平成492日目

1990/05/14

この日のできごと(何の日)

【韓国・盧泰愚大統領】明確な謝罪のお言葉を

韓国の盧泰愚大統領は14日、訪日を10日後に控えてソウル駐在の日本人記者団と会見、両国間で新たな焦点になっている過去の日韓関係清算に関する天皇陛下の「お言葉」に関連して「謝罪したのかしなかったのか分からないような表現では、被害者としては(日本側の)誠意を疑わざるを得ない」と述べ、1984年に全斗煥前大統領が訪日した際の昭和天皇の「遺憾」とのお言葉が不十分との見解を示し、今回の訪日の際にははっきりした謝罪があることへの期待を表明した。

日本政府は「お言葉」の表現をめくり、天皇陛下の「象欲性」を理由に憲法上の制約から明確な謝罪は難しいとの立場に傾きつつあるが、大統領自身が訪日直前に明確な謝罪を求めたことで、日本側は厳しい対応を迫られることになった。

盧大統領の会見は、青瓦台(大統領官邸)内の「常春斎」わきの庭園で懇談会形式で約1時間行われた。

この中で盧大統領は、84年の全斗煥前大統領の訪日の際、昭和天皇から遺憾表明があったことを指積し「政治責任者であろうとなかろうと、韓日間でだれが加害者でだれが被害者であるかは日本人も韓国人も等しく認識していることだ。加害者は“本当に済まなかった。間違っていた”と心から謝罪すれば、被害者も感動し“これでうまくやっていきましょう”となるので、はないか」と指摘、日本側の率直な謝罪を求めた。

盧大統領は、謝罪の主語を「天皇」とは明言せず、「加害者」「日本(側)」などの表現を繰り返し使ったが、文脈上は天皇陛下による明確な謝罪発言を求めたものと解釈できる。

会見に同席した韓国政府高官は「大統領が天皇の発言について直接言及するのは外交上問題があるので、あのような表現になった」と説明、大統領の表現がまだ穏やかとの見方を示した。

大統領は「日本の天皇の名においてするとかしないとかいうことではなく、皆さんと私、私と日本国民が率直に話し合えば、日本がどうすべきかおのずから明らかになる」と述べて、日本側の決断を促した。天皇陛下の韓国への招請については「その通り(謝罪などが)行われれば、招請問題も順調に解決されるでしょう」と指摘して、訪日中に招請するかどうかは日本側の対応次第との姿勢を示した。

盧大統領は、江戸時代の鎖国時代でも日韓両国は朝鮮通信使に表されたような「模範的な善隣友好関係」を保っており、数千年の日韓の歴史の中で不幸な関係は壬辰の乱(豊臣秀吉の朝鮮出兵)と今世紀初めの「点」にすぎない、との持論を改めて展開し、過去を清算した上で21世紀に向けたパートナーとして両国が共同歩調をとるべきだと力説、過去の日韓関係を清算し、新しい関係の構築を目指したいとの考えを示した。《共同通信》

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【政府】感情的なこじれ懸念

政府は、盧泰愚韓国大統領が14日の日本人記者団との会見で、24日からの来日の際、天最陸下から過去の日韓関係についての謝罪を期待する発言をしたことについて「ここ二日、三日の間に急に出てきた問題ではない」(外務省首脳)と表向き冷静に受け止め、引き続き韓国側の理解を求めていく考えだ。

一方、自民党の小沢幹事長は同日の記者会見で「政治の場で天皇陛下のお言葉を借りるのはいいことではない」と慎重な対応を要請しており、政府部内には問題が感情的にこじれ、盧大統領の訪日日程に影響を与えかねないことを懸念する声も出ている。大統領の発言について、政府は「内容を聞いてないし、吟味していない」(坂本官房長官)「まだ聞いていない」(外務省首脳)とコメントを避けている。

その上で、大統領の発言に象徴される韓国側の要求が「韓国内の世論に強くあることは承知している」(外務省首脳)として、盧大統領の発言とは関係なく、天皇陛下のお言葉について政府部内での調整を進める方針だ。小沢幹事長の発言についても「政府と自民党との考えが違うとも思わない」(外務省首脳)と、天皇陛下のお言葉には憲法上の限界がある、との認識を改めて示した。

政府としては、従来通り、天皇陛下の発言には限界があることを韓国側に説明し理解を求めていく考えだ。また、天皇陛下のお言葉とは切り離し、海部首相が国民を代表し「政府として自己完結する形で」(外務省首脳)日本としての誠意を示す方針。

こうした日本側の制約、事情についてはこれまでも韓国側に説明し「基本的には理解を得ている」(外務省首脳)としており、さらに粘り強く理解を求めていきたいとの考えだが「感情的な問題だけに対応が難しい」(政府筋)と、問題が深刻化するのを懸念する見方もある。《共同通信》

【海部俊樹首相】野党は論議参加を

参院予算委員会は14日午前10時前すぎから、平成2年度予算をめぐる二日目の総括審議を行い、午前中は社会党の久保亘氏、公明党の及川順郎、猪熊重二の両氏が資間に立った。

海部首相は選挙制度改革を中心にした政治改革への取り組みについて「選挙制度審議会の答申を最大限に尊重していかねばならないと強い決意を持っている」と述べ、選挙制度改革への強い決意を改めて表明した。ただ、久保氏が先の記者会見で首相が「内閣の命運をかける」と表明したことを取り上げ「成案が得られない事態があれば進退をかけるのか」と追及したのに対し、首相は「具体的な案の取りまとめを始めようという時にやれない時はどうするとか、やれたらどうするかといったことを言うべきではない」と述べるにとどまった。

その上で首相は「この議会で議論に参加していろいろな意見を出してもらいたいと述べ、野党への積極的な議論参加を呼び掛けた。

消費税見直しの根拠について首相は「欠陥があるから見直したのではない。いいと思ってやったことも世論の指さす方向を見て、率直に従わなくてはならない」とし、「より良い結果にするために現実の政治の中で一歩踏み込んでもらいたい」と、今国会での見直し法案の成立に野党側の協力を要請した。

及川氏が緊張緩和の流れが加速する国際情勢を背景に、平成3年度以降3年間の防衛費凍結を求めたのに対し、首相は3年度以降の防衛費の扱いについては次期防衛力整備計画の中で検討する考えを示した。また機本蔵相も「平成元年度の概算要求基準(シーリング)のルールづくりまで作業は進んでいない。今まで防衛費を聖域扱いしたことはないし、今後も聖域扱いにする考えはない」と述べ、「白紙」を強調した。《共同通信》

【政界メモ】小康状態で気が緩む?

◯…坂本官房長官は14日午前の記者会見で、前日の奈良県・明日香村の史跡視察を自ら披露、「明日香の里にいにしえの国の光を見てきた」と、予算審議も順調に進んでいるためか、至ってのんびりムード。

ところが、記者団から中国への民主化支援放送を計画して海上放送船「民主の女神」の神戸寄港について聞かれると「あれはもう入っているのでは」と“事実誤認”の答え。慌てて「それは聞いていない」と前言を訂正したが、日ごろから「細かいことは知らん」と大物ぶりを発揮する長官、政局、国会運営も小康状聴で、ちょっと気が緩んだよう。

◯…自民党の小沢幹事長がこの日昼、午前の同党四役会議の模様について記者会見したが「特別な議題もなく、日程の確認だった」と、例によってそっけない答え。

記者団から「(韓国大統領来日に関し)参院側から天皇陛下のお言葉について発言があったのでは」との質間にも「そういう話はあった」。もう少し丁寧に説明を、との記者団の要求に「政治の場にお言葉を借りるのはいいことではない(との発言があった)。私もそう思う」と、ようやく会議の中身を説明した。問題がデリケートなだけに、いつにも増してぶっきらぼうになったのかも。《共同通信》

【ソ連・モンゴル首脳会談】平等な友好関係に転換

ゴルバチョフ・ソ連大統領は14日、実務訪問中のモンゴルのポンサルマーキン・オチルバト人民大会幹部会議長(国家元首)、ゴンボジャビン・オチルバト人民革命党中央幹部会議長とクレムリンで会談した。

タス通信によると、両国内、両党内で起きている「急速な革命的変革」について意見を交換し、これまでの伝統的な友好関係の検討に多くの時間を費やし「時代の要請と改革精神に基づいて、これまでの友好関係を新たな形に組み替える必要がある」との結論に達した。

これは、モンゴル駐留ソ連軍の4分の3撤退、中ソ関係の正常化の発展、モンゴル国内の民主化の急進展など、情勢の急速な変化を踏まえて、両国関係もかつての軍事同盟的性格から、経済協力を主体とした平等な友好関係に転換することで合意したことを意味している。《共同通信》

【ソ連・ゴルバチョフ大統領】エストニア、ラトビアの独立宣言は無効

ソ連のゴルバチョフ大統領は14日、バルト地方エストニア、ラトビア両共和国の独立宣言はソ連の憲法、法律に違反し無効であると厳しく指弾する大統領令を布告した。

ゴルバチョフ大統領は即時独立を宣言したリトアニア共和国には経済制裁を実施する一方、移行期を設け段階的な独立を目指すとしたエストニアには非公式な対話に応じるなど3共和国の分断を図ってきた。しかし今月4日に独立を宣言したラトビアを含めバルト3共和国が12日に「バルト共和国会議」を創設、同政権との独立交渉で足並みをそろえたため、3共和国を同列に扱い、厳しい姿勢で臨むことを示したものである。これによりゴルバチョフ政権がエストニア、ラトビアに対してもリトアニア同様の経済制裁などに踏み切る可能性が出てきた。

大統領令は14日夜、ソ連国営テレビの定時のニュース番組で読み上げられた。それによると、大統領令は3月30日のエストニアの独立宣言に対し「最高会議は共和国国民の意向を問わず、連邦内の政治、文化、法的関係を無視してエストニアでのソ連の国家権力を違法とする宣言を一方的に採択した」と指摘、ソ連憲法と共和国離脱「手続き法」に違反したと非難した。ラトビアについても「宣言は他の共和国国民や連邦の法的権利、利益に反している」と強調、エストニア、ラトビア両共和国の独立宣言は採決の時点から無効だと宣言した。

ラトビアの首都リガでは14日、ヘリコプターが独立宣言に反対するストを行うよう住民に呼び掛けるビラを散布、エストニアでもロシア系労働者が独立宣言に抗議する集会を15日に共和国最高会議の前で開くことを計画するなど緊張が高まっている。

ゴルバチョフ大統領はラトビアが独立宣言をした翌日の5日、リトアニア同様の経済制裁をラトビアにも行う可能性を示唆したとされている。しかし、大統領令はエストニア、ラトビアに対し何らかの制裁措置を発動するかどうかについては触れていない。《共同通信》

【大相撲夏場所】2日目

大相撲夏場所二日目(14日・両国国技館)2横綱、4大関がこの日もそろって勝った。初日から二日間、大関以上が安泰だったのは昭和57年春場所以来、8年ぶり。

横綱北勝海は、春日富士の突き、押しに守勢に回ったが、余裕を持って引き落とした。千代の富士は上手投げに続く寄りで久島海を退けた。新大関の霧島は琴ケ梅を寄りで快勝。小錦も琴稲妻を四つ相撲で下し、旭富士は寺尾戦15連勝、北天佑は両国を一気に寄り切った。

新入幕の貴花田は元小結の三杉里にいいところなく寄り切られ1勝1敗、兄の十両若花田も初黒星。《共同通信》



5月14日 その日のできごと(何の日)