平成885日目

平成3年6月11日(火)

1991/06/11

【長崎・雲仙岳】新たな溶岩ドーム

火砕流、土石流への警戒が続く長崎県雲仙・普賢岳(1359メートル)は11日も、連続して火砕流が発生、不気味な活動を続けている。8日の大規模火砕流以来、初めて火口周辺が姿を見せ、自衛隊のヘリコプターによる観察では、東斜面の馬てい形にえぐられた火砕流跡はさらに拡大、火口縁のすぐ下の東斜面に新しい溶岩ドームができていることがわかった。高さ数十メートル、幅50メートル程度とみられる。また南斜面の赤松谷付近の山林が焼け焦げており、これまでの火砕流が南に(支流が)延びたものとみて確認を急いでいる。

ヘリに同乗した九州大理学部の中田節也助手によると「新しい溶岩ドームは、溶岩がどんどん下から突き上げていることを示しており、ドームはまだまだ成長している。新しい火砕流が発生する恐れがあり、今後も警戒が必要だ」と話している。

雲仙岳測候所によると、火砕流は、大惨事になった3日から10日まで、計167回確認されている。また、続発する火砕流と10日の豪雨で、島原市内の3つの河川の川底にたい積していた火山灰が同市沖の有明海に流れ込み、海洋汚染による漁業被害も出始めた。これらの灰が、今後海底に沈殿するか、拡散するか、分からないが、長崎県も実態調査に乗り出すほか、水産庁も11日、職員4人を現地に派遣した。《読売新聞》

【雲仙・普賢岳】島原市街地で火山弾

長崎県の雲仙・普賢岳(1359メートル)で11日午後11時59分から12日午前0時すぎにかけ、規模の大きな火砕流が発生した。市中心部には「ド、ドーン」というものすごい音が響き渡り、最大7センチ程度の火山弾が30秒間にわたって降った。自動車のガラスが割れるなどの被害が出、2人がガラスの破片でケガをした。雲仙岳測候所は、臨時火山情報を出し、厳重な警戒を呼びかけた。

同測候所によると午後11時59分から4分間、火砕流とみられる震動波形を観測した。火山弾は直径4、5センチ、最大7センチ、あった。バラバラという音とともに降り注ぎ、国道251号線では、停車する車が相次いだ。島原署内の駐車場に止めていた警察車両など5台の後部ガラスが割れ、長さ20センチ、幅5センチの穴ができた。

けがをしたのは同市北千本木、主婦A子さん(50)と二女のB子さん(13)。突然の火山弾に、玄関前に止めてあった乗用車内にかけこんだところ、フロントガラスが粉々に割れ、2人とも足を切り軽いけがを負った。

島原署によると、市街地に火山弾が降った範囲は海岸線沿いの国道251号線の島原新港から田町にかけての約1.5キロに及んでいる。火口から北東約10キロへだてたところ。《読売新聞》

【政府】住民移転の立法化も

政府は11日の閣議で、雲仙岳火砕流惨事について海部首相の視察報告を受けるとともに当面は現行制度の枠内での対策に全力を挙げ、それでも足りない部分があれば非難住民の集団移転をやりやすくするための立法措置などについても検討する方針を決めた。

席上、橋本蔵相が特別立法を現時点で検討することに難色を示したのに対し、海部首相は現行法での対策に万全を尽くすことを最優先させた上での立法措置の可能性なども検討する方針を示した。

首相は9日の現地視察について「想像以上の惨状であり、現行制度を最大限運用するが、それでも足りない場合は(新しい)制度面も検討すると関係者を激励した」と報告した。さらに首相は「(避難住民のための)仮設住宅建設や公団住宅の空き家確保を図っているが、地区単位で集団移転しなければならない場合もあるので、考えないといけない」と述べた。《共同通信》

【日銀短観】企業の好況感持続

日本銀行は11日、四半期ごとに企業の経営状況や景気動向を探る「企業短期経済観測調査」(日銀短観、五月調査)の結果を発表した。

それによると、企業の好況感は緩やかに低下しながらも高い水準が続いているほか、設備投資計画や売上高も中東湾岸戦争終結前の2月調査に比べて上方修正されている。このため、日銀は「9月までに景気が落ち込むとは思えない」(調査統計局)と分析、現在五54か月続いている景気拡大期間が、9月に、戦後最長の「いざなぎ景気」(57か月連続)を抜くのは確実との見通しを明らかにした。この結果、日銀では、短観が直ちに公定歩合引き下げに踏み切る材料とはなりにくいとしている。

引き締め気味の金融政策の効果も徐々に表れ始めており、製品需給や人手不足感がやや緩和したのに加え、主要企業・製造業の製品価格判断でも、平成2年2月の調査以来初めて、「下落した」と答えた企業が「上昇した」と答えた企業を2ポイントとわずかながら上回った。これまで物価警戒感を強調してきた日銀も「石油製品などの値下がりを主因に、物価の上昇テンポは足元鈍化している」と説明している。ただ、石油関連を除くと価格の上昇傾向は消えていないことから、先行きの物価については、安心できないとしている。

企業の資金繰りも金融機関の厳しい貸し出し態度を反映して、しだいに緩和感が後退してきており、九月の予測では資金繰りが「苦しくなる」と答えた企業が「楽になる」と答えた企業を上回っている。また、企業が資金を借りる時の金利水準は、昭和63年5月調査以来3年ぶりに、5月は「低下した」が「上昇した」を上回り、さらに9月予測では、「低下する」と答えた企業の割合(%)が「上昇する」を33ポイントも上回り、企業の中に金利低下期待が急速に広がっていることが裏付けられた。《読売新聞》



6月11日のできごと