平成1865日目

平成6年2月15日(火)

1994/02/15

【悪魔ちゃん問題】父親「騒ぎに飽きた」と審判取り下げ

「悪魔」という名の戸籍記載を東京都昭島市が拒否している問題で、出生届を出した父親が15日、同市の処理に対する不服申し立ての家事審判取り下げ書を東京家裁八王子支部に提出、同支部は受理した。父親は同日、昭島市に対し、現在「名前未定」になっている子供に改めて命名する意思を伝えた。時期については「気持ちの整理がつくまで少し猶予してほしい」としている。市は父親が新たな名前を届け出れば受け付ける方針。

父親は取り下げの理由を「この騒ぎにあきた」と話しているが、審判決着まで子供が名なし状態に置かれるのを避けたとみられる。昭島市は、「悪魔」の名前を戸籍に記載するよう命じた東京家裁八王子支部の決定に対し、東京高裁に即時抗告しているが、父親の考えを最終的に確認した上で、審判終了に同意するかどうか法務省と協議するという。

この問題は、昭島市内の父親が昨年7月に生まれた長男を「悪魔」と命名、市に出生届を出したのが発端。市はいったんは戸籍に記載したが、「社会通念上、不適当」と名前を抹消するとともに、変更を指導したため父親が家裁八王子支部に不服を申し立てた。同支部は1日「(悪魔は)親の命名権の乱用」との判断を示したものの、「出生届を受理したのに、法定の手続きを怠ったまま戸籍の名前を抹消した市の処理は違法」としたため、市が即時抗告した。《共同通信》



【細川護熙首相】内閣改造を表明

細川首相は15日午前、閣議後の閣僚懇談会で内閣改造について「総合的な観点から熟慮し、判断したい」と述べ、正式に改造断行の意向を表明した。これは社会党の山花政治改革担当相が「大事な時期に不安を引き起こすことは良くない」と、現時点での改造に反対を表明したのに対し答えた。首相は「私が最終的に判断させて頂く」との強い姿勢を示した。政権基盤強化のため第三次補正予算成立後の今月末にも断行したい考えで、同日午後に武村官房長官と会談した。

小沢新生党代表幹事が首相方針支持を表明したのに、対し、社会党、新党さきがけは武村官房長官の更迭に反発、閣外協力も辞さない構えで連立与党内の対立が深刻化、政権基盤を揺るがしかねない事態となった。首相は14日に側近を通じて村山社会党委員長に改造の意向を伝え、協力を要請した。さらに委員長自身の入閣を打診したが、同委員長は改造には反対の立場明らかにした。同党の野坂国対委員長は15日の記者会見で、「拙速な改造には反対する」との方針を改めて示した。

「武村外し」に危機感を強める新党さきがけは同日朝の緊急議員総会で、対応を武村長官に一任したが、場合によっては閣僚を引き揚げるべきだとの強硬論も出た。武村長官はこの後の記者会見で「改造は首相の専権事項だが、国民の納得を得られる姿が望ましい」と、首相の手法を間接的に批判した。《共同通信》

細川首相は15日午後、武村官房長官と会談し「政治改革や日米首脳会談を終え、内閣改造を視野に入れられる状況になった」として改造の意向を伝え、重要閣僚として閣内横滑りを打診した。

新党さきがけはこれを官房長官ポストからの更迭として反発、首相が断行するなら閣外協力も辞さずとの構えをとっている。社会党も早期改造に反対の立場を明確にし内閣改造人事は難航している。

首相はなお第3次補正予算成立後の月内改造を視野に入れているが、記者団に同夜「改造をするかしないかを含め白紙」と語り、連立各党の意向をさらに聞いた上で最終判断する。連立内閣の亀裂回避のため改造がずれ込む可能性も出てきた。《共同通信》

【政界談話室】

○…武村官房長官は15日の記者会見で内閣改造問題について質問の集中砲火を浴びた。「新聞報道によると、私(の処遇)が焦点になっているようなのでコメントは控える」と、報じられる「武村氏更迭説」を意識してか慎重な答弁。しかし「細川首相が社会党へ改造の打診をしたことを認めているのに官房長官が知らないのは異常ではないか」と問い詰められると、一瞬考え込んだ後「大臣の任命は総理がやるのだから専権事項だが、政治的マターなので連立政権全体の中で納得できる姿が望ましい」と述べ、精いっぱい「抵抗」する姿がありあり。

○…自民党の森幹事長はこの日午後、党本部で記者会見。武村官房長官から細川首相と河野総裁とのトップ会談の申し込みがあったことを紹介。「デートのお呼びが掛かったが、丁重にお断りした」と説明した森氏は「どこかホテルでお茶を飲みながら一対一で、という話だった。明日から本会議で論戦が始まるし、訪米から帰ってすぐなら別だが、日がたっているようだ」と皮肉たっぷり。内閣改造などをめぐり小沢新生党代表幹事と市川公明党書記長の「一・一ライン」への傾斜が目立つ細川首相とはあまり会いたくない?《共同通信》

【社会党・村山富市委員長】早期改造に反対

社会党の村山委員長は15日午後、国会内で記者会見し、細川首相が早期の内閣改造方針を打ち出したことについて「権力闘争のにおいがする改造はすべきではない」と述べ、反対する立場を明確に示した。

村山氏はその理由として連立内閣は発足後まだ7カ月足らずで第三次補正予算や来年度予算編成、景気対策など政治課題が山積しているなどの点を挙げながら「これらの問題を内閣、連立与党が一体となって処理すべきだ」と強調した。

村山氏は改造のタイミングに関しては「この通常国会を乗り切り、そのときの政治、経済状況を判断すべきだ。国民が改造(の必然性)を納得する理由がなければならない」と指摘した。今回の改造論の中で武村官房長官の去就が焦点になっていることに対しては「内閣を支える番頭としての役割を果たしていると理解している」とし、武村氏更迭の動きをけん制した。村山氏自身の入閣については「特段、話はない。社会党内がそういう(村山氏を内閣に送り込むような)時期ではないし、入閣する意思もない」と強く否定した。《共同通信》

【自民党】トップ会談断る

自民党の森幹事長は15日午後の役員会で、同日午前に武村官房長官から電話で細川首相と河野総裁のトップ会談開催要請があり「タイミングが悪い」として断ったことを明らかにした。森氏によると、武村氏は「日米首脳会談の報告を兼ねて、官邸ではなく場所を変えて(首相と河野氏の)2人だけで会談をやりたい」と要請。これに対して森氏は「内閣改造を含め穏やかでないときではないか。ゴタゴタしているときに、2人が会うのはよろしくない」とこの時期のトップ会談開催に難色を示した。

その一方で森氏はトップ会談開催の場合、武村氏が同席するよう逆提案したが、武村氏は「型にとらわれない差しの会談」に固執したため折り合わなかった。党執行部としては、内閣改造絡みで細川連立政権に亀裂が生じている時期だけに、党内外に憶測が広がるのを懸念したとみられる。「与野党『協調路線』という首相サイドの宣伝に利用されるだけ」(幹部)との判断も働いたようだ。

森氏は同日午後の記者会見で「第三次補正、本予算の論戦を前に党首会談に応じるのは党内の土気に影響する」と指摘、国会運営上の配慮もあったことを強調。「補正予算審議の状況を見ながら、話し合うことがあるかもしれない」と述べ、補正予算成立後のトップ会談には、応じる姿勢を示した。《共同通信》

【米・カンター通商代表】日本は合意に違反

カンター米通商代表は15日、記者会見し、日本政府が携帯電話など移動電話の市場開放に関する日米合意に違反していると断定、1988年包括貿易法1377条(電気通信条項)に基づき制裁手続きに入ると発表した。

具体的には30日以内に数億ドル規模の具体的な制裁対象品目を公表するとしており、最終的に交渉がまとまらなければ、日本からの一部輸入品に高率の関税が課せられることになる。

米側は「今回の措置は包括経済協議とは関係ない」(カンター代表)との立場をとっているものの、首脳会談での交渉決裂を受け、日本から譲歩を引き出すことを狙っていることは間違いなく、細川政権は今後の日米関係を大きく左右しかねない決断を迫られることになった。

カンター代表は会見で「今後数日間、米政府は幾つかの選択肢を検討する」と述べ、1968年包括貿易法スーパー301条(不公正貿易国と行為の特定・制裁)の復活も含め、対日強硬手段を次々に実施に移す可能性を示唆した。《共同通信》



2月15日のできごと