平成1962日目

平成6年5月23日(月)

1994/05/23

【城南電機・宮路年雄社長】襲われる

23日午前7時40分ごろ、安売りで知られる東京都渋谷区渋谷、「第三城南電機ビル」9階の城南電機社長室に刃物を持った男が押し入り、室内にいた宮路年雄社長(65)の目や両手足を粘着テープなどで縛った上、ポケットの財布から現金約150万円を奪って逃走した。宮路社長は右手の指を切られ1週間の軽いけが。渋谷署は強盗傷害事件として男の行方を追っている。

調べでは、同7時すぎに宮路社長が出社、社長室で一人で帳簿を点検していたところ、いきなり背後から男が襲い掛かったという。事件当時、他の社員は出勤していなかった。男は42、3歳ぐらいで身長約170センチ。約25センチの刃物を持ち、若草色の作業着姿でマスクと手袋をしていたという。現場はJR渋谷駅近くの繁華街。

城南電機は家電製品や化粧品などの安売りや、商品買い付けのため、宮路社長が常時、現金数千万円の入ったアタッシュケースを持ち歩く「現金主義商法」が度々テレビなどで紹介されている。22日夜も、宮路社長の出演する番組が放映されたばかり。

宮路社長の持ち歩く現金が狙われたのは、これまでに4回あり、昨年9月には本社前で2人組の男が現金約2500万円の入ったアタッシェケースを奪い、間もなく通行人に取り押さえられる事件が起きた。

今年3月には、秋田県から現金で買い付けた大量のヤミ米を食糧庁の行政指導を押し切って販売し、数千人が殺到する騒ぎになった。このため食糧庁から販売中止の指導を受け、4月には販売予定だったヤミ米を老人ホームなどに寄付して話題を集めた。《共同通信》



【平成6年度予算案】80日ぶりに審議入り

衆院予算委員会は23日午前、平成6年度予算案に関し3月4日の国会提出以来80日ぶりにようやく総括質疑に入り、羽田政権発足後、初の本格論戦に入った。

羽田首相は予算成立の大幅遅れについて遺憾の意を示すとともに、自民党の深谷隆司氏に対し「内閣不信任案を避けるためとか、衆院小選挙区の区割り法案のため予算が遅れていいとは思っていない」と述べ、政権延命に向けた審議引き延ばしの意図があるとの見方を強く否定した。

会期延長について首相は「会期についてうんぬんすることは国会の信義を損なう」と言及を避け、6月29日までの会期内の予算成立に全力を挙げる考えを強調した。

連立与党の政策合意にある「普遍的安全保障」に関し、深谷氏が「憲法の理念や国際法には存在しない概念だ」とただしたのに対し、首相は「普遍的安全保障は幅広いものを指している。憲法の理念にほぼ合致する。国連憲章による集団的安保より多少広い概念だが、ほぼ同じ意義を持つ」と指摘。軍事的な措置に対しては「憲法で許される中で対応する」とあらためて述べた。しかし深谷氏は「あいまいだ」と納得せず、政府の統一見解を要求した。

首相は政教分離に関連し、靖国神社への参拝問題について「首相の参拝はいろいろな国の方々を傷付ける。私は首相になる前にお参りしている」と述べ、外交的配慮を重視する考えを強調した。

熊谷官房長官は「どの女と寝ようが勝手だ」との小沢新生党代表幹事の女性ベっ視発言について「本人に真意をただし、事実なら適切ではないと伝える」と述べ、結果を報告することを約束した。

首相は公共料金値上げの年内凍結で予想される地方自治体の損失について「国で補てんはできない。経営一の効率化などで努力してほしい」と自治体の自助努力を要請した。《共同通信》

【羽田孜首相】総辞職を拒否

衆院予算委員会は23日午後、平成6年度予算案に関する総括質疑を続行。羽田首相は社会党の村山委員長、久保書記長が予算成立後の自主的内閣総辞職を促したことに関連し「少数与党だが、課せられた課題は避けて通れない。連立各党が合意した問題は誠実に進める。一日一日を誠心誠意務めていく」と述べ、総辞職を拒否した。

社会党の大出俊副委員長は、柿沢外相が4月に出版された談話集の中で、憲法が禁じている集団的自衛権行使の容認論を述べていることを追及。外相が「国会議員としての考え方を発言した」などと答弁したため、審議が再三中断。外相は「その後のソマリア、ユーゴの例から容易ではないと実感している。従来の憲法解釈を踏襲してやっていく」と釈明した。大出氏の外相更迭要求に対し、首相は「外相も憲法を順守し職務に精励してもらえると思う」と退けた。

首相は集団的安全保障と憲法の関係について、憲法が国連憲章に優先するとの見解を示し「憲章の軍事的措置に関する部分は憲法の枠内で対応する」として武力行使に加わらないことをあらためて強調した。しかし、大出氏と自民党の深谷隆司氏はそれぞれ「概念があいまいだ」として政府の統一見解を要求した。

永野前法相辞任の原因となった南京事件に関する認識について、首相は「事実関係はいろいろな議論があるが、非戦闘員の殺害、略奪があったことは否定できない事実だ」と明言した。《共同通信》

【熊谷弘官房長官】総辞職受け入れ発言で釈明

熊谷官房長官は23日夕の記者会見で、羽田内閣の自主的総辞職を求めた久保社会党書記長の発言に対し、熊谷氏自身が「十分受け入れられる」などと述べたことについて釈明した。

熊谷氏は「内閣総辞職を私が判断する立場にない」と前置きした上で「(久保氏の発言については)連立与党全体で判断すべきもので、個人的と断ったものの、官房長官の立場にある者が予断させたことは、今後気をつける」と述べた。《共同通信》

【北海道・横路孝弘知事】4選不出馬を表明

北海道の横路孝弘知事は23日午後、北海道庁で記者団の質問に答え、来春の知事選に4選出馬しない意向を表明した。横路氏自らが次期知事選不出馬を確認したのは初めて。

注目の中央政界復帰については明言を避けたが、今後、衆院解散・総選挙の記事がいつになるかをみらみながら、中央政界復帰と民主リベラル勢力結集を目指した活動を本格化させることになるとみられる。《共同通信》

【政界談話室】

○…羽田首相は23日朝、公邸に外務省の局長らを集め、日米包括経済協議の非公式協議の報告を受けたが、記者団の質問には「微妙な段階だから申し上げるのは控えたい。精力的にやっているよ」と逃げの一手。社会党の村山委員長、久保書記長が総辞職を求めた発言に関しても「見ないこと、聞かないことは言わないことにしている」と、日ごろの能弁さとは打って変わってひたすら貝に。「内容が分からないから」と弁解したが、最近の国会論戦では閣僚が自らの発言を撤回する場面が目立つだけに「口は災いの元」と自戒の表情がありあり。

○…自民党の河野総裁はこの日、仙台市内で講演し、「改新」の結成に関連して「(小沢新生党代表幹事は)権力の独占化を狙って結成をもくろみ、(社会党への)裏切り行為となった」小沢批判を展開。さらに衆参の議席数を例に挙げ、羽田政権の正統性に疑問を呈した。一方、衆院予算委員会では深谷隆司氏が「(首相が)思うことが言えない。何だかお気の毒な気持ちだ」と嫌みたっぷりに二重権力構造批判。くしくも小沢批判で足並みをそろえた。しかし、小沢批判ばかりで、政権奪取の展望がない自民党の苦しい事情を露呈したとの声も。《共同通信》

【独大統領選】保守系候補が当選

6月末で任期満了となるワイツゼッカー大統領の後任を選ぶドイツ連邦大会議は23日、3回目の投票でコール政権の与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の推したロマーン・ヘルツォーク連邦憲法裁判所長官(60)が当選した。

当選者が決まらずに終わった第二回投票後、連立与党の自由民主党が自党候補を降ろし、ヘルツォーク候補に投票することを決めていた。新大統領は7月1日にベルリンで開かれる連邦議会と連邦参議院の合同会議で宣誓、就任する。《共同通信》



5月23日のできごと