平成2890日目

平成8年12月6日(金)

1996/12/06

【蒲原沢土石流災害】

長野県警や建設省松本砂防工事事務所に入った連絡によると、6日午前10時40分ごろ、長野県小谷村北小谷の国道148号線湯原トンネル付近の蒲原川の堰堤工事で土石流が発生。工事中の作業員15人が流され、4人が救助され救急車で運ばれたが11人が行方不明になった。また、約1キロ上流でも鉄砲水が発生、工事作業中の1人が救出されたが重体、3人が行方不明となった。

また、橋が流され、2つの現場の対岸には27人の作業員が取り残され、戻れなくなっているという。現場にはヘリコプターなどが出動、長野、新潟両県警とともに救出作業をしている。

長野県警大町署や建設省砂防課によると、現場は新潟県境にある蒲原川の国境橋付近で、作業は約50人が、昨年梅雨前線による豪雨で被害を受けた個所の復旧作業をしていた。蒲原沢の上流が雪塊でせき止められ、たまった水が鉄砲水のように一気に流出、長さ100メートル、高さ20メートルにわたる土砂を巻き込んで土石流になったらしい。《共同通信》

長野県の小谷村土石流災害で長野、新潟両県警は6日、それぞれ災害警備本部を設置、陸上自衛隊、地元消防本部の応援を得て行方不明になった14人の捜索を行った。徹夜態勢で投光器を使って捜索を続けた結果、同日夜、3人の遺体を発見、収容した。1人は新潟県糸魚川市のA子さん(58)と分かった。両県警は残り11人の発見に全力を挙げている。しかし、大型機械を使えない場所もあるなど捜索は難航した。

工事現場付近に取り残されていた作業員46人は、同日夕までに全員脱出した。長野県警などによると、依然行方不明になっている作業員は下流側の堰堤・護岸工事と橋脚工事、上流側では完成した砂防ダム工事の後片付けに当たっていた。

事故が起きたのは、小谷村の湯原トンネル付近の姫川に合流する浦原沢の砂防ダム工事などの現場一帯で、長野、新潟両県警と消防署員、自衛隊員の計約850人が重機械40台を使って捜索。夜に入ってからは現場を4つの区画に分け、懸命の捜索を続けた。現場の地盤が弱く二次災害の危険性があるため、上流に新たな土石流を監視するパトカーを配備、警戒した。

昨年7月の寒雨災害で、多量の土砂が残っており、今回の復旧工事は、上流からの土石流対策と、たまった土砂を下流に流さないという二つの目的があった。事故当時約160人が復旧作業をしていたが、蒲原沢の上流で土砂崩落があり、せき止められていた水が一気に流出、土石流が発生したとみられている。《共同通信》



【橋本龍太郎首相】公務員倫理法に意欲

橋本龍太郎首相は6日午前の衆院予算委員会で、厚生省汚職事件に絡み、公務員の行動規範を法律で規定する「公務員倫理法」制定について「さまざまな事態が発覚する中、制定の必要性のあるなしを含めて検討しなくてはいけないとの思いだ」と述べ、岡光序治前厚生事務次官に逮捕を受けて法制化に積極的な姿勢を示した。

首相は先の衆参代表質問の答弁では、現在総務庁が策定中の新たな綱紀粛正策の内容を踏まえた上で必要性を判断するとの慎重姿勢を示していた。また政府審議会の議事録公開について「問題は委員ではなく、事務局の姿勢にある。公開できるよう努力したい」と述べた。《共同通信》

【民主党・家西悟衆議】「エイズ患者の死忘れるな」

「薬害エイズ患者が今も亡くなっていることを忘れないでほしい」。6日開かれた衆院予算委で当選後、初めての質問に臨んだ前大阪HIV訴訟原告代表の家西悟氏(民主)。橋本龍太郎首相や小泉純一郎厚相を前に顔を紅潮させ、緊張のためか、震えがちな関西弁で患者救済を訴えた。委員からは「がんばれ」と応援の声が上がり、委員長の配慮で着席して質問を続ける家西氏に並み居る先輩議員が注目した。

冒頭、小泉厚相に薬害工イズの被害者数を質問した際には官僚が代わって答弁。家西議員は「1987年(昭和62)に厚生省にエイズ問題の問い合わせに行った際、この人に『(わたしは)不勉強なので(あなたが)自分で勉強して』と言われた」と声を荒らげ、怒りを爆発、再度、厚相の答弁を求めた。小泉厚相は「深く反省する」と神妙に当時の対応を陳謝した。

「政府のエイズ対策は患者の管理が中心。今後はワクチンの開発など治療に力を注ぐことが大切だ」という指摘に、橋本首相は「率直な意見をありがとうございました」と丁寧に謝辞を述べた。10分余りの質問が終わると、与野党を問わず拍手が起き、家西氏は委員の握手攻め。家西氏は「うれしいですね。ここまでできたら、良しとしないと。でも疲れた」と満足した笑願で途中退席した。

一方、厚生省改革を求める菅直人前厚相の質問には小泉厚相は菅氏改革の実績を評価し、「勉強したい。よろしくご指導を」とひたすら低姿勢だった。《共同通信》

【新進党・羽田孜元首相】「新党しかない」

新進党離党−新党結成を表明している羽田孜元首相は6日、西岡武夫幹事長や同党出身の渡部恒三衆院副議長と相次いで会談、離党を思いとどまるようにとの両氏の説得に対し、新党結成の意欲をあらためて表明し、話し合いは平行線に終わった。

羽田氏は渡部氏に「日本の政治の閉塞状況を打開するためには新党結成しかない」と重ねて新党への決意を強調。西岡氏にも「国民は政治がないと言っている。それを打開するため、本気で考えないといけない」と伝えた。ただ渡部、西岡両氏とぼ今後も話し合いを続けていくことは確認した。

党執行部の説得活動が成功する見通しは立っておらず、進展によっては円満な「分党」路線を模索する動きも浮上しそうだ。

同日の羽田氏との会談で、渡部氏は「党を飛び出すことは敗北の論理だ」といさめ、西岡氏も分裂回避を求める党内の空気を背景に説得した。羽田氏は「私が行動することで党内の若い議員に警鐘を鳴らしたい」と、同調者が少数にとどまっても離党に踏み切る決意があることを伝えた。

新進党内では、羽田氏が離党すれば決定的イメージダウンになるとの懸念が強い。しかし総選挙直後の「分党騒動」に続く今回の混乱に「羽田氏が出ていくのはやむを得ない」(閣僚経験者)「放っておくしかない」(小沢氏周辺)と突き放した空気も出始めている。また羽田氏支持グループでもベテラン議員を中心に「政党助成金目当ての年内離党では大義名分が立たず、時期尚早だ」との慎重論が根強い。《共同通信》

【原爆ドーム、厳島神社】世界遺産に

文化庁に6日未明、入った連絡によると、メキシコのメリダで開かれていた第20回世界遺産委員会は、日本が推薦していた「原爆ドーム」(広島市)と「厳島神社」(広島県宮島町)を世界遺産に登録することを決定した。戦争の負の歴史、としての登録は、ナチス・ドイツの強制収容所、アウシュビッツ(ポーランド)などに次ぐ。委員会最終日の8日に「世界遺産一覧表」に記載される予定。

今回は、日本の2件を含め24カ国から38件の推薦があった。文化庁によると、原爆ドームをめぐり対応が注目された米国は、今回の登録には異論を唱えなかったが、登録決定後に戦争遺産に対する取り扱いの見直しを求める発言があった。

原爆ドームは、太平洋戦争末期の昭和20年8月6日、史上初めて使用された原子爆弾によって破壊された旧広島県産業奨励館の残がい。戦後、広島平和記念公園内に当時の姿のまま保存されてきた。「時代を超えて核兵器の廃絶と世界の恒久平和の大切さを訴え続ける人類共通の平和記念碑」として推薦された。

厳島神社は鮮やかな朱塗りの本社本殿と拝殿、五重塔、多宝塔などの建造物群に加え、これらと一体となって景観を形成している前面の海と背後の弥山など約431ヘクタールが登録範囲。

国内では「法隆寺地域の仏教建造物」(奈良)、「姫路城」(兵庫)、「屋久島」(鹿児島)、「白神山地」(青森、秋田)、「古都京都の文化財」(京都、滋賀)、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」(岐阜、富山)に次いで7、8件目となる。《共同通信》

【ミャンマー】抗議行動の学生2000人に

ミャンマーの首都ヤンゴンで6日、学生自治組織結成の承認などを要求する学生が再びデモを行い、同国の学生運動の象徴であるヤンゴン大学前交差点で同日夕、路上集会を始めた。参加者は夜に入って2000人に拡大、同じ場所で開かれた今月2日夜の集会を上回る規模となった。軍事政権当局は、集会周辺の道路を完全封鎖。また兵士が集会を取り囲んで鎮圧する構えを見せており、迫している。

市内のヤンゴン工科大学では同日午後2時ごろ、学生が街頭デモを始め、ヤンゴン大学の学生も合流しようとしたが、軍・警察が自動小銃などで武装した1000人以上の部隊を投入、道路を封鎖して解散させた。デモ解散後も、兵士や警官、放水車数台が待機している。しかし両大学の学生はその後も市内で散発的に抗議行動を続け、路上集会に合流した。

集会には民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんの父で建国の英雄であるアウン・サン将軍の写真が掲げられ、3日朝に学生デモ隊を強制排除した軍事政権を批判する演説が相次いだ。

学生が最大の要求に掲げている自治組織結成は、同国では1962年以来禁止されている。学生は、10月下旬に起きた警官による学生暴行事件の真相公表を重ねて要求しているほか、3日朝のデモ鎮圧時に「警官が暴行をした」「アウン・サン将軍の写真や独立闘争以来の学生運動の旗が踏みにじられた」として、警官などの処分を求めている。

また、3日の政権側の記者会見で、軍幹部が学生暴行事件で処分された警官に同情的な発言をしたとして撤回を要求するなど、反軍集会の色彩も強めた。ヤンゴンでは2日から3日にかけて学生デモが発生、当局の解散命令を無視した学生約600人が連行された。《共同通信》



12月6日のできごと