平成1585日目

平成5年5月11日(火)

1993/05/11

【人間ピラミッド訴訟】福岡地裁、教師の過失認める

体育祭の練習中、「人間ピラミッド」が崩れ、首の骨が折れて全身まひになったのは教師の指導に過失があったからだとして、当時福岡県立早良高三年だったAさん(20)=福岡市早良区=と両親が、福岡県(奥田八二知事)に約1億4800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、福岡地裁であった。

牧弘二裁判長は教師の生徒指導上の過失を認め、Aさん親子に約1億2930万円を支払うよう同県に命じた。

人間ピラミッドは組み体操の一つとして全国の小、中、高校で広く行われており、判決は児童、生徒の安全保持に対し教師に強く注意を促すものとなった。

Aさんは平成2年9月5日、体育の授業で八段ピラミッドをつくる練習に参加。四段目が組み終わり、さらに段をつくろうとした際、突然ピラミッドが崩れ、最下段中心部にいたAさんの上に他の生徒が落下。Aさんは首の骨が折れ、全身まひの後遺症で身体障害者一級の認定を受けた。

判決理由で牧裁判長は「人間ピラミッドが大規模である時には下段の者に過重な負荷がかかることになり、安全なスポーツであるとは断じ難い」と指摘。

「高さ5メートルに及ぶ八段のピラミッドを体育大会の種目として採用、実施するには指導教諭らが危険性に十分留意すべきだった」とした。その上で牧裁判長は、「危険回避の方法を工夫することなく、五段以上の高段を目指したことにより事故が生じたものだ。指導教諭らに注意義務違反があった」と判断した。《共同通信》



【大相撲夏場所】3日目

大相撲夏場所3日目(11日・両国国技館)横綱曙、大関を狙う関脇若ノ花はともに白星で3連勝と好調な滑り出し。曙は巴富士を豪快に突き出し、若ノ花は会心の相撲で久島海を破った。前日黒星の大関貴ノ花は琴錦を上手投げに下して2勝目。大関小錦は霧島に敗れ3連敗。関脇武蔵丸、新小結貴ノ浪も快勝し、3連勝した。《共同通信》

【武藤嘉文外相】5原則崩れていない

衆院外務委員会は11日、カンボジアでの日本人文民警察官殺傷事件受け、自民党の狩野勝氏、社会党の高沢寅男氏が政府の対応をただした。

武藤外相は「パリ和平協定の枠組みは維持されている」としてPKO協力法の参加5原則は崩れていないとの見解を重ねて表明。総選挙後に日本のPKO要員が引き揚げる可能性について「それぞれの任務があり、全部引き揚げることは考えていない」と述べ、自衛隊の施設部隊などは選挙後も撤退させずに任務を続行させる考えを示した。《共同通信》

【宮沢喜一首相】カンボジアPKO「撤収考える状況にない」

宮沢首相は11日午後の衆院本会議で、緊迫するカンボジア情勢について「全面的に戦闘が再開されているわけではなく、パリ和平協定の基本的枠組みは維持されている」との現状認識を示した上で「参加5原則は満たされており、現段階で中断、撤収を考える状況にはない」と明言し、カンボジアでの国連平和維持活動(PKO)への協力を続行する意向を改めて強調した。《共同通信》

【政界談話室】

○…宮沢首相は11日、女性問題の報告書をまとめた赤松良子・元労働省婦人局長らと懇談、30分余りに及んだ。名うての女性論客たちの話が次第に熱を帯び、衆院本会議までの時間が迫ってきて首相周囲はあせり気味。首相自身は「せっかくの機会だから」と記者団には言ったもののやや慌てて本会議場に駆け込んだ。後で記者団が「(国会などに)女性が進出すれば政治改革論議の質も変わるのでは」と水を向けると、首相は「ほんと(そう)なんです。少ないですよね」と女性パワーに思いをはせていた。

○…公明党の市川書記長はこの日、社会党の赤松書記長との会談で、席に着くなり同席した社会党の村山国対委員長に向かって「微妙なことを言いましたね」と、政治改革法案の処理に関して「選挙制度改革が困難でも腐敗防止関連法案では決着をつけるべきだ」との記者会見をした村山氏をちくり。これに対し村山氏は「根が正直だから」と応じてみせたものの、今度は同僚の佐藤副委員長から「取りようによっては中曽根さん(元首相)と一緒になっちゃう」と言われる始末。政治改革法案一括処理の原則から外れた発言は与野党の別なく守旧派扱い?《共同通信》

【民間政治臨調・亀井正夫会長】連用制をたたき台に

衆院政治改革調査特別委員会は11日午後、小選挙区比例代表連用制の導入を柱とした政治改革緊急提言を公表した政治改革推進協議会(民間政治臨調)の亀井正夫会長らを参考人として招き、国会として初めて連用制について質疑した。

亀井氏は、単純小選挙区制の自民党案と小選挙区比例代表併用制の社会・公明両党案が真っ向から対立する中、「両案を弁証法的に発展させ、中庸の道を取るべきだ」とし、連用制を与野党のたたき台に今国会中に選挙制度改革をはじめとする関連法案を成立させるよう求めた。

また亀井氏は、各党が党議拘束を外し、あくまで特別委の場で委員長を中心に妥協案を練り上げるべきだと強調し、与野党が歩み寄るため「宮沢首相はじめ各党党首の決断と指導力を強く求める」と述べた。

民間政治臨調への質問には自民党の光武顕、赤城徳彦、社会党の早川勝、公明党の井上義久、北側一雄、共産党の東中光雄、民社党の川端達夫の各氏が立った。

民間政治臨調会長代理の内田健三東海大教授は「穏健な多党化を前提に、二つの基軸政党を中心にしたソフトな二大政党制を目指すべきだ」と主張。

民間政治臨調第二委員会委員長の堀江湛慶大教授は連用制について「小選挙区比例代表並立制より比例代表による小選挙区制の補正効果が大きく、多様な民意を反映できるが、小党分立にはなりにくい」などと述べ、調停案としての意義を指摘した。

内田氏は梶山自民党幹事長の「衆参セット改革案」について「土壇場になって言うのは、新しい制度をつくることへの挑戦だ」と厳しく批判した。

民間政治臨調に先立ち午前中は時事通信社の沖野剛解説委員長、共同通信社の梶原武俊論説副委員長の参考人質疑も行われ、与野党の妥協案として沖野氏は並立制を、梶原氏は連用制を挙げた。《共同通信》

【国連安保理】北朝鮮にNPT脱退撤回促す

国連安全保障理事会は11日午後(日本時間12日早朝)、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に核拡散防止条約(NPT)脱退決定の撤回を求めた決議を賛成13、反対ゼロ、棄権2(中国、パキスタン)で採択した。決議採択に最後まで抵抗した中国は、拒否権を行使しなかった。

決議は制裁措置には直接普及せず、外交努力による解決を追求する姿勢を強調している。来月12日の正式脱退を1カ月後に控えた決議採択で、北朝鮮の核問題は新たな局面に入り、米朝高官協議開催など、北朝鮮に対する各国の働き掛けが当面の焦点となる。

決議は北朝鮮に「(脱退決定の)再考」を促したほか、国際原子力機関(IAEA)の理事会決議に言及する形で、寧辺近郊の核施設に対する特別査察受け入れを求めた。「安保理は必要とあれば、さらなる行動を検討する」とし、北朝鮮の対応によっては、将来、経済制裁などより強硬な措置を取る可能性を排除していない。

しかし、決議は前文でIAEAと北朝鮮の最近の接触の動きを「改善の兆候」として歓迎したほか、本文の中で「要求」という言葉を使わず「要請」とするなど、表現としては穏やかなものとなっている。北朝鮮の無用の反発を群けると同時に、拒否権を持つ中国の立場に配慮した結果である。

決議はまた、北朝鮮に対し、NPT締結国としての義務の履行を再確認するよう要請したほか、IAEA事務局長との協議継続と、関係国はじめ国連加盟国による北朝鮮への外交的な働き掛けを求めた。

一方、北朝鮮の朴吉淵・国連大使は採決前に演説し、NPT脱退の決定が「米国の情報操作により一つくり出された核疑惑という特別の状況下で取った、自衛のための主権行為だ」と、改めて主張した。《共同通信》



5月11日のできごと