平成2754日目

1996/07/23

この日のできごと(何の日)

【薬害エイズ問題】初の証人喚問

エイズウイルス(HIV)に汚染された輸入非加熱血液製剤による薬害エイズ問題で、衆院厚生委員会は23日、厚生省エイズ研究班長だった安部英・前帝京大副学長(80)らを証人喚問した。同問題での証人喚間は衆参両院を通じて初めて。

安部氏は国内のエイズ第一号認定を見送られた帝京大症例について「私はエイズ患者ではないかと思ったが(エイズ研究班のメンバーに)否定された。(だがら)研究班会議で(帝京大症例が)エイズであるということに基づいて対策を提案することはできなかった」と証言、これまでの主張を繰り返した。

元厚生省生物製剤課長の郡司篤晃・東大医学部教授(59)は、焦点の一つである非加熱製剤から国産製剤(クリオ)へ転換をしなかったことについては「世界中の専門家の意見に反して行政が特別の権力を行使するのは困難だった。部分的な転換については考えたが、(エイズ研究班の)専門家にゆだねた」とした。郡司氏は行政担当者として責任を感じないかと問われ「結果責任があるというのなら、わたしにある」と述べた。

焦点の血友病患者の帝京大症例がエイズ第一号認定を見送られた問題では「(米国の権威である)スピラ博士は米ではエイズに入れると言ったが、複雑な症例であり厳密に考えたため断定に至らなかった」とあくまでも見送りが慎重な医学的判断の結果だったことを強調。(血友病から一号が出ることを)隠そうという意図はなかった」と証言した。クリオ転換問題も含め「(製薬会社など)外部からの圧力はなかった」と明言した。

血液製剤メーカーの米トラベノール社(現バクスター社)が非加熱製剤の自主回収をエイズ研究班に報告しなかったことには「当時、エイズ本体が何であるかなど論文などから一生懸命読み取ろうとしていた。しかし、一社が回収したというのは(ウイルスの同定や検査方法の確立に)何の貢献もしない」と述べ、判断の正当性をあらためて主張した。

衆院厚生委員会は23日午後も薬害エイズ問題の証人喚問を続行し、元厚生省エイズ研究班長の安部英・帝京大副学長(80)と前同省エイズサーベイランス委員会委員長の塩川優一・順天堂大名誉教授(78)が証言した。

安部氏は危険な非加熱血液製剤から国産製剤(クリオ)に転換しなかった理由について「クリオは質的な条件で使えなかった」「クリオは注射針の中で固まる」と証言、非加熱製剤からクリオに転換しなかった正当性を主張した。しかし根拠となるデータは示されず、非加熱製剤の使用継続をめぐる疑問はさらに深まった。

エイズ問題をめぐる国会審議はこれで一区切りがついた格好。しかし、午前の郡司篤晃・東大医学部教授(元厚生省生物製剤課長)の証言も含め、検察捜査の焦点とされる非加熱製剤に対する安部氏の危険性の認識などで真相に迫る新事実は出なかった。《共同通信》



昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。

情報量が少ない日は随時加筆中です。

引用記事は名前、住所など一部修正の上、抜粋してあります。

外国の方のお名前、地名などは現時点で一般的に通じるものに書き換えています。(例・ロシアのプーチン氏はかつてプチン氏と表記されていました)

古い記事の多くは「書き写し」のため、誤字脱字が多数あります。見つけ次第修正しています。

このサイトについて

【プロ野球オールスターゲーム第3戦】全セ4−2全パ

プロ野球のサンヨー・オールスターゲーム最終戦、全セ−全パは23日、富山市民球場で行われ、全セが4−2で勝ち、3連敗を免れた。最優秀選手(MVP)には二回に逆転の3点本塁打を放った金本(広島)が初めて輝いた。これで通算成績は全セの50勝67敗6分け。

1点を追う全セは二回、パウエル(中日)松井(巨人)が連打した無死一、二塁に金本が豪快にバックスクリーンに打ち込んだ。七回には落合(巨人)の二塁打に松井が適時打で続き1点を加えた。七回からは高津(ヤクルト)佐々木(横浜)佐々岡(広島)と各球団のストッパーをつないで逃げ切った。全パはイチローの2安打2得点の活躍があったが、3連勝はならなかった。《共同通信》

【アトランタ五輪】

第26回夏季オリンピック大会第5日の23日、柔道女子61キロ級の恵本裕子(住友海上火災)が、決勝で、元世界女王のジェラ・バンデカバイエ(ベルギー)に一本勝ちし、全競技を通じて今大会初の金メダルを獲得した。

前回のバルセロナ五輪から正式種目になった柔道女子で、日本選手としては初の優勝。日本の女子選手が個人種目で金メダルを獲得したのは史上4人目で、競泳以外では初めて。

男子78キロ級の古賀稔彦(慈雄会)は決勝で敗れて銀メダルに終わり、バルセロナ五輪71キロ級に続く二階級制覇はならなかった。《読売新聞》

【橋本龍太郎首相】大田知事に公告を勧告

橋本龍太郎首相は23日午前、来年5月で使用期限が切れる沖縄の嘉手納飛行場など11施設用地の強制使用問題で、大田昌秀・沖縄県知事に対し、8月2日までに裁決申請書の公告・縦覧を代行するよう地方自治法に基づき文書で勧告した。これは大田知事が首相の督促に応じず、代行の手続きを行わないための措置で、政府は勧告書を郵送。しかし知事は「勧告」にも応じない構えで、首相は期限を待って「命令」を出し、さらに拒否されれば福岡高裁那覇支部に職務執行命令訴訟を起こす予定。

11施設用地の賃貸借契約を拒否している「反戦地主」は約3000人で、使用期限が切れた場合、米軍基地内への立ち入りや土地返還要求など、大きな混乱が予想される。このため政府は強制使用手続きに必要な法的手続きを一つ一つ進める一方で、使用期限切れを回避し、手続き迅速化のための特別立法を検討している。《共同通信》

【新進党・羽田グループ】正式に解散

新進党羽田グループ「興志会」(会員数=69人)の代表世話人である羽田元首相は23日夜、都内で開かれた同グループ若手議員との懇談会で、挙党態勢の確立を最優先することを理由に、「本日をもって解散する」と述べ、同日付で羽田グループを正式に解散することを表明し、了承された。

羽田氏はさらにメンバー全員にグループ解散を連絡するためのファクス文を紹介し、その中で、「(外遊中の)細川元首相からもグループの今後について一任を受け判断した。今後とも、改革実現、日本再生に向けて、熱い思いと友情を同じくする皆さんと行動したい」などと述べた。

グリープの解散は衆院解散・総選挙に向けた挙党体制確立を理由に、小沢執行部が働きかけていた。ただ、同グループが執行部に要求していた党運営の民主化問題など懸念はすべて先送りされた形で、実質的な党内融和に直結するかどうかは不透明だ。《読売新聞》

【政界談話室】

○・・・橋本龍太郎首相は23日午前、都内のホテルで岡山県県政懇談会に出席、予算陳情を受けた。退席後、記者団から「自治体の予算陳情は自粛する申し合わせでは」と聞かれると、首相は「そう言われりゃそうだけど、県連として全員集まるわけだから出ないわけにはいかない」と苦しい言い訳。厳しい概算要求基準(シーリング)で来年度予算編成の陣頭指揮を執るはずの首相自ら申し合わせを“無視”してまで地元の要望を聞くとは、やはり衆院の解散、総選挙が近い?

○・・・自民党の亀井静香組織広報本部長はこの日、党長野県連の女性幹部50人を前に党本部で講演。長野選出の新進党の羽田孜元首相について「本当にいい人で、私も大好きな人なんです」と持ち上げた後、「でも羽田さんも変な人の子分になって党を出てしまい、首相在任もわずか2カ月で終わってしまった。自民党にいれば3年でも5年でも首相ができたのに。人間、軽はずみなことするものではない」と皮肉った。しかし、長野県は新進党人気が高いだけに「自民党の国会議員が長野県からいなくなっては大変だ。皆さん頼みますよ」と、強気の亀井氏にしては珍しく危機感をのぞかせていた。《共同通信》

【O-157】大阪で新たに2人死亡

患者総数数が約6400人に達した大阪府堺市の病原性大腸菌「O-157」による小学校集団食中毒で、小学五年の女児(10)が23日午後8時24分、人院先の関西医大高度救命救急センター(守口市)で肺からの出血による呼吸不全のため死亡した。O-157による溶血性尿毒症症候群(HUS)の合併症とみられる。

堺市での死者は初めて。このほか7歳と11歳の女児の危篤が続いている。過去に例のない大規模食中毒は極めて深刻な事態を迎えた。また八尾市内の病院に入院中の女性(85)が急性腎不全で死亡した。今年のO-157の死者は岡山、京都などに続き計7人となった。《共同通信》



7月23日 その日のできごと(何の日)