平成523日目

平成2年6月14日(木)

1990/06/14

【ソ連最高会議】パン値上げを否決

ソ連最高会議は14日、ソ連政府が提出していた7月1日からのバン・穀物製品の値上げ提案を否決し、各共和国と協議の上、9月からの秋会期に再提出するよう指示する決定を採択した。これにより、パン類の値上げは秋以降に持ち越された。

ゴルバチョフ政権は、来年1月からの「調整市場経済体制」への移行に先立って、原価を無視した超低価格のパン・穀物製品を7月1日から3倍に値上げし、市場経済へのテストケースにしようとしていた。

しかし、ルイシコフ首相が5月24日に政府報告で発表した瞬間から、国民が国営商店に殺到。モスクワでは市民、モスクワ州以外に消費物資を売らない決定をするなど、国民生活を大混乱に陥れたばかりでなく、猛反対の声があらゆる階層から上がっていた。

このため、ゴルバチョフ攻権は、経済改革とパン値上げ問題を切り離すことを決定。「調整市場経済体制」への移行の基本方針は13日、最高会議で採択された。

しかし、パン値上げについては、この日の協議の過程で、値上げ幅は各共和国の事情に任せるなどの妥協案を次々に提出したが、三度否決され、ついに差し戻しの形になった。

最高会議の審議では、市場原理を導入する原則は通ったものの、各論で抵抗が出たことになり、パンだけの問題ではなく、来年から実際に移行期に入っても、同じような抵抗が出ることが予想される。市場経済への移行は、その第一歩で早くもつまずいたといえよう。《共同通信》



【中山太郎外相】対中円借款「早期再開は困難」

中山外相は14日夕、外務省で記者会見し、米サンフランシスコで15日行われるベーカー米国務長官との日米外相会談に臨むに当たっての考えを明らかにした。

この中で、昨年6月の天安門事件への制裁措置として現在凍結中の対中第三次円借款(90ー95年度、約8100億円)について「今日の時点では、まだ(凍結解除の環境が)整った状況にないと認識している」と述べ、早期解除はなお厳しいとの見解を示した。

中山外相は米側に凍結解除へ重ねて理解を求める考えだが、この日の発言は7月の先進国首脳会議(ヒューストン・サミット)後、早期に円借款供与を再開するのは困難、との認識を示したものとみられる。《共同通信》

【海部俊樹首相】北陸新幹線「10カ年計画に配慮」

石川県の中西知事、本吉県議会議長ら富山、福井、長野の北陸新幹線沿線四県の知事、県議会議長ら8人は14日午後、首相官邸に海部首相を訪ね、政府の公共投資10カ年計画に整備新幹線の建設費を盛り込むことを陳情した。これに対し、同首相は「枝ぶりのよいものに仕上げたい」と述べ、同建設費の盛り込みに配慮することを示唆した。

政府が今月25日からの日米構造協議の最終報告に向け公共投資10カ年計画の大詰めの取りまとめ作業に入っていることを踏まえての要請で、北陸新幹線関係者が海部首相に陳情するのは初めてである。

中西石川、中沖富山両県知事らが「地元は23年間、新幹線を待ってきている。来春は統一地方選もあり、沿線住民に夢と希望を与えてほしい」と要請したのに対し、海部首相は「事情は十分理解している」と答えた。

中西知事らはさらに北陸新幹線が東海道新幹線の代替補完機能を持つ国家的プロジェクトであることなども説明、理解を求めた。一行は同日、海部首相のほか、大蔵、運輸などの関係省庁や自民党本部などへも陳情した。《北國新聞》

【政界メモ】国会議員に筆記試験を

○…海部首相は14日昼、全閣僚による前夜の「総理慰労会」の様子について「非常に和やかな雰囲気だったよ」と、記者団に和気あいあいムードだったことをことさら強調。というのも首相が総理慰労会の席で「内閣支持率は高いが、帯を締め直して頑張ってほしい」とハッパをかけたことに一部の閣僚が「ごちそうしたのに説教を食ったようなもの」と不満を漏らしたのが原因らしい。

首相は「冒頭にちょっと言っただけ。別に説教したのではない」などと、ひたすら弁解。あたかもこの“閣内不一致”が海部内閣支持率ダウンになりかねないと、心配しているようだった。

○…この日、民社党の伊藤総務局長は記者会見で、党書記局員の募集を発表した。応募規定では論文提稿などが義務付けられており、伊藤氏は「選挙で負けて議員が減った。この間、書記が減ったこともあり、求人することになった」と、募集に至った経緯を説明。

「新しい人を入れて頑張っていきたい」と、新人書記局員募集を党勢ばん回の決め手としたい考えを表明したが、そのうち問わず語りに「考えてみれば、国会議員に筆記試験を課したほうがいいかもしれない」と党勢回復には国会議員のレベル・アップこそ必要との本音もポロリ。《共同通信》

【ルーマニア】反政府市民を力で制圧

軍、警察と反救国戦線派の衝突が夜通し続いたブカレストは、14日朝(日本時間同日午後)までに反政府側の組織的な抵抗は鎮圧された。大学など市内の拠点には炭鉱労働者ら政府支持派数万人が集結、内務省、市警本部、政府庁舎には戦車が配備に就いた。

炭鉱労働者らはイリエスク政権支持を口々に叫びながら、反政府市民とみられる者を取り囲み、木の棒で袋だたきにするなど、首都中心部を力で“制圧”した形となっている。政府は同日声明を発表、国民に平静を保つよう呼び掛けた。

また、声明は13日からの衝突で市民4人が死亡し、104人の負傷者が出たとしているが、実際の死傷者数はこれを上回っているとみられる。ブカレスト情勢悪化のため官庁、学校に出掛ける人の姿は少ないが、救国戦線支持派の労働者は、数百人単位で隊列を組み、大学広場を通って官庁や国営テレビ局の方向へ続々と行進した。

労働者はルーマニア国旗を打ち振りながら「クンペアヌ(国民自由党首)、ラチュ(全国農民党党首)は国から出て行け」と反野党スローガンを叫んだ。

救国戦線側の実働部隊になっているのは、ブカレスト北約300キロのペトロシャニ近郊の炭鉱労働者たち。14日未明からヘルメットに作業服姿で大学広場に入り、反政府派の捜索を始めた。彼らはことし1月28日、ブカレスト大規模反政府デモが発生したときも導入され、政府庁舎などを警備した。《共同通信》

【社会党・土井たか子委員長】アマコスト駐日米大使と会談

社会党の土井委員長は14日午後、都内のホテルでアマコスト駐日米大使と約2時間半にわたって会談し、朝鮮半島情勢、日米構造協議などについて意見交換した。

会談では、朝鮮半島情勢について大使が「(米国にとって)朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との関係改善は優先度が高い」との認識を示すとともに「北朝鮮は態度を変えつつある。インセンティブ(促進策)をわれわれが用意することが大切だ」と述べ、米側が関係改善のための行動を起こす用意があることを示唆した。

また大使は、13日に北京で米朝間の実務者レベルでの話し合いが持たれたことを確認し、米朝間の接触が継続していることを明らかにした。

これに対し土井氏は「海部首相に北朝鮮との意思疎通の重要性を話したい」と述べ、日本政府に関係改善を働き掛けていく意局を示した。

日米構造協議について土井氏が「協議という以上、騒動を起こすのが目的ではない」と米側の厳しい要求をけん制したのに対し、大使は「米国は11月に(中間)選挙がある。日本は既に選挙が済んでおり、米国の方がつらい立場にある。米国への投資も結構だが、日本国内でもっと投資をすべきだ」と注文した。また土井氏は懸案となっている訪米に意欲を示し、大学の夏休みが明ける9月ごろの訪問を示唆した。《共同通信》



6月14日のできごと