平成776日目

1991/02/22

この日のできごと(何の日)

【湾岸戦争】イラク外相、ソ連の和平案受け入れを表明

訪ソしたアジズ・イラク外相は22日未明にゴルバチョフ・ソ連大統領と会談、湾岸戦争でソ連が示していた和平案の基本的受諾を表明した。

イラク軍の無条件撤退、停戦日の翌日からの撤退開始など8項目が柱となっており、湾岸戦争は多国籍軍の地上戦突入が秒読みとなっていた中で、停戦−和平に向け大きく急展開する可能性が高まってきた。

イラクのフセイン政権打倒の姿勢を強めていた米政権が今後、イラクの新たな対応をどのように評価するかが、戦争の行方を左右するカギだが、フィッツウオーター米大統領報道官は「重大な懸念がある」としながらも、慎重に検討を加えていると表明。「今後も戦闘を継続する」と述べ、直ちに停戦に応じる考えのないことを明らかにした。《共同通信》

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【米・ブッシュ大統領】イラクに最後通告

ブッシュ米大統領は22日、ホワイトハウスで声明を発表し、湾岸戦争の外交解決に向けたソ連の努力を評価しながらも、イラクのクウェートからの撤退合意については「条件が付きすぎている」として事実上拒否、フセイン・イラク大統領に対し、23日正午までに無条件で撤退を開始するよう要求した。

これはイラクに対する最後通告といえるもので、フセイン大統領が拒否すれば、多国籍軍の地上戦突入が必至の情勢となろう。

ブッシュ大統領は声明の中で、イラクはクウェートで「焦土作戦」を開始したと非難。イラクはモスクワで和平交渉をする一方で、クウェートの油田、石油施設などに火を放っていると述べ、またスカッド・ミサイル攻撃を続けていると批判した。

大統領はイラクに対し、国連安保理諸決議の無条件順守を改めて要求すると強調した。《共同通信》

【湾岸戦争】米政府、和平条件を発表

米政府は22日、湾岸戦争終結のための対イラク和平条件に関する声明を発表した。先に明らかにされたソ連・イラクの基本合意を退けたブッシュ大統領が多国籍軍参加国との協議のうえでまとめたもので、イラクは米東部標準時23日正午(日本時間24日午前2時)までに「大規模な撤退」を開始し、一週間で完了しなければならないとしている。またクウェート正統政府の速やかな回復のため、首都のクウェート市からは開始後48時間以内の撤退を条件付けた。

多国籍軍は撤退開始を見届けるため、23日正午までは地上戦を控えるとしている。ただしイラクが撤退を始めない場合、直ちに地上戦に突入するかどうかは明確にしていない。

声明は他の撤退条件として、サウジアラビア国境沿いやブビヤン、ワルバ両島などに設けた防衛関連工作物および石油施設に対する爆発物の撤去を要求、イラクは軍の部隊配置を含めすべて侵略前の原状に戻さなければならないとしている。

48時間以内の多国籍軍捕虜の釈放、戦死者の遺体返還のほか、クウェート市民と財産に対する破壊行為の停止と拘束者の釈放も挙げた。

同時に、部隊撤退用の輸送機以外のイラク戦闘機の飛行停止を求めるとともに、多国籍軍はイラクがこうした条件に沿って撤退を進めている限りは攻撃しないと約束した。

米政府は発表に先立ち、声明をワシントンのイラク外交官に手渡した。《共同通信》

【海部俊樹首相】イラク撤退「これは条件付き」

海部首相は22日午後、都内で開かれた自動車販売業界団体の会合であいさつ、ソ連とイラクの8項目合意について「(クウェートからの)無条件撤退を掲げているが、(その他の)条件が付いており、これは条件付き撤退だ」と述べ、国連安保理決議の求めた無条件完全撤退とは性格が異なるとの厳しい見方を示した。

さらに首相は、クウェートからのイラク軍撤退に伴い、すべての国連決議が無効になるとの条項を挙げ「イラクが侵略した事実やクウェート正統政府(復活の)件はどうなるのか。疑念が起こり、(評価は)不透明になってきている」と、強い調子で合意内容に疑問を呈した。《共同通信》

【イラク】米提案を拒否

イラク革命評議会は22日夜(日本時間23日早朝)声明を発表し、米国の提案について「これは戦争をエスカレートさせたいという恥ずべき最後通告である」と拒否の姿勢を明確にするとともに、ソ連との間で新たに合意した6項目の条件をあくまで主張することを強調した。

声明は、アジズ・イラク外相が全権を持って交渉に当たっていることを指摘。さらにソ連との間で合意した六項目とは別に、国連安保理の中に中国、ソ連および他の多国籍軍非参加国による中立的な委員会を設立、イラクとクウェートの石油施設に対し損害を与えた責任者を調査することを要求した。《共同通信》

【海部俊樹首相】北朝鮮・金容淳書記と会談

海部首相は22日午前、朝鮮労働党代表団長の金容淳書記と自民党総裁として党本部で約30分、会談した。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の要人と首相の会談は初めて。冒頭、金書紀は日朝国交正常化を強く望むし金日成主席の親書を手渡した。

金書紀は日朝関係について「いま好ましい状況で発展している」との認識を表明。首相は「北朝縣との関係改善を打ち出した竹下首相答弁(89年3月)を継承し、変えない姿勢を貫いてきた」と述べ、日朝関係の正常化がアジア・太平洋地域の平和と安定にとり不可欠との共通認識から、現在両国政府間で進められている国交正常化交渉の推進に全力を挙げていくことで一致した。

金書記は「国の制度が違っても、関係発展の障害にはならない。日朝関係もこの原則に従って進めたい」と対日関係打開に意欲を示した。

これに対し、首相は「今後の交渉では、(戦後四十年の償い問題など)いろいろな問題が出るだろうが、誠意と努力を互いに積み上げ、党と政府が一体となって進めれば必ず道が開かれる」と応じ、両国の関係発展に強い意欲をのぞかせた。

首相は、現在、中断し、ている韓国と北朝鮮の南北首相会談に触れ「朝鮮半島の緊張緩和のため、平和的話し合いが始まることが望ましい」と北朝影側の努力を要請。

金書記は「一方だけの努力だけでは成り立たない。韓国当局者に緊張激化を招く行為について注意喚起をお願いしたい」と要望し、米韓合同演習がネックになっているとの考えを強調した。

会談は北朝鮮側の強い要請を受けて急きょ決まり、韓国側に配慮して首相は「自民党総裁」として行った。《共同通信》

【社会党・土井たか子委員長】都知事選「選挙はこれから」

社会党の土井委員長は22日、統一地方選遊説のため訪れた盛岡市で記者会見し、東京都知事選問題について「選挙はこれから。これからの選挙について(候補擁立の)所はあり得ない」と述べ、東京都本部の努力になお期待していることを明らかにした。

土井氏は21日の党中執委で「万策尽きた」と述べたことについて「党内からの擁立は策が尽きた、という意味だ」と釈明した。

他候補への相乗りや新たな候補擁立に関しては「都知事は都民が選ぶもの。東京のことは都本部がどう考え、どう判断するかを大事にしたい。そういう意思疎通を十分にしないと、都民の意思を尊重することにならない」と述べ、都本部の各機関討議の結果を見守る考えを強調した。

土井氏は湾岸停戦に関するソ連とイラクの合意について「関係国の努力に敬意を表する」と評価の姿勢を表明するとともに、「イラクが受け入れているわけだから、米国など、多国籍軍側も受け入れる努力をしてほしい」と述べた。

土井氏はまた①5カ年計画で復興基金に100億ドル②避難民対策として5億ドル—など、総額 126億ドル(約1兆6000億円)の戦後復興重点策を発表。このうち25億ドルについては90年度第二次補正予算の組み替えを求める考えを明らかにした。《共同通信》

【東京都知事選】鈴木氏が政策発表

自民、民社両党の東京都連の推薦で4月の都知事選に四選出馬する鈴木俊一知事は22日、東京・丸の内の東京会館で知事選に臨む政策を発表した。

発表された政策は①米軍横田基地、多摩弾薬庫の返還を進める②女性副知事の起用③10年間に35万戸の住宅供給―など12項目。

基地返還、女性副知事記用など女性票を集めそうな対立候補の磯村尚徳元NHK特別主幹や、独自候補擁立断念に傾いた社会党を意識した政策が盛り込まれたが、それ以外は昨年策定された都の第三次長期計画に沿った内容となっている。

磯村氏が全面見直しを表明した臨海副都心開発計画について、鈴木知事は「東京フロンティア(世界都市博覧会)開催時期(平成6年4月)の弾力的対応以上のことは考えていない」と述べるにとどまった。《共同通信》

【政界メモ】賛辞にすっかり上機嫌

○…竹下元首相は22日、都内の事務所に来日中の金容淳・朝鮮労働党書記の訪問を受けたが、開口一番「私は竹下先生にお会いできないなら国に帰らないつもりでした」と持ち上げられ思わずにっこり。

さらに首相当時の国会答弁が日朝関係改善の突破口となったと賛辞を贈られると、「金日成主席は長い間最高責任者を務めた。それに比べ私は575日。貫録に差がある」と謙そんはしてみせたもののすっかり上機嫌。「私はいつもにこにこしたまま総理になった男」と冗談を飛ばすほど。慎重な竹下さんにしては珍しく訪朝の要請にすぐOK。

○…この日、参院社会党の議員総会では都知事選候補問題が話題になり、埼玉県選出でベテランの瀬谷英行元参院副議長が「埼玉は東京の隣近所。東京で夫婦げんかをしていると迷惑をする」と苦言を呈した。

しかし混迷の打開策となると「苦し紛れに土井さんを使ってはいけない。相乗りはばくちと同じで外れた場合はすってんてん。当たっても配当は少ない。磯村さんの場合は、90億ドル支援という大きな獲物を捕るえさのイワシのようなもの。公明、民社が食ってわれわれが食う時はしっぽしかない」と出てくるのは繰り言ばかり。迷走社会党そのものとの声も。《共同通信》



2月22日 その日のできごと(何の日)