平成464日目

1990/04/16

この日のできごと(何の日)

【竹下登元首相】韓国・盧泰愚大統領と会談

竹下元首相は16日正午すぎ、盧泰愚韓国大統領をソウル市の青瓦台(大統領官邸)に表敬訪問し、昼食を挟んで約1時間半会談した。

この中で盧大統領は日韓間の最大懸案である在日韓国人3世の法的地位問題について「日韓両国が歴史の点(汚点)をきれいに清算しようというのなら、政治的決断でこの問題を解決することが望ましい」と日本側の政治的決断を要請。5月24日の訪日を3世問題解決の場にしたいとの立場から、日韓議員連盟の会長に就任した竹下氏の政治力に強い期待を示した。

竹下氏は「大統領の気持ちを体し、意に沿うよう全力で努力したい」と答え、前向きな対応を約束した。竹下氏は17日午後、帰国後直ちに海部首相と会い、韓国側の要請を伝える。

盧大統領は、自分自身の訪日に関連して「私が訪問する時、三世問題をはじめとする日韓両国の問題が大きく前進するよう協力してほしい」と要請。特に大統領は①豊臣秀吉の文禄の役(16世紀)②日本の植民地時代―具体的に挙げながら「これらの不幸な出来事は数千年の歴史の中では一つの点にすぎないが、この点をきれいになくし、悠久で同伴者的な協力関係を築くことが両国政治家に課せられた責任だ。私も努力するが、このような問題が再び話題にならないようにしてほしい」と指摘。三世問題など日韓間の戦後処理問題を「政治的決断」で解決すべきだと強調した。

竹下氏は「大統領訪日が最も実りあるものとなるよう最善を尽くす」と応じた。

大統領は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との関係にも触れ「(東欧の大変革にもかかわらず)北は何の変化も見せておらず、心配している」と説明。その背景として①徹底した外国情報の遮断②社会主義が優位という洗脳教育―の二点を示しながら「世界中が北に正しい情報を伝え、北が胸を開いて世界平和に貢献するようになることを願う。日本も強力してほしい」と強調した。《共同通信》

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【坂本三十次官房長官】盧大統領の気持ち分かる

坂本官房長官は16日夕の記者会見で、韓国の盧大統領が訪韓中の竹下元首相に対して在日韓国人3世の法的地位問題解決に向け「政治決断」を強く求めたことについて「(大統領の)気持ちは分かる」と理解を示したうえで「政府内で鋭意努力中だ」と強調した。同長官は「日本と朝鮮半島の(植民地化など)歴史があるから、特に配慮を求めて政治決断をせよという気持ちは分かる」と述べた。《共同通信》

【公明党・石田委員長】中道へ綱領見直し

公明党の第28回全国大会が16日午前10時半から、東京・銀座の中央区立中央会館で開かれた。

大会冒頭のあいさつで石田委員長は、先の総選挙での敗北を受けて同党が取り組む課題として「中道すなわち公明党の存在感、実在感を国民の中に鮮明にし、政治の中に大いに高めていくこと」を挙げ、中道主義の意味や特色を明確にしていく必要性を強調した。

明確化の一つの方法として石田氏は「現綱領の表現に検討を加えてはどうか」と述べ、1970年に制定した党綱領の一部見直しを提案した。中断している社会党など四野党の連合政権協議については「凍結せざるを得ない」と、明確に協議打ち切りを宣言した。《共同通信》

【政界メモ】現職並みの歓迎にご満悦

◯…訪韓中の竹下元首相(日韓議連会長)は16日、盧泰愚大統領との会談を皮切りに、精力的に韓国要人との会談を重ねた。大統領との会談では、大統領が「竹下氏は“百戦老将”(韓国の故事ー年老いても戦に立ち向かっていく将軍の意)だから議連会長に先生が就任し、この上なく幸せで心強く思う」と、最大級の持ち上げぶり。

これに対し竹下氏も「前任会長の福田さん(元首相)から命じられた。福田さんより19歳も年下だから貫録ないと言ったら“私は明治38歳だから、あんたの方が上だ”と言われた」と、福田氏とのやりとりを紹介するなど「現職首相並み」の歓迎ぶりにすっかりご満悦の様子。

◯…今月下旬に予定される選挙制度審議会の答申は、小選区比例代表制の導入な内容が劇的なこともあって今、政界最大のホット・イシュー。小沢自民党幹事長から「首相が不退転の決意で当たるべきだ」と厳しく迫られている海部首相はこの日、記者団から「幹事長の見方をどう思うか」と問い詰められて、しばらく無言。必死になって答えを探したのか、振り校るように「そう思っています」と一言。

自民党内からも「素人の審議会委員に任せられない」と不満が噴き出し、首相周辺にも「選挙制度は硫酸。下手に手を突っ込むと内閣が溶けちゃう」との声があるだけに、首相の雄弁ぶりも湿りがちのようだ。《共同通信》

【ネパール・ビレンドラ国王】複数政党制導入を発表

ネパールのビレンドラ国王は16日午前9時(日本時間午後0時15分)ラジオを通じて演説し、民主化勢力が要求していた①政党参加を禁止ししていた独特の議会制度パンチャヤトの廃止②それに伴う憲法関係条項の停止③チャンド現首相の辞任―を発表した。

国王が民主化勢力側の要求を公式に全面的に受け入れたことにより、30年ぶりの複数政党制導入を図る政治制度改革が本格的にスタートすることになった。

チャンド内閣に代わる新暫定政府は数日中にも発足する見通しとなったが、国王はそれまでの間チャンド首相に職にとどまるよう求めた。

ネパール会議派(NCP)と統一左翼戦線(ULF)は自派代表を首班とするか、国王自身が主催する暫定政府樹立を要求、新内閣の構成や人選作業に入る見通しになった。これに先立ち15日昼始まった政府と民主化勢力の第一回公式協議は、NCPとULFが提出した8項目要求のうち、政府側はパンチャヤト制度の解体についての即答を避け16日未明(日本時間早朝)閉会した。

8項目の中で政府側は既に実行に移されている政治犯全員の釈放や、この間の犠牲者に関する調査委員会の発足や補償など計6項目については受諾した。しかし①パンチャヤトの解体、チャンド現内閣の解任とシン暫定政府の樹立②複数政党制導入に伴う現行憲法の関係条項の停止―の2項については、政府の責任では回答はできず、国王の決定を仰ぎたいと答え、NCP代表らも了承していた。《共同通信》



4月16日 その日のできごと(何の日)