平成2286日目
1995/04/12
この日のできごと(何の日)
【オウム真理教・新実智光容疑者】逮捕
山梨県上九一色村のオウム真理教施設で出家していた埼玉県の元看護婦(29)が昨年7月、脱走に失敗し施設に連れ戻された事件で、警視庁と山梨県警の合同捜査本部は12日、監禁容疑で教団「自治大臣」の最高幹部新実智光容疑者(31)を逮捕した。捜査本部は共犯者数人の逮捕状を取り、所在の確認を急いでいる。
新実容疑者は麻原彰晃教祖の側近。「自治大臣」として教団の警備部門を統括しているほか、他の脱会信者の連れ戻しや強引なお布施集め、反対派への脅迫など、裏の任務を担当する「行動隊」の中核メンバー。捜査本部は同容疑者逮捕をきっかけに、サリン事件とのかかわりの可能性を含め「行動隊」の任務の全容解明を目指しており、オウム真理教に対する強制捜査は新たな局面を迎えた。
新実容疑者は、東京都千代田区のマンションを出たところを任意同行を求められ、逮捕された。
調べでは、新実容疑者は数人の信者と昨年7月下旬、山梨県足和田村で脱会したいと申し出た元看護婦に暴行を加え、上九一色村のオウム真理教施設に連れて行き、サティアン内やコンテナに3カ月間監禁した疑い。
関係者によると、元看護婦は監禁中の昨年9月上旬、一緒に出家した長男(2つ)となかなか会えないことなどから脱走を決意。二度試みたがいずれも失敗し施設に連れ戻された。その際、新実容疑者は罰としてコンテナ内に監禁、手錠をかけ、換気扇を止めて窒息状態にしたという。
関係者の証言では、元看護婦は昨年10月26日、1人で脱走に成功し、地元住民らとともに翌日、出向き子供を返すよう求めた。教団側は同容疑者が対応し「返してほしければ1人で中に入ってこい」などとすごんだとされる。 11月4日、近くの飲食店に場所を移して返還交渉を再開、教団側からはオウム真理教付属医院院長林郁夫容疑者(48)=監禁容疑で逮捕=や青山吉伸弁護士らが出席。約2時間話し合い、長男はようやく戻された。
◇
新実容疑者が平成元年11月に発生した横浜市の坂本堤弁護士一家失跡事件の3カ月前に同弁護士と交渉していたことが分かった。
「坂本弁護士と家族を救う全国弁護士の会」の滝本太郎弁護士によると、坂本弁護士はオウム教信者の親から相談を受け、元年8月3日、静岡県富士宮市の教団総本部で、新実容疑者ら教団側と信者の脱会交渉に当たったという。 坂本弁護士は教団への入信をめぐるトラブルで教団側と交渉を続けていたが、元年11月3日夜、妻、長男とともに一家全員が自宅から失跡した。
自宅室内に同教団のバッジ「プルシャ」が落ちていたことから、事件と同教団の関係が取りざたされていた。《共同通信》
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【日テレ系連続ドラマ・星の金貨】放送開始
【オウム真理教】監禁信者から劇物反応
山梨県上九一色村の「オウム真理教」拠点施設への一斉捜索で、監禁されているところを保護された6人のうち複数の信者の体内から、こん睡や錯乱を引き起こすため通常の医療行為では使用しない劇薬「ペントバルビタール」や毒物の反応が出ていたことが、12日までに警視庁大崎署捜査本部の調べで分かった。
捜査本部は、人体への影響が極めて大きい毒劇物反応が出たことを重視。修行や治療目的ではなく、言うことを聞かない信者の意識を失わせ、監禁する目的で毒劇物を投与したと断定、教団の薬物使用の実態解明を急いでいる。
調べによると、検出されたのは全身麻酔剤「ペントバルビタール」、鎮静剤「ゾビクロン」など神経系に直接作用する薬物や、サリンの解毒剤「アトロピン」(毒物)など7、8種類。信者の血液や尿などの分析で分かった。このほか強い禁断症状が出る精神安定剤を使用した形跡もあったという。
専門家によると「ペントバルビタール」は以前は精神科の治療で睡眠薬として使用されていた。しかし習慣性が強く、服用すると意識が低下、錯乱、けいれんを引き起こし、死に至ることもあるため、現在は動物実験に使用する程度で人間にはほとんど使われていない。またこれらの薬物を一緒に投与することは極めて危険で、治療行為としてはあり得ないという。
救出された信者6人は、3月22日に上九一色村の教団施設「第10サティアン」内でこん睡状態になっているところを家宅捜索中の捜査員が発見。捜査本部は、監視していた教団付属医院医師らを監禁の現行犯で逮捕した。6人のうち1人はすでに退院したが、5人は入院中。
警視庁は、6日に別の監禁容疑で逮捕した付属医院院長で「治療大臣」の林郁夫容疑者(48)についても関与を追及するが、同容疑者は薬物投与について、これまでの調べに対し「医療行為を行っていただけ」などと容疑事実を否定している。《共同通信》
【村山富市首相】オウム事件の徹底捜査を指示
村山首相は12日午後、野中国家公安委員長(自治相)を首相官邸に呼び、地下鉄サリン殺傷事件、警察庁長官銃撃事件、オウム真理教関係の捜査状況について報告を受け「国民は大きな不安を持っている。真相究明に全力を挙げて取り組んでほしい」と重ねて指示した。
これに関連して五十嵐官房長官は同日夕の記者会見で、オウム真理教に対する破壊活動防止法(破防法)適用について「政府としては考えないが、公安調査庁は関心を持って一般的な研究をしている」と述べた。《共同通信》
【村山富市首相】金大中氏と会談
村山首相は12日午前、韓国の金大中アジア・太平洋平和財団理事長と首相官邸で会談、朝鮮半島情勢を中心に意見を交わした。
金氏は日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の国交正常化交渉再開は望ましいとの認識を表明するとともに「交渉が韓国を孤立させるものではなく、南北対話を推進させるものでなければならない」と、韓国の頭越しでの交渉にならないよう強く注文を付けた。首相が「戦後50年が経過しているにもかかわらず、日朝間に国交がないのはおかしい」として、日朝関係改善に理解を求めたのに対し答えた。
金氏は国会の「不戦決議」問題に触れ「日本の国内問題ではあるが、韓国など外国が関心を持っていることを忘れないでほしい」と決議実現を要望。同時に「(第二次大戦で)戦ったのは米国であり、アジアではない」との日本側の一部意見について「それを決めるのはアジア各国であって日本ではない」と不快感を示した。首相は「戦後五十年の今年中に決着すべきものは決着する」と答えた。
金氏はこれに先立つ海部新進党党首との会談でも「過去や今のことについて正しく認識していきたい」と述べ、歴史認識に基づいた国会決議に期待感を表明した。《共同通信》
【政界談話室】
○…村山首相は12日、首相官邸で、韓国民主党の金大中・前共同代表と会談。ほぼ同世代の金氏から流ちょうな日本語で「写真で見るよりお若いですね」と持ち上げられ、照れ笑いを見せながらも「そうですか?先生の方がお若いですよ」と、お互いの「若さ」を褒め合った。さらに日ごろの苦労をねぎらわれた首相は「今年は悪いことばかりで…」とぐちをポロリ。1月の阪神大震災以降、次から次へと降ってわいてくる難題に悪戦苦闘の首相、韓国の野党リーダーとして苦難の道を歩んできた金氏の優しい言葉に、つい本音が出たようだ。
○…社会党の森井国対委員長はこの日、記者会見で、旧東京協和、安全両信用組合の乱脈経営審議に関し「そろそろまとめの時期かなと思っている。十分ではないが、国会の任務としてはこの辺までではないか」。社会党が他の与党などと中西啓介元防衛庁長官らの証人喚問を要求したことを知ってか、知らないでか、早々と“幕引宣言”。おまけに「おかげさまで順調に進んでいる。これは新進党のいい意味での協力が功を奏している」と野党・新進党に“謝意”表明するなど、事を荒立てたくない気持ちばかり。《共同通信》
【金大中氏】政界復帰を否定
来日中の韓国のアジア・太平洋平和財団の金大中理「事長は12日午後、東京都千代田区の日本記者クラブで講演し、今後の政治活動について「1992年12月の大統領選で落選し、政界引退を決めた時と心境は変わらない」と述べ、一部で出ている政界復帰説を否定した。
金大中氏は講演の冒頭で「ここで講演できるのも、落選したおかげ。しかし本当はやはり大統領になりたかった」と出席者を笑わせた後、2年後の大統領選出馬など政界復帰について出席者の質問に「3年前の引退声明と気持ちは同じで、条件も変わっていない」と答えた。
また、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の軽水炉提供問題に触れ「韓国が中心的役割を担うのは資金負担の面からも当然だ」とした上で「北朝鮮のメンツを損なわず、国際政治の舞台で追い込まないような配慮が必要」と話し、交渉が決裂した場合の制裁論議に否定的な立場を示した。《共同通信》
【橋本龍太郎通産相】中国の喬石氏と会談
橋本通産相は12日、東京・赤坂の迎賓館に中国の喬石・全国人民代表大会(全人代)常務委員長を訪ね、会談した。
喬石委員長は「中国では、経済発展に伴って環境面などにいろいろな問題が出ている」と述べ、急速な工業化などによる大気や河川の汚染が深刻化していることを明らかにした。
これに対し橋本通産相は「日本でも1970年代に公害問題が顕在化し、72年には環境庁をつくった。当時は負担と思われた(公害防止のための)投資が現在の負担を軽減した上、新産業の育成にもつながった」と公害防止対策の必要性を強調。さらに「環境対策では税制、補助金、融資なども有効だ」と指摘した。《共同通信》
【Jリーグ・サントリーシリーズ】第8節
Jリーグ・サントリーシリーズ第8節(12日・国立競技場ほか=7試合)首位だった横浜マリノスが延長の末に浦和レッズに2−3で敗れた結果、横浜M、ガンバ大阪、鹿島アントラーズの3チームが6勝2敗で並び、得失点差でG大阪が首位を奪回した。
G大阪はアレイニコフらの活躍で清水エスパルスに3-1で快勝。鹿島もジェフ市原を3-1で破り、4連勝。精彩を欠いていたヴェルディ川崎は4-1で横浜フリューゲルスに勝ち、連敗を6でストップ、最下位からも脱出した。サンフレッチェ広島はハシェックのハットトリックなどで名古屋グランパスに4-0で圧勝。ジュビロ磐田は延長で柏レイソルを1-0で破り、ベルマーレ平塚は2-1でセレッソ大阪を退けた。《共同通信》
【マリナーズ・鈴木誠投手】キャンプに合流
米大リーグ、マリナーズの鈴木誠投手が12日、アリゾナ州ピオリアでのキャンプに合流し、大リーグのマウンドを目指して2年目のスタートを切った。
ビザの関係で、キャンプ参加が1週間近く遅れた。練習は午前10時ごろから約2時間の軽い内容だったが、特に鈴木は運動量が少なかった。だが、体は引き締まっているし、動きも軽い。日本でかなり調整してきたことをうかがわせた。
練習が終わり全選手が引き揚げた後で、クエラー投手コーチを相手に外野でキャッチボールを続けた。約8分間、50球程度だったが、どんどん下がって遠投になり、力のある球を投げた。
「日本では、投げてないことにしていた。本当はすぐにでもブルペンに入ろうかと思ったくらい。メジャーに何年も定着した選手じゃないから、余裕なんてありませんよ」。早い仕上がりが望めそうだ。
昨年は、キャンプで張り切り過ぎたせいか、右肩とひじを痛めた。ピネラ監督は故障の再発を心配する。「彼にとって一番大事なのは、毎日100パーセントの力で投げられる丈夫な体をつくること。調子次第だが、2Aか3Aで投げて、それから大リーグに上がってきてもいいのではないか」と語った。はやる鈴木にブレーキをかけるように、開幕ベンチ入りにこだわらない意向のようだ。《共同通信》
【旧ソ連・セミパラチンスク核実験場】核爆弾、地下に放置
1991年8月に閉鎖されたカザフスタン北部の旧セミパラチンスク核実験場で、爆発実験のため地下に設置されたまま4年近くにわたり旧ソ連の核爆弾1発が放置されていることが12日、明らかになった。
ロシア原子力省高官によると、長い間地下の高い湿度にさらされていたことで、起爆部内の成分が変化、軽い接触でも起爆部が爆発する恐れがある。さらに、処理のための同省の資金も現在底をついており、この爆弾の処理方法を検討している同省の専門家チームは対応に苦慮している。
同高官は、爆発の恐れがあるのは、あくまで起爆部だけで、核爆発の可能性はない、と強調した。だが、旧ソ連の核所有権を引き継いだロシアも、旧実験場を現在管理するカザフスタンも、これまでこの核爆弾に関して有効な措置をとらなかった事実は、旧ソ連崩壊の混乱がもたらした核管理体制のずさんさをあらためて物語っている。
この爆弾は91年夏、高さ400メートルの山のふもとから横穴を掘って設置され、爆一発実験の実施までわずか数日を残すだけとなった。だが、米ソの核実験凍結の動きや、カザフスタンのナザルバエフ大統領が同年8月29日に実験場閉鎖命令を出したことなどから、実験は停止されたままになった。
核爆弾を設置した横穴は、コンクリートの壁で三重に密閉されていた。ロシア原子力省のチームは最近、このうち外側に近い2カ所の壁は爆破して除いた。しかし、軽い衝撃でも化学爆発を誘発する成分が起爆部の内部に生成されている可能性が強く、最も爆弾に近い壁の爆破は危険と判断した。
このため、最後のコンクリート壁をう回して穴を掘り、爆弾に接近する方法が検討されているが、財政難のため作業は事実上の停止状態になっている。《共同通信》