平成2596日目
1996/02/16
この日のできごと(何の日)
【菅直人厚相】薬害エイズ事件被害者に謝罪
薬害エイズ問題で菅直人厚相は16日、厚生省内で東京、大阪HIV(エイズウイルス)訴訟の原告である被害者、遺族や支援者ら約200人と会い、「全く貴任のない多くの方々にHIV感染という重い被害写えたことに、厚生省を代表して心からおわびします」と謝罪した。厚相が被害者らに直接、謝罪したのは初めて。
菅厚相は「厚生省が責任を持っていることを皆さんに申し上げる」とHIV感染、被害拡大に国として法的責任があることを認めた。さらに「長い間、きちんとした形で国の責任を取れず、皆さんが悔しい思いに耐えたことをおわびしたい」と述べた上、エイズ治療体制の充実を約束した。
国が法的責任を認めたことで、東京、大阪両地裁で進んでいる和解協議が大きく前進することが予想される。しかし、和解の細目に難色を示している製薬会社もあり、今後は製薬会社の対応が注目される。
被害者との会談で菅厚相は、両地裁が昨年10月に示した和解勧告の所見を引き合いに出し「製薬会社(の責任)はもちろんだが、国はエイズの危険を認識できたし、対策の遅れが感染を拡大させてしまった」と述べた。
さらに「今後、治療体制の充実などは一日も待てない」として、治療を柱とした恒久対策、エイズ治療薬の開発などに全力で取り組む意向を示した。
終了後、記者会見した菅厚相は「これまで『ない』とされていた資料が厚生省内で見つかり、与党が裁判所の所見を厳粛に受け止めると表明するなど全体の流れの中で、座り込みをしている被害者の切実な声にこたえられるなら遅くない時期にこたえたいと思った」と「おわび」を表明した心中を明らかにした。
会談には薬害エイズ問題に取り組んでいる与党エイズ問題検討ワーキングチームの代表ら3人も同席。被害者の代表が菅厚相らにそれぞれの思いを直接伝えた。ある原告は「和解に応じようとしない被告の外資系企業の説得も含め、強い指導力を発揮してほしい」と訴えた。《共同通信》
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【ホンダ・レジェンド】フルモデルチェンジ
【オウム真理教金沢支部】立ち退きで和解
オウム真理教金沢支部道場の入居スペースとして金沢市京町のマンション2階を貸す同市内の企業が、株式会社「オウム」とオウム真理教を相手に部屋の明け渡しなどを求めた訴訟の和解交渉が16日、金沢地裁であった。その結果、オウム側が8月15日までに立ち退くことで和解が成立した。
「オウム」代理人の山元弘弁護士(横浜市)によると、16日の交渉では立ち退き時期を中心に話し合いが進められ、今年末までの入居を主張していたオウム側が最終的に歩み寄った。《北國新聞》
【政界談話室】
○・・・橋本龍太郎首相は16日、首相就以来、公式の席でたばこを吸わなくなったことを記者団に指摘されると「禁煙じゃないんだが、委員会の開会から散会までは吸わないように決めたんだ」と、国会審議中の「断煙」を宣言。「何か願かけでも」との記者団の突っ込みに首相は「特別そういうわけではないけどね」。だが、衆院本会議終了後、首相官邸に戻ると、記者団の前でソファに腰をおろして、独禁法改正問題などを語りながら満足げに一服した。「断煙」しても「喫煙本数は変わっていない」と。政界きっての愛煙家だけに、喫煙での総量規制は程遠い?
○・・・自民党の加藤紘一幹事長はこの日、衆院予算委で開かれた住専問題に関する意見聴取に与党国会議員の代表として出席、大蔵省と銀行業界との関係について「『MOF担』(大蔵省担当の銀行員)のない金融行政にしないといけない」と、両者の密着ぶりを批判した。さらに「MOF担は、将来の頭取候補である各銀行のエリートだ。MOF担が根回しする社会は日本的な問題でもある」とバッサリ。このところ「大蔵省分割」問題や大蔵官僚の各省庁に対する人事支配の是正に取り組む加藤氏の大蔵省批判は過熱の一途。《共同通信》
【伊・スルファロ大統領】議会を解散
ローマからの報道によると、イタリア大統領府は16日、スルファロ大統領が上下両院議長との会談後、両院を解散する大統領令に署名したと発表した。イタリア政府はこれを受け、同日の閣議で総選挙の投票日を4月21日と決定した。
1月11日のディーニ首相の辞任後、スカルファロ大統領は政局の安定を最優先し1カ月以上にわたり各党連立内閣の発足を模索。しかし、新首相に指名されたマッカニコ元制度改革・地方問題担当相が、政治制度改革などで各党の合意をまとめられず組閣に失敗し、現議会は任期を3年残しての解散へと追い込まれた。総選挙までは、ディー二首相が暫定内閣を率いて選挙管理に当たる。
イタリアは今年前半、欧州連合(EU)議長国として、3月29日に予定されているマーストリヒト条約見直しの政府間会議を主催することになっており、解散・総選挙でEU運営への影響も懸念されている。《共同通信》
【北海道・豊浜トンネル崩落事故】男性1人の遺体収容
北海道・積丹半島の豊浜トンネル崩落事故で、北海道警は16日午後、トンネル内の岩の間で見つかったワインレッド色の四輪駆動車を、後部のナンバープレートから積丹町、釣具店店員Aさん(20)のものと断定、同日午後8時50分ごろ、車内で男性1人の遺体を発見、収容した。死因は圧死。道警はAさんとみて、確認を進めた。
自衛隊は車の前方にあるバスを目指して土砂を掘削しているが、付近は岩が重なり合って不安定な上、固い鉄筋コンクリートに阻まれて難航。運転手Bさん(59)と乗客の計19人の安否は依然不明のままだ。
北海道警などのレスキュー隊は、発見された車の運転席の屋根を切断して取り外し、運転席で男性を発見した。男性は灰色の模様入りセーターにズボン姿で、腰から前かがみになっていた。札幌医大の医師が死亡を確認した。
地元消防によると、車は古平側出入り口から約50メートルの土砂の中で見つかった。岩石の直撃でトンネルにあいた穴の下、ほぼ中央線上で進行方向の余市側を向いたままの状態だった。車高が5、60センチにまで押しつぶされており、上にはトンネルの天井とみられる厚さ80センチのアーチ型のコンクリート、さらにその上に大きな岩がのしかかっていたという。
発生から1週間目を迎え、現地対策本部が用意したバスやプレハブ小屋の中で、連日作業状況を見守っていた乗客らの家族の中には、疲労と心労で体調を崩す人も出ており、余市医師会と日赤札幌支部が常駐し、医療援助に当たっている。《共同通信》