平成2337日目

平成7年6月2日(金)

1995/06/02

【ドジャース・野茂英雄投手】メジャー初勝利

米大リーグ、ドジャースの野茂英雄投手(26)は2日、ロサンゼルスのドジャースタジアムでのメッツ戦に登板し、完投目前の九回に降板したものの、2安打、6三振、4四死球の1失点に抑え、日本人投手としては1965年の村上雅則(ジャイアンツ)以来、30年ぶりに大リーグで勝利投手になった。

“トルネード投法”がついに大リーグで1勝を挙げた。ドジャースの野茂投手は7度目の先発となったメッツ戦で制球に気を配りながら好投。二回にボニーヤに先制本塁打を許したが、九回先頭打者に四球を与えてウォーレルと交代するまで追加点与えず2安打、4四死球、6三振と安定感があった。ドジャース打線は二回にプリンスの適時二塁打で同点とし、六回にカロスの本塁打で2−1と勝ち越した。次の登板は7日(日本時間8日)のエクスポズ戦。

速球が走らない。だから、決め球のフォークボールの威力も半減する。三振が思うように奪えない。だが、野茂は調子が悪いなりにも制球に気を配りながら初勝利に向かって投げ続けた。

勝利の喜びからしばらくたった後の記者会見では極めて冷静だった。「初勝利はうれしいの一言です。きょうは結果は出たけれど、調子は悪かった。相手の打者に助けられた感じ」

完投まであと3アウトに迫りながら、九回、先頭打者に四球を与えて降板。マウンドでやや不満そうな表情を見せたが「疲れていなかったとは言えない。最後がああいう形でこの試合を終えたことを反省している」と悔やんだ。

大リーグを代表するスラッガーの四番・ボニーヤに対し、あえて速球で勝負を挑んだ。結果は二回に先制の本塁打を浴び、四球を挟んで六回に痛烈な中前打。「速球を待っていると分かっていても、あえてそこを攻めていく危険をおかさないと投手戦は勝てない」という持論が野茂にはある。打たれた安打はこのボニーヤの2本だけ。強気な攻めが勝利に結び付いた。

奪三振はでナ・リーグのトップの座を保っている。三振を取ることで「お客さんを魅了できる選手になりたい」と言い切る野茂。初勝利で自信を深めたルーキーには、勢いづきそうな雰囲気が漂っていた。《共同通信》

最後の打者が二ゴロに倒れた瞬間、ベンチにいた野茂はコーチ、控えの選手たちから祝福を受け、67歳のラソーダ監督は野茂を抱きかかえてキス。日本からきた「外国人選手」が本当にチームの一員として認められたときでもあった。

ここまでの道は決して平たんではなかった。休日なしの50日を超すキャンプ、オープン戦は「マイナーに落ちたら絶対に上がるチャンスはない」という必死の思いで乗り切った。日本にいるときとは見違えるほど引き締まった体が、その厳しさを物語っている。

それでも野茂に野球を一言で表現するなら、と聞くと「仕事と遊び」と返ってくる。「お客さんに喜んでもらってお金を稼ぐのがプロ。自分も楽しくやって、見ている人を魅了して、夢を与えられるようにならないと」。大リーグの世界は、野茂のプロとしての哲学をまさしく実践している場でもある。

ラソーダ監督は「将来は間違いなくオールスター選手になるだろう。私も誇りに思うし、日本人も彼を誇りに思っていい」とその実力を高く評価する。目標を10勝以上に置く野茂の挑戦は今、幕が開いたばかりである。《共同通信》



【中日・高木守道監督】辞意表明

中日の高木守道監督(53)が2日、成績不振と体調不良を理由に辞意を表明、球団もこれを了承し、徳武定祐ヘッドコーチ(56)が3日の阪神8回戦(甲子園)から監督代行に就くことになった。高木監督は2日の阪神7回戦(甲子園)で最後の指揮を執った。

中山了球団社長が試合前に発表したもので、球団は「休養」としたが、事実上の辞任でそのまま退団するとみられる。《共同通信》

【村山富市首相】50年決議に3つの視点

村山首相は2日午前の閣議後の閣僚懇談会で、与党内調整が難航している戦後50年の国会決議問題について「過去の不幸な時代や平和憲法下での努力の経過を踏まえ、一定のけじめをつけて未来を開く意味で決議がなされなければならない」と述べ、戦後半世紀の節目を念頭に、今国会中の決議実現に重ねて強い決意を表明した。

具体的には①昭和20年以前の日本の行動②その後50年間の戦後の評価③「世界の中の日本」として日本は今後、何をなすべきか−との視点に立ち、決議を取りまとめるべきだとの考え方を明らかにした。

各閣僚からも「決議実現」を求める意見が相次いだことから、五十嵐官房長官は閣僚懇後、自民、社会、さきがけ3党の幹事長・書記長に対し、電話で閣僚懇の模様を伝えるとともに与党内調整を急ぐよう強く要請した。

閣僚懇では首相発言に先立って野中自治相、亀井運輸相、山口総務庁長官らから「3党合意を基本に速やかに取りまとめるべきだ」「ぎりぎりの段階に来ているので、3党首が前面に出るべきだ」などと、与党間調整の進展を求める意見が出た。《共同通信》

【政界談話室】

○…禁煙週間にちなんで2日の閣議は禁煙。村山首相は記者団から感想を求められ「(閣議で)僕の周りの人はもともと吸わんから。僕も吸わんしね」と関係ないといった表情。「ただ、吸う人にとっては(会議中でも)吸いたいと思うだろうね」と付け加え、喫煙派への配慮も。宮下環境庁長官らが提案している禁煙閣議の継続については「吸う人のこともあるから…。禁煙期間中の様子を見て決める」と歯切れの悪い答え。日ごろ「内閣は一体だ」と繰り返す首相だが、武村蔵相、橋本通産相らヘビースモーカーも多いだけに禁煙問題の足並みも乱れそう。

○…新進党の海部党首はこの日、党名公募で「新進党」の名付け親となった主婦、土肥則子さんを国会に迎え「見学は中学の時以来」という土肥さんのエスコート役を務めた。玄関前の噴水池に住み着いたカルガモ一家を前に「植え込みの下に子ガモが動いている」「脅かしてはいけない。自然を大切にしないと」などと熱心に説明。ただ報道陣がカルガモをバックに土肥さんと写真に納まるよう求めると「国会を背景がいいんだろう」と不満なふう。とかく党首としての存在感が薄いと言われる海部氏だけに、カルガモ人気に押されはしないかと警戒の様子。《共同通信》

【新進党・細川護熙元首相】党内結束訴え

新進党の細川元首相は2日午後、福岡市内で講演し、参院選後に政局が流動化するとの見通しを示した上で、「こちらはしばらく野党に徹し、腰を落ち着けて政権奪回の手段を講じる大事な時期にある」と、党の結束を訴えた。

また村山内閣への不信任案提出問題について「自ら議員バッジを外して闘う気概があれば別だが、気勢を上げるだけでは話にならない」と、党内若手の「反執行部」的な動きをけん制。同時に「気兼ねなく、原理主義に徹してものを言う政党になることを恐れるべきではない」と、結党の原点である「改革」に立った党内論争を求めた。

細川氏は、新進党の現状について「お互いに顔を見合わせて遠慮してものを言う状況だ」と寄り合い所帯の弱さも指摘。相次ぐ離党者に対しては「自分の選挙の得失だけで右往左往する日和見主義者」と厳しく非難した。

さらに最近、新進党内の一部にもでてきた衆院の選挙制度見直し論を、「自分の当落だけを考えて言っているが、政治家の見識を問われても仕方がない」と切り捨てるなど、メリハリの利いた細川流直言で、久しぶりに存在感を示した。《共同通信》

【IWC総会】調査捕鯨中止を決議

アイルランドのダブリンで開かれている国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会は最終日の2日午後(日本時間同夜)、大きな焦点となっていた南極海での調査捕鯨をめぐる討議で、「南極海では鯨を殺さない非致死的調査とすべきだ」とする調査捕鯨中止の決議を賛成多数で採択した。

日本は「鯨資源の科学的データを充実するためにも、捕獲調査は不可欠」と主張したが、「昨年の総会で南極海の聖域は可決された。聖域となった以上、調査は不必要」との反捕鯨国の主張は強く、日本側にとっては「最悪のシナリオ」(代表同行筋)となった。

1日の総会でも調査捕鯨中止の決議が採択されたが、重要な科学データ収集の場合に限り、捕鯨を認めることが盛り込まれた。今回の決議は拘束力がないが国際世論の反捕鯨圧力の高まりは必至で、捕鯨国の日本は極めて厳しい立場に追い込まれたことになる。

日本代表団筋は採択後、記者団に対し「調査捕鯨はIWC条約でも認められている。今後も調査捕鯨は継続する」との考えを表明した。

昨年から開始した北西太平洋での調査捕鯨は決議の対象外。決議案は米国、英国、オランダ、ロシアなど16カ国が共同提出。投票結果は、賛成23票、反対票、棄権1票。

調査捕鯨中止に関する決議は過去に2回通っているが、聖域化の下での決議は、「重みが違う。全く無視するわけにいかない」(同)と日本側は受け止めており、調査捕鯨の縮小も検討課題として上りそうだ。

IWC科学委員会に求めていた捕獲頭数100頭上積み要求も、この決議採択で事実上断念するとみられる。《共同通信》

【米政府】対中最恵国待遇を更新

米ホワイトハウスは2日、クリントン大統領が中国に対する最恵国待遇(MFN)を1年間更新したと発表した。中国の人権政策については依然として「容認できない」との立場を強調しながらも「幅広い関与」が中国との関係改善には適切との判断を下したとしている。

マカリー大統領報道官は、声明で「中国の人権面での実績は容認できない。依然として言論の自由や集会・宗教の自由を否定し、受刑者への人道的な扱いを保証していない」と厳しく批判し、米政府が今後も中国に改善を迫ると述べた。しかし、報道官は「MFN更新は中国における米国の利益を促進することになる。中国への幅広い関与が長期的には中国に国際規範を尊重させる機会を与えると確信している」と更新理由を説明した。

対中国MFN更新の基本方針はレーク大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が1月下旬に明らかにしていたが、人権問題を重視する一部議員らの批判かわすため、この日の正式発表では声明の約半分を中国の人権政策を問題視する内容に費やした。

マカリー報道官はこの日の定例会見で、クリストファー国務長官からの勧告に基づいて大統領が更新を決定したと述べた。長官の勧告期限は3日で、現在の対中MFN更新期限は同勘告から1カ月後と決められている。

大統領は昨年、「大幅な人権面での改善」という、従来の更新条件を取り下げて1年間の更新を決めた。《共同通信》

6月2日のできごと