平成6110日目

2005/09/30

【大阪高裁・大谷正治裁判長】小泉首相の靖国参拝は「違憲」

小泉純一郎首相の靖国神社参拝は憲法で定めた政教分離に違反すると主張し、旧日本軍の軍人・軍属として戦死した台湾人遺族や日本人の宗教関係者ら188人が首相と国、靖国神社に1人1万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪高裁(大谷正治裁判長)は30日、「参拝は、憲法が禁止する宗教的活動と認められる」と高裁レベルで初の違憲判断を示した。賠償請求は認めず、原告側の控訴を棄却したが、原告側は「実質勝訴」とみて上告しない方針。請求が棄却されているため、国側が判決理由を不服として上告することは事実上難しく、判決は確定する見通し。

小泉首相の靖国参拝を巡る同種訴訟は全国6地裁で7件起こされ、違憲判断は、04年4月の福岡地裁判決(確定)以来2回目。高裁判決は、これまでに7月の大阪高裁(別の原告団)と今月29日の東京高裁と2回あるが、いずれも憲法判断をせずに原告側が敗訴していた。

昨年5月の1審判決は「参拝は、国の機関としての総理大臣の職務行為とは言えない」と私的参拝と判断したうえで、憲法判断をせずに請求を棄却。原告側が控訴した。

小泉首相は就任後、01年8月、02年4月、03年1月、04年1月の計4回靖国神社に参拝。原告側は01年~03年の参拝を対象に提訴した。首相は秘書官を同行して公用車で靖国神社を訪れ、「内閣総理大臣小泉純一郎」と記帳。献花料は私費で支払った。首相側は「参拝は個人の思想、信条に基づくもの。公用車や秘書官の同行は公私を問わずに必要」と私的参拝を主張している。《毎日新聞》

小泉純一郎首相は30日午後の衆院予算委員会で、首相の靖国神社参拝を憲法違反とした大阪高裁判決について「一国民として、首相として、参拝している。首相の職務として参拝しているわけではない。どうして憲法違反なのか理解に苦しむ」と述べ、強い不快感を示した。

ただ年内の参拝の可能性については「適切に判断する」と従来の発言を繰り返すにとどまった。《共同通信》




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【朝日新聞】資料流出で編集局長ら更迭

朝日新聞社は30日、NHK特集番組の改編問題の社内取材資料が外部に流出した管理責任を問い、吉田慎一常務の編集担当兼東京本社編集局長の職を解き、横井正彦東京本社社会部長を更迭、2人を役員報酬減額や減給の処分にしたと発表した。秋山耿太郎社長も役員報酬の50%を3カ月間自主返上する。

取材資料の流出経路は特定できなかったが、秋山社長は「あってはならないことで、関係者と読者におわびする。誠に申し訳ありませんでした」と陳謝した。

特番改編問題の一連の報道では、外部の識者による「NHK報道」委員会が検証結果として、報道の一部は「取材が十分であったとはいえない」との見解を公表。秋山社長は「(記事に)不確実な情報が含まれてしまったことを深く反省する」と述べた。《共同通信》

【エイベックス】「のまネコ」商標登録出願取りやめ

エイベックスは30日、同社が発売中の楽曲「恋のマイアヒ」の宣伝などに使われている猫のキャラクター「のまネコ」について、図形商標の登録出願中止を、著作権を持つ会社に申し入れたと発表した。

「恋のマイアヒ」は、モルドバ共和国出身の3人組「O—ZONE」のヒット曲。歌詞が「飲ま飲まイェイ」など日本語に聞こえることから評判となり、収録アルバムは70万枚以上を売り上げ、「のまネコ」のグッズの販売も始めた。

ところが、「のまネコ」がネット上の掲示板「2ちゃんねる」などで使われているキャラクター「モナー」に酷似しているとして、ネット利用者が反発。「モナーが自由に使えなくなる」と、抗議の動きが起こっていた。

エイベックスでは、「両キャラクターは全く別物だと考えているが、今回の混乱を招いた以上、出願を取り下げて皆さんに安心して頂こうと決めた」としている。また、30日に同社社員への殺人予告が「2ちゃんねる」に掲載されたとして、警察に被害届を出すことも明らかにした。《読売新聞》

【自民党・旧橋本派】政治資金15億円が行方不明に

総務省は30日付で、2004年の政治資金収支報告書(総務相所管分)と政党交付金使途報告書を公表した。政党や政治団体が集めた政治資金の収入総額は、前年比1・4%減の1381億円だった。

自民党旧橋本派の政治団体「平成研究会」の04年分の報告書では、03年から04年への繰越金を2億9700万円と記載していた。昨年の報告書では、同じ03年から04年への繰越金を18億5300万と記載しており、15億円超の大幅な乖離が判明した。

過去の報告が実態とかけ離れた虚偽だったことを旧橋本派自らが認めたことは、政治資金公開制度の形がい化を露呈し、制度への国民の信頼を損なう格好となった。

旧橋本派の報告書には、「15億円の乖離」についての説明はなく、報告書上は、巨額の資金が行方不明となっている。旧橋本派は、異例の「宣誓書別紙」を報告書に添付したが、そこでは、「繰越金に乖離が発生」と認めているが、「引き継ぎが不十分で、かつ過去にさかのぼることもままならない」として、事実上、説明を放棄している。

同派事務総長の津島雄二・元厚相は29日、都内で記者団に対し、15億円の行方について、「解明する資料はない。長年、実態と乖離した会計処理を続けてきた結果だ。特定の人にしか(会計の実態が)わからない仕組みだった」と述べるにとどまった。

関係者の話を総合すると、差額の多くは、派閥の所属議員の活動資金や、国政選の候補者への選挙資金などとして流れていたようだ。使途を明らかにしたくない金を、「繰越金」として処理しているうちに名目上の金額が膨らみ、実際の繰越金はほとんどなかったと見られる。

これまでの報告書によると、旧橋本派は03年までの5年間、毎年の繰越金を20億円前後と報告してきた。旧橋本派以外の各派の繰越金は、04年の報告書では多くても1億円余だった。《読売新聞》

【プロ野球・オリックス】マック鈴木投手らに戦力外通告

オリックスは30日、岡本晃投手(32)、マック鈴木投手(30)、宇都格投手(21) 谷口悦司投手(26)、塩屋大輔投手(29)、五島裕二内野手(29)、福留宏紀内野手(30) 井戸伸年外野手(28)に戦力外通告を行った。

マックは米球界に再挑戦する予定で「またアメリカでチャンスをつかめるように頑張ります」と話した。 球団は高校生ドラフト後にも数人に戦力外通告する方針だ。《デイリースポーツ》

【小泉純一郎首相】特別会計の抜本見直しを表明

小泉純一郎首相は30日午後の衆院予算委員会で、無駄な歳出につながるとの批判が強い特別会計について「総合的に見直す。不必要なものはなくしていく」と述べ、抜本的に見直す方針を強調した。民主党の前原誠司代表が質疑のなかで示した「31の特別会計を六つに再編して5.9兆円を節約する」との試案に関しても「真剣に検討したい」と評価した。

首相は、揮発油税など道路特定財源に絡む道路整備特別会計の改革を念頭に「今までの反対論が本当に正当性を持つのかよく検討したい」と語り、見直しに慎重な国土交通省など関係省庁や「族議員」らをけん制した。

大阪高裁が同日、首相の靖国神社参拝に違憲判断を下したことに関しては「首相の職務として参拝しているわけではない。憲法違反であるとは思っていない。どうして憲法違反なのか理解に苦しむ」と主張した。年内に参拝するかどうかについては「適切に判断する」と述べるにとどめた。《日経新聞》

【この日の民主党】

「使途不明金は自民党本体の体質」野田国対委員長が厳しく指摘

野田佳彦国会対策委員長は30日午前、国会内で記者会見を行い、本日行われる衆議院予算委員会での前原誠司代表らの質疑について期待感を示したほか、旧橋本派の15億円もの使途不明金の問題点を厳しく指摘。政治資金規正法そのものについても、改正の必要性を改めて強調した。

野田国対委員長は冒頭、予算委員会に臨むにあたっての所感として、「昨日、阪神タイガースが優勝したが、その原動力になったのは、締めに入るJFKの3人のピッチャー。民主党も委員会の冒頭からJFKを使う感じの勝負をかけている」と述べ、「応援もしっかりやりながら、いいスタートを切りたいし、期待もしている」とした。

また野田国対委員長は、政治資金の収支報告公表にあたって、旧橋本派に15億円もの使途不明金の存在が明らかになった点について言及。実態解明と改善策の必要性を強調した上で、「もともと形骸化が叫ばれていた」政治資金規正法について、「抜け道」が多いどころか、迂回献金という「回り道」もあるとして、「抜け道・回り道をしっかり閉じる法改正は急務だ」と指摘した。そして野田国対委員長は、「足下の改革をまずやること、そこから真の改革競争が始まる」として、党としても、先の通常国会で改正案を提出していたが、今国会でも改正案を提出する意向を明らかにした。

道路公団の官製談合事件についても野田国対委員長は、「内部調査をやってきた責任者は近藤総裁」だとして、その責任を予算委員会でも厳しく追及する意向を示す一方、「(公取委が)排除勧告をした企業から政治献金を受け取った議員も自民党にはいるようだ」として、「回り道もあり抜け道もあるが、『ケモノ道』もある」と厳しく指摘。官製談合という「ネコババで恩恵に預かった企業から税金のピンハネをしているのが、その政治献金の位置づけだと思う」として、来週の予算委員会でも追及を続ける考えを示した。

また、与野党の年金協議に対する姿勢に関して問われた野田国対委員長は、厚生年金と共済年金の一元化に関して、「具体的な成案をいつまでに与党は出してくるのか、それを踏まえた協議ができるのか」に注目しているとし、これを踏まえた上で「年金協議の再開の時期を判断したい」とした。

また、旧橋本派の15億円もの使途不明金に関して改めて所感を問われた野田国対委員長は、「これは旧橋本派の体質というよりも、自民党本体の体質だと思っている」として、「総裁である小泉総理の見解を厳しく問うていかなければならない」と指摘した。

民主党が闘う集団であることを示すことが重要 会見で鳩山幹事長

鳩山由紀夫幹事長は30日午後、党本部で定例の記者会見を行い、衆院選の総括も踏まえての党改革、参議院神奈川補選、政治資金規正法改正問題などについて所感を述べた。

鳩山幹事長は冒頭、この特別国会で民主党が、「いかに闘う集団であるかを示すことが、きわめて重要だと認識している」とし、「衆院総選挙の結果を真摯に受け止めて、しっかりした総括を行って、それを次の党改革に結びつけていきたい」との強い意欲を示し、12月に予定されている定期党大会に向け、党改革案を迅速につくり上げることを明らかにした。

また、「前原執行部にとって初めての国政選挙」である参議院神奈川選挙区の補欠選挙についても触れ、「牧山ひろえさんという素晴らしい候補を擁立することができた」としつつ、「厳しいたたかいになることは十分に予想されているが、そのためにもこの特別国会で、民主党こそが真の改革政党であるということを示すのが非常に重要」との認識を示した。更に鳩山幹事長は、先の総選挙で、「われわれがあたかも守旧派のようにとらえられてしまった面がある」ことを指摘。「そうではないのだということをはっきりと示していく特別国会にしていく」ことが、参院補選の勝利にも結びつくと述べた。

政治資金収支報告に関して鳩山幹事長は、民主党のホームページで近日中に監査の結果も含めて公表することを明らかにした。その上で、自民党旧橋本派に15億円にものぼる使途不明金があるとの問題に関し、「とんでもない話だ」と指摘した上で、政治とカネの問題が、国民の政治への信頼をおとしめていることに懸念を示し、民主党として、政治とカネの問題を国会の場で徹底的に追及していくとともに、迂回献金を禁止するといった内容の政治資金規正法改正案を改めて提出する意向を示した。また鳩山幹事長は、「自民党が、この問題に関してきわめて消極的であることは論を待たない」とも指摘した。

官製談合が露見した道路公団の民営化の問題についても鳩山幹事長は言及し、「逮捕者も出ている中で、民営化が行われたらどうなるのか」とし、談合に深く関わってきた内田前副総裁を指名したのは元自民党参議院議員の近藤総裁であることを指摘。この官製談合問題の責任者である近藤総裁が、「この問題もまだ十分な解明が進んでいないうちに、あっという間に、民営化された企業に天下りするようなことは、よもやあってはならない」と厳しく指摘し、この問題についても徹底的に追及していく意向を示した。

また、年金制度改革をめぐる与野党協議については、特に政府が厚生年金と共済年金の一元化に向けた動きがあることも踏まえ、単なる終着点なのか、年金制度一元化への一里塚なのか、「よく見極める必要がある」との見解を鳩山幹事長は示した。

今日、大阪高裁で小泉首相の靖国神社参拝が違憲だとする判決が出されたことについて問われた鳩山幹事長は、「総理として、公的な立場での靖国参拝はすべきでない」との従来の党としての考え方を改めて述べた上で、判決については、「きわめて重いものだと受け止めるべき」だとして、小泉首相は、「内閣総理大臣として参拝をするべきではない」と改めて強調した。

前原代表、羅鍾一駐日韓国大使と会談

前原誠司代表は30日夕刻、韓国の羅鍾一(ラ・ジョンイル)駐日大使の表敬訪問を受け、都内で会談した。

会談の冒頭、羅大使は、若い方が政界の中心に出ることは嬉しいとした上で、過去の歴史の経緯が将来の障害にならないよう、日韓で協力関係を築くことを期待するなどと語った。

これに対して前原代表は、小泉首相の靖国神社参拝をめぐり、30日に大阪高等裁判所が違憲判決を出したと紹介し、無宗教の国立追悼施設の構想を進めるという考えや、総理大臣は靖国神社に行くべきでないという方針に変わりは無いと説明した。羅大使は、地域の平和や繁栄が、靖国問題ひとつで日中韓の協力が進められないとなるのは良くないとの認識を示した。

羅大使はまた、アジア外交に関する見解を質問し、前原代表は「北朝鮮」「海洋資源」「漁業」などについて、WIN-WIN関係を作りたいなどと述べた。特に、北朝鮮問題については、6者協議の枠組みを壊さず、核・ミサイル・拉致問題の平和的な解決をはかるべきと主張。これに対して羅大使は、日本にはもっと能力にふさわしい外交的な役割を果たしてほしいとの期待を表明した。

また前原代表は、拉致問題は国民感情としてどうしても解決しなければならないと指摘。6者協議において、政府はもっとうまく北朝鮮と交渉する余地はなかったか、もっと対話のやり取りを行う必要はなかったかなどと述べた。

前原代表は、アジア地域の平和と繁栄のために日本の果たす役割について、FTAを積極的に推進すべきなどと見解を大使に伝えたほか、内政に関しては、国の借金に関する問題や少子高齢化に取り組み、「いい意味での改革の競争」を行うとともに「人にあたたかい政治」を実現するなどとした。

会談ではこのほか、羅大使が在日韓国人の地方参政権問題を取り上げ、前原代表は「地方参政権を認めるという党内の大多数の意見があることは承知している」としたうえ、大使の言葉を重く受け止めたいなどと語った。

会談には、党国際局の末松義規衆議院議員、副局長の白眞勲参議院議員が同席した。

[衆院予算委]前原代表、行財政改革へ特別会計見直し等を提案

「闘う民主党」を宣言した前原誠司代表は「自ら先頭に立って闘う姿を示したい」との意向から衆院本会議に続いて30日の衆院予算委員会でも質問に立ち、小泉首相と直接対決し、行財政改革を中心に議論した。

前原代表は冒頭、「国会議員は国家経営者たれ」という恩師・松下幸之助氏の言葉を引き、会社経営者がムダ遣いを省き、将来ビジョンをもって会社経営を行っているのに対し、翻って国の実態を見ると、借金だらけでビジョンも戦力もない状況にあるとの見方を示した。その上で、「経営感覚なき政治はなくしていかなければならない」と述べ、「今後の日本の改革をいい意味で競いあいたい。それが健全な2大政党制の発達となり、ひいては国民のみなさんの利益につながる」と語り、建設的な議論を首相に求めた。

続いて、1000兆円の借金をかかえ、単年度予算でも一般会計の歳出総額が82・2兆円であるのに対して一般会計税収が44兆円で、歳費欠損は38・2兆円となっている状況について、「異常な国だ」と前原代表は述べ、行財政改革の必要性を改めて強調した。

前原代表はまた、「政府の総資産700兆円、GDPの1・4倍、これはどう考えても大きな政府だ」と指摘。自民党が小さな政府を目指す旗頭であるような誤解が世間に蔓延している状況に対し、「戦後60年かけて大きな政府、水ぶくれのムダが多い政府を作ってきたのは自民党自身だ」と本質を突くとともに、日本を借金大国に陥らせたことへの反省もなく、マニフェストに「小さな政府」を列記する自民党の不誠実な姿勢を問題視した。

特別会計が一般会計の約6倍にも上っているにもかかわらず、一般会計だけが国会審議の対象であり、特別会計は野放しである状況を前原代表は深刻に受け止めるとともに、まず公務員待遇を民間企業レベルに見直していくなど、公務員制度改革の必要性を提案した。

同時に、前原代表は、特別会計が税のムダ遣いの温床となっている例を列挙した上で、特別会計の見直しこそが歳出削減、行財政改革につながることを強調。民主党が先の衆院選のマニフェストで「ムダ遣いの温床・特別会計をゼロベースで見直し、財政健全化に活かします」と宣言した31の特別会計を6に整理する特別会計改革について、政府としても真剣に検討するよう首相に強く求めた。

この要請に首相は、「31特別会計を6特別会計に仮に減らした場合に、5.9兆円の節約ができるかどうか、こういう点について政府としても真剣に検討してみたい」と述べ、前向きに取り組む姿勢を見せた。そうした答弁を受けて前原代表は、特別会計を議論するための特別委員会が必要だと問題提起したが、首相は、「その議論をするのが、まさに予算委員会だ」とするにとどまった。

そのほか、前原代表は、予算を計上しながらその10分の1も使いきれていない役所の架空予算ともいえる問題を取り上げ、「使い切れというのではなく、精査が必要」とする認識を示し、徹底的に正すよう谷垣財務相に要請。財務相は「予算の積算根拠と執行実績が違っているものは厳重にメスをいれていく」と応じた。

民主党が従来から指摘してきた道路特定財源の見直しについて、議論が必要との考えをようやく示しはじめた首相の姿勢にも言及し、前原代表は一般財源化して教育、福祉、環境対策にあてていくよう問題提起した。

締めくくりには、自民党マニフェストに「サラリーマン増税は行うとの政府税調の考え方はとらない」と明示しながら、総選挙後その舌の根も乾かぬうちに定率減税廃止を打ち出した政府・与党に対し、「だまし討ち、まさに効率違反だ」と批判し、そうした政府・与党の暴走に対してはしっかりとチェックしていくことを宣言。建設的な闘う野党として、今後の国会論戦を通じて問題を追及していく姿勢を強く示した。

[衆院予算委]松本政調会長、自民党マニフェストの食い違いを追及

30日午後、衆院予算委員会において松本剛明政調会長が前原代表からバトンを継いで質問に立ち、郵政民営化案の問題点や定率減税に関する自民党の公約と政府の政策の食い違いを追及した。

冒頭松本政調会長は、本日大阪高等裁判所で小泉首相の靖国神社参拝に対する違憲判決が出されたことを取り上げ、首相として参拝する意味は重いと指摘し、首相に参拝継続の意思を問い質した。これに対して、首相は違憲とは思わず、違憲でないという判決もあると答えた。政調会長は、首相が司法判断を行うわけではなく、また明確に合憲とした判決はないはずであると述べたうえで、首相の今年中の参拝の意思を問い質したが、首相は「適切に判断する」と明確な答弁を避けた。

次に政調会長は郵政民営化問題をとりあげ、政府案では巨大な民間会社ができ、民業圧迫になると指摘して、民主党は郵貯限度額の引き下げなどを提案すると述べた。これに対して首相は、民業圧迫になる懸念を認めつつも、限度額を引き下げると経営が成り立つのかなどと苦しい答弁を行った。また、郵貯銀行などは官が育てたものなので、代表質問に対する首相答弁のように市場の中で適正規模に持っていくのは困難である点を指摘し、首相答弁の訂正を求めたが、首相は規模適正化は段階的にしか出来ないとのみ答弁した。

政調会長は、国債と財投債は使途も償還財源も異なるので明確に区別すべきであると主張したが、竹中郵政担当相はそういう制度設計はイメージが浮かばないと答弁し、また谷垣財務相は区分経理すれば問題ないと答弁して、提案を正面から受け止めなかった。

政調会長は、郵便局のネットワークの維持は公社形態によるべきであると主張した上で、政府の民営化法案における過疎地のネットワークの維持が各種の地域振興法の対象地域に限定されている点を捉え、それらの地域振興法に改廃があった場合におけるネットワークの維持について質問した。これに対して、郵政担当相は民営化法成立時の地域について維持をしていくと答弁した。

政調会長は、定率減税の廃止や各種所得控除の見直しによるサラリーマン増税について、自民党がマニフェストや幹事長発言などで否定的な主張をしているにもかかわらず、政府は政府税調や財務相などが肯定的な主張をしている点を捉えて、国民に対する公約を守るべきであると迫った。財務相は、まだ決めているわけではないと苦しい答弁で応じ、首相は、税制全体の中で見直しを行うとの抽象的な答弁で応じるのみであった。

さらに政調会長は、公務員給与決定について人事院勧告に政府としての判断を加えるべきではないか、また年金について自民党が真剣に協議に応じる気があるのか、などについて政府を追及した。

[衆院予算委]道路公団談合を厳しく批判 長妻昭議員

長妻昭『次の内閣』ネクスト国土交通大臣は、30日予算委員会で、道路公団の談合事件、及びその談合体質を「談合は泥棒」だと厳しく批判し、小泉首相に根絶への認識を質した。しかし、首相は根絶への認識を示さなかった。

長妻議員は質問の冒頭、旧橋本派の使途不明金が15億5600万円もの巨額に上ったことを取り上げ、「なぜこんなことが起きるのか」と首相にその認識と調査を求めた。首相は「党の問題なら調査するが、把握していないので答弁できない」と逃げの答弁に終始した。

続いて明日10月1日から民間会社となる道路公団の談合事件を取り上げ、排除勧告を受けた新日鉄と神戸製鋼要職にあり、しかも道路公団の営業担当であった人物が東日本会社と西日本会社の会長に就任することを取り上げ、「これでいいのか」と迫った。北側国土交通大臣は「談合に関与したことはない」と開き直った。

さらに、道路公団の内部調査で判明した談合関与者数を明らかにするよう迫った。近藤総裁は「6人」と答えたが、竹島公正取引委員会委員長は「20名程度」と答え、明らかに内部調査が甘いものであることが明らかになった。このため長妻議員は「ほうかむりして、民営化で逃げるのか」と追及。近藤総裁は「内部調査は完了していない」と開き直った。

また、道路公団のファミリー企業が1000億円もの余剰金を有していることを取り上げ、もっと返還させるよう迫った。北側大臣は「100億円はスタートの数字」と交わした。

最後に長妻議員は「談合根絶への意気込みが感じられない。談合は人を不幸にするシステム。今後も監視していく、道路公団は民間会社になっても今までとおりに情報を出してほしい」と要望して質問を終えた。

特別会計の見直しはいいが、問題は中身 前原代表が記者団に

前原誠司代表は30日午後、衆議院予算委員会での自らの質疑を終えた後、国会内で記者団の質問に答え、小泉首相とのやり取りなどについて、感想を率直に語った。

前原代表はまず、質疑の手応えについて、「代表質問と違って一問一答なので、より議論は深まったと思う」とし、代表が「こだわった」という「まさに伏魔殿」の特別会計の改革についても、「行革なくして増税なし」との自らの主張を踏まえつつ、「見直しを約束されたのはいいが、要は中身だ」と釘を刺した。

質疑全体の構成についても問われた前原代表は、「税のムダづかいの部分ではしっかり議論できた」としつつも、外交問題や障害者自立支援法の問題については、「時間がなく、できなかったことは残念だ」とし、今後の党首討論などで改めて取り上げていく意向を示した。

また、定率減税廃止の問題についても前原代表は触れ、政府側が、定率減税廃止がサラリーマン増税の範疇に「あたかも含まれていないような答弁をした」ことを問題視。「今回の議論で、国民を欺くようなものがあったのではないか」と指摘し、「舌の根も乾かないうちにマニフェスト・公約を破ろうと」していることを厳しく批判した。前原代表は更に、「郵政の賛否だけで判断をしたことの問題が、もう既に露呈してきた」として、「よほどわれわれがしっかりしなくてはならない」と述べて、今後の国会質疑に更なる緊張感をもって臨む意気込みを改めて示した。

前原代表、牧山候補予定者ら、新橋での街頭演説会で訴え展開

民主党は30日夕方、都内のJR新橋駅前で街頭演説会を開催し、内外の諸課題に関して力強い訴えを行った。

今回の街頭演説会には、代表就任後、初の街頭演説会参加になる前原誠司代表をはじめ、『次の内閣』子ども政策/人権・消費者/男女共同参画担当ネクスト大臣の小宮山洋子衆議院議員、田嶋要・柚木道義両衆院議員、鈴木寛・蓮舫両参議院議員に加えて、参院神奈川選挙区補欠選挙に民主党公認で立候補予定の牧山ひろえさんも参加した。

笠浩史国民運動委員長の司会の下、小宮山、柚木、鈴木、田嶋、蓮舫の各議員が次々に登壇。先の衆議院選挙を振り返りつつ、民主党再生への決意をはじめとして、税金のムダづかいの問題、年金制度の抜本改革に関する考え方、郵政民営化法案への対案提出、道路特定財源見直しは困難との国交相発言、天下り禁止と政官業癒着の問題、官製談合と道路公団民営化の問題などについて、それぞれが力強い訴えを行った。

そして前原代表が登壇し、代表の東京で初めての街頭演説を一目見ようと駅前を埋めた聴衆を前に演説。前原代表はまず、先の総選挙において、「全国で2480万人もの方に民主党の小選挙区の候補者の名前を書いていただきながら、勝つことができず、議席を大きく減らすことになった」として、「民主党に期待をし、政権交代に期待をしていただいた方々には、私から心からお詫びを申し上げなければならない」と陳謝した。

その上で前原代表は、「民主党は生まれ変わった」と力強く宣言し、総選挙の強烈な反省の上に立って、民主党のためではなく国民の皆さんのために、今の与党が暴走した時に、国民の気持ちをしっかり受け止める受け皿となるべく全力を尽くしていく、との考えを表明。総選挙中に何人もの有権者から、「本気で君たちは政権交代を考えているのか、本気で日本の将来を担う意志を持っているのか」と問われたことを紹介して、政権を獲る気概を疑われ、そのことが失望に変わったことを指摘しつつ、「常に重要問題については対案を出す」ことで、与党と「どちらが皆さま方の生活にとって、いい案を出しているか、常に比べていただける政党にしたい」とした。そして前原代表は、「反対のための反対」をせず、「いい改革競争をしたい」と宣言した。

前原代表は更に、今日行われた衆議院予算委員会での小泉首相との質疑についても触れ、税金のムダづかいがあまりにも多すぎるとして、「伏魔殿のような特別会計では、ムダし放題、天下りし放題だ」と改めて厳しく批判を加えた。その上で、首相に対しては、透明な税金の使い方にしようではないかと呼びかけて、特別会計の見直しを提案をしたことも紹介した。

続いて、定率減税の廃止や退職金の課税強化といった増税の動きが選挙後に出てきたことに、前原代表は怒りを込めて演説。「自民党のマニフェストにはサラリーマン増税はやらないと書いてあるのに、選挙が終われば谷垣財務大臣は、定率減税の廃止をしゃあしゃあと言った」と指摘し、「約束をしたマニフェストさえ、もう破ろうとしている」と小泉・自民党政権の不誠実きわまりない姿勢を厳しく批判した。

そして、郵政以外の「他の問題について皆さんは本当に今の政権に白紙委任をしたのか」と呼びかけ、「多数の横暴が、今まさに始まろうとしている」と前原代表は警告。「政府がいいことをやれば賛成もする」として提案型の論議もしていく一方、「舌の根も乾かないうちに、皆さんとの約束を反故にして、数を頼りに物事を進めていこうなどという」横暴な政治を展開するのであれば、「絶対に許してはならない」と厳しく批判を加えた。

前原代表は、民主党代表となった際の率直な心境として、「1日1日を人生の集大成として、政治生命をかけてがんばる」などと述べたことについて、「その気持ちは微動だにしていない」とし、「民主党にご期待をいただきたい」と、民主党の闘う姿勢への支持を改めて呼びかけた。

最後に前原代表は、来月23日に投開票が行われる参議院神奈川県選挙区補欠選挙について、民主党として牧山ひろえさんを擁立したことを報告。真の政権政党になるために、常に対案を出し、いいことは後押しし、悪いことは身を挺して止めることで、今の与党の暴走路線を食い止める覚悟を改めて強調した。

街頭演説会の最後には、参院神奈川補選の牧山ひろえ候補予定者も初めての演説を行い、二児の母として、働く母親として、少子化、いじめ、働く女性の環境の問題などの色々な問題に挑戦していきたいとの意欲をまず語った。牧山候補予定者は更に、先の総選挙に関して、「若くしがらみのない、改革のできる唯一の政党が民主党であることが、上手く皆さまに伝えられなかったことが非常に残念だ」として、「前原代表の下、既得権にとらわれない政党として再出発した」ことを宣言。「一般市民、納税者の代表として、皆さまの声をしっかりと誠実に国政に届けていきたい」として、「若さ、バイタリティー、情熱、温かいハート」でがんばっていくと力強く語りかけ、大きな拍手を浴びていた。《民主党ニュース》



9月30日 その日のできごと(何の日)