督伊丹十三さん=東京都世田谷区=が20日夜、事務所のある港区麻布台のマンション屋上から飛び降り自殺した。64歳だった。
伊丹さんの事務所は21日、数通の遺書には22日発売の写真週刊誌「フラッシュ」(光文社)に掲載される女性との交際に関する記事に憤り「死をもって潔白を証明する。これ以外の方法では立証できない」とマスコミあてのメッセージがあると発表。本人の遺志で告別式は行わない意向も明らかにした。
次々に話題作を発表してきた監督の突然の死は、映画界などに衝撃を与えた。写真誌の記事が動機とみられるだけに今後論議を呼びそうだ。
警視庁麻布署の調べによると、伊丹さんは20日午後6時40分ごろ、マンション駐車場に倒れているところを近くの住民らに発見された。全身打撲でほぼ即死だった。司法解剖の結果、胃の中に固形物はなく、大量の酒などが残っていた。自殺当時はめいてい状態だったとみられる。
遺体は21日午後5時半ごろ、妻の女優宮本信子さん(52)らに付き添われて神奈川県湯河原町の別荘に運ばれた。22日午後2時、同県真鶴町の火葬場でだびに付される予定。
麻布署は事務所から遺書が見つかったほか、屋上の鉄さく(高さ約1.3メートル)に伊丹さんの指紋があり、争った跡もないことなどから、さくを乗り越え飛び降りたと断定。自殺の原因などを詳しく調べている。
マンションは8階建てで、2階と3階に伊丹さんの事務所「伊丹プロダクション」がある。事務所によると、伊丹さんは17日に「フラッシュ」の取材を受け、20日の自殺前には、記事掲載を知って相次いだスポーツ紙などの取材に「22日にも対応したい」と答えていたという。
伊丹さんは昭和8年、京都市生まれ。35年に俳優としてデビューし、59年に宮本さん主演の初の監督作品「お葬式」が大ヒットした。
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自殺した伊丹十三さんが遺書に残した「死をもって「潔白を証明する」というメッセージ。その、人を寄せ付けない冷徹な響きは、生前の知的冒険心に富んだ軽やかな行とのギャップが大きすぎ、知人や関係者ならずとも、首をかしげたくなる。
伊丹さんの着想の真骨頂は、自分が体験した身近な出来事。身内の葬儀、税金などに加え、暴力団から襲撃され重傷を負うという悲惨な体験さえ、物語という高みにすっとすくい上げ、映画「マルタイの女」に結実させるというしたたかさを見せた。
女性関係を指摘されたこととに対して、ペンや映像、書籍など多くの言論手段を持ちながら、あえてあまりにも短絡的な自殺という方法を選んだ伊丹さん。写真誌報道は単に自殺のきっかけにすぎず、才人であるが故の作家としての行き詰まりなど、複層的な苦悩があったとの見方も成り立つ。
いずれにせよ、邦画界に新風を吹き込み続けていた伊丹ワールドの行く手を突然断ち切り、命をかけてまで得ようとした「潔白」とは何だったか。「これ以外の方法では立証できない」「本当は次回作の製作発表で会いたかった」。遺書の中で決意と無念さを交互にのぞかせながら、伊丹さんは多くのなぞを残したまま去った。《共同通信》
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【新幹線・E4系Max】運行開始
東北新幹線で20日、新型のオール2階建て車両E4系「Max」の運行が始まった。8両編成を2つつなげた16両で最高時速は240キロ。高速列車としては定員が1634人と世界最大で、JR東日本の新幹線車両は6種類になった。
新型Maxは朝夕のラッシュ時の那須塩原発東京行きと東京発仙台行き、日中の東京ー盛岡間往復の1日計4本が運転される。座席数は従来のオール2階建て車両E1系Maxの1229席より約33%アップ。列車の室内では日本で初めて車いす昇降用のエレベーターを設置した。
先頭部が長さ11.5メートルと独特の形で出っ張り、トンネル突入によって反対側出口で発生する破裂音を低減するようになっている。屋根の上にあった空調機器も室内に移し騒音を小さくするなど環境に配慮した。
E1系は朝夕の混雑解消のため平成6年導入されたが新幹線通勤客が増え、できるだけ多くの人に座ってもらおうと新車両を導入した。将来、秋田新幹線「こまち」や山形新幹線「つばさ」と連結することも考え8両編成にした。《共同通信》
【民主党・鳩山由紀夫幹事長】鹿野氏との連携強化
民主党とやま結成総会のため富山市を訪れた民主党の鳩山由紀夫幹事長は20日、同市のボルファートとやまで記念講演と記者会見し、新進党の党首選で敗れた鹿野道彦氏らのグループと連携を強化していく考えを示した。さらに来年1月の党大会で政権構想の骨子を発表し、政権を担いうる党としての姿を国民に示すことを明らかにした。
鳩山氏は小沢一郎新進党首が政策や理念本位を唱えて、自民党との連携も視野に入れていることを挙げ「民主党の姿勢とは明らかに違う」と述べ、鹿野氏らには「方向性は同じである。政党を飛び出す蛮勇をふるってもらいたい」と期待を寄せた。
細川護煕元首相らとの統一会派問題については「現時点では党の独自性を国民に見せることが大切」として消極的な姿勢を示した。《北國新聞》
【韓国】全斗煥、盧泰愚両氏を特赦
韓国の青瓦台(大統領官邸)は20日、金泳三大統領が全斗煥元大統領、直泰愚前大統領らに対する特別赦免と特別復権を22日実施することを決定したと発表した。これにより、全、盧両氏は閣議決定を経て残る刑期を免除され、22日に釈放される。
金泳三大統領は発表に先立ち、次期大統領に当選し、た新政治国民会議の金大中総裁と会談、特赦・復権を実施する意向を明らかにし、金大中総裁もこれを支持した。
青瓦台スポークスマンは「今回の決断は大統領選挙が終了したことに合わせ、国民大統合を実現し、当面する経済難局の克服に国力を総結集するためである」と指摘した。
金泳三政権の「歴史の正しい立て直し」政策の下で、秘密政治資金事件や光州事件での反乱・内乱罪などに関連し、盧泰愚前大統領は1995年11月に、全斗煥元大統領は同年12月に逮捕された。全元大統領は、無期懲役、前大統領は懲役17年の刑が確定して服役している。《共同通信》