平成635日目

1990/10/04

この日のできごと(何の日)

【フィリピン】反乱軍が州都制圧

政情混迷が続くフィリピンで4日未明、国軍の将兵ら約200人が南部ミンダナオ島北アグサン州の州都ブツアンで反乱を起こし、国軍基地を占拠、市内を制圧下に置いた。

一部政府軍兵士が同調する動きも出ており、これを合図に右派反乱勢力の国軍改革運動(RAM)がマニラで再び決起する恐れもある。国軍はフィリピン全土に厳戒態勢を敷き、警戒している。

アキノ大統領は4日午前、緊急閣議を招集して収拾策を協議した後、ラジオを通じて演説し、今回の反乱が昨年12月に反乱を起こした国軍反乱派の仕業であると非難「国民がこれに立ち向かい力を結集するよう要請する」と呼び掛けた。

反乱が起きたのは4日午前0時(日本時間同1時)すぎ。第53歩兵大隊のセルダニョ少佐が民兵も含む約200人の武装兵士を率いて基地司令部に乱入、市内の各軍事施設も占拠した。ブツアン空港も反乱軍が押さえたとの情報もある。デビリヤ国軍参謀総長は「ブツアンは反乱軍の制圧下にある」と言明した。《共同通信》

フィリピン南部のミンダナオ島で起きた国軍の一部将兵による反乱事件は4日夜までに、反乱側が同島三州の都市などを制圧、現地の四個歩兵大隊約2400人が同調するなど予想以上の広がりをみせている。アキノ政権は首都マニラへの反乱拡大を懸念、各部隊司令官に憲法に忠誠を誓うよう求める一方、国民に平静を保つよう呼び掛けた。

反乱側は声明を発表し、「ミンダナオ連邦共和国」の樹立を宣言すると同時に「今回の行動はフィリピン全諸島に連邦議会政府を設立するための第一歩」として、アキノ政権打倒に向け徹底抗戦を図る構えを見せている。

声明は反乱が「ミンダナオ兵士連合」(KKK)と国軍右派の国軍改革運動(RAM)、青年将校同盟(YOU)による合同作戦で行われたとしている。RAM筋によると、反乱派は8000-1万人の武装勢力で、既にミンダナオ島の五州、五都市を制圧下に置いたという。

これに対し、国軍のビアソン参謀次長は「反乱軍は400人」と指摘。アキノ大統領も反乱の拡大を否定し「カガヤンデオロはすぐに掃討されよう」と早期鎮圧を強調した。

同日夕には韓国滞在中のラモス国防相が急きょ帰国、政府軍兵士に向かって「ミンダナオの22州すべての知事、市長が現政権と政府軍を支持している」と呼び掛け、一致して反乱鎮圧にあたるよう訴えた。《共同通信》

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【近鉄・野茂英雄投手】完投で17勝目

ダイエー3−13近鉄◇4日◇藤井寺

注目された野茂の奪三振は「6」。プロ野球新記録のシーズン21回目の二けた奪三振は成らなかったものの完投で17勝目。最多勝争いで渡辺久と並んだ。

野茂のフォークボールは高めに流れた。そのため有利なカウントからでも速球での勝負を強いられ、コツコツ合わされて奪三振の数が伸びずに終わった。速球のキレ味も乏しい感じで、野茂にしては物足りない内容だった。《共同通信》

【全日空】新型ジャンボが羽田着

90年代の全日空の主力機となる新型ジャンボ機ボーイング747-400の1号機が4日午前、東京・羽田空港に姿を見せた。

新型ジャンボ機はコンピューターなど最新技術を駆使して、300人乗り以上の大型機では初めて、運航乗員2人となった。航続距離も約1万2300キロと在来型に比べ大幅に伸びている。外形上は在来型とほぼ同じだが、主翼端にウイングレット(異端小翼)が付いているのが特徴。

日本では日航が今年4月から運航しているが、全日空としては初登場。同社はボーイニング社に新型ジャンボ43機を発注しており、本年度中に1号機を含め3機受け取る予定。

米国・シアトルから太平洋を越え、約10時間の飛行を終えた1号機は羽田空港の64番スポットで翼を休めた。1号機は10日まで受け入れ整備をした後、パイロットの路線訓練や整備士の訓練に使われ、11月1日から羽田ー大阪、羽田ー札幌線に投入される。来年3月からは国際線にも就航する予定。《共同通信》

【全日空】成田ーパリ線就航

全日空の成田ーパリ線の一番機が4日午前、成田空港を出発した。同社の13番目の国際路線。

毎週木曜日と日曜日の午前11時半に成田を出発、330席のジャンボ機を使用する。成田からパリまでの直行で、所要時間は約12時間半。

出発に先立ち、成田空港第3サテライトで就航セレモニーが行われ、全日空の近藤秋男社長ら関係者が出席、テープカットをして就航を祝った。《共同通信》

【海部俊樹首相】イラク・ラマダン第一副首相と会談

ヨルダン訪問中の海部首相は4日午前、アンマン市内のヨルダン王宮でイラクのラマダン第一副首相と約1時間45分に渡り会談した。

首相とラマダン副首相との会談は、8月2日のイラク軍のクウェート侵攻以来初めてのイラク首脳と西側先進国首脳による政治対話となったが、海部首相がイラク軍のクウェートからの即時撤退や、イラク国内に拘束中の外国人人質の即時解放などを求めたのに対し、イラク側はすべてを拒否、会談は全くの平行線をたどった。

ただ、両者は今後「政治対話の継続」で一致するとともに、ラマダン副首相はミッテラン・フランス大統領の四段階和平提案を「平和的解決の始まり」と評価、今後フォローアップ(追求)したい、と述べた。

会談は予定の1時間を大きく超え、双方が主張を真っ正面からぶつけ合った。

冒頭、首相はイラクのクウェート侵攻について「武力による他国の侵攻は認められない」と強く非難したうえで①クウェートからの即時撤退②クウェート正統政府の復権③日本人だけでなくすべての外国人人質の自由の回復—を要求、「そのためにイラクの決断を求める」と述べ、8月2
日以前の“原状回復”に踏み切るよう促した。

これに対しラマダン副首相は「クウェートは歴史的にイラクの領土だ。イラン・イラク戦争後、反イラクキャンペーンが行われている。外国勢力の介入で問題解決が困難になっている」と、クウェート侵攻の正当性を重ねて主張するとともに「イラクは戦争を欲しない」と強調した。

さらに、イスラエルの西岸・ガザ地区占領など「湾岸危機以外にも国連安保理決議があるが実行されていない」と指摘。「パレスチナ問題の同時解決」を絡めるのと同時に、安保理決議を受けた多国籍軍の展開を激しく非難した。

また、人質解放要請に対しても「平和のためのお客さまである」と突っぱね、当面イラク国内の軍事施設などに収容している外国人人質の解放に応ずる意思のないことを鮮明にした。

ただ同時に、副首相はフランスのミッテラン大統領が打ち出したパレスチナ問題の解決を含む国際協議の場の設置などを柱にした四項目和平提案については「イラクは平和的解決の始まりとしてフォローアップしたい」と述べ、ミッテラン提案を軸に和平協議に応じてもよいとする柔軟な姿勢もにじませた。《共同通信》

【海部俊樹首相】ヨルダン・フセイン国王と会談

ヨルダン訪問中の海部首相は4日午前(日本時間同日夕)、アンマン市内の王宮にフセイン国王を表敬訪問し、約1時間15分、湾岸危機を中心に会談した。この中で国王と首相は国連の安保理決議に基づく湾岸危機の平和的解決で一致した。《共同通信》

【仏・ミッテラン大統領】サウジアラビア訪問

フランスのミッテラン大統領は4日、サウジアラビアのジッダを訪問、ファハド国王と会談した。西側有力国の元首によるサウジ訪問はイラク軍のクウェート侵攻後、初めて。

ミッテラン大統領は先月24日の国連総会演説で、四段階の包括的な中東和平構想を提案。フセイン・イラク大統領が歓迎を表明し、サウド・サウジ外相も国連で「パレスチナ問題解決のためにもイラクはクウェートから撤退すべきだ」と訴えるなど、この和平構想を接点として平和的解決を探る動きが出始めている。

会談でミッテラン大統領は軍事力増強を図っているサウジのファハド国王に対し、四段階和平構想を説明して理解を求めたようだ。

ミッテラン提案は①イラクがクウェートからの撤退、人質解放の意志を確認する②国際社会がクウェートの主権回復を保障する③レバノン、パレスチナ問題を討議する国際会議を開く④中東地域での軍縮交渉に入る—などが柱。

特にクウェート侵攻問題とレバノン、パレスチナ問題を結び付けたのが特徴dえ、提案発表後の1日には、それまで湾岸危機を他の中東問題と切り離す姿勢を貫いてきたブッシュ米大統領も国連で、イラク軍が撤退すればアラブ・イスラエル紛争解決の機会が生まれると演説、微妙な軌道修正を示唆したほか、ソ連側もフランス案を評価している。

このほかミッテラン大統領は、湾岸地域にフランスが派兵しているのは軍事的解決を目指すためではなく、これ以上のイラクの侵攻を食い止めるのが目的というフランスの立場を表明。現在までに送り込んだ14隻の艦隊や総兵力1万4000人の駐留を通じて、サウジ防衛に全面協力する意向を伝えたとみられる。《共同通信》

【ドイツ・コール首相】施政方針演説

ドイツ連邦議会は4日、統一後初の本会議を首都ベルリンの旧帝国議会議事堂に招集し、統一ドイツの初代コール首相が内政・外交全般にわたって新生ドイツの基本政策に関して施政方針演説を行った。首相は内政面では旧東ドイツ地域の経済再建を通じて早急に国内の経済、文化、社会的統合を急ぎ、外交面では欧州の統合を促進し、国際社会でより大きな責任を果たすため憲法を改正する決意を表明した。

午前10時(日本時間午後6時)から始まった本会議は、ジュスムート議長が旧東ドイツ出身の144人の新議員に歓迎の意を表明した後、デメジエール旧東ドイツ首相らコール内閣の無任所相に任命された5人の旧東ドイツ出身閣僚が就任宣誓を行った。旧東ドイツ出身議員の参加により、連邦議会の総議員数は663人となった。

コール首相は外交政策面で「ドイツは統一された欧州において世界の平和に尽くす」と基本法(憲法)前文の構神を強調した。そして、統一ドイツは国際社会において世界平和を確保するため、より大きな責務が課せられていることを自覚している、と強調、そのためにも「明確な憲法上の条件を作り上げる」と、憲法改正に言及した。しかし具体的に、改正を目指す内容には触れなかった。《共同通信》



10月4日 その日のできごと(何の日)