平成909日目

平成3年7月5日(金)

1991/07/05

【東京国税局】証券4社に追徴90億円

四大証券による巨額損失補てんを集中調査していた東京国税局は5日、四社が平成2年3月決算期までの2年半の間に大口法人投資家に行った補てん分のうち200億600万円を申告漏れにあたると認定、過少申告加算税を含め、各社総額で約90億円を追徴する更正処分を下した。

申告漏れと認定された補てん金額は野村証券の89億9000万円を筆頭に、山一が48億4600万円、日興が47億1000万円、大和14億6000万円。さらに準大手や中堅の五社前後も同期間の補てん数十億円を申告漏れとされ、同日までに追徴処分を受けた。追徴対象となった損失補てん行為は大蔵省通達に明らかに違反しており、同省は近く四大証券に対し、厳しい行政処分を下す。

四大証券による損失補てん総額はこれまでに約690億円にのぼっており、このうち約489億円は大蔵省証券局の通達に従って各社が自主的に報告し、自己否認(使途先を伏せて法人税を納める特殊な自己申告)の形で税務処理が終わっている。

今回、国税当局の処分を受けた約200億円は、各社が通達に反して証券局に報告せず、「有価証券売買損」などの経費として落とすことで課税を免れていた。しかし、東京国税局は未申告の補てん分について大口取引先に支出した交際費にあたると認定し、追徴に踏み切った。

追徴対象になったのは、昭和62年10月から昨年3月までの補てん分で、ブラックマンデー(世界株価同時暴落=62年10月)や昨年初めからの株、債券急落で多額の損失を被ったり、利回り目標に達しない大口法人投資家に、ワラント債(新株引き受け権付き社債)や国債、株を安く売り、高く買い戻すなどしていた。《読売新聞》

【大手私鉄13社】値上げ申請

関東、関西の大手私鉄13社は5日午前、平均17.0%の値上げを運輸省に申請した。輸送力増強のための設備投資に伴う支出や金利負担の増加で、各社の鉄道部門収支が悪化しているためだ。

関東、関西の大手がそろって値上げ申請をするのは、昭和58年以来、8年ぶり。申請値上げ幅は、昭和55年の申請時(大手14社、平均20.9%)以来、11年ぶりの高い水準となった。

運輸省は、物価に与える影響などを勘案し、値上げ幅を圧縮した上で11月中にも認可する方針だ。

各社の申請の内容は、13社平均で普通運賃が15.9
%、通勤定期が18.5%、通学定期が18.4%といずれも大幅な値上げとなっている。通勤、通学定期の値上げ率が高いことについて申請各社は「混雑緩和投資の恩恵を受けるのは主に通勤、通学客であるため」と説明している。《読売新聞》

【社会党委員長選挙】上田哲氏が出馬表明

社会党の上田哲衆院議員(63)は5日午後、国会内で記者会見し、土井委員長の辞意表明に伴う委員長公選に立候補する意向を表明した。これにより公選は、すでに出馬表明している田辺誠副委員長(69)と上田氏の間で行われる見通しで、投票による決着は、昭和61年以来5年ぶり。

上田氏は会見で、今回の出馬について「暴走する改憲論に対して護憲を貫く闘い」とし、日米安保条約、自衛隊を事実上容認した党改革案を厳しく批判、改革案をまとめた田辺氏との対決姿勢を鮮明にした。

この中で上田氏は「自民党は自衛隊は戦力ではないといっているので、社会党の改革案は、自民党の見解さえ超えている。憲法を無用にすれば、社会党の存在理由はなくなる」と述べた。また上田氏は、公選を通じて論議することが党の再建につながるとの判断から出馬に踏み切ったことを強調した。《読売新聞》

【アフリカ民族会議】新議長にネルソン・マンデラ氏

南アフリ力最大の黒人解放組織「アフリカ民族会議」(ANC)全国大会四日目の5日、新執行部の選挙を行い、国内14支部すべてから指名を受けたネルソン・マンデラ副議長の新議長就任が決まった。

国内での開催としては非合法期(60-90年)をはさみ32年ぶりとなった今大会は、穏健派と強硬派がリーダーシップをかけて激しいつばぜり合いを演じる場となったが、国内では「解放の闘士」としては半ば神格化され、国際的にも並ぶ者のない知名度を誇るマンデラ氏は、新生ANCの顔として超絶した人望を集めた。

一方、後任の副議長については、ウォルター・シスル元書記長が、書記長にはシリル・ラマフォサ全国鉱山労組書記長がそれぞれ選出された。現議長のオリバー・タンボ氏は、新設の国民議長ポストにつくことになった。

今後、マンデラ氏の指導力を核に、「解放運動」から政権担当能力のある政党への成熟の道を模索することになるが、「アパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃」を旗印に結束してきたANCの実態は、共産主義者から経済至上主義者まで、多様なメンバーの集合体であり、明確な方向性を示すまでには曲折が予想される。

マンデラ氏の当面の課題としては、政府や他の団体との交渉をにらみ、いかに勢力を拡大し、主導権を確保するかが挙げられる。

マンデラ氏は、争点のひとつである経済制裁問題について、「制裁解除は時期尚早」との基本線は守りながらも、経済発展を重視する観点から、最近は柔軟な対応を取る意向をにじませている。こうした現実路線を、どこまで具体的措置へと肉付けできるか。マンデラ氏の力量が問われることになる。《読売新聞》

【ソ連・ロシア共和国】最高会議が新連邦条約を承認

ソ連ロシア共和国最高会議は5日、財源問題などに関する一部再策定を条件に新連邦条約案を承認した。この結果、条約加盟に同意している9共和国のうちウクライナを除く8共和国が同案への一応の支持を表明する見通しとなった。

しかしロシアが態度決定を保留した財源問題は条約策定をめぐる一番の難題のうえ、ウクライナ共和国は現条約案への反対を先鋭化させており、新連邦成立までには曲折が予想される。

ロシア共和国最高会議が長時間にわたる討議の末、承認した条約案に関する決議は、ゴルバチョフ大統領の主宰のもとで編成委員会が策定した条約最終案の概念を受け入れたうえで、①税制の共和国税への一本化②国防産業を含む全企業の共和国管理化―などを改めて主張、共和国最高会議はこれらに関する「再策定後の条約案」を改めて審議する権利を持つとして連邦側に態度変更を迫った。

討議では、与党「民主ロシア」の代議員から条約案承認への強い反対が出されたが、エリツィン最高会議議長(次期大統領)が「条約を拒否すれば、国情不安定化につながる」と譲歩を求めたことから、条件付き承認で妥協が成立した。《読売新聞》



7月5日のできごと