平成2690日目

1996/05/20

この日のできごと(何の日)

【李登輝氏】中華民国第9代総統に就任

3月に行われた初の台湾総統直接選挙で圧勝した李登輝総統は、20日午前8時から台北市内の総統府で宣誓就任式典に臨み「中華民国(台湾)第9代総統」となった。

その後、就任祝賀式典で「主権在民の新時代を迎え、民主化を成功させた。独立の必要はなく、国家が求め、人民が支持すれば、中国大陸を自ら訪問し、中共(中国)の最高指導者と直接意見を交換したい」と演説、民主化の成果を高らかに誇示するとともに対中関係改善を提起した。《共同通信》

直接選挙による総統誕生は、独立を掲げる最大野党、民主進歩党が長年にわたって主張してきたことでもあり、台湾は「初の民選による指導者の誕生」慶祝ムードに包まれた。

祝賀式典に参加の外国代表団は40カ国、約400人に上ったが、台湾との公式交流に反対する中国の圧力で、国家元首の出席はグアテマラなど10カ国にとどまった。米国は代表団長として、クリントン大統領側近の公民権運動指導者のジョーダン元全米都市連盟会長を、日本は団長に田村元・元衆院議長を派遣するなど、中国との関係を配慮した人選となった。

こうした中、就任演説で李総統は「(民選総統の就任は)国際的な民主陣営の力量を強化した」と述べ、共産党の一党独裁体制が続く中国との違いを強調した。その一方で、李総統は来世紀の中台統一実現への確信を述べ、中台首脳会談を提起するなど、対中関係改善に向けた姿勢を表明。今後の具体的な対中政策は、中国の対応を見ながら、今年夏に開かれる各界指導者を集めた会議で検討することになった。

李総統は今年は米国や日本を訪問しない方針を既に表明しているが、就任演説では中国が批判している実務外交の継続を宣言、中台関係の将来は依然として波乱含みとなりそうだ。

19日に事前に公表された首脳会談開催などを呼び掛けた演説内容について、台湾では「外交辞令なのが、中共が分からないはずがない」との冷めた見方も出ており、内外情勢を見通した上で中国がどう出るかが今後の焦点となった。《共同通信》

「民選総統の就任は、中国人に民主政治を行う能力があることを証明した」−。台湾の李登輝総統は20日午前、初の民選によるリーダー誕生の重みを就任演説で力強く訴えた。 かつての国民党の独裁政治から政治改革の歩みを着実に進め、民主化を達成した李総統は「台湾ができることは、中国大陸でもできる」とアピールした。

台北市郊外の桃園県にあるドーム体育館。円形の白い天井、青や黄などに塗られた観客席、赤じゅうたんが敷かれた競技場部分にも、いすが並べられ、約1万5000人が祝福に駆け付けた。 演説は午前10時(日本時間同11時)すぎから始まった。

ステージ上の李総統はダブルのダークスーツにグレーのネクタイ姿。学問の世界から政界への転身。前総統の急死による総統昇格など運命の糸に操られるようにしてトップの座に就いてから、わずか8年。 「総統選挙に向けられた」(中国軍の)軍事威嚇にも自制の姿勢をとり続けた。中国大陸が改革・開放で築き上げた経済的成果が崩れるのを見るのは忍びないからだ」と、総統選前に開始された中国の軍事演習を振り返った。

「21世紀には中国人は平和統一の歴史的偉業を成し遂げられると信じる」と訴えると、出席者から一斉に拍手と歓声が沸き起こり、ドームの天井に響いた。 会場では、かつて民主化を求めて弾圧された最大野党民主進歩党の関係者らも演説を見守った。

与野党の国会議員らからなる台湾の李登輝総統就任祝賀団(団長・田村元・元衆院議長)は20日午前、桃園県で開かれた就任式典に出席した。同日午後に台北市内の総統府で李総統に接見、祝意を伝える。祝賀団のうち国会議員はその後、李総統夫妻主催の歓迎夕食会に出席する。《共同通信》

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【サザンオールスターズ】シングル「愛の言霊」発売

【大相撲夏場所】9日目

大相撲夏場所9日目(20日・両国国技館)全勝の大関貴ノ浪が初黒星を喫した。貴ノ浪は剣晃のもろ差しからの寄りをこらえ切れず完敗した。横綱貴乃化は落ち着いて朝乃翔をはたき込み、大関若乃花は小結琴の若を寄り切ってともに1敗を保ち勝ち越しめ、貴ノ浪とともに二子山勢2人が1敗で並んだ。横綱曙は湊富士を押し出し6勝目。大関武蔵丸は関脇琴錦を押し倒して2敗を堅持した。魁皇と貴關力の関脇対決は魁皇が押し出し7勝2敗、関脇武双山は3敗を守った。十両は新十両の栃東が7勝2敗で単独トップに立った。《共同通信》

【小野田寛郎さん】マニラ入り

「過去を清算し、明日に向かって手を伸ばしたい」―。フィリピン・ルバング島で約30年にわたったジャングルでの「孤独な戦争任務」の末に発見され、日本に生還した旧日本軍少尉、小野田寛郎さん(74)が20日午後、22年ぶりに同島を再訪するため、妻の町枝さん(59)とともにマニラに到着した。

小野田さん夫妻はマニラ国際空港に到着後、出迎えの西ミンドロ州ジョセフィーヌ・サトウ知事らとともにマニラ市内のホテルに投宿した。ホテルで日本人記者団らと会見し「過去のことをすべて清算し、50年前の戦争で亡くなったすべての人、米軍人やフィリピン軍人を含めて慰霊したい」と語った。

小野田さんらは21、22の両日、ルバング島に滞在、激戦地ティリックの「平和の塔」に献花する予定。22日午後、マニラに戻った後、23日には西ミンドロ州の州都マンブラオを訪れ、25日に帰国の予定。《共同通信》

【与党】介護保険法案で対立

政府与党は20日の与党責任者会議と、首脳連絡会議で、介護保険法案と民法改正案(選択的夫婦別姓の導入)の国会提出問題について協議したが、あくまで今国会での審議を求める社民、さきがけと慎重論の首相官邸、自民党の対立が表面化した。

両法案の今国会提出は官邸などが慎重姿勢のため困難視されているが、今後の与党内調整に大きな火種を残した形だ。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・橋本龍太郎首相は20日、水俣病の未認定患者問題で、「最大の被害者団体の水俣病全国連とチッソが補償協定を結んだことについて「やっとここまできたという感じだ」とぽつり。「最初に和解を始めたのは僕が厚生政務次官だったころ。その時は訴訟組の人に、和解をしようとしたこと自体批判された。マスコミにもたたかれた」と、ベテランの厚生族らしく、ことの発端から回顧。「長引いたことで増幅、拡大してしまった部分もある。水俣湾のヘドロ除去はかえって遅れた」と言葉を継いだのは泥沼化しそうな住専問題の行く末が頭をよぎったためか。

○・・・支持率が低迷しっ放しの新進党の羽田孜元首相はこの日、都内で開かれたシンポジウムに出席。「与党にも新進党にも対立の図式がある。だがマスコミはすぐに、羽田はだれだれを批判したとか、そういうことばかり書いている」と、まるで低迷の原因はマスコミと言わんばかり。党内では羽田氏と小沢一郎党首の亀裂が低迷の最大の原因との声が根強いことを意識してか、最後に「世界の和解をつくるために、日本の政治の和解をつくらないといけない」。ただ2人の確執は修復不可能との見方もあるだけに、この言葉を額面通り受け取る向きは少なそう。《共同通信》

【坂本弁護士一家殺害事件】端本悟被告、認否を留保

オウム真理教信者端本悟被告(29)の公判が20日、東京地裁(大野市太郎裁判長)で開かれ、殺人罪に問われた坂本堤弁護士=当時(33)=一家殺害事件の起訴事実の認否で、端本被告は「きょうは留保します」とだけ述べた。

検察側は元幹部中川智正被告(33)らの公判と同様、冒頭陳述で教祖麻原彰晃被告(41)が犯行を指示し、中川、端本両被告らが実行した経緯を明らかにした。

端本被告は坂本事件のほか松本サリン事件の殺人、殺人未遂罪とサリン量産プラント事件の殺人予備罪でも起訴され、松本事件もいったん認否を留保したが、その後「人を殺害するとは思わなかった」と殺意を否認。殺人予備の起訴事実はぼぼ認めている。

坂本事件では計6人が起訴され、これまでに審理入りした中川、元幹部早川紀代秀(46)、同岡崎一明(35)の3被告はいずれも起訴事実を認めていた。

冒頭陳述によると、麻原被告は坂本さんが「オウム真理教被害者の会」を指導し、教団を批判する活動と発言を繰り返していた上、さらにTBSのテレビ番組で同様の発言をすることを知り、故村井秀夫元幹部=死亡当時(36)=や中川被告ら5人に坂本さん殺害を指示。犯行に麻原被告の警護役の端本被告を加えるように命じた。犯行直前には坂本さんが自宅にいたことから「家族ともどもやるしかない」と命令した。《共同通信》

【TBSビデオ問題】TBS 、大幅な組織改革

坂本弁護士ビデオ問題で郵政省から厳重注意を受けたTBSは20日、砂原幸雄社長が東京・赤坂の同社で会見し①番組内容のチェック機能を高めるため編成考査局を新設②問題を起こしたワイドショーの制作主体だった社会情報局を廃止―などの組織改革を行うことを明らかにした。

砂原社長は編成考査局を、既にあった番組考査部などのチェック機能と、調査部などの制作上のサポート機能を一つにまとめる発想から生まれた「放送業界では前例のない新しいもの」と位置付け、「現場に対する窓口として、番組全体へのバックアップ機能を期待している」とした。

編成考査局には、生番組の内容をチェックする社内の第三者による「モニターグループ」も設置し、TBSのテレビ、ラジオの番組すべてを考査の対象にする。同社は、さらにオンブズマン制度などの導入も検討しているという。

また社会情報局の廃止は、現在同局が担当している「サンデーモーニング」など7番組を、番組単位で報道局か制作局にスタッフを振り分ける形で実施される。砂原社長は「ワイドショーは最もテレビ的な番組。形を変えて存続するが、今回の問題の責任をはっきりさせる必要がある」と廃止理由を説明した。《共同通信》

TBS「ニュース23」キャスターの筑紫哲也さん(60)が20日開かれた同社の「放送のこれからを考える会」に出席、TBSのニュース番組は提供スポンサーなしで放送するよう提案した。

筑紫さんは「たばこの問題をやるときに、たばこ会社がスポンサーでは信頼性が保てない。(提供CMをやめて)番組の前後にスポットCMを集めるようなことができないか」と話した。《共同通信》

【第49回カンヌ映画祭】最優秀作品賞「秘密とうそ」

第49回カンヌ映画祭は20日、最優秀作品賞(パルムドール)に英国のマイク・リー監督の「シークレッツ・アンド・ライズ」(秘密とうそ)を選出し閉幕した。

「シークレッツ・アンド・ライズ」は英国の労働者階級の家族を描いた作品で、白人女性に黒人が「あなたの子供だ」と名乗り出たことがら引き起こされる事件をユーモラスなタッチで描いた。

次点に当たる審査員グランプリはデンマークのラース・フォン・トリアー監督の「ブレーキング・ザ・ウエーブズ」が受賞。監督賞は米国のジョエル・コーエン監督の「ファーゴ」に決まった。

主演男優賞はフランス映画「八日目」(原題ル・ユイチェーム・ジュール)に出演したダニエル・オートゥイユとパスカル・デュケヌの2人が受賞。主演女優賞には「シークレッツ・アンド・ライズ」に主演したブレンダ・ブレシンが選ばれた。

映画祭には、アジアから中国の陳凱歌監督が「花の影」を、台湾の侯孝賢監督が「再見南国、再見」を出品したが選に漏れた。日本からは、北野武(ビートたけし)監督の「キッズ・リーターン」が監督週間に上映されたが、コンペティション部門にノミネートされた作品はなかった。《共同通信》



5月20日 その日のできごと(何の日)