平成1777日目

1993/11/19

この日のできごと(何の日)

【新型エイズ】日本初上陸

輸入血液製剤でエイズウイルス(HIV)に感染させられた血友病患者のうち、さらに新型のHIV2型に重複感染している男性がいることが19日、厚生省・国立予防衛生研究所(予研・山崎修道所長)グループの調査研究で分かった。西アフリカなどで流行している同2型が日本人から検出されたのは初めて。同グループは29日から東京で開かれる日本エイズ学会総会でそのデータを報告する。感染原因は、同じ血液製剤ルートとみられる。

日本では昭和60年以降は加熱処理製剤を使用している。この男性の場合、10年以上も血液製剤を投与されており、HIV2型に感染した時期も不明なことから、加熱処理済みの製剤による可能性も否定できず、処理の方法などについても再点検を迫られそうだ。

HIVには世界の大半の地域で流行している1型と西アフリカに多い2型の二つのタイプがある。予研・エイズ研究センターによると、血液製剤でHIV1型に感染した血友病患者の男性300人について2型についても検査した結果、数人が重複して感染している危険性が高いことが判明。遺伝子レベルでさらにチェックしたところ、これまでに少なくとも1人の感染が確認された。

この男性は、10年以上面液製剤投与による治療を受けているが、現在は発症しておらず健康で、海外への渡航歴などはないという。

日本では、HIVに汚染された米国からの輸入血液を原料とした非加熱凝固因子製剤の使用が原因で、血友病患者約5000人のうち約2000人がHIVに感染。厚生省は遅ればせながら昭和60年から加熱処理製剤に切り替えている。HIV2型は1型に比べ感染力は弱いが、感染から発症に至る潜伏期間が長いのが特徴で、ウイルスの詳しい毒性などは不明という。

日本では昨年12月にエイズ検査目的のため来日した韓国人男性からHIV2型が見つかったケースがあるが、この男性は検査結果も聞かないまま帰国している。《共同通信》

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【東京地裁】夫婦同姓規定は合憲

「結婚前の旧姓が大学で認められず人格権を侵害された」と、国立図書館情報大学(茨城県つくば市)の図書館情報学部教授関口礼子さん(63)=教育社会学=が国と同大の元学長ら3人に、旧姓の使用や約1300万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が19日、東京地裁であった。

福井厚士裁判長は民法の夫婦同姓規定を「夫婦の一体感を高める」などとして合憲判断。その上で「通称としての旧姓使用は公務員の場合、普遍的ではなく、個人の人格的生存に不可欠だとは言えない」と述べ、大学側に裁量権の乱用はなかったとして、旧姓使用の請求を却下、賠償請求も棄却した。

夫婦同姓規定を合憲としたのは地裁レベルで初の判断という。関口さんは控訴する方針。

判決理由で、福井裁判長は通称について「一定期間使用を続ければ、法的保護の対象となり、人格の象徴となる可能性を持つ」と一般的判断を示した。しかし、現時点で公務員に関し、結婚前の旧姓が通称として国民生活に戸籍名ほど根付いてはいない、と指摘し「立法論はともかく関口さんの旧姓使用権が、個人の尊重を規定した憲法13条で保障されているとは断定できない」とした。

夫婦同姓を定めた民法750条をめぐっては「夫婦が同じ氏(姓)を称することは、主観的には夫婦の一体感を高める場合があり、客観的には第三者に対して夫婦である事実を容易に示すことができる」と合憲理由を述べた。

その上で、公務員一人ひとりを特定するためには「戸籍名より優れたものは存在しない」と指摘。しかも大学側が昭和62年に定めた関口さんに対する氏名扱い基準は、研究活動での旧姓使用を認めるなど配慮しており、氏名の取り扱いに大学側の裁量権乱用はなかった、と判断した。

判決によると、関口さんは昭和41年に結婚。戸籍上は夫側の「氏」(姓)に変更したが、研究や日常生活では旧姓を通称として使用。57年、図書館情報大学に就職したときも「関口」の使用を申し入れた。

大学側は職員録など学内文書だけでなく、文部省への研究者登録な学外への文書でも戸籍上の姓を使用、「関口」名での研究費や出張旅費などの申請を指否した。《共同通信》

【大阪市交通局・ニュートラム】運行再開

10月5日、無人運転で自動制御装置が作動せずに暴走して車止めに衝突、217人の重軽傷者を出した新交通システムの大阪市営ニュートラムは19日、事故以来45日ぶりに運行を再開した。

不便な代行バス輸送に悩んでいた利用客約5万人の早期運行再開の願いはかなったが、負傷者のうち21人が今も入院、156人が通院治療中。市交通局の運行管理に過失があったとする大阪府警捜査本部の捜査も依然続いている。

午前5時17分、市交通局幹部が乗り込んだ中ふ頭発住之江公園行きの始発電車は、通勤客ら約80人を乗せ、定刻通りに出発した。安全重視と乗客の不安を一取り除くため、当分の間は全電車の運転席に座ることになった添乗員は、緊張した表情で速度計を見つめていた。

各駅では駅員が改札口で「事故再発防止には万全を期します」と乗客に頭を下げた。同日運行される電車は上下419本。事故再発防止対策として、事故の原因個所とされた中継継電器のリレーをすべて新品に換え、電源が切れるなど異常事態の際には自動的に非常ブレーキがかかるように改善された。《共同通信》

【大相撲九州場所】13日目

大相撲九州場所13日目(19日・福岡国際センター)3連覇を目指す横綱曙はかど番大関の小錦を寄りで退け1敗を堅持し以前トップ。敗れた小錦は8敗目で先場所に続く負け越しとなり、大関の座から転落(規定により来年1月の初場所での関脇降下)が決まった。史上最多7度目のかど番の小錦は両足の故障とけいこ不足がたたって精彩のない相撲が続き、曙の寄りに敗れた。

大関が関脇に転落するのは、昭和44年に2場所連続負け越しによる、との規定に改正された後は今年初場所の霧島以来で、7人目(8度目)となる。《共同通信》

【政治改革法案】細川首相、成立に全力

政府、連立与党は19日午前、政府与党首脳会議と政務幹事会を相次いで開き、政治改革法案の衆院通過を受けて参院審議への対応を協議した。細川首相は首脳会議で、政治改革法案の衆院通過について「昨日も三分くらい進んだという気持ちだと述べたが、参院はこれから大変だ。政治改革法案の成立は政府としても全力で当たる決意なのでよろしくお願いしたい」と協力を要請した。 同首脳会議では、参院での修正協議での与野党六者協議の在り方など折衝窓口問題も含めて連立与党間で調整することを確認した。この後開かれた連立与党の政務幹事会では、22日からの審議入りを目指す方針を確認したが、戸別訪問など参院で修正する項目の折衝窓口問題は参院与党幹部も含めた代表者会議にゆだねることになった。

大内厚相(民社党委員長)は19日、閣議後の記者会見で、政治改革法案の参院での審議について「(社会党議員が政府案に)参院で10人反対して否決になると重大事態になる。社会党は与党として自覚をもってもらわないと困る」と社会党が一致して賛成するよう促した。《共同通信》

【政府税制調査会】抜本改革を答申

政府税制調査会(首相の諮問機関、会長・加藤寛慶応大教授)は19日の総会で、所得税・住民税の大幅減税と消費税の引き上げをセットで実施するよう政府に求めた「今後の税制の在り方についての答申」をまとめ、訪米直前の細川首相に提出した。首相はこれを受け「答申を踏まえて平成六年度税制改正作業の中で考えていきたい」と表明、早急に税制改革に取り掛かる意欲を示した。

減税規模、消費税率、施行時期など具体的内容については今後政府、連立与党で詰めるが、深刻な経済情勢に配慮し、来年1月から15、6兆円規模の大型所得減税に踏み切る可能性が高い。消費税率は、7年3月末に7%程度に引き上げる案が有力だが、景気回復が遅れるとさらに延びる可能性もある。

答申は、高齢化社会に備えるため、大型減税と消費税増税を組み合わせ、勤労世代の税負担を軽減する必要があると強調している。ただ、増減税の実施期日には触れず「一体的に実施されるべきだ」と指摘するにとどめた。

これに関連し、加藤会長は答申後の会見で「(減税先行を)否定するものではない」と語り、減税先行を認める見解を示した。しかし、消費税率の引き上げには消費者団体などが強く反発、連立与党内でも社会党などが難色を示しているため、答申に沿った税制改革が実現するかどうか、政局とも絡み、なお不透明感が残っている。《共同通信》

【政界談話室】

○…細川首相は19日朝、首相官邸で開かれた政府与党首脳会議に司令塔とされる新生党の小沢代表幹事が欠席したことを記者団から聞かれ、「ああ、そういえばそうですね」と軽く受け流してみせた。小沢氏の強硬路線に乗り、政治改革法案の衆院通過にこぎつけたものの、参院での審議は難航必至とあってこの日の小沢氏欠席はいかにも不自然。会議後、記者団が「全メンバーがいなくて十分な話はできたか」と突っ込むと、「そりゃできますよ」と努めて平静さを装っていたが、「小沢路線に乗った」と言われたくない様子がありあり。

○…この日、自民党は国会内で役員会を開き衆院本会議で党議決定を無視した議員の処分について協議。参院側の役員らから「造反者がマスココのミに英雄のように扱われているのは不愉快」「宮澤内閣不信任決議案で造反した8人のうち3人がまたやった」と厳しい処分を求める意見が噴き上がった。河野総裁は「毅然として(処分を)やらなくては」と言ったものの「それぞれの事情もあるので聴取して結論を出す」。剛腕の小沢氏とは対照的にリベラル、ハト派を自認するだけに穏健な姿勢をみせていたが、歯切れの悪さも。《共同通信》

【自民党・森喜朗幹事長】棄権8人から聴取

自民党の森幹事長は19日午後、18日の衆院本会議で行われた政治改革法案採決で、党議に反して棄権した海部元首相、後藤田前副総理兼法相ら8人と個別に会い、棄権した経緯などについて事情を聴いた。この8人について執行部は「修正政府案に賛成票を投じた人より罪が軽い」(幹部)としており、来週中にも「注意処分」などを行うものとみられる。

事情聴取に対し、海部氏は「修正政府案は海部内閣の時に国会提出した法案と似ている。党議に違反したという意識は持っていない」と正当性を強調。後藤田氏は同様な主張をした上で執行部が政府案に賛成した西岡武夫元総務会長らを党紀委員会にかける方針を決めたことについて「穏便な処分にしてほしい」と要請した。

また、政府案に賛成した小此木八郎、浜田靖一の両氏は党本部に森幹事長を訪ね「迷惑を掛けた」と謝罪した上で、「自民党案は否決された時点でなくなったものと考え、政治改革実現のための投票行動をとった」と釈明した。西岡氏は「自分の行動は正しかった」とする意見書を河野総裁に提出した。《共同通信》

【細川護熙首相】中国・江沢民国家主席と会談

米国を訪れている細川首相は19日午後(日本時間20日午前)、シアトル市内で中国の江沢民国家主席と初めて会談した。首相は、中国の核実験に関連して「中国も核軍縮に積極的に取り組んでほしい」と要請、江主席は「中国は一貫して自制的な態度をとっている。少しばかり核を持つのは、核を消滅させるためだ」と強調しながらも「日本の関心は理解できる」と述べた。

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発疑惑について首相は「中国は北朝鮮に影響力を持っており、働き掛けを期待する」と要望。江主席は「朝鮮半島は非核地帯であるべきだ。(北朝鮮に対し)プラス面の影響力を発揮し、マイナス面には発揮しないことを信じてほしい」と述べ、北朝鮮に働き掛ける意向を示した。《共同通信》

【細川護熙首相】米・クリントン大統領と会談

アジア太平洋経済協力会議(APEC)非公式首脳会議出席のため米国を訪れている細川首相は19日昼、市内のホテルでクリントン米大統領と約1時間半会談した。大統領は日本のコメ市場開放問題に言及し「進展が必要だ」と首相の決断を要請した。

首相は「伝統的な言い方で申し訳ないが、日本の主張は従来通りだ。困難な問題と言わざるを得ない」と述べるにとどまり、国内調整に時間がかかることに米側の理解を求めた。

ただ、両首脳は農業問題を含む新多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)を12月25日の期限内に成功させるため「双方が最善の努力を尽くす」との認識で一致した。《共同通信》



11月19日 その日のできごと(何の日)