平成2981日目

平成9年3月7日(金)

1997/03/07

【在ペルー日本大使公邸占拠事件】

裏の住宅から土砂搬出

7日付のペルー有力紙ラレプブリカは、日本大使公邸裏の民家から国家情報部(SIN)所属の中型車両が1カ月以上にわたり大量の土砂を運び出し、海岸などに捨てていた事実があると報じ、公邸に向けて多くて4本のトンネルが掘られていた可能性を指摘した。

特別取材班が治安関係筋などから得た情報を基に車を追跡して突き止めたとし、土砂を積み込んだとみられる車の写真5枚とともに特ダネ記事として伝えた。

同紙によると、今年1月の第1週から2月19日にかけて毎日午後10時から翌未明の午前3時ごろまで、公邸裏側のマルコニ通りの一軒の住宅に中型車両が出入りした。救助車などに擬装されたバンタイプで、一台が4、5回ずつ、当初はリマ近郊の海岸、その後はラスパルマス地区の国家情報部本部との間を往復した。 公

邸に向けて掘ったトンネルから排出した土砂を運び出す作業だったとみられ、土砂の排出量および作戦期間からみてトンネルは4本と推定されるという。

トンネルの掘削は国家情報部の発案で、昨年12月の事件発生直後から始まった。掘削作業は武装グループのリーダー、セルパ容疑者が起きている夜間を避けて昼間に集中、公邸前のスピーカーから流した音楽が掘削音を消すのに役立ったと同紙は報じている。《共同通信》

悪影響を懸念

政府は7日、ペルーの日本大使公邸人質事件で、トゥパク・アマル革命運動(MRTA)側が公邸内へのトンネル掘削問題を理由に10回目の予備的対話への欠席を通告してきたことについて「事態がより複雑になった」(外務省筋)として事件解決に向けたプロセスへの悪影響を懸念している。

橋本龍太郎首相は同日タ、国会内で記者団に対し「これだけ微妙になってきたらコメントできない」といらだちを見せた。梶山静六官房長官も記者会見で「日本政府が突出してコメントを加えることは、事態解決のためにはならない」と、深刻さをにじませた。

外務省の橋本宏外務報道官は同日夕の記者会見で、トンネル掘削問題について「コメントは控えたい」と事実関係の確認を避けながらも、「予備的対話を中断するというMRTAの意向は確認した」と述べ、次回の予備的対話開催の見通しが立っていないことを認めた。

同時に橋本報道官は「MRTAが対話そのものを拒否しているとは理解していない」とも強調。「MRTAが対話に欠席して得るものは何もない。事件の平和的解決は、話し合いによってのみだ」として、MRTA側の軟化と対話再開を強く促した。《共同通信》

対話が初の中断

ペルーの日本対し公邸人質事件で、7日予定されていたペルー政府とトゥパク・アマル革命運動(MRTA)武装グループの10回目の対話が「トンネル疑惑」のため中断された。2月11日以来続いてきた対話が中断に追い込まれたのは初めて。保証人委員会は7日夕、記者会見して声明を発表、双方に対し対話を早急に再開するよう呼び掛けた。

フジモリ・ペルー大統領は、MRTAの対話拒否に対し強く警告したが、MRTA側の新たな反発も予想され、同日の対話中止にとどまらず、解決に向けた交渉がさらに遅れる懸念が出ている。

MRTAが公邸の下にあると主張するトンネルについて、保証人委、大統領とも7日夜まで一切言及していないことが、疑惑を深める結果となっており、この問題で保証人委がどのように対処するかが緊急課題だ。

フジモリ大統領は同日の記者発表で、対話再開への期待を表明する一方、MRTAに無条件降伏を追った昨年12月21日の演説を引用し、平和的手段による解決は「人質の生命が尊重されている場合に限る」と強調した。「常に警戒を解くことはない」と、MRTAの対応次第では実力行使も辞さないことをあらためて強く示唆した。

保証人委は声明で、政府交渉担当のパレルモ教育相に対し「保証人委は早期の平和的解決のために存在する」との書面を提出したことを表明。政府側に対し、保証人への信頼を揺るがせ、対話の障害となるような行動を慎むよう暗に求めた。《共同通信》



【小川直也氏】「プロ格闘家」宣言

新日本プロレスリングの試合に出場する柔道の元世界王者、小川直也氏(28)が都内のホテルで会見を開き「アマチュアで柔道を続けてきたが、大きな制約を感じた。自分を活かせるものとしてプロの格闘家で頑張る」と決意を述べた。日本人の元柔道世界王者がプロレスのリングに上がるのは初めて。

新日本プロレスには所属しない方針で「当面はフリーの立場から新日プロに試合を申し込んでいきたい。柔道だけでなく、いろいろな格闘技を学びたい」と抱負を語った。4月12日のデビュー戦(東京ドーム)では、柔道着を着用してプロレスのタイトル保持者の橋本真也選手と戦う。《共同通信》

【中曽根康弘元首相】自社さ基幹に行革大連合を

中曽根康弘元首相は7日夕、遊説のため訪れた北海道留辺蘂町のホテルで記者団に対し、持論の「行革大連合」構想に関連し「(行革の)大筋の輪郭ができるころに、共産党を除く全政党に協力を呼び掛け、政治家が進退を決するのが望ましい」と述べ、6月の通常国会開幕後に政権の枠組みも視野に、各党に働き掛けるべきだと提唱した。

さらに「自らの全責任でイニシアチブをとる首相が、政治的勝負に出ることは憲政の常道だ。どうするかは橋本龍太郎首相にまかせている」と、首相に進言していることを明らかにした。

自社さ3党の政権の枠組みについては「壊す必要はなく、基幹的部分として保持すべきだ」と述べた。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・橋本龍太郎首相は7日、ペルーの大使公邸人質事件で武装グループが対話拒否の姿勢を示すなど緊迫した事態に対し、朝から「ノーコメント」の言葉を繰り返した。首相はかつてグループのナンバー2の実名を初めて明かすなど重要情報を知る立場。記者団へのリップサービスが過ぎて「ペルー政府に怒られた」こともある。このところ平成9年度予算案の衆院通過で口元も緩みがちだが、同じ轍を踏まぬとばかり最後までコメント拒否を貫いていた。

○・・・新進党の野田毅政審会長は、この日の記者会見で「衆院予算委では否定しながら、与党は有価証券取引税の廃止や、年度途中で減税もやるような思わせぶりな話をしている」と、自民党は『二枚舌』と言わんばかり。「途中でそういうことをやるとコストは高くつくとはっきり言いたい」と追い打ちをかけた。しかし「(減税など)新進党が主張してきた政策に転換する時は、新進党の政策とコメントしてもらいたい」「われわれが知恵を出し、後追いで取り入れてオリジナルみたいにされたらたまらない」と愚痴っぽい発言も。手柄の横取りは困ると言いたかった?《共同通信》



3月7日のできごと