1990 平成2年10月9日(火)のできごと(何の日)

平成640日目

平成2年10月9日(火)

1990/10/09

【リクルート事件】NTT前会長に有罪判決

リクルート裁判でNTT法違反(収賄)の罪に問われたNTT前会長S被告(80)の判決公判が9日午前、東京地裁で開かれた。

豊田健裁判長はS被告への未公開株譲渡をわいろと認定した上で「NTTの公共的使命を傷つけただけでなく、金銭感覚がまひした実態が明らかになり国民に不信感を抱かせた。犯した罪の重大さに対する認識が必ずしも十分とはいえず、刑事責任は重い。しかし、長年の実業界での功績や80歳の高齢であることから酌むべき事情もある」として、懲役2年、執行猶予3年、追徴金2270万円(求刑・懲役2年、追徴金2270万円)を言い渡した。

一連のリクルート裁判中、元労働省課長K(57)有罪確定=に次ぐ判決で、未公開株譲渡をめぐっては初判決。S被告の有罪判決は他ルートの審理に影響を与えるのは必至で、NTT元取締役B被告(56)らNTT関係被告をはじめ、政界ルートで一括審理されている事件の主役、リ社前会長E被告(54)らは一層厳しい立場に立たされることになった。

争点を絞ったため初公判以来約11カ月のスピード判決。S被告は控訴しない方針。

判決で豊田裁判長はわいろの認識を否定したS被告やE被告の法廷での供述・証言を「不自然で信用できない」と退け、むしろ両被告の捜査段階での自白調書が「信用できる」と判断。

リ社の回線リセール事業やRCS事業に関し、S被告の職務行為に違法、不当とすべき点はないとしながらも「E被告はS被告がリ社事業推進に利益をもたらす種々の行為をしたことを知っていた上、NTT側に緊急措置を求める必要がある場合は、直接面談してS被告が影響力を働かせることを求めていた」とし「株譲渡はリ社事業への支援などへの謝礼だった」と断定した。

さらに株の譲り受けが事実上現金贈与に近い形で行われたことから「S被告はE被告の意図を容易に推察でき、わいろ性を十分認識していた」と述べた。《共同通信》




【福井女子中学生殺人事件】地検、高裁に控訴

福井地検は9日、福井市の市営住宅団地で昭和61年3月に起きた女子中学生殺人事件で、殺人罪などに問われたM被告(25)を無罪とした福井地裁判決は「独断と偏見から事実認定を誤っている」として、名古屋高裁金沢支部に控訴した。《福井新聞》

【北朝鮮・金日成主席】社会党訪朝団と会談

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の朝鮮労働党創建45周年記念式典に出席する社会党の土井委員長ら同党代表団は9日午前、日航特別機で成田を出発、直行した平壌に同日午前9時半到着した。同便には10日に訪朝する自民党代表団(団長・小沢幹事長)に先発する野田毅副幹事長らも同乗した。

到着した土井氏ら社会党代表団は午前10時40分から約1時間、金日成主席と錦繍山議事堂で会談した。席上、金主席は、先の金丸元副総理、田辺社会党副委員長を団長とする自民、社会両党代表団と朝鮮労働党の三共同宣言を評価し、日朝国交正常化への期待を表明した。

また第18富士山丸の船員釈放問題については「今度はうまくいくでしょう」と自社両党代表団への引き渡しを示唆した。土井氏と金主席との会談は1987年9月以来3年ぶりとなる。

この後、社会党代表団は金主席らの歓迎昼食会に臨んだ。午後は2.8文化会館で開かれる朝鮮労働党創建45周年記念中央慶祝報告大会に出席。同大会では、金主席が演説の予定。夜は平壌市の青年、学生によるたいまつ行進を見学する。

平壌の順安空港には女性の金福信政務院副総理を先頭に、金容淳書記ら高官が出迎えた。

快晴、気温6度の肌寒い風が吹く中、タラップを降りた土井委員長ら一行は、出迎えの人々と固い握手。やや離れたところに、チマ、チョゴリ姿の女性を中心に約2000人の市民がL字型に整列し、手に持ったピンク色の造花を振りながら歓迎、団結と連呼して迎えた。

土井氏らは市民の前をゆっくり歩き、時折手を振りながら笑顔でこたえていた。金丸元副総理、田辺社会党副委員長を団長とする先の自民、社会両党代表団の時には見られなかった華やかな歓迎ぶりに、一行は驚いた様子だった。《共同通信》


朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金日成主席は9日、平壌で訪朝した土井委員長ら社会党代表団との会談で、南北首相会談に言及し「破たんなく、うまく運営し、統一に結びつけたい」と述べ、積極的に対応していく姿勢を示した。

また金主席は、16日から平壌で開かれる第二回南北首相会談では北朝鮮側が要求している①米韓合同軍事演習「チームスピリット」の暫定的中止②国連への同時加盟反対③訪朝して投獄された林秀卿さんらの釈放―のうちのいずれかが解決されるだろうとの見通しを明らかにした。

金主席はまず南北統一について「一方が他の一つを統合するのではなく、一つの国、一つの民族、二つの制度、二つの自治政府でやろうと言っている」と述べ、ドイツ式の統一に反対し、高麗民主連邦共和制による統一方式を強!した。

金主席は、先月初めソウルで開かれた第一回首相会談に出席した北朝鮮の延亨黙首相が韓国の盧泰愚大統領と会談した際に、大統領が「金主席の言われている(統一三大原則の)自主、平和、大同団結を支持する旨を金主席にぜひ伝えてほしい」と述べたとを明らかにし「大統領この三大原則を支持、承認していることから連邦共和制の統一案に賛成してくれていることになるのではないか」との見方を示した。

しかし、金主席は南北統一問題が「一日や二日で解決するものではない」として、短期間での解決が困難との考えを表明した。

また第二回首相会談のため今月16日から19日の間平壌を訪れる韓国の姜英勲首相と会談することを明らかにし、この席では林秀卿さんらの釈放問題についてただしたいと述べた。

このほか、韓国の与党、民自党が「朝鮮は一つ」との共同宣言を発表した自民、社会両党と朝鮮労働党のような考えになれば、統一は早く達成できる」と語った。

【第18富士山丸事件】乗組員、11日午前に引き渡し

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)滞在中の社会党代表団と、自民党代表団で先発した野田毅氏らは9日夜、朝鮮労働党の金養建国際部副部長との間で、第18富士山丸乗組員の釈放問題について詰めの協議をした。その結果、紅粉勇船長ら2人を11日朝、自民、社会両党に引き渡すことが確定した。《共同通信》

【海部俊樹首相】自民党最高顧問らと意見交換

中東訪問から9日午後帰国した海部首相は同日夕、首相官邸に自民党最高顧問、首相経験者を招き、米国、中東歴訪について報告するとともに、国連平和協力法はじめ中東問題への対応について意見交換した。

首相は協力法案について「憲法の枠内との原則をわきまえて法制化している」と説明、法制化にはなお若干時間がかかることを示唆した。

日本の中東貢献策について首相が米国の理解が深まってきていると述べたのに対し、福田元首相は「戦後日本がとってきた位置が世界の大きな流れになっている。憲法を順守し対話に徹するようにしてほしい」と要望。中曽根元首相も、日本は①国連安保理の決議の線に沿っていくべきだ②武力衝突を避け平和的解決を主張すべきだ—と強調。臨時国会の所信表明演説、代表質問で「世界に向かって日本がどういう信念を持って行動していくか鮮明にしていくべきだ」と述べた。《共同通信》

【政界メモ】やぶつついたらライオン

○…9日午後、米国、中東歴訪の旅から帰国した海部首相は、皇居での帰国報告の後、真っすぐに仕事場の首相官邸へ。中東焼けで浅黒い顔の首相は疲れた様子も見せず、記者団に「12日ぶりだね。4万1700キロ。一番長い旅だった、と(特別機の)機長も言っていたよ」と誇らしげ。

記者団が国連平和協力法案などの課題山積に水を向けると「いつもそうだ。世界は動いていますから。課題はたくさんありますよ」と努めて平静さを装っていたが、臨時国会召集を前に所信表明演説の仕上げや平和協力法をめぐる政府、自民党内調整など休む暇なし。

○…社会党は、甲府市で開催中の政策研究集会にエコノミストの水谷研治氏(東海銀行常務)を招いた。「ジャパンマネーと日本経済」について講演した水谷氏は「消費税をこのままにしては子や孫に借金を残す。皆さんこの集会で税率を15%に引き上げるよう決議しては」とショッキングな提言。

消費税廃止を叫ぶ党関係者が「やぶをつついたら蛇どころか、ライオンが出た」と目を白黒させ、集会の責任者である伊藤政審会長は「先程過激な話があったが、詳しい内容まで決めて講演をセットしたわけではないので…」と弁明しきり。《共同通信》




10月9日のできごと

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