平成3100日目

平成9年7月4日(金)

1997/07/04

【酒鬼薔薇聖斗事件】新潮社に2誌回収勧告

東京法務局は4日、週刊誌2誌に神戸の小6男児殺害事件の容疑者少年の顔写真などを掲載した新潮社(本社・東京都新宿区)に対し、「少年法に違反する記事をあえて掲載し、少年の人権を侵害した重大な人権侵害だ」とし、早急な再発防止策の策定・公表と、週刊誌の速やかな回収を求める異例の強い勧告をした。

勧告は、東京法務局の三谷紘局長が同社の編集担当取締役を呼び、佐藤隆信代表取締役あての勧告文を読み上げて行われた。

これに対し、同社側は「真摯に受け止める。今後検討したい」と答えたが、週刊誌の編集部は「勧告に応じるつもりはない」「回収はしない」などと反発している。

この勧告は、行政命令のような法的な強制力をもたないうえに、言論・出版など表現の自由にもかかわるので、当局としてもこれ以上の措置は考えていない。

対象となったのは、最新号で顔写真などを掲載した写真週刊誌「フォーカス」と「週刊新潮」で、少年法61条(記事などの掲載禁止)違反の疑いが問われていた。少年の人権侵犯事件として、当局から出版社が、出版物の回収を求められるのは初のケースだ。

勧告後、法務省で記者会見した吉川明弘同局人権擁護部長は「事情聴取の結果、担当取締役の事前の了解の下に行われ、編集部の独自の判断ではない」とし、社としての責任を強調し、「新潮社は、法を恣意的に解釈し、人権侵犯を行ったと批判した。

同社は、昭和60年にも少年の殺人事件で、容疑者少年の顔写真を掲載し、当局から勧告を受けた。

神戸の小6男児殺害事件で逮捕少年の顔写真を掲載し、法務省から回収などの勧告を受けた新潮社「フォーカス」の田島一昌編集長が4日夕、東京都新宿区の同社本社で記者会見し「(顔写真掲載が)間違っていたとは思わない。回収はしない」と勧告に応じる考えがないことを明らかにした。同様に勧告を受けた「週刊新潮」も勧告を拒否する姿勢を示したが「少年の目を隠すなど配慮した」としており、少年問題に対する微妙な食い違いを見せた。

田島編集長は勧告に盛り込まれた再発防止策の策定と公表については「ものを伝えるに当たってはそれぞれのケースがあるので無理」とした。「会社も編集部の考えを支持している」と述べ強制力のない「勧告」と真っ向から対立した。

「人権侵害では」との質問には「通常の考えでは侵害に当たるかもしれない。ただ侵害というのは『不当に』という意味が含まれると思う。今回はどうなのだろうか」と少年法を取り巻く現状に問題提起した。同編集長によると、編集部へ届いた読者の声のうち、約7割が「姿勢を支持する」との内容で「人権侵害だ」とする意見は2割余にすぎなかった、という。

誌面のコピーが販売されたりするなど少年の顔写真が二次的に出回ったことについては「想定をはみ出したところで責任の取りようがない」とした。一方、法務省人権擁護局調査課は新潮社が両誌を回収しないことを明らかにしたことについて「被害の拡大を防止するには速やかな回収しかない。『真摯に受け止めて検討する』という新潮社側の対応がどう出るか、今後も見守りたい」と今後の回収になおも期待していた。《共同通信》



【東海興業】更生法適用を申請

バブル経済期の過大な不動産開発投資で経営が悪化していた東証一部上場の中堅総合建設会社(ゼネコン)、東海興業(本社東京)は4日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、事実上倒産した。負債総額は債務保証を含め約5110億円で、戦後8番目の大型倒産。上場しているゼネコンの更生法申請は初めて。

同社は昭和21年設立。当初は食品の流通関連施設の建設が主力だったが、マンション建設などに事業を拡大し、1980(昭和55)年代後半からのバブル期にマンションやオフィスビルなどの不動産開発事業を積極的に展開。その後、バブルの崩壊で長期、短期の借入金などが約2400億円、債務保証も約1600億円に膨らみ、金利の支払いが急増し資金繰りが悪化していた。

申請後、記者会見した小林国秀社長は「最後まで自主再建の道を模索したが、収益や財務の好転が望めないため、当社独自の判断で更生法申請を決めた」と説明。再建のめどが立ったら小林社長をはじめ役員全員が経営責任を取って退く考えを明らかにした。《共同通信》

【台湾】「独立」賛成が「統一」上回る

4日付の台湾紙聯合報が掲載した世論調査の結果によると、「台湾独立」に賛成する市民は43%に達し、中国との統一を望むとする回答を上回った。同紙が1989年から実施している調査で、今回は36回目だが、初めて「独立賛成」が「統一賛成」を上回った。また、中国が統一のため台湾に提示している「一国二制度」を受け入れられないとする人は62%に上った。

質問は台湾の今後に関して独立か統一かを選ぶ形式で、「独立を望む」の43%に対し「統一を望む」が34%だった。89年の1回目の調査では「独立」がわずか6%で「統一」は55%。その後徐々に「独立」が増えていた。同紙は台湾で最も統一派寄りと言われている。

しかし「独立」「統一」「現状維持」の三者択一で質問すると、「現状維持」が43%、「独立」24%、「統一」19%の順。「現状維持」は95年以来ほぼ40%前後で変わっていない。

「一国二制度」については、62%が「受け入れられない」と答え、21%が、「受け入れられる」とした。香港返還については「特に何も感じない」が49%で最も多く、「うれしい」が25%だった。《共同通信》

【橋本龍太郎首相】ペルー大統領の勇気たたえる

橋本首相は4日夕、東京・元赤坂の迎賓館で開かれたフジモリ・ペルー大統領を招いての夕食会で、日本大使公邸占拠・人質事件に言及し、「一貫してテロと戦ってきた大統領の勇気を再認識し、テロに屈しない覚悟を新たにした。つらい経験だったが、友好の思いは(日本での)募金活動などに端的に現れている」とあいさつした。

フジモリ大統領も「テロリストの脅しに屈していたら、同様の事件を発生させただろう。だからこそ、明確で確個たる態度が必要だった」と強調した。《読売新聞》

【政界談話室】

○・・・橋本龍太郎首相は4日、ペルーのフジモリ大統領と静岡県熱海市沖の初島に滞在する理由を「フジモリさんがのんびりしたいと言うから箱根や軽井沢も考えたけど、島ならフラッと出歩いても大勢の人だかりができない」と記者団に解説した。首相自身、通産相時代に初島を一度訪ねて気に入っていたそうだが、「本当は北アルプスの山小屋までヘリコプターで登ってもよかった。でも山小屋は予約でいっぱいだろうし…」とも。「山男」首相としては、得意分野で大統領をリードしたかったのが本音か?

○・・・新進党の小沢一郎党首はこの日、党本部で党基本問題調査会から中間答申を受け取ったが、出席した調査会幹部の中に落選中の米沢隆前幹事長の顔を見つけ「あっ、ヨネちゃん。本当は(僕でなく)ほかの人に会いに来たんでしょう」と駆け寄らんばかり。「党首に会いたいばかりに」と芝居がかった受け答えをした米沢氏を、同席した海部俊樹元首相も「わざわざこのために出てきてくれたんだから」と持ち上げた。友愛会幹部との会合を直前に欠席してきたついた小沢氏だけに、旧民社党出身で友愛会と近い米沢氏の出席がとりわけうれしかった様子。《共同通信》

【マーズ・パスファインダー】火星に着陸

米国の無人探査機「マーズ・パスファインダー」が米独立記念日の太平洋夏時間4日午前9時57分(日本時間5日午前1時57分)、火星着陸に成功した。火星への探査機着陸は1976年の米バイキング1、2号以来21年ぶり。着陸後に撮影した赤褐色の大地の鮮明なカラー写真はインターネットでも直ちに公開された。

搭載した小型探査車「ソジャナー」の初走行は、着陸時に使用した衝撃吸収用エアバッグが進路をふさいでいたため5日午後に延期になったが、着陸の成功で米国が威信をかかげた探査計画はひとまずスタート。火星に生命が存在した可能性の解明を目指す。《共同通信》



7月4日のできごと