平成636日目

1990/10/05

この日のできごと(何の日)

【大阪市西成区】1000人が暴徒化

西成署刑事の収賄事件が引き金になった大阪市西成区のあいりん地区での暴動は、4日深夜から5日未明にかけ、労働者らが同署や機動隊に投石するばかりか、地区外の駅舎に放火、食料品店などからも商品を略奪する最悪の事態に発展した。

一時鎮静化の様子も見せたが、5日朝になっても同地区周辺の幹線道路を労働者らが占拠し続け、付近の交通は大混乱、一般の市民生活まで巻き込んだ。

約1000人に上る労働者らは5日午前0時ごろには、同署周辺の食料品店のシャッターをこじ開け、商品を略奪したうえ火を投げ込むなど次第に暴徒化した。またあいりん地区外の国道23号に暴動の舞台を移し、機動隊と衝突を繰り返した。その際、阪堺電軌南霞町駅(無人)に放火。消火に当たった消防士らにも投石したため、消火作業に手間取り、同駅は約700平方メートルのうち約500平方メートルを焼いた。

労働者らは、国道23号沿いに駐車していたトラックや乗用車数台に次々と火を放ちながら西へ移動。この間、同区北花園丁目のマンション一階にある終夜スーパーにもこん棒などを持って乱入、階上のマンション住人らがこわごわと下をのぞいていた。

さらに、同日午前六時前には「あいりんセンター」前に集まった労働者らが、センター向かいのJR環状線新今宮駅近くでトラックに放火、その煙が一時駅構内に充満する騒ぎにもなった。周辺を占拠する労働者らは路線バスにも投石、バスが慌ててUターンする幕もあった。

午前8時すぎ、ワゴン車で西成署に乗りつけた中年男性がマイクで警察批判を始めると、約300人以上の労働者らが再び集まり、同署へ向け投石を始めた。

同日朝までの逮捕者は計43人に上り、そのうち半数近くは同地区以外の会社員や専門学校生という。4日から5日未明にかけてのけが人は警官を含め47人。

一方、この暴動で、大阪府警は騒ぎが付近の電鉄駅舎の放火事件にまでエスカレートしたことを重視、5日からは、1500人体制を維持しながら機動隊による集団制圧に加え、投石などをする者については徹底的に逮捕する方針を固めた。

これまでの暴動で、公務執行妨害などで捕まったのは5日朝までに43人に上ったが、同府警によると、今回の騒ぎでは、あいりん地区外から来た暴走族風の少年らが投石を繰り返し、結果的に群衆を“扇動”しているのが特徴。

府警警備部は、これら少年らの拘束が暴動鎮静化に結び付くとみて、重装備の機動隊より機動力で勝る私服部隊を投入し、投石者などを器物損壊容疑などで取り締まっていくことを決めた。《共同通信》

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【水俣病訴訟】チッソ、和解を受諾

水俣病の被告企業「チッソ」(本社東京、野木貞雄社長)は5日、東京地裁が示した和解勧告の受け入れを決め、和解交渉の手続きに入ることを同地裁に伝えた。熊本地裁の和解勧告についても近く、同様の受け入れを伝えるとの方針を明らかにした。

和解内容については同じ被告の国や熊本県の判断に従う方針で今後は和解勧告の受け入れを拒否している国の対応が注目される。《共同通信》

【プロ野球・オリックス】新愛称は「ブルーウェーブ」

オリックスは5日、神戸市内のホテルで今季限りの「ブレーブス」に代わる新愛称を「ブルーウェーブ(青い波)」に決定したと発表した。

来季から神戸市のグリーンスタジアム神戸を本拠地球場とする同球団では、8月13日の専用球場移転発表の際に愛称の変更も併せて発表。8月末までに8万6934通集まった一般公募の結果をもとに、9月14日に各界の著名人や神戸市民の代表を加えた選考委員会で検討し、最終的には「神戸の都市イメージを明確に表現できること、若々しさや、先端的なイメージを代表すること」などを基準に球団が決定した。《共同通信》

【中山太郎外相】平和協力隊は自衛官、警察官などが対象

衆院安全保障特別委員会は、5日午前、中東情勢と日本の中東貢献策となる国連平和協力法構想をめくって集中審議を行い、自民党の山崎拓、社会党の和田静夫両氏が質問に立った。

この中で中山外相は国連平和協力隊の構成員に関する問題について「訓練経験のない素人には無理なので、自衛官、海上保安官、消防隊員、警察官が考慮の対象となる」と述べ、自衛隊を中心とした平和協力隊になるとの構想を示した。

これに関連し、政府が検討作業で焦点の一つとしている自衛隊の部隊組織としての参加について、工藤内閣法制局長官は、①武力行使にならないかどうか②自衛隊法上、任務・権限があるのかどうか③法的な全体の整合性―の三点について検討していかねばならない、とした上で「武力行使を伴わないものなら憲法違反にはならない。しかし(自衛隊法上)別途、任務を与える必要がある」との見解を示した。

和田氏がイラクに抑留されている人質解放のために日本政府が特使を派遣する考えはないのかとただしたのに対し、中山外相は「人質解放は国際機関が最も公正な立場で行うことができる。国際社会の連帯の中でイラクに反省を求めるため各国の団結が必要だ」とし、日本が邦人人質の解放のためだけに抜け駆け的な行動は取れない、との考えを示唆した。

将来、地域紛争解決のため国連軍が創設された場合の対応について中山外相は、「国連は加盟国に(国連軍への参加・協力を)要請する権限があり、日本にも順守する義務がある」と述べ、国連軍への協力については今後、真剣に検討する必要性を強調した。

これに関連して外務省の柳井条約局長は「将来国連軍が形成された時点で、国連が必要とする援助の内容によって何ができるか検討することになる」と述べた。さらに工藤法制局長官は、国連軍への自衛隊の参加について、「武力行使を伴うものなら参加できない。目的・任務が武力行使でなければ憲法違反ではない。しかし自衛隊法にはそのような(国連軍参加の)任務が規定されていないので(現状では直ちには)できない」との考えを示した。《共同通信》

【海部俊樹首相】トルコ・アクブルト首相と会談

トルコ訪問中の海部首相は5日午前(日本時間同日タ)、アンカラの旧首相府でトルコのアクブルト首相と約1時間半会談し、二国間の経済協力問題、イラクのクウェート侵攻以後のペルシャ湾岸情勢について意見交換した。

この中でアクブルト首相が国連決議に基づく経済制裁実施に伴ってトルコ経済が大きな打撃を被っているとして支援を求めたのに対し、海部首相は①中東貢献策の一環として2億ドルの商品借款供与②イスタンブールの金角湾橋改修のための1億ドルの円借款③5億ドル規模の貿易保険枠設定―の具体的支援表明のほか、経済協力で「相当額の追加」の検討を約束した。

また、両首相は日本企業の対トルコ投資推進を目指し、両国間の投資保護協定の早期締結で一致した。

湾岸危機打開に関しても両首相は①イラクのクウェートからの即時撤退②外国人人質の即時釈放―などの基本認識で一致するとともに、アクブルト首相は「経済制裁の完全実施によってのみ平和的解決が可能になる」と指摘した。

その上でアクブルト首相は経済制裁実施によってトルコは「イラクとの貿易のすべてを失った」と、イラクの石油輸送パイプラインの閉鎖、イラクとの陸上貿易の停止などを指摘しながらトルコの窮状を訴えた。

これに対し海部首相は「トルコのき然たる対応に敬意を表する。トルコが被っている大きな損害を理解している」と述べ、できる限りの協力を約束した。

海部首相はまた、アクテルト首相が提示した①イスタンブールの上水道拡張計画の②クメルキョイ火力発電所の脱硫装置③アナトリア農村部の飲料水計画④成田―イスタンブール間の航空直行便開設についても検討を約束した。《共同通信》

【海部俊樹首相】トルコ・オザル大統領と会談

日本の首相として初めてトルコを公式訪問中の海部首相は5日夜(日本時間6日未明)、アンカラの大統領官邸にオザル大統領を表敬訪問し、約1時間半にわたってペルシャ湾岸情勢を中心に意見交換、湾岸危機解決に向けて、国連決議に基づく対イラク経済制裁強化が必要との認識で一致した。

同時にオザル大統領は「戦争は避けなければならない」としながらも「事態がこのまま続く場合は、武力制裁の可能性も排除されない」と述べ、場合によっては国連決議による武力行使の可能性も指摘するなど厳しい姿勢を示した。

また、フランスのミッテラン大統領が提唱したパレスチナ問題を含む中東問題国際会議開催などの四段階和平構想について大統領は「イラクが(問題解決の)引き延ばしを図るのではないか」と述べ、批判的な見解を表明した。

海部首相は湾岸危機への対処について「粘り強く平和的解決の道を探るべきで、そのために経済制裁を厳格に守っていくべきだ」と従来の基本的立場を表明した。これに対しオザル大統領も「世界が固い決意をはっきりイラクに通告することが大切」と力説。その上で「国連決議をさらに強めていく必要がある」とし、イラクの侵攻によって受けた被害をイラクに補償させることや武力行使の可能性に言及した。《共同通信》



10月5日 その日のできごと(何の日)