平成2977日目

平成9年3月3日(月)

1997/03/03

【ソフトバンク、豪ニューズ社】国内メディア参入転換

ソフトバンク(孫正義社長)は3日、オーストラリアのニューズ・コーポレーション(ルパート・マードック会長)との折半出資会社「ソフトバンク・ニューズ・コープ・メディア」(旧旺文社メディア)の全株式を朝日新聞社に売却すると発表した。メディア社は全国朝日放送(テレビ朝日)の発行済み株式の21.4%(5136株)を保有しており、テレビ朝日株は朝日新聞社が実質保有することになる。

ソフトバンクとニューズ社はテレビ朝日株を取得することで、今春から日本で試験放送を始めるデジタル衛星放送「JスカイB」の大きな柱にしようとしていた。しかし、株の買収という手法がテレビ朝日の強い反発を買い、協力を得られず戦略の転換を迫られた。

ただ売却と引き換えに、朝日新聞が「JスカイBに可能な限り協力する」ことで合意した。JスカイBは、経営参加に基本合意したソニーに加え、朝日新聞も協力する強力な陣営となった。

朝日新聞はグループ会社の株式を守ったことで「グループの言論報道活動の基盤を整えた」(松下宗之社長)が、将来のマルチメディア戦略でマードック氏の影響を強く受ける懸念も出ており、今後どう協力していくのか注目される。

株式の売却額は、ソフトバンクとニューズが取得した際の価格と同じ417億5000万円。売却時期や朝日新聞の資金調達方法については「今朝基本合意したばかり」(松下社長)で未定。ソフトバンクはテレビ朝日への人事介入の要求を取り下げるという。マードック氏は、テレビ朝日株の取得、売却について「朝日新聞と友好的な関係がつくれた。失ったものは何も無い」と語った。

ソフトバンクとニューズ社は、JスカイBへの番組ソフトの供給などを目的に、テレビ朝日株を昨年取得した。これに対し、朝日新聞が株の買い取りを再三要望し、今年初めから具体的な売却の交渉に入った。《共同通信》



【新進党・旭道山和泰氏】初質問

3日の衆院予算委分科会で元人気力士の旭道山和泰氏(新進)が国会初質問に立ち、医療問題で小泉純一郎厚相をただした。相手の目を見据えての質問に、小泉厚相は「闘志あふれる相撲をテレビで見ていたが(国会でも)細かいところまで勉強している」と称賛した。

「横綱の胸を借りるつも一り」と切り出した旭道山氏は、現役時代のけがや、ホスピスに患者の激励に行った体験を基に、医療費の軽減や施設の充実を主張。特に心臓のペースメーカーの内外価格差を.めぐっては「張り手」のように次々と質問を繰り出し、厚相に対策を取るよう約束させた。

30分の持ち時間の序盤は緊張気味だったが、中盤以降は落ち着いて「がっぷり四つ」の受け答え。郵政改革などに対する小泉厚相の政治姿勢に「根性と任侠道がある」とエールを送る余裕も見せていた。《共同通信》

【政府、自民党】小泉発言に困惑

郵政3事業民営化を主張した小泉純一郎厚相の衆院本会議答弁をめぐって3日、政府与党首脳連絡会議や自民党役員で批判が相次いだ。厚相発言については新進党が「閣内不一致」と批判して政府の統一見解を求めるなど、1997年度予算案の衆院の「出口」をにらんだ攻防も絡んでおり、政府、自民党は困惑している。

梶山静六官房長官や加藤紘一幹事長は、予算案の衆院通過に支障がでないよう約束。橋本龍太郎首相もこの後の役員会で「参院に尾をひかないようにしなければならない」と懸念を表明した。

自民党内で特に問題とされているのは、厚相が「新進党が3事業民営化法案を提出すれば賛成する」と言い切った点。梶山長官は「自分の所信を述べるのはいいが、他党の法案に賛成するというのは本会議でいうべきことではない。けじめをつけたい」と述べた。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・橋本龍太郎首相は3日、小泉純一郎厚相が郵政三事業の民営化論を展開していることで「新進党は、政府の対応次第では衆院予算委員会の締めくくり総括質疑に応じないと態度を硬化させているが」と記者団に聞かれ、ぶ然とした表情で「フーン」。この問題では梶山静六官房長官が「首相と対応協議する」との方針を示したが、首相は「そうするつもりだけど、まだ聞いていない。だから具体的対応までいくはずないだろ」と冷ややかな応答に終始。平成9年度予算案の衆院通過を目前に身内から浮上した「難題」に、いらだちは募るばかり。

○・・・社民党の土井たか子党首はこの日午前、芦田甚之助連合会長とホテルで会談したが、芦田氏と向かい合わせのテーブルに着くなり「ずいぶん間が離れてますね」。席の遠さと連合、社民党の主張の隔たりの大きさを引っ掛けて皮肉った。連合は9年度予算案を修正して特別減税を継続するよう要請しているが、予算案を無修正で成立させた上で執行段階で削減を求めていくのが社民党の立場。芦田氏は「だんだん近づけていきましょうよ」と懸命に切り返したが、距離の遠さが災いしていまひとつ熱意が伝わらなかったか、土井氏はただ苦笑いするだけ。《共同通信》

【レバノン・日本赤軍拘束問題】「一両日中に身元公表」

日本赤軍メンバーとみられる男女が身柄拘束されている事件で、事実上の首相特使として派遣されている平林博内閣外政審議室長は3日午後(日本時間同日夜)、ブエズ・レバノン外相と会談後、「24時間以内に事態が明確になるだろう」と語った。また、アドゥーム検事総長は同日午後、「24時間以内に日本側から指紋照合の結果が届いて国籍が明確になり、48時間以内に身元確定作業がすべて終了する」と述べ、一両日中に身元の公表が行われる見通しとなった。

同検事総長は「(発表される)身柄拘束者は9人か10人になり、中国、スペイン、マレーシアなどの偽造旅券を持っていた」とした上で、「偽造旅券所持を含めたすべての犯罪行為は、レバノンの裁判所で審理される」と、レバノンの司法手続きで処理されることも表明した。

平林氏は同日午前、ハリリ首相の私邸を訪ね、約30分間会談。橋本龍太郎首相の親書を手渡し、拘束者の身元発表や日本側への身柄引き渡しについて協力を要請した。

ハリリ首相との会談について平林氏は「実りある話し合いだった。レバノン側は日本赤軍とみられる日本人の身元確定を急いでいる」とし、身柄の引き渡しについては「(引き渡し条約はないが)日本とレバノンの法に基づいて協議している。近く満足できる結果を得られると思う」と語った。《共同通信》

【在ペルー日本大使公邸占拠事件】キューバ、ゲリラ受け入れを表明

キューバのハバナを突然訪問したフジモリ大統領は3日(日本時間4日未明)、カストロ国家評議会議長とリマの日本大使公邸人資事件をめぐり会談した。カストロ議長は、ペルー、日本両国政府が正式に要請し、公邸を占拠するトゥパク・アマル革命運動(MRTA)の武装グループが同意すれば、キューバ政府は同グループを受け入れる用意があると表明した。フジモリ大統領が会談後の記者会見で明らかにした。武装グループの受け入れを表明したのはキューバが初めて。

リマの日本政府現地対策本部筋は、大統領はMRTA側がキューバへの出国に同意するとの感触を得た上で、ハバナを訪れたことを強く示唆。「日本政府は必要なら何でも協力する姿勢だ」と述べ、キューバに正式に引き受けを要請する用意があることを明らかにした。MRTAがキューバへの出国に応じれは事件は解決に向け大きく前進する。

記者会見でフジモリ大統領は「議長との会談内容を(政府側交渉担当の)パレルモ教育相を通じてMRTAに伝える」と述べ、予備的対話の中で武装グループに出国を促す意向を示した。現地対策本部の寺田輝介顧問(駐メキシコ大使)は、早ければ4日にも、フジモリ大統領やパレルモ教育相と会談し、詳細な説明を受け、協議する見通し。

カストロ議長は3日、フジモリ大統領を空港に見送った際、記者団に対し倫理的義務からの判断だとし「要請があればキューバは、解決に協力する」と述べた。大統領は会見で「会談は実りあるものだった」と述べ、満足の意を表明した。

大統領は2日、ドミニカ共和国を訪問、1980年に同国の在コロンビア大使館を占拠したゲリラがキューバに亡命して解決した事件などを例に、フェルナンデス大統領と人質事件の解決策を協議。フジモリ大統領はその帰途、急きょキューバを訪れ、カストロ議長と初の首脳会談を行った。《共同通信》



3月3日のできごと