平成2040日目

平成6年8月9日(火)

1994/08/09

【袴田事件】静岡地裁、再審請求を棄却

昭和41年6月、静岡県清水市でみそ会社専務の一家4人が殺害された事件で、死刑が確定した元プロボクサー袴田巌死刑囚(58)=東京拘置所に収監中=が無実を訴えて再審を請求した「袴田事件」で、静岡地裁の鈴木勝利裁判長は9日、「弁護側が提出した逃走経路、着衣、凶器などに対する証拠は、いずれも確定判決に合理的な疑いを抱かせる新たな証拠とは認められない」として請求を棄却する決定をした。

請求から13年。弁護団は自白の信用性などをめぐり、鑑定書を提出して無罪を主張したが、再審は認められなかった。弁護団は東京高裁に即時抗告する。

決定はまず、袴田死刑囚の自白の一部に虚偽があり、自白調書に信用性はないーとする弁護側主張を検討。確定判決は最初に自白調書以外の客観的証拠を検討し、同死刑囚の犯行と認めている、とした上で「自白調書を積極的な証拠としてはおらず、細部まで信用できるともしていない」などと述べ、弁護側主張を退けた。

また、弁護側が「逃走経路の裏木戸は自白通りの方法では通れない」として提出した再現実験結果について決定は「実験の正確さに問題があり、脱出が不可能であることを証明するものではない」と指摘。

次いで、確定判決が犯行着衣5点をみそタンクに隠したと認定した点をめぐり、タンクの模型を製作して「犯行当時のみその量は着衣を隠すには少な過ぎる」とした弁護側の実験結果に対し「みその量を80キロと断定する根拠に乏しく、確定判決の認定を覆すに足る明白な証拠とは言えない」と判断した。

さらに、被害者の傷の一部は凶器とされたくり小刀ではできない、として弁護側が提出した鑑定についても「想定される個人差などを無視しており、受け入れ難い」などと述べ、弁護側提出の鑑定書は、「確定判決を覆す新証拠とは認められない」と結論付けた。《共同通信》



【ボクシング・辰吉丈一郎選手】国内復帰へ

日本ボクシングコミッション(JBC)は9日、網膜剥離を克服した世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級暫定チャンピオン、辰吉丈一郎(大阪帝拳)の国内復帰を特例として認めるコミッショナー裁定を発表した。

裁定には①試合は辰吉本人ならびに、所属ジム関係者の責任で行う②JBCが認める試合は、WBCバンタム級王者、薬師寺保栄(松田)との統一タイトルマッチとし、ノンタイトル戦は認めない。試合の前後に眼科医の診断書をJBCに提出する③診察で異常が認められた場合、辰吉が薬師寺に敗れたときは直ちに引退する―などの条件が盛り込まれている。また辰吉が勝って次に防衛戦を行う場合は、あらためてコミッショナーが裁定を下す。

保坂誠コミッショナーに代わって、東京・水道橋のJBC事務局で記者会見したJBCの小島茂事務局長は、辰吉に限り特例を認めた背景を「辰吉がボクシング界に尽くした功績と、WBCが暫定王者と認定した事実を踏まえた結果」と説明した。しかし、網膜剥離になった選手には、ライセンスを与えないという従来のJBC医事規則は今後も順守していく方針を明らかにし、今回の措置があくまでも特例であることを強調。また、万が一辰吉の目に再び異常が発生した場合、JBCに一切責任を転嫁しないという言質を辰吉側から取っていることも公表した。

薬師寺と辰吉は今秋にもWBCのバンタム級タイトルをかけて対戦する見通しとなった。

派手な黄色のジャケット姿とは対照的に、守口市内のホテルで会見した辰吉は落ち着いて見えた。念願の国内復帰に「みなさんにありがとうございますと言いたい」と切り出した。統一戦で敗れるか、試合前後の診断で異常が認められた場合は再び引退勧告を受けるという条件付きだが、本人は「負けたら引退すると昔から言っているし、勝つためにリングに上がるわけですから」と強気の発言。最後は目の状態を「よく見えますよ。周りの人の頭の中まで見える」と表現し、笑いを誘った。《共同通信》

【第76回全国高校野球選手権大会】第2日

第76回全国高校野球選手権大会第2日は9日、甲子園球場で1回戦4試合が行われ、北海(南北海道)盛岡四(岩手)市川(山梨)近江(滋賀)が2回戦に進んだ。

近江は中盤まで小刻みに得点し、4−2と志学館(千葉)をリード。八回表、安打と犠打で同点とされたが、その裏、捕手から投手への返球がそれる間に三塁走者が生還する幸運な決勝点を拾い、5−4で振り切った。市川はエース樋渡が投打に活躍。一回の先制打に続き、五回には2点適時打を放ち、投げても光(山口)から大会初の2けたとなる10三振を奪い、4−2で完投勝ちした。全国最多の31度の出場を誇る北海は、優勝侯補の宇和島東(愛媛)に6−2で逆転勝ちし、30年ぶりに夏の甲子園で初戦を突破した。春夏を通じて甲子園初出場の盛岡四は、一回に4点を挙げて優位に立ち、終盤にも加点して山陽(広島)を6−3で下した。《共同通信》

【羽田孜前首相】区割り法案成立後、解散を

「改革フォーラムin富山」に出席のため富山市を訪れた羽田新生党党首・前首相は9日、富山空港で記者会見し、衆院の区割り案が11日にも公表される見通しを明らかにした上で「法案成立後、村山内閣に対し、ただちに国会を解散して国民の信を問うよう申し入れる」との姿勢を明らかにした。

北陸新幹線は「善光寺参り(長野)でストップさせず、大阪まで延伸しなければならない」と改めて全線開通に向けた建設促進を強調した。

羽田党首は国会解散を求める理由を「現内閣は国民の信が問われていない。しかも、昨年の総選挙の公約とは大きく転回している」と説明した。

新幹線について「財源問題は難しいが、全線開通が生み出す効果は「大きく、必ず道は開ける。道路と同じく国の負担を増やすことが重要」との認識を示した。

これに先立ち、羽田党首はJR富山駅前と名鉄トヤマホテルで行われた同フォーラムで、地方で初めて公明、日本新党、民社党衆院議員とともに演説し、県内の新生、公明、民社各党代表らと約500人の県民に同じ趣旨を訴えた。《北國新聞》

【政界談話室】

○…村山首相は9日、長崎市内で開かれた原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に参列後、原爆養護ホーム訪問。「皆さん、若くて元気で何よりです」と激励し、「平和」と書いた色紙と、花束を手渡した。入居者からは首相の長いまゆ毛をイメージした“毛むくじゃら”の大きな犬の「縫いぐるみのプレゼント。首相は「似てますか」と愛想を振りまき「心を込めて誠心誠意つくってくれた。ありがたく頂く」と感謝することしきり。要望が強い被爆者援護法制定問題では、積極姿勢を打ち出せなかっただけに、代わりに精いっぱいの慰問?

○…この日、旧連立与党の閣僚経験者による懇談会が国会内で開かれ、与野党激突となる参院愛知選挙区の再選挙(9月11日投票)が話題に。座長を務める加藤六月前農相は終了後、記者団に「与党側、特に自民党が地位利用をする恐れがあり、監視していくことになった」と説明。記者団から「地位利用とは何か」と突っ込まれると「参院の比例代表に立候補した人が、役所などを使って動き出している」と強調した。前回の懇談会で、新生党が比例代表議員を動員して選挙の応援に当たる意向を示したことには素知らぬ顔で「手前勝手」との声も。《共同通信》

【村山富市首相】税制改革「年内に法案化」

村山首相は9日昼、長崎市の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典参列後、同市内のホテルで記者会見し、税制改革について、「9月に(与党内の)作業をしてもらい、年内に法案化する準備を進めてもらう」と述べた。政府はこれまで「年内実現(法案成立)に最大限努力する」としてきたが、「年内法案化」はこの目標を大幅に軌道修正したものだ。

ルワンダ難民救済策に関連して、医療面での人的資献の必要性を指摘した上で、ルワンダの周辺国に対し、医療団の派遣を検討していることを明らかにした。

首相は被爆者援護法制定問題について「原爆2法では不十分なので、充足させたい。(連立)3党の中で真剣な論議をしてほしいと思っているので、推移を見守りたい」と述べ、援護法制定で自民党と合意できない場合は、原爆2法の強化によって対応することもあり得るとの考えを示唆した。同時に首相は「旧連立与党にチームもあり国会全体の合意を得たい」と指摘、野党側とも同問題に関して協議したいとの意向を示した。

内戦状態のルワンダへの直接派遣については国連平和維持活動(PKO)協力法の5原則に抵触する恐れがあるため、難民キャンプのある周辺国への派遣が適当と判断した。政府は現在調査団を派遣しており、帰国を待って正式に決定する意向だ。PKO協力法の「人道的国際救援活動」に基づく派遣は初めてとなる。《共同通信》

【村山富市首相】普賢岳被災者と懇談

長崎市の平和祈念式典に出席した村山首相は9日午後、ヘリコプターで首相就任後初めて雲仙・普賢岳災害が続く長崎県島原市を訪れ、水無川流域の拡幅工事現場を視察した。首相は上空から普賢岳を間近に見て「やれることは全力を挙げなければ」と感想を述べ、工事現場では関係者に「あんまり無理したらいかん。人命が大事だ」と話し掛けた。

首相はこの後、島原市内のホテルで被災者代表と懇談、記者会見。被災者からの要望の強い雲仙岳災害対策基金の増額については「現行の630億円で対応し、足りないなら県知事と相談したい」とだけ述べ、警戒区域設定に伴う損失補償を含む新規立法については「まだまだ現行法で対応できる」とした。

これに先立ち首相は、長崎市内で被爆者団体から被爆者援護法の制定など10項目の陳情を受け、援護法について「連立3党で議論が始まろうとしており、これをみて対応を決めたい」と答えた。その後、被爆老人が入居する同市内の「恵の丘長崎原爆養護ホーム」を訪問。出迎えた約250人のお年寄りを前に「非核3原則を掲げ、忌まわしい戦争をなくすために国内、国外に訴えていきたい」とあいさつ。病室では寝たきりのお年寄りを前に「大変じゃろうけど、皆仲良く頑張って」と励ました。《共同通信》



8月9日のできごと