平成1749日目

平成5年10月22日(金)

1993/10/22

【椿発言】民放連、発言録を提出

日本民間放送連盟(民放連)は22日午後、テレビ朝日の総選挙報道問題の発端となった椿貞良同社前報道局長の民放連第6回放送番組調査会の議事録を郵政省を通じ、衆院政治改革調査特別委員会に提出した。

公表された議事録によると、椿氏は総選挙報道に当たり①自民党政権の存続を阻止して、反自民連立政権を成立させる手助けになるような報道をしよう②公平をタブーとして挑戦しないと駄目だ―などと述べている。 民放連は議事録とともに録音テープを郵政省に提出しており、同委員会に提出された議事録は録音テープと同内容となっている。

議事録は25日の椿氏に対する証人喚問に関連して、同委員会理事会が21日に郵政省を通じて提出を求めていた。 椿氏は「指示ではない」「編成局長には相談していない」としながらも「小沢一郎氏(新生党代表幹事)のけじめを殊更に追及する必要はない。自民党政権の存続を絶対に阻止して、何でも良いから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」などという考えを部内で話しながら、報道をまとめていたと発言。 総選挙後の特集番組について同じ時間帯のNHK番組と比べ、テレビ朝日の視聴率が高かったことを指摘し「私どもの番組は決して公平ではなかったと私は考える」と述べた。

他の出席者から「公正、公平について問題がある」と批判が出たが、椿氏は「55年体制を突き崩さないと駄目なんだというところに視点を置いてものをつくっていったわけだから、共産党に対して公正な時間、機会を与えることはかえってフェアネス(公正さ)はなくなると判断する」などと反論している。

椿貞良・前テレビ朝日報道局長の民放連放送番組調査会での発言要旨は次の通り。

報告部分

一、私としては、細川内閣が「久米(宏)、田原(総一朗)連立政権である」ということは非常にうれしいことであり、喝さいを叫びたいと、そういうふうに感じている。

一、「ニュースステーシーョン」、久米宏に対する風当たりというのは本当にひどい。それは自民党側なんだが、ヒステリックと言うより、もう暴力的なものであったと考えている。

一、昨年、山下厚相の「『ニュースステーション』のスポンサーの商品はボイコットすべきだ」というような発言があって、以来いろんなレベルで社長、報道局長、政経部長、現場の記者に対する風当たり、抗議はもう数えられないくらい多い。

一、民放連会長に同行し陳情に行っても「よく、どんな面(つら)下げてここに来たのか」とか、「お願い、お願いでなんだ」とか、立派な自民党の先生方のおっしゃることというのは全く腹立たしい感じがした。

一、久米宏がニュースステーションに出演した梶山幹事長(当時)に「通産相のときに自動車メーカーを集めてニュースステーションのスポンサーを降りるように求めたという報道があるが本当か」と質問した後、幹事長周辺、自民党関係者の圧力たるやもう大変だった、記者は幹事長室への出入りを全く禁止されたし「選挙期間中の梶山幹事長の出演は辞退せよ」ということが、上から下りてきた。

一、政官界の癒着した「ニュースステーションたたき」なんて言わないがあきれるばかりだった。「今度の選挙は、やっぱり梶山幹事長が率いる自民党を敗北させないといけませんな」と冗談なしで局内で話し合った。編成局長には一申し上げてない。これは放送の公正さを極めて逸脱する行為だ。

一、私どもがすべてのニュースとか選挙放送を通じて、55年体制を絶対突き崩さないと駄目と、まなじりを決して今度の選挙報道に当たったことは確かだ。

一、田原総一朗さんが宮沢さんのインタビューでああいうものを引き出したのは快挙だ。NHKはテープを「欲しい」と言ってこなかった。NHKの政変に関する報道に精彩がなかったのは、このあたりに原因があるのではないか。

一、自民党の守旧派の方々のズレというか、バカさ加減というのはあきれ返るほどうれしかった。梶山幹事長と佐藤総務会長が並んで、ヒソヒソと額を寄せて話しているとか、薄笑いを浮かべている映像を見ていると、時代劇の悪代官と、それを操っている腹黒い商人そのままだ。そういうものを家庭に送り出すことができたし、視聴者はそれをはっきりと見てきたわけだ。

一、梶山さん、佐藤さんという貴重な存在があり、自民党の敵失もあって極めてラッキーだったが、55年体制を突き崩して細川政権を生み出した原動力、主体となった力はテレビであると確信している。久米さんも田原総一朗氏も私どものテレビをベースにして、この期間、全力投球したわけで、その意味で細川政権が“久米・田原連合政権”と言われることについて大きな勲章だと思い、非常に誇りに思っている。

一、自民党の両院議員総会のテレビ中継が今回の政変を左右したというか、大きなエポックだったと思う。発言者が実にストレートに、派閥の長を「お前はC級戦犯だ」とか「A級戦犯だ」とか、遠慮も気兼ねもなくしゃべっていく。それを梶山幹事長が怒りに震えながら怒鳴っている。あれを見ていると「この人たちは時代から取り残されている」という印象を、ほとんどの視聴者が持ったと思う。あれは自民党のお葬式だったわけだ。あの場面が、政治の新しい風を伝えたし、あのテレビが政治の新しい風そのものだったと思う。

一、さきがけや日本新党が選挙の後、一時自民党に傾斜して自民党と連立政権を組もうとした動きをチェックしたのは「サンプロ(サンデープロジェクト)」であり、フジテレビの番組だったと思う。

一、あまり編成局長には、申し上げてないが、6月の終わりの時点から報道は「小沢一郎氏のけじめをことさらに追及する必要はない。今は自民党政権の存続を絶対に阻止して、何でも良いから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」という、指示ではもちろんない、考え方を報道部の政経デスクとか編集担当とも話をして、報道をまとめていた。それが吹いている“政治の風”だと、私は判断し、テレビ朝日の報道はそう判断をした。

一、衆院選挙では、例えば栗本慎一郎氏は事前の準備なしに当選したし、高市早苗氏、簗瀬進氏はかつての政治状況では当選など全くおよびもつかなかったと思う。日本新党さきがけと新生党で社会党を上回る勢力になったのも、テレビの報道の結果だ。

一、自民党の梶山静六氏、佐藤孝行氏に代表される連中のイメージは、料亭、カネ、なれ合い、談合、どう喝だったと思う。どちらがいいか、どちらに軍配を挙げるかは自明ではなかったかと判断している。

一、総選挙では民放の当選速報にミスがあったが、テレビは間違いがあれば当然訂正して行くわけで、恐れる必要はない。“予測のミス”だと判断して、“誤報”とは取らない。

一、あの時点において、私たちは「十分にやった」という自負を持っている。何しろテレビは政治を面白くさせた。

一、政治家が出る番組をますます増やしていきたい。それも生放送でやりたい。「中立な立場で整合性を求め、発言機会の公正さを重視する」というようなNHKの立場はとらない。聞きたい点をいかに掘り下げていくかということそれが視聴者が求めていることだと考える。

一、わたしどもの番組は、決して公平ではなかった。むしろ「公平であることをタブーとして挑戦していかないと駄目だ」と考える。いくら政治家がトリッキー(ずる賢い)であっても、ずっと映像をだますことはできないということが私の信念だ。

一、「テレビのワンシーンは新聞の1万語に匹敵する」というのも私の信念だ。そういう立場でこれからの政治報道をやっていきたい。

意見交換部分

一、公正であるということの考え方が、当然時代とともに動いていると思う。今度の選挙報道に関する限り「55年体制をつき崩さないと駄目だ」というところに視点を置いてつくっていた。

一、共産党に対して、公正な時間、機会を与えることは、かえって公正でなく、なると判断する。

一、「自民党から別れた特定の候補者に肩入れし過ぎる報道をした」というのも、それが一番の焦点であり“時代の風”を受けて出ているから、その連中に対する時間が増えるということは、公正であることだと、考える。

一、報道局長がいろいろ選考してやるわけではない。例えば「小沢氏のけじめについてはそんなにやらなくても構わない。何が何でも55年体制をつき崩すような形の報道に視点を置いていこう」というのも、非常に公正ではないかもしれないが、報道局の現場で話をして、それから絶対的な空気がそう流れているという判断をして、ああいう報道の仕方を取った。

一、民間テレビも、あらゆることに公平であって、あらゆることにいい顔をして報道していく時代ではなくなってきたのではないか。《共同通信》

テレビ朝日は22日夜、民放連が放送番組調査会の議事録を郵政省に提出した問題に関連し「番組は公平につくられており、不公正を疑わせるものはなかったと、現在も申し上げられる」などとする佐藤文範広報局長のコメントを発表した。

それによると、テレビ朝日は議事録の全文を民放連から入手し、再度、椿貞良・前報道局長に確認したところ「今回の総選挙の結果が、当時の流れからみて、私個人としてこんなふうになるのかなと予測していたものと一致したことを、あたかも自分たちの功績であるかのように話してしまった」との証言を得たとした上で「(椿前報道局長が)国会での証人喚問で事実をきちんと証言することを望む」としている。《共同通信》



【セ・リーグ】全日程が終了

プロ野球セ・リーグは22日、公式戦の全日程を終了した。優勝のヤクルトはセでは3球団目の連覇を果たした。2位は中日で、注目された長嶋監督の巨人は3位は確保したものの14年ぶりの負け越しとなった。4位は阪神、5位は横浜で、広島が19年ぶりの最下位に終わった。

個人タイトルの投手部門の最多勝利はこの日、野村(横浜)が17勝目をマーク、山本昌、今中(ともに中日)とタイトルを分け合った。3人が最多勝に並んだのはセでは史上初めて。パ・リーグでは1988年に渡辺久(西武)松浦、西崎(ともに日本ハム)の3人が分け合っている。また、左腕の最多勝利は1974年の松本(中日)以来19年ぶりだった。

山本昌は2.05で最優秀防御率、今中は247個で最多奪三振のタイトルを獲得。最優秀救援には石毛(巨人)が輝いた。打撃部門の本塁打王は江藤(広島)が34本で獲得。首位打者は3割2分9厘のオマリー(阪神)で、昨年に続いて最高出塁率にも輝いた。打点王は広沢克(ヤクルト)ローズ(横浜)が94で並び、セでは54年以来二度目の2人の打点王となった。盗塁王も、この日石井が2盗塁に成功して4個で緒方(巨人)とタイトルを分けた。24盗塁はセの歴代の盗塁王の中で最少の成功数だった。《共同通信》

【皇后陛下】しばらく静養

宮内庁は22日、言葉が出ないなどの体調不良の状態が続いている皇后さまが徳島、香川両県で開かれる第48回国民体育大会への出席を取りやめると発表した。国体には天皇陛下がお一人で出掛けられる。

宮内庁は「(現地での)スケジュールが過密であることなどから、今しばらくご様子を拝見することにした」と、大事を取っての取りやめであると説明した。

宮内庁によると、皇后さまは21日の精密検査で、頭部に異常はなく、治る可能性を聞いて安どした様子を見せられていたという。国体へは当然、お出掛けになると思っていたようで、既に支度も始められていた。しかし、話ができないことから仕事を十分できないのではないかと心配し、陛下に筆談で質問されていたという。

藤森昭一宮内庁長官や侍医らは22日夕から深夜まで赤坂御所内で協議。医師からは「休養によって言葉が回復するとも言えない。言葉が出ない不安はお持ちでも、現在の状況を静かに受け入れて、しっかりしていらっしゃるので、かえって旅行に行くことも気力充実の上でも良いのではないか」との意見も出たという。しかし、しばらく慎重に様子を見た方がよいとの判断になった。この日皇后さまは御所で終日、静養に努められた。《共同通信》

【細川護熙首相】明石康国連事務次長と会談

細川首相は22日午後、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)代表を務めた明石康国連事務次長と首相官邸で約20分会談した。

明石次長はカンボジアでの国連平和維持活動(PKO)の教訓として「各国が活動に使う機材などを保管する集積所と、各国軍人が同じかまの飯を食べPKOの基礎訓練を受ける訓練所を、アジアのいずれかの地域につくる」との構想を示し、日本にも協力を求めた。首相は「分かった」と述べ、事務当局に検討するよう指示した。《共同通信》



10月22日のできごと