平成1138日目

1992/02/19

この日のできごと(何の日)

【宮澤喜一首相】「ブキャナン氏は全米で通用しない」

宮澤首相は19日昼、米ニューハンプシャー州での大統領予備選について「ブキャナンさんは全米で通用するわけでなく、そこの州(ニューハンプシャー)だけでしょう。あおこはかなり景気が落ち込んでいるようだから」と大統領選全体の見通しにまで踏み込んでの脱線発言。

内政干渉と受け取られることを懸念した加藤官房長官が、同日夕の記者会見で慌てて釈明する一幕があった。

首相は3日の衆院予算委員会でも米労働者について「倫理観が欠けている」と発言したばかり。“止まらない首相の口”に周辺は頭を抱えている。

首相の発言は午前の衆院予算委が休憩となった後、国会内の廊下を歩きながらの首相番記者とのやりとりで飛び出した。

夕方の記者会見で「首相発言は政府の見解か」と突っ込まれた加藤長官は「それは違う。日本政府が米大統領候補の一人ひとり評価したり、講評したりすることはあり得ない話だから、首相がそれをやることもない」と言明。首相発言の真意を「ニューハンプシャー州だけで全米の結果を見極めるにはまだ早い、との趣旨を言ったものだ」と釈明した。政府首脳は「首相は本当に、ブキャナン氏は全米で通用しないと言ったのかな」と信じられない表情だ。

首相周辺は「やはり立ち話というのはよくない」「名前を出したのはまずかった」などと反省の弁しきり。

18日に首相秘書官が「あまり大統領選には言及しないようにしてください」と進言したというのだが、この始末。米国の情勢には人一倍通じていることを自負している首相だけに米国内の問題にはひとこと余計に論調する傾向があるようだ。《共同通信》

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【自民党・綿貫民輔幹事長】政治改革へ首相決断を

自民党の綿貫幹事長は19日昼、共同通信社主催の「きさらぎ会」で講演し、現行選挙制度の下で政治資金制度の見直しや政治倫理確立に取り組む姿勢を強調、法改正を含む改革を今国会中に実現させたい決意を表明。「宮澤首相にも決断してもらいたい」と首相の積極的な取り組みを求めた。

景気対策では公共事業の前倒しにとどまらず、必要に応じて平成4年度の補正予算を編成して契機の一層のテコ入れをすべきだとの考えを示した。

講演で綿貫氏は、政治改革問題に関し「この国会中に現行(選挙)制度でできるだけの政治資金、政治倫理をやると決意してかからないといけない。与野党で(協議を)やらないといけない。もう逃げて通れない」とし、3月中に自民党政治改革本部の緊急改革案がまとまるのを待って、与野党の話し合いに入りたい考えを明らかにした。《共同通信》

【ソニー】赤字200億円

ソニーは19日、92年3月期(91年4月—92年3月)の業績予想を下方修正し、200億円前後の営業損失が発生する見通しになったと発表した。国内AV(音響・映像)機器市場の不振などが原因。大手電機メーカーでは、先に富士通が業績予想を下方修正し、前期比で経常利益が60%減少すると発表したほか、日本電気も当初予想を下回る見込みで、電機業界の業績悪化が深刻化してきた。

発表によると、92年3月期売り上げは、前期4%増の1兆9500億円となるものの、営業損失は200億円と、87年3月期(決算期変更に伴う5か月の変則決算)以来の赤字転落。一年間を通じた決算では、58年の上場以来初めての赤字となる。

経常損益では、子会社からの配当金収入の増加や税率変更で、230億円の黒字を確保する見通しだが、前期比では80%の大幅減益となる。税引き後利益は同64%減の250億円を見込んでいる。

業績悪化の原因として、同社では、国内のAV機器市場の不振や米国の景気回復の遅れ、円高の進行などを挙げている。来期については、連結ベースで今期4400億円だった設備投資を2800億円に圧縮し、収益の回復を図りたいとしている。

一方、日本電気も国内でのパソコン販売の不振などにより、92年3月期の業績予想は、売り上げが3兆700億円で前期比3%の増収となるものの、経常利益は同29%減の1000億円、当期利益は同14%減の500億円になる見通しだ。《読売新聞》

【八ッ場ダム】26年ぶりに前進

利根川水系最後の首都圏用水がめとして、建設省が群馬県長野原町の吾妻渓谷に建設を計画しているハッ場ダムをめくり、水没する5地区の中で態度表明が遅れていた川原湯地区の住民が19日、建設を前提とした“条件闘争”へと態度を転換する内容の同県、建設省あて要望書を町長に提示した。同省は「次のステップに向けた大きな前進」と歓迎、発表から26年ぶりに計画は動き始めた。

八ッ場ダム水没予定地区のうち、他の4地区はすでに生活再建などについて県との間で調整が進んでいるが、川原湯地区(280世帯)だけは反対派と条件付き鐵成派など4派に分かれ、正式態度を表明していなかった。《読売新聞》



2月19日 その日のできごと(何の日)