平成440日目

平成2年3月23日(金)

1990/03/23

【甲山事件】高裁、一審の無罪判決破棄

昭和49年3月、兵庫県西宮市の精神薄弱児施設「甲山学園」の浄化槽から園児2人の水死体が見つかった「甲山事件」で、うちF君=当時(12)=を投げ込んで殺したとして、殺人罪に問われた当時の保母山田悦子被告(38)の控訴審判決公判が23日、大阪高裁で開かれた。

西村清治裁判長は、最大の争点となった山田被告がF君を連れ出すのを見たとする園児の目撃証言について「基本的事実について一貫しており、信用性を否定し得ない」と判断。その上で「一審判決は園児の取り調べ状況などについて審理を尽くさなかった」として山田被告を無罪とした一審神戸地裁の判決を破棄、同地裁に差し戻し、審理をやり直すよう命じた。

甲山事件は発生から16年、裁判だけでも12年という長期に及んでいる。この判決は、一審判決が全面否定した園児証言の信用性を中心に、事実上、検察側の主張に沿った形となり、弁護側は今後の審理で苦しい立ち場に立たされそうだ。山田被告は同日午後、最高裁に上告した。《共同通信》




【深谷隆司郵政相】リクルート社からの献金を認める

国会は23日午前10時すぎから論戦の舞台を参院予算委員会に移し、平成元年度補正予算案をめぐる審議を行った。質問の一番手には社会党の安恒良一が立ち、深谷郵政相に対するリクルート社からの献金問題、政府予算案での税収見積もりの間違いなどについて政府側を追及した。

深谷郵政相は、リクルート社からの献金について「舌足らずで、不理解と、事務方との行き違いがあった」とした上で①昭和60年から63年7月までの3年半でパーティー券購入を含め、1236万円の資金提供を受けた②問題となる63年7月以降の分は返却した—との事実を明らかにした。

これに関連して海部首相は「内容を確かめた上でリクルート問題のこれまでのけじめ案(自民党見解)に照らして「判断したい」と述べ、来年度暫定予算案を参院で審議する4月4日までに対応を示す考えを明らかにした。

深谷郵政相は、これまでリクルート社との関係については「私の知る限りない」としており、具体的な金額を挙げて、初めて関係を認めた。新たにリクルート事件発覚時の63年7月以降にも毎月2万円の献金を受けていた問題については「63年7月限りで打ち切ったが、手違いで11月分まで振り込みがあり、その後7月以降分については返却している」と述べ、「自民党がまとめた見解に触れないとの立場を強調した。また数年前から(深谷事務所の)職員の派遣を受けていたが、「63年7月に退職手続きを取ったことを明らかにした。

これに関連して海部首相は、閣僚任命時には報告を受けていなかったことを明らかにし、事実関係を再確認した上で深谷郵政相の責任問題を明らかにする考えを示した。首相自身のリクルート社からの献金については「事務所で調べたのがすべてだ」と述べ、一部週刊誌報道で指摘された献金の事実を否定した。

一方、安但氏が総額5兆9000億円という過去最大の補正予算案編成に関連して政府の税収見積もりの見誤りを厳しく追及したのに対し、橋本蔵相は「おわびを申し上げるしかない。資料の収集などを通じ、より適正な見積もりをするよう努力する」と語った。《共同通信》

【海部俊樹首相】遅れた申告に戸惑い

23日の参院予算委員会で深谷郵政相がリクルート社からの政治献金の新事実を認めたことで、清潔な人事で臨んだはずの海部内閣の政治姿勢が再び問われることになった。

首相は6日の衆院本会議でリクルート社からの資金提供を受けていた閣僚について首相自らの1440万円を始め、橋本蔵相など7閣僚の氏名と金額を公表。これはそぜぞれの閣僚の自主申告に基づいたものだが、当時、深谷郵政相からの申告はなかった。

首相は「すべての閣僚に自主申告してもらった結果、本日、深谷郵政相から承った」と遅れた自主申告に戸惑っており、対応に苦慮することになりそうだ。《共同通信》

【海部俊樹首相】土地対策に強い意欲

平成二年の地価公示で、全国の住宅地が平均17%上昇するなど地価高騰が再燃したが、政府は23日午前、首相官邸で土地対策関係閣僚会議を開いた。海部首相は席上、土地対策を抜本的に進めるためその具体策として「地価を凍結することができる規制区域(指定)の指導も念頭に置いて検討する必要がある」と指示、地価対策に強い決意を示した。

閣僚会議は、昨年12月に土地基本法が成立したのを踏まえ、地価の抑制策を各省庁が一体となって取り組むのが狙い。

冒頭、海部首相は土地対策を強力に推進するために「後手にならないように監視区域の指導などを行うとともに、必要に応じて規制区域の指定の面からも対処する必要がある」と初めて規制問題に触れた。さらに、ノンバンクをはじめとする金融機関の融資に対する指導を強化、抜本的な土地対策を目指し、海部内閣の最重要課題として力を華げて取り組むよう求めた。

この後、閣僚の意見交換に移り、綿貫建設相は「大都市圏内の宅地の供給促進は法律を整備しながら推進する必要がある」と指摘、さらに規制区域は前向きに取り組んでほしいと要望した。

さらに奥田自治相は「監視区域を指定、拡大する自治体は昨年末からことしにかけて急増している。今後とも国土庁が厳しく指導してほしい」と要望。奥野自民党行財政調査会会長は「東京の地価を下げるには、都内をもっと高度利用し、企業の遊休地などに対しての特別土地保有税などの強化を図るべきだ」などと具体的な対応策を明らかにした。

海部首相は閣議後、坂本官房長官、大蔵、自治、建設、農水、国土の六閣僚を呼び①先行的な監視区域の指定②ノンバンク系金融機関の不動産融資規制③土地投機はもうかるという神話打破④法人の所有する遊休地に対して利用計画を出させる―などを改めて指示した。《共同通信》

【ソ連・ゴルバチョフ大統領】リトアニアに圧力

タス通信によると、武器供出命令で一挙に緊張が高まったソ速バルト地方リトアニア共和国の独立問題で、ゴルバチョフ大統領は22日、ランズベルギス同共和国最高会議議長に電報を送り、同共和国内で進められている民兵組織の創設を中止させ、二日以内に結果を報告するよう求めた。大統領はまた、同共和国最高会議に提案されている「反国家的要求に対する刑事責任法案」は連邦の権限を侵すものであり無効だ、と宣言した。

大統領は16日に同議長に電報を送り、共和国の独立宣言を無効としたソ連臨時人民代演員代議員大会の決議受け入れを要求して以来、矢継ぎ早に対策を打ち出し、独立は絶対に許さないとの強硬な姿勢を貫いている。

タス通信によると、ゴルバチョフ大我領が21日に布告した大統領令に基づき、国家保安委員会(KGB)の国境警備部隊がポーランドと同共和国国境に沿って増強され、税関当局と協力、人や貨物の出入国の管理を強化した。

さらにリトアニア共和国への外国人の立ち入りを制限する措置を取り、同共和国からのソ連国民のボーランドへの出国も厳しくチェックしている。

ソ連で政府側の強硬措置について、22日記者会見した同外務省のゲラシモフ情報局長は、軍事介入の可能性を否定したものの、リトアニア側が武器の供出に応じない場合「緊張は高まるだろう」と懸念を表明した。《共同通信》

【中国民航機乗っ取り事件】容疑者が政治亡命を主張

中国民航機乗っ取り事件の張振海容疑者(36)=拘禁中=の中国側への身柄引き渡しを審査する第一回審問が二23日午後、東京高裁(船田三雄裁判長)で開かれた。張容疑者は「ハイジャックは中国民主化運動への支援を求めるための非常手段だった」と訴え、補佐人団(伊藤和夫弁護士ら3人)も「張容疑者は逃亡犯罪人引渡法で引き渡しを禁じられた政治犯。中国に戻れば死刑の恐れがある」と審査請求を却下するよう求め、在フランス亡命中国人活動家岳武氏ら3人を証人として申請。船田裁判長は4月4日に岳氏の証人尋問を行うことを決めた。これに対し検察側は「張容疑者は政治活動に全く関与していない。犯行の動機は出稼ぎのための国外脱出だ」と主張した。

審問では、まず張容疑者が「私は1979年には共産党幹部らの腐敗を追及するため北京で行われた2000人以上のデモに参加し、逮捕されて精問を受けた。その後も北京と故郷の間を度々往復し、積極的に民主化運動に参加。昨年6月の天安門事件では工人糾察隊を組織し、解放軍の戦車に火をつけた。軍隊に追い詰められ、周辺で学生ら約250人が殺された」と政治活動歴を述べた。

さらに「国外に脱出したのは世界の人民の支援を集めて中国の政治を変えるためだ。中国南部の雲南省などから二度脱出を試みたが失敗、やむを得ずハイジャックした」と、政治亡命だったことを強調した。

続いて補佐人団が①張容疑者は逃亡犯罪人引渡法2条で引き渡しを禁じられた政治犯②人を傷つけない「穏やかなハイジャック」であり、欧米ではこのようなケースで引き渡しを拒否した判例がある③中国側の請求罪名は中国刑法107条(航空機などの破壊罪)を類推適用しているが、これは罪刑法定主義に反する―などと主張。

最後に張容疑者の政治活動歴を知る岳氏、ニューヨーク在住の画家苅未来氏、中国刑法に詳しい米ハーバード大のコーエン教授の3人を証人申請し、天安門事件をめぐるNHKの特集番組などの検証を求めたほか、張容疑者が拷問で受けたという傷跡の鑑定を求めた。《共同通信》

【大相撲春場所十三日目】北勝海関、霧島関に苦杯

大相撲春場所十三日目(23日・大阪府立体育会館)1敗で首位に並んでいた二強のうち、大関小錦は勝ち、横綱北勝海は負けた。小錦は大関北天佑を左四つからの寄りで圧勝し、12勝目を挙げた。しかし、北勝海は大関を狙う関脇霧島に思うように取られて寄り倒され、2敗となった。霧島は2敗を守り、大関へまた一歩近付いた。幕じりの久島海は小結寺尾に送り倒されて3敗を数えた。この結果、きょう十四日目に、小錦が北勝海に勝ち、霧島が星を落とせば、小錦の2場所ぶり二度目の優勝が決まる。

横綱千代の富士は精彩を欠き、大関旭富士のすくい投げに屈して4敗目を喫した。旭富士はようやく勝ち越した。十両では若花田が同じ新十両の曙に敗れて3敗がいなくなり、星岩涛と若花田が4敗で並んだ。《共同通信》




3月23日のできごと