1996 平成8年4月19日(金)

平成2659日目

平成8年4月19日(金)

1996/04/19

【ボクシング・辰吉丈一郎選手】海外での現役続行を表明

元世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級チャンピオン、辰吉丈一郎(大阪帝拳)は19日、大阪府守口市のホテルで記者会見し、海外に渡って現役を続行する意思を表明した。6月中旬にも渡米する。

現行のルールでは、網膜剥離の既往症がある辰吉は、国内では世界戦以外の試合に臨めない。

会見で辰吉は、3月3日のダニエル・サラゴサ(メキシコ)とのWBCジュニアフェザー級タイトルマッチでTKO負けした直後に「現役続行を決めた」と語った。引退を勧告していた大阪帝拳ジムの吉井清会長は辰吉の意思が強いため、17日の話し合いで現役続行を了承したと説明した。

今後は米国のプロモーター配下の選手となって練習や試合を行う予定。辰吉は再び世界王者になるまで日本に戻らないとの決意も表明した。

辰吉丈一郎選手 引退はしません。6月中旬に単身で海外へ行き、世界チャンピオンになるまで帰国しません。今の自分が許せないので、初心に帰って頑張りたい。《共同通信》



【オウム真理教・麻原彰晃被告】「地獄から動物園」

「(警視庁から東京拘置所へ移監され)地獄から動物園へはい上がって来たようだ−。初公判を24日に控えたオウム真理教教祖麻原彰晃被告(41)の国選弁護団は19日、東京・霞が関の弁護士会館で記者会見し、麻原被告の近況など明らかにした。

弁護団によると、3月27日に東京・小管の東京拘置所に移ってからは、しばらく所持品検査などの名目で私服着用が認められず支給された服を着るなど不当な待遇を受けた。それでも麻原被告は警視庁本庁舎の代用監獄での生活よりは良いという意味で「地獄から動物園」と表現したという。《共同通信》

【薬害エイズ問題】郡司、安部氏が参考人陳述

薬害エイズ問題で衆院厚生委員会が19日開かれ、日本でもエイズ感染の危険性が指摘され始めた1983(昭和58)年当時、厚生省生物製剤課長だった郡司篤晃・東大医学部教授とエイズ研究班長だった安部英・前帝京大副学長(79)の2人が意見陳述した。

非加熱製剤の使用継続について郡司氏は「意思決定機関でないエイズ研究班に重要な決定をさせてしまった」と述べた。これに対して安部氏は「日本にエイズ患者がいるかどうか、学問的に検討してくれと頼まれただけで、結論は行政の担当者」と答弁し2人の食い違いが明らかになり、同省と研究班の責任があいまいにされた。血友病患者の帝京大症例をエイズ第一号に認定しなかったことについては2人とも同省上層部や企業からの圧力は「一切ない」と否定した。

郡司氏は国会で初めて意見を陳述。元同省エイズ研究班の安部氏とともに、エイズ対策にあたり、薬害エイズのカギを握る人物とされる。《共同通信》

「私に謝れと言われてもできかねる」。19日午後の薬害エイズ問題をめぐる衆院厚生委員会の参考人質疑。答弁に立った元厚生省エイズ研究班長の安部英氏(79)は、多くの血友病患者がエイズに感染した被害に対して、自分には責任がないと声高に主張した。

2日前の参院厚生委同様、かん高い声で「自己弁護」のような」発言を繰り返したが、あいまいな答弁を突かれ慌てる場面も。傍聴席の被害者からは「本当のことを言ってほしい」と不満を訴える声が聞かれた。

身ぶり手ぶりをまじえよどみなく話を続ける安部氏。田中真紀子議員からは「国会議員も能弁だが、なかなか先生には太刀打ちできない」と皮肉られた。安部氏に慌てた様子がみられたのは質問が昭和58年10月の「家庭療法委員会」での安部氏の発言に課及んだ際。

「学問的な良心からすれば、うそをつくことになっても」と非加熱製剤の優位性を主張したとの指摘に対し「私は速記録も読んでいない」と興奮して抗弁したが、発言自体に対する否定はなかった。

菅直人厚相やミドリ十字社の役員らが謝罪したことについて感想を求められると「私は一生懸命やってきた。良心に恥じることはない。謝ることはできかねる」と突っぱねた。

3時間を超えた質疑は、安部氏の長い答弁を質問者が遮るケースもあり、傍聴席から失笑が漏れることもしばしば。

厳しい表情で見入っていた大阪HIV訴訟の故石田吉明・元原告団長=当時(49)=の姉久江さん(59)は「責任がないというのは納得できない。患者の中には名前を公表してまで発言している者もいるのに。医者は本当のことを言ってほしい」と悔しそうだった。《共同通信》

【山口敏夫衆院議員】起訴事実を否認

旧2信用組合の乱脈融資事件で、背任など4つの罪に問われた元労相の衆院議員山口敏夫被告(55)の初公判が19日、東京地裁(植村立郎裁判長)で開かれ、山口被告は「(ほかの被告と)共謀した覚えはない」として、起訴事実をすべて否認し、検察側と全面的に対決していく姿勢を示した。

一方で山口被告は「社会的、道義的責任を深く感じている。進退をしかるべき時期に明確にしたい」と述「べ、議員辞職の可能性を示唆した。

検察側は冒頭陳述で「犯行は政治生命を維持するため」と指摘。山口被告が秘書らに証拠書類を廃棄させたほか、関係者に同被告は関与していないとの供述を指示し、証拠隠滅工作を繰り返していた、とした。

山口被告は①東京協和、安全両信組から実姉A子被告(60)経営のゴルフ場会社に計約27億円を不正融資させた(背任)②2つの関連財団の定期預金などを借金の担保に流用した(業務上横領)③この横領事件に関して衆院予算委員会で偽証した(議院証言法違反)④とん挫していた米国での大学建設計画の預託金名目で、熊本工業大学から約1億7000万円をだまし取った(詐欺)―として、起訴された。《共同通信》

【梶山静六官房長官】集団的自衛権の憲法解釈「政府見解変更せず」

梶山静六官房長官は19日午前の閣僚懇談会で、日米安保条約再定義に伴う集団的自衛権の憲法解釈について「従来通りの見解で行く。憲法論議も出ているが、橋本龍太郎首相は防衛計画大綱を決定した際の官房長官談話の見解を変更しないと答弁している」と述べ、「集団的自衛権の行使は憲法上許されないとする従来の見解を堅持する方針を重ねて表明。各閣僚に対し、国会答弁などを慎重に行うよう指示した。

臼井日出男防衛庁長官は閣議後の記者会見で、有事法制の検討に際しては法改正や新法を想定していないと言明し、「憲法に従い、その範囲内で考える姿勢を大切にしたい」と述べた。

昨年11月の官房長官談話では「新防衛大綱では、憲法の下にこれまでとってきた防衛の基本方針を堅持する。集団的自衛権行使のように憲法上許されない事項について、従来の政府見解に何ら変更がないことは当然だ」としている。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・梶山静六官房長官は19日午前の記者会見で「閣議で久保亘副総理兼蔵相から、橋本龍太郎首相が帰国する21日まで、不肖梶山静六が臨時代理にと発令がありました」と自らが首相の代理を務めることを紹介。記者団から「衆院の解散は?」と質問されると、自民党幹部から早期解散を求める声が出始めていることを意識したのか「やれるか調べてみたんだが、縛られているみたいだな。閣議を開いて、気に入らない発言をしたのを罷免しようかな」と冗談を言い返してニヤリ。“大物長官”の一言だけに、周囲からは「笑えない」との声も。

○・・・社民党の村山富市党首はこの日の記者会見で、体調を崩し療養していた野坂浩賢副党首が1カ月半ぶりに元気な姿を見せたことについて、「最も信頼している野坂さんが復帰されたが」と聞かれると、「まるでほかの人を信頼できないみたいじゃないか」と即座に反論、党幹部らへの配慮をみせた。しかしその後には「ようやくね…。早く回復し一緒に頑張ってもらいたい。大変良かった」と続けるなど、懸案の新党結成が難航し、党内に路線問題が浮上し始めている中での、親友で知恵袋でもある野坂氏の復帰に、うれしさを隠しきれない様子。《共同通信》

【橋本龍太郎首相】ロシア・エリツィン大統領と会談

橋本竜太郎首相は19日午前(日本時間同日夕)、クレムリンで、ロシアのエリツィン大統領と約1時間にわたり初めて会談、北方領土問題の解決と平和条約の早期締結交渉の継続をうたった東京宣言(平成5年10月)に基づき、両国関係を前進させることを確認した。

その上で、6月のロシア大統領選挙後をにらんだ本格的な領土問題交渉に向け①両国外相級の平和条約交渉を再活性化する②選挙後に外務次官級の第6回平和条約作業部会を再開する−ことで合意した。同作業部会は昨年9月にモスクワで行われたのが最後。

首相が放射性廃棄物の日本海などへの海洋投棄の中止を求めたのに対し、大統領は「もう行わない」と断言。低レベルを含む放射性廃棄物の海洋投棄を禁じたロンドン条約付属書を年内に受諾する考えを初めて表明した。

大統領は今後の日ロ関係について「東京宣言の合意に基づき前進したい」と述べ、東京宣言を再確認。北方四島駐留のロシア軍の規模について「3500人までに減らした」と大統領として初めて兵力削減を認めた。

首相は北方領土問題について「大統領選後に動かすことを確認し、それ以上言うつもりはない」と選挙戦への影響を配慮し、深入りを避けた。同時にエリツィン大統領の改革路線への支持を表明、ロシア側が求めている優良事業への5億ドルの輸銀融資について、改革政策の進展を見ながら前向きに検討することを約束した。

朝鮮半島情勢をめぐって、大統領は「休戦協定が古くなり、破棄の動きが出ている。南北関係の複雑化は望まない。南北両朝鮮に働き掛ける必要がある」と指摘。首相は米韓両国首脳が提案した四者会談について「うまくスタートすることを期待するが、成功の保証はない」と述べた。

首相は、ロシアの世界貿易機関(WTO)とアジア太平洋経済協力会議(APEC)への加盟希望に協力する考えを示した。大統領は首相のロシア公式訪問を招請した。

日ロ首脳会談は、5年10月のエリツィン大統領訪日による細川護熙首相との会談以来、2年半ぶり。現職首相のロシア訪問は11年ぶり。《共同通信》

【原子力安全サミット】開幕

ロシアと先進7カ国(G7)の首脳は19日、クレムリンで開かれた原子力安全サミット初日の夕食会で、レバノン南部での即時停戦を訴える声明を発表、中東和平推進への共同歩調を確認した。

8カ国首脳は同日、サミット本来の議題から離れ、イスラム教シーア派過激組織ヒズボラ掃討作戦を続けるイスラエル軍が国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の施設を砲撃、戦火を逃れていたレバノン人約100人が死亡した事件への対応策を急きょ協議、異例の声明採択を決めた。

8カ国が一致して紛争調停に取り組む姿勢を打ち出したことで、当事者への停戦受け入れ圧力がさらに強まろう。声明は、戦闘の当事者に即時停戦を求める一方、永続的な危機解決の方策として「政治解決」の必要性を力説、明言は避けながらもイスラエルの行動に警告を発した。

その上で、ロシアとG7の共通の立場として、和平プロセス再開に向けた調停努力を「全面的に支持する」と述べている。《共同通信》



4月19日のできごと