平成671日目

平成2年11月9日(金)

1990/11/09

【政府】特別恩紋基準を決定

政府は9日午前の閣議で、即位の礼に伴う恩赦として復権令(恩赦政令)と特別恩紋基準を決定した。即位の礼当日の12日公布、施行する。

主な内容は①復権令で公職選挙法違反による公民権(選挙権、被選挙権)停止、道路交通法違反による資格制限などを救済②ただし対象を罰金刑のみを受けた者に限定③復権令に漏れた者を特別恩赦で個別に救済—となっている。対象は復権令が約250万人、特別恩紋は700人程度が見込まれている。

このうち公選法違反者は復権令約4300人、特別恩放約600人の計4900人程度とみられ、全体に占める比率は昭和天皇の大喪恩赦(昨年2月)の0.153%から0.043ポイント上昇し0.196%へ拡大。また復権による実益は公選法違反者に集中するため野党や世論から“政治恩赦”との批判が強まりそうだ。

大喪恩赦は17年ぶりに政令恩赦を行い1017万人が対象だった。確定判決だけでなく捜査、公判中の者について公訴権を消滅させる大赦令を行い、復権令は禁固以上の刑を受けた者も含めた。これに対し今回は対象期間が2年弱と短く、人数が4分の1程度に減少。大赦令は行わず、復権令も罰金刑のみにとどめて全体に圧縮された。

法務省は「従来も大喪の時より即位の礼の際は縮小された前例に従った」としているが、恩赦批判論に配慮したほか「本来はやりたくない」(同省幹部)との検察、法務当局自身の姿勢も反映したとみられる。

今回の恩赦は12日を基準日とし、原則としてその前日までに罰金を完納するか有罪が確定した者に対し行う。しかし来年2月12日まで3カ月の延長措置を設けたため基準日前日までに一審判決などを受けていれば、この間に罰金を払い終えたり控訴を取り下げ刑を確定させれば対象となる。これを狙う“駆け込み恩赦”が多く出るとみられる。

特別恩赦は、有罪判決を失効させる特赦のほか減刑、刑の執行免除、復権の四種について原則として本人の出願により中央更生保護審査会が審査。年齢や刑の執行状況などに加え犯罪の状況、本人の性格や社会的貢献(市区町村議会議員など)まで総合判断して決定される。《共同通信》




【自民党・小沢一郎幹事長】新協力隊、短銃は可

自民党の小沢幹事長は9日未明、自民、公明、民社三党が国際平和協力に関する合意覚書をまとめたのを受けて国会内で記者会見し、三党合意に基づく法案を政府提案として取りまとめる作業を進める考えを明らかにした。

法案提出時期については「できれば次の国会にも、というのが私自身の気持ちだ」と述べ、法案化作業のスピードによっては12月の通常国会を待たずに、その前に臨時国会を召集して提出する可能性を排除しなかった。

また自衛隊と別個につくる「国連の平和維持活動に協力する組織」を「常設」としたい意向を表明。覚書がこの組織の構成員の「武装、非武装」に触れていない点に関しては「国連平和協力隊も原則非武装という言葉を使っていた」点を指摘、今回も護身用の短銃程度は携帯させる余地があるとの認識を示唆した。

組織の構成員については「私の理解では国民各界各層の人だ。前の職業が何だからと(言って)区別してはいけない」と述べ、退職自衛官が含まれることを明らかにした。

社会党が合意に加わらなかったことについては「全く残念だ」としながらも、社会党の国連平和協力機構設置大綱を引き合いに「平和維持活動に協力するのがなぜいけないのか、理解に苦しむところだと批判した。《共同通信》

【即位の礼】元首クラスの来日始まる

即位の礼を3日後に控えた9日午前、外国要人の受け入れ空港となる羽田空港にはルーマニアのイリエスク大統領やスウェーデンのグスタフ国王夫妻が相次いで到着、式典に参加する元首クラスの来日が始まった。イリエスク大統領は特別機での到着第一号。午前9時45分、ボーイング707で到着、石井外務政務次官らの出迎えを受けた。《共同通信》

【臨時国会】事実上閉幕

臨時国会が9日、事実上閉幕した。政府、自民党が成立を目指した国際平和協力法案は廃案になったが、自民、公明、民社3党間で「国際平和協力に関する合意覚書」が交わされ、自衛隊とは別個の国連機関の設置で収拾されたことから、海部首相、小沢幹事血長ら党執行部の責任を公然と追求する声は自民党内に少なく、首相、執行部は現体制で今後の政治日程に臨む。

今後の日程としては代替法案の作成を急ぐほか、11月末の選挙制度改革要綱決定に向けた党内調整、土地税制改革、12月初旬の新多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)閣僚会合に絡んだコメ問題などが予定されている。また12月10日ごろには補正予算の年内成立のため通常国会が召集されることから、予想されていた内閣改造は見送られる方向だ。《共同通信》

【政界メモ】政府のミスを全面自供?

〇…坂本官房長官は9日の記者会見で、自公民三党合意に基づく新たな国際協力の法案」作成に向け「これまでの教訓を生かし、立派な法案にしたい」とまずはありきたりの決意表明。ところが続いて「今度だけは絶対にミスのないように十分な、周到なものに練り上げていくことが大事だ」と、廃案になった国連平和協力法案には何らかのミスがあったことを提案者として事実上認める発言。

さらに「しっかり準備して、しっかりした法案をまとめなければ」と“しっかり”を二度も。廃案確定で政府は、自らのおそまつぶりをすっかり“全面自供”?

◯…社会党の山口書記長はこの日の記者会見でイラクの邦人人質問題に言及。中曽根元首相と自民党訪問団が74人の在留邦人、人質を連れて帰ってきたことに「努力は多とする」と珍しく自民党の動きを評価。ただし、先の社会党のイラク訪問団の折衝も4人の在留邦人の出国につながったと説明、「社会党もやってます」とばかりにしっかりPR。

中曽根氏らの成果にも国連平和協力法案の廃案が影響しているとして「わが党が中心に厳しい対決をして廃案の見通しがついたことが、解放の大きな力になったのは間違いない」と自慢そうに強調。PRもここまで言うと我田引水か。《共同通信》

【日米野球第6戦】メジャー、20年ぶり負け越し

日米野球第6戦、全米—全日本は9日、千葉マリンスタジアムに2万3000人の観衆を集めて行われ、6-6で九回規定により引き分けた。

対戦成績が全日本の4勝1敗1分けとなり、2試合を残して全米の負け越しが決定した。来日した大リーグチームが負け越したのは1970年のサンフランシスコ・ジャイアンツ(3勝6敗)以来二度目のことで、大リーグ選抜としては初めての結果となった。

第7戦は10日午後1時から東京ドームで行われ、全日本は柴田(日本ハム)全米はフィンリー(エンゼルス)が先発する。《共同通信》

【ドイツ・ソ連】善隣条約に調印

外国国家元首として統一後のドイツを初めて公式訪問したソ連のゴルバチョフ大統領は9日夕(日本時間10日未明)、ドイツとソ連の善隣協力条約などに調印した。

大統領はこの後、コール・ドイツ首相とともに共同記者会見を行い、ペルシャ湾岸危機について「国連はさらに必要な決定をし、それは達成されるだろう」と述べ、国連による新たな措置によって湾岸危機が解決できるとの見方を示した。

対イラク軍事力行使については「この場で作戦の話をする必要はない」と述べ、直接の言及を避けたが、今後、国連決議の枠内での軍事力行使を容認する構えを示唆したと受け取られている。また善隣協力条約については、「相互不可侵」の条項が含まれてはいるものの、戦前ナチス・ドイツと結んだ独ソ不可侵条約とは性格が異なると強調した。

ゴルバチョフ大統領は湾岸危機について「国連安保理の枠内で団結を維持する必要がある」と強調、「米ソを分裂させようとしても無理だ」と述べ、米ソの協調が揺るがないことを再確認した。

コール首相との会談でも湾岸危機に多くの時間が割かれたとし「われわれの新しい政策が試されている」との認識でコール首相と一致したと述べた。そのうえで「われわれは歴史上初めて共同で危機に対処した。国連の勝利は続いている」と指摘した。

今後の措置について「国連は計画し、分析し、今後何をすべきかを決定するだろう。そしてそれは達成されるだろう」と述べ、国連安保理の決定をソ連が実行していくことを確認した。コール首相も「国連安保理が国際法の実行にさらに努力を続けることで一致した」と述べた。《共同通信》




11月9日のできごと