平成576日目
1990/08/06
この日のできごと(何の日)
【広島】45回目の原爆の日
人類史上初めて、核兵器の惨禍を体験したヒロシマは6日朝、45回目の「原爆の日」を迎えた。爆心地に近い広島市中区の平和記念公園で、海部首相ら来賓と市民ら5万5000人が参列し「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(広島市主催)が営まれた。
ベルリンの壁崩壊、米ソ両国の戦略核削減基本合意など、この一年、世界は大きく変動し、「核軍拡競争を進めた東西対立は終わろうとしている。だが核実験は続き、イラクのクウェート侵攻など地域紛争が頻発、日本を含むアジア・太平洋の軍縮は進んでいない。
参列者らは、これまでに亡くなった20万人以上とされる被爆者を悼み、核兵器廃絶の誓いを新たにした。あの日と同じように、うだるような暑さで雲一つない青空。「平和の灯」のオレンジ色の炎が揺れる。午前7時58分、例年より2分早く式典が始まった。
厚生省が初めて行った被爆者実態調査で新たに死亡が判明した5551人と、広島市がこの一年に確認した4624人の計1万175人を記した原爆死没者名簿が慰霊碑に奉納され、これまでの名簿記載者は計16万7243人となった。
「祈りの曲」が始まると、遺族代表や本島等長崎市長、姉妹都市のソ連・ボルゴグラード市議会議長らが、慰霊碑に次々と献花した。被爆者の父をことし4月に亡くしたばかりの広島市西区の看護専門学校生荒木雪子さん(24)ら二人がつく「平和の鐘」が、原爆投下の8時15分を告げ、全員で1分間黙とうした。
続いて荒木武広島市長が平和宣言を朗読。米ソの戦略核兵器削減合意など核軍縮の動きを「人類の運命が破滅から生存へと転じる流れ」と高く評価するとともに「核保有国は核兵器廃絶の道を急ぐべきだ」と訴えた。
さらに荒木市長は、非核三原則の空洞化を阻むための法制化と、朝鮮半島など外国在住被爆者の援護を初めて政府に要請、核保有国には、核実験による住民の被害を明らかにするよう求めた。直後、約1500羽のハトが放たれた。
この後、海部首相があいさつし「わが国は非核三原則を堅持してきた」と述べ、被爆者の後遺症対策充実などへの努力を表明した。式典終了後、参列者は追悼行事や平和集会に向かった。《共同通信》
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【国連安全保障理事会】イラク制裁を決議
国連安全保障理事会は6日、クウェートに軍事侵攻したイラクに対する輸出入、金融取引の全面停止を含む包括的な集団制裁決議を賛成13、反対0、棄権2(イエメン、キューバ)を採択した。ブッシュ米政権は軍事介入も辞さない姿勢で、ペルシャ湾方面への艦隊を増派するとともに、海上封鎖を目的としてソ連を含む多国籍艦隊の編成を急いでいる。
一方、フセイン・イラク大統領は同日、ウィルソン駐イラク米臨時大使と会談。7日付の米紙ワシントン・ポストによると、フセイン大統領は席上、サウジアラビアが国内を経由する油送管を閉鎖すれば、サウジを攻撃すると警告したという。《共同通信》
【パキスタン・カーン大統領】ブット首相を解任
パキスタンのグーラム・イスハク・カーン大統領は6日、ブット首相の解任を突然発表するとともに、国民議会の解散と総選挙実施を命じた。これにより、1988年12月に成立したブット政権は1年8ヵ月余りで終止符が打たれることになった。カーン大統領は、選挙管理内閣の首相に、ブット政権批判勢力の野党、民族人民党(NPP)のジャトイ総裁を任命した。
カーン大統領は、ブット首相解任を発表した緊急記者会見で、解任の理由として、権力の乱用、汚職、血縁者の重用などにより「ブット政権はもはや、国民の信頼を失っている」との点を挙げた。《共同通信》
【海部俊樹首相】省エネを国民に要請
海部首相は6日午前、原爆死没者慰霊・平和祈念式出席のため訪れた広島市内で記者会見し、クウェートへ軍事侵攻したイラクに対する日本の制裁措置として決めた石油輸入停止による国内への影響について「(輸入停止が)国民生活に影響がないとは言えない。国民に省エネルギーのお願いもしなければならない」と述べ、当面国民に対して省エネの努力を強く呼び掛ける考えを明らかにした。《共同通信》
【東京株式市場】
週明け6日の東京株式市場は、中東情勢の緊迫化や債券市場の急落、原油市場の急騰を嫌気して全面安の展開となり、平均株価(225種)は前週末比916円23銭安の2万8599円53銭で取引を終えた。平均株価の2万9000円割れは4月17日以来3カ月半ぶりで、4月2日の今年最安値(2万8002円07銭)に接近した。二部市場も暴落商状となり、終値の株価指数は198.40ポイントも下げた。
市場では「“第三次オイルショック”に備え、日銀が近々第五次公定歩合引上げに踏み切るのではないか」との金利先高観が台頭、株価の先行きについても「中東情勢を横目に当面は底を探る展開になろう」(大手証券)との悲観的な見方が強まっている。《共同通信》