平成3611日目

1998/11/27

この日のできごと(何の日)

【小渕恵三首相】所信表明演説

小渕恵三首相は27日、衆参両院本会議で所信表明演説を行った。首相は、今後の経済運営について①平成11年度にプラス成長に転換させる②12年度までに経済再生を図る―との道筋を示し、その実現に「内閣の命運を賭ける」と言明。緊急経済対策を盛り込んだ約5兆6800億円の10年度第3次補正予算案と財政構造改革法停止法案の早期成立に協力を求めた。今後の政権の枠組みについては、具体的な言及は避け、各党との幅広い連携を目指す考えを示すにとどめた。


https://www.kantei.go.jp/

演説の冒頭、首相は装備品調達をめぐる防衛庁背任事件と証拠隠滅疑惑について陳謝するとともに、今後、信頼回復に全力を尽くす決意を強調した。

また景気の現状について、首相は「『不況の環』とも呼ぶべき厳しい状況の中にある」と指摘した上で、24兆円規模の緊急経済対策を着実に実行する方針を表明。各省庁横断型の「21世紀先導プロジェクト」や「生活空間倍増戦略プラン」「産業再生計画」などを四本柱に景気回復に取り組む考えを示した。《共同通信》

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【宮澤喜一蔵相】年内辞任の意向

宮澤喜一蔵相は27日午前の記者会見で、1999年度予算編成後の年内にも辞任する意向を明らかにした。

宮澤氏は臨時国会後に自民党宮澤派の会長ポストを加藤紘一前幹事長に譲り、来年秋の総裁選では加藤氏を推す考えを示している。宮澤氏は会見で「加藤氏をもり立て、いつでも(会長職を)渡していいと言っている。そうなると内閣にいるのは信義にもとる」と言明した。

宮澤氏は年内に蔵相を辞任することになれば、自由党と連立内閣樹立による小渕内閣の改造時期、規模にも影響を与えることが予想される。加藤氏が派閥会長になれば小渕恵三首相と総裁ポストを争うことになるため、宮沢氏は内閣にとどまりながら加藤氏を支援するのは不適当と判断した。《共同通信》

【自民党・森喜朗幹事長】通常国会は現内閣で

自民党の森喜朗幹事長は27日午前の記者会見で、自由党との連立問題に関連して「急いで内閣を改造する必要はない。小渕恵三首相がリーダーシップを発揮して、今の内閣を組閣した。予算を編成した閣僚が国会に臨むことが常道だ」と述べた。

来年1月の通常国会前に内閣改造を実施し、自由党から閣僚を受け入れることに慎重な考えを示したものだ。

宮澤喜一蔵相が宮澤派会長の辞任に伴って蔵相も辞める意向を表明したことに対しても「閣僚は公的なもの、派閥会長は私的なものであり、連鎖させるのは好ましいことではない。予算編成をした蔵相が通常国会前に辞めるのは適当ではない」と批判した。《共同通信》

【自由党・小沢一郎党首】「消費税見直しに固執せず」

自由党の小沢一郎党首は27日午後、共同通信社で講演し、自民党との連立政権協議の中心課題である消費税の抜本的見直し問題について「経済立て直しの一つの方法論として主張している。ほかに良い方法があれば、何も消費税に固執する必要はない」と述べた。

これは、消費税問題を連立の絶対条件にしないとの見解を明確にしたものだ。小沢氏は小渕恵三首相との党首会談で一致した基本政策のうち①政府委員制度廃止に向けた法整備②政府、与党一体化のための法整備③安全保障体制の確立を重視する考えを表明。これらのテーマは消費税問題に比べて「はるかに本質的な問題であり、戦後政治と決別する第一歩だ」と強調する一方、閣僚や国会議員などの削減問題は必ずしも本質論ではないと指摘した。

自自連立への批判に対しては「自民党とくっついたら元のもくあみ、という議論は政策論を念頭に置かない茶の間談議でしかない」と反論。その上で「今回のことで二大政党制への流れがとん挫するとは全く考えていない」とし、二大政党制の実現に意欲を示した。

自民党内では党首同士の合意に批判がくすぶっているが、小沢氏は「約束が実践されるのは当たり前だ。約束が守られる以上、内閣に協力して危機を乗り切る一助になればいい」と言明した。《共同通信》

【中国・江沢民国家主席】各党代表と会談

中国の江沢民国家主席は27日午前、東京・元赤坂の迎賓館で各党代表と個別に会談した。

江主席は不破哲三共産党委員長に対して「中国は歴史(問題)を言いすぎると言われるが、そうは思わない。(日本軍国主義は)日本国民、アジア諸国民に大損害を与えたが、それを知っている人々が減っている。きちんとしておくことが大事だ」と述べ、今後も歴史認識問題を取り上げていく考えを示した。

民主党の菅直人代表は26日の小渕恵三首相との会談に関連して「首相の言い方は『日本人自身の問題』という所がはっきりせず、あいまいだ。首相の対応には必ずしも満足していない」と批判。江主席は「歴史を変えることはできない。認識をきちんとして将来に対応すべきだ」と応じた。

江主席は森喜朗自民党幹事長に「首相とは思い切った話し合いができた。厳しい表現もあるが、きたんのない話し合いは大事だ」と理解を求めた。

これに先立ち、主席は伊藤宗一郎衆院、斎藤十朗参院両議長主催の朝食会に出席。今後の日中関係について「中国には『歴史はかがみである。それにも増して重要なのは将来のことだ』」という言葉がある。両国の幅広い接触を通じて平和と安定に寄与し、次の世代につなげていきたい」と強調した。《共同通信》

【中国・江沢民国家主席】アクアラインを視察

来日中の中国の江沢民国家主席は27日、川崎市と千葉県木更津市を結ぶ東京湾横断道路(アクアライン、全長15.1キロ)を視察した。

もやのかかるあいにくの天気だったが、東京湾の中央部に浮かぶ海上パーキングエリア「海ほたる」で予定の30分を15分もオーバーして海底トンネルの掘削技術などを熱心に見て回った。

視察は中国側の希望で実現。江主席はこの日、川崎市側から海底トンネルに入り、午後3時すぎ「海ほたる」に到着。掘削機械のミニチュアなどを展示している技術資料室で、日本道路公団の緒方信一郎総裁らからアクアラインの模型や中国語のビデオを使って施設の概要説明を受け「大変素晴らしい道路だ」と、しきりに感心していた。《共同通信》

【プロ野球・オリックス】スカウトが自殺

27日午後1時50分」ごろ、那覇市のマンションから男性が転落したとの110番が那覇署にあった。男性は同2時50分に死亡。持っていた免許証などからプロ野球オリックス球団編成部長の三輪田勝利さん(53)と確認された。同署は目撃証言などから自殺とみて、動機などを調べている。

オリックスはドラフト会議で、高校屈指の速球投手といわれる沖縄水産高校の新垣渚投手(18)との交渉権を獲得したが、同投手は大学進学の意向を示しており交渉は難航。球団スカウト部門を統括する三輪田さんは27日夕に同投手と初めて会い、直接交渉する予定だった。

同署の調べによると、転落前の午後0時半ごろ、三輪田さんとみられる男性が同マンション11階の渡り廊下の転落防止さく(高さ1.4メートル)を乗り越え、下に飛び降りるような素振りをし、途中でやめたのを同マンションの住民が目撃していることや、同階に三輪田さんの靴や財布、バッグが置いてあったことなどから、同署は自殺とみている。遺書などは見つかってない。

三輪田さんは入団交渉のため、21日から沖縄入りしていた。27日午前8時ごろ同球団の別のスカウトと食事をした後、行方が分からなくなり、このスカウトが捜していた。

新垣投手はダイエー入りを希望していたとされ、九州共立大への進学手続きを進めていた。《共同通信》

【この日の民主党】

第144臨時国会が27日、開会した。民主党は開会に先立ち国会内で両院議員総会を開き、「自自連立政権に対決するスタートの国会として頑張ろう」(菅直人代表)と意思統一した。

菅代表はまず、同日朝の江沢民・中国国家主席との会談について、率直で友好的な会談であったと報告。一方、小渕総理と江主席との会談については、「小渕政権は自らのスタンスがあいまいなために、重要な日中関係においても顔のない外交になってしまっていることに危機感を感じる」と批判した。

今国会に対する姿勢として、菅代表は「自自連立政権に真正面から対決する国会だ」と位置づけた。小渕総理と小沢・自由党党首が合意した「自自連立政権」構想について「憲法解釈を変えるのか変えないのか明らかにすべき。また、消費税は凍結するのかどうか、福祉目的税にするから介護保険をやめるという発言もあるが、介護保険制度をやめるという意味だとすると高齢社会に逆行する」と指摘した。

また菅代表は自民党内で生じている亀裂についても「出てこわし、戻ってこわす小沢流」と皮肉り、「自民党から我々と一緒にやりたいという人が出てくれば歓迎する。大混迷の時代に入っている」とし、民主党の役割を強調した。

週刊誌などでバッシングを受けていることについては「私の不注意な行動でご迷惑をおかけした」と陳謝し、「お金の問題なども出たので調べたが、一切問題はないと記者会見で発表した」と述べた。

つづいて羽田孜幹事長があいさつに立ち、「ありえないと思った自自連立政権ができてしまう。参院選の結果をひっくり返すことであり、国民の理解は得られないだろう。政局の安定のためと言うが、安定ではなく、新たな再編成が出てくるだろう」と分析。「私たちは愚直に、自民党に代わるもう一つの勢力を作り上げよう」と呼びかけた。

羽田幹事長は今国会の焦点について「(12月14日までの)短い会期で補正予算、財政構造改革法凍結、日韓漁業協定などが課題となる」と指摘し、「補正予算の中身は従来型で地方負担分が多い。橋本前首相、小渕政権も約束した恒久減税が入っていない。あれほど無理をして作った財革法の哲学はどうなるのか」と、徹底追及の姿勢を示した。

両院議員総会では堀込征雄選対委員、大畠章宏衆院議員から、12月4日告示、13日投票の茨城県議会議員選挙の必勝に向けての応援要請が行われた。

石井一国対委員長はこれまでの与野党折衝について「財革法凍結という内閣総辞職に値する案件を予算委で、補正予算審議の合間にやるという自民党の提案は断固拒否し、特別委員会を設置することとした」と報告。他党の動きにも触れ、「野党としてのわが党の頑張りが求められている」と檄を飛ばした。

総会では「中島洋次郎代議士の辞職勧告決議案を民主党が中心になって出すべき」との意見も出た。

来週から各党代表質問が始まり、30日には菅代表が小渕総理の所信表明演説に対して質問する。《民主党ニュース》



11月27日 その日のできごと(何の日)