平成3033日目

1997/04/28

この日のできごと(何の日)

【在ペルー日本大使公邸占拠事件】青木大使、帰国

日本大使公邸人質事件解決への謝意を伝えるためペルーを訪問していた池田行彦外相は28日午前10時前、人質となっていた青木盛久駐ベルー大使、木本博之公使、三村晴夫一等書記官の3人、その家族らとともに羽田着の日航特別機で帰国した。

車いすに乗って空港ロビーに姿を見せた青木大使は「ただいま帰りました。お許しをいただけるなら、一刻も早く(ペルーに)帰りたい」などと笑顔で報道陣に語った。青木大使ら3人は病院に入院し、健康状態の検査を受ける。

大使は来月1日に橋本龍太郎首相が外遊から帰国した後、今回の人質事件について報告する予定。また外務省の調査委員会は退院後、事件発生当時の公邸の警備状況や事件発生後の対応について青木大使らから詳しく説明を聴く。池田外相は青木大使の今回の帰国について「一時帰国」としている。

青木大使らを乗せた機内は終始、リラックスムードだった。リマ出発の際、池田外相ら関係者がシャンパンで乾杯。特別に用意された赤飯とみそ汁に、大使は「おいしいね」などと久々の日本の味をかみしめた。《共同通信》

ペルーから帰国した池田行彦外相は28日午後、外務省で記者会見し、大使公邸人質事件に関する外務省調査委員会の検討作業について、事件の教訓、反省を踏まえながら「将来に向かってきちんとしたものを作りたい」との考えを示した。

同調査委は事件解決直後に発足、事件発生当日の警備状況などについて調査を始めている。外相とともに一時帰国した青木盛久駐ペールー大使やペルー政府関係者からも事情を聴く方針。作業には時間がかかる見通しだが、外相は中間報告の取りまとめも検討する意向を明らかにした。

青木大使の帰任に関しては「大変な苦労の後だ。心身の疲れが蓄積しているし、負傷の手当てもしなくてはいけない。まずはゆっくり心身ともに休んでいただくのが先決だ」と指摘、早急にペルーに戻るのは難しいとの見通しを示した。

フジモリ大統領が強行突入を選択したことについては「現地で責任を一身に背負って対処している大統領の判断に、後になってあれこれ申し上げるわけにはいかない」と述べた。《共同通信》

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【大相撲・土佐ノ海関】関脇昇進

日本相撲協会は28日朝、大相撲夏場所(5月11ー25日・両国国技館)の番付を発表。同大出身の土佐ノ海が新関脇となり、拓大出身の栃乃洋が新入幕を果たした。

学生相撲出身者が目立つ新番付では、春場所新入幕で敢闘、技能賞を受賞した中大出身の出島が西前頭3枚目に躍進、日大出身の舞の海もけがを克服して再入幕した。《共同通信》

【民主党・鳩山由紀夫代表】諫早湾「排水門開くべき」

鳩山由紀夫代表ら民主党の国会議員らが28日、農水省の干拓事業で干潟消滅が近づく長崎県諫早湾を視察した。鳩山代表は視察後の会見で「湾奥部を閉め切る堤防の排水門を開くべきだ。生物と人間が共生できる道を探る時間は十分ある」と、事業の見直しを政府に働きかける考えを明らかにした。

視察は事業に反対する地元住民グループらの招きで実施。鳩山代表らは同県諫早市の海岸から船に乗り込み、堤防や締め切られた湾内の様子を約1時間視察したほか、長靴を履いて干潟に入り生物などを観察した。《共同通信》

【防衛庁・久間章生長官】韓国・金東鎮国防相と会談

久間章生防衛庁長官は28日昼、韓国入りし、夕方からソウル市内の韓国国防省で金東鎮国防相と会談、今秋取りまとめる日米防衛協力のための指針(ガイドライン)見直し作業は憲法の枠内で進めていることを強調、その概要を説明した。

焦点となる朝鮮半島有事など「日本周辺有事」での日米協力について、久間長官は「米軍に対する後方支授は日本の領海内と公海上までとし、他国の領域内で行うことは予定していない」と述べ、自衛隊による機雷掃海や米軍への補給、輸送、情報提供などは紛争当事国の領域内では実施しない方針を明らかにした。同じく指針見直しで検討中の人道援助活動や非戦闘員の退避活動に関して、「当該国の同意と協力なく、行うことはあり得ない」と言明、在外邦人救出などのため自衛隊機や医療チームなどを派遣する場合は、受け入れ国の同意を前提にする考えを示した。

これに対し、金国防相は「指針見直しは北東アジアの平和と安定に大きく貢献するものと認識している」と理解を示した。《共同通信》

【橋本龍太郎首相】オーストラリア訪問

橋本龍太郎首相は28日午後(日本時間同)、オーストラリアの首都キャンベラに到着。同日夜、議会内で開かれたハワード首相主催の夕食会で、日本のアジア太平洋政策に関し演説した。この中で首相は、日本とオーストラリアの首脳レベルの対話を拡充するため、年一回の定期首脳会談の開催を提唱、ハワード首相の同意を得たことを明らかにした。

またアジア太平洋地域の平和と安定のため「米国のプレゼンス(存在)が必要不可欠」とした上で、「日米安保体制は米国のプレゼンスを確保するための枢要な枠組みだ」と指摘、安保体制を維持、強化する考えを訴えた。

首相はオーストラリアがアジア欧州会議(ASEM)にアジア側メンバーとして参加することに支持を表明した。また「中国との建設的な協力関係はアジア太平洋地域の安定に不可欠」と中国との対話の重要性を強調した。日米中三国とオーストラリアがそれぞれ二国間関係を前進させることは、この地域の安定に寄与するとの考えを示した。《共同通信》

橋本龍太郎首相は28日午後、キャンベラのオーストラリア議会内でハワード首相と約30分間、2人だけで会談した。この中でハワード首相はペルーの日本大使公邸人質事件について「解決して本当に良かった」とねぎらった。

橋本首相は「3人の犠牲が出たことは残念だったが、これで日本は人質をとられればテロに屈して金を払う国というイメージを、半分程度消すことができた」と、日本はテロに弱腰との国際社会の批判を払しょくできたとの認識を示した。

この後首相は夕食会で行った政策演説でも「日本はテロに弱い国、脅せば金を払うと見られていた。今回日本は唯々諾々と金を払い、生命の値段をつり上げることはしなかった」と述べた。《共同通信》

【新進党・小沢一郎党首】米で講演

訪米中の新進党の小沢一郎党首は28日夕(日本時間29日早朝)、ニューヨークの「外交問題評議会」で講演と質疑をした。

小沢氏は「日米安保や行財政改革、規制撤廃の問題を考えても、社民党との連立政権では何も解決できないとの声が自民党の中に出てきている」と自社さ連立を批判。「そういう現実、認識が日本の政治をもう一度動かすことが、総選挙の前にあるのではないかと思う」と述べ、自民党との「保保連合」を視野に次期衆院選前の政界再編があり得るとの認識を表明した。

小沢氏は「政権交代は原則的には次の総選挙までない。ただ日本はまさに政治的転換のプロセスにある」と述べ、政界流動化が加速するとの見方を示した。

在日米軍の兵力削減問題については「(朝鮮半島の)緊張がなくなっても米軍の極東、アジアでのプレゼンスは必要だ」と、否定的な見解を示した。同時に「沖縄のみに基地の負担をかけすぎている。国内で米軍基地をどこに提供するかは日本で考えることだ」と述べた。

日米安保体制の強化に対する中国の懸念に関し「中国が何を言おうと(日米安保体制は)堅持し、発展させなければならない。中国が恐れているのは日本の果たす軍事的役割が拡大して独自の道を歩むことではないか」と指摘。アジアの集団的安保体制については「憲法として集団的自衛権の行使は認めていないとの立場だ」と退けた。《共同通信》



4月28日 その日のできごと(何の日)