平成5220日目

2003/04/24

この日のできごと(何の日)

【東京地検】オウム・松本智津夫被告に死刑求刑

オウム真理教(アーレフに改称)の松本智津夫(麻原彰晃)被告(48)に対し、東京地検は24日、東京地裁(小川正持裁判長)で開かれた第254回公判で、死刑を求刑した。論告で検察側は「これほどの凶悪重大犯罪を繰り返し、悲惨な結果をもたらした者はなく、わが国の犯罪史上最も凶悪な犯罪者というしかない」と指摘した。オウム事件での死刑求刑は13人目。10月30、31日に弁護側が最終弁論を行って結審し、判決は来年初めにも言い渡される見通し。

松本被告が指示したとされる地下鉄サリンなど13事件では、計27人が死亡した。90年代の日本を揺るがしたオウム真理教の「教祖」の裁判は、初公判からちょうど7年で大きな節目を迎えた。

検察側は論告で、「松本被告は自分への帰依と絶対的服従を弟子に求め、衆院選敗北(90年2月)を機に、社会全体を激しく憎悪し、無差別大量殺りくに突き進んだ」と、生物兵器や化学兵器の開発など、教団が進めた武装化の経過を詳述。さらに具体的な言葉を挙げて、各事件の実行を弟子たちに指示した首謀者と断定した。

また、松本被告の情状について「今日に至るまで、自己の非を認めるどころか、弟子に責任転嫁するなど見苦しい態度を取り続け、全く反省、悔悟の情は認められない」と厳しく非難した。

一連の事件の動機としては「異常なまでに強烈な権勢欲と支配欲を満足させるだけのために、各犯行の指示が出された」と指摘した。死者数が27人に上ることにも触れ、「組織犯罪の中でも組織性、計画性は群を抜き、日本の治安を根幹から揺るがした責任は極めて重大だ」と述べた。

個別事件では、地下鉄、松本両サリン事件について「わが国犯罪史上、例を見ない凶悪な無差別大量殺りくテロで、宗教性などみじんも認められない」と非難した。坂本堤弁護士一家殺害事件では「いたいけな幼児(長男龍彦ちゃん)を含め、家族もろとも殺害した冷酷非情、卑劣極まりない犯行だ」と指弾した。《毎日新聞》

死刑求刑に、オウム真理教松本智津夫被告(48)は無反応だった。24日夕、東京地裁104号法廷。「史上最も凶悪な犯罪者」「敵対者と見なせば殺りくを指示した」…。検察官の断罪の言葉が響く。無差別テロへ駆り立てたものは何だったのか。「教祖」が自らの言葉でそれを語ることは、ついになかった。「謝罪が欲しかった」。遺族や、後遺症に苦しむ被害者の傷が癒やされることはない。

初公判から7年の長期裁判に、やり切れない表情を見せる被害者ら。「まだ通過点」「被害者の苦しみに終わりはない」…。松本被告に死刑が求刑された後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見し、口々に訴えた。

「心も体も弁償してもらえない被害者の現状を知ってほしい」。地下鉄サリン事件で父を失った中越真紀さん(32)は、この日の会見で初めて実名の公表を決意した。

教団からの報復への恐怖、嫌がらせ電話…。事件後、精神的に不安定な状態が続いていたが、最近ようやく落ち着きを取り戻したという。死刑求刑については「父に裁判のことを伝えるのは判決が出てからにしたい。長い間待たされるのはつらい」と目を伏せた。

強い口調で「死刑求刑は当然。被害者の思いを松本被告の胸の奥底に届けたい」と話したのは、同様に事件で夫を失った高橋シズエさん(56)。

「地下鉄サリン事件被害対策弁護団」の中村裕二事務局長は「求刑は通過点の一つだが、それでも(裁判には)どこかで終わりがある。しかし遺族の悲しみや後遺症の苦しみには終わりがない」と訴えた。《共同通信》

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【ソニー】1111億円の赤字

ソニーは24日、今年1−3月期の連結損益が、同期としては過去最悪の1111億円の赤字に陥ったと発表した。デフレによる価格の下落や競争激化で、パソコンやテレビなど主力のエレクトロニクス部門が極度の不振に陥ったため。

2003年3月期の通年決算は、ゲームや映画部門の好調で純利益が前期比べ約7.5倍増の1155億円となったが、1−3月期の業績悪化が響き、予想の1800億円を大きく下回った。

04年3月期の同利益も57.0%減の500億円と、大幅減益を見込んでおり、電機大手で「独り勝ち」だった同社の業績改善ペースは急激に悪化。国内ハイテク産業の低迷が長期化しそうだ。《共同通信》

【競泳】

世界選手権などの代表選考会を兼ねた競泳の日本選手権第3日は24日、東京辰巳国際水泳場で男女計4種目の決勝などを行い、男子100メートル背泳ぎ準決勝で錦織篤(ミキハウス茨城)が54秒54の日本新をマークし、1988年ソウル五輪で金メダルの鈴木大地がつくった55秒05の最も古い日本記録を15年ぶりに更新した。

女子1500メートル自由形は山田沙知子(KONAMI)が自身の記録を3秒53上回る16分12秒75の日本新で勝ち、四白いと合わせ2冠を達成した。

男子200メートル個人メドレーは森隆弘(ミキハウス)が2分0秒64で初優勝し、三木二郎(東京SC)が2位。男子は森と三木、女子は山田と1500メートル自由形の柴田亜衣(鹿屋体大)が世界選手権の代表に入った。《共同通信》

【政界談話室】

○・・・自由党の小沢一郎党首は24日、東京都内で衆院補選応援の街頭演説。小泉政権のイラク戦争への対応について「米国のおしりにくっついているだけ。米国からも近隣諸国からも相手にされていない」とこき下ろした。さらに党首討論で菅直人民主党代表が、小泉改革の唯一の成果は公用車を低公害車に代えたことと皮肉ったことを紹介した上で、「もう一つある。医療費の値上げだ。これが2年間の政治の実態」とめった切りにし、政権へのうっぷんを一気に晴らした格好。《共同通信》

【小泉純一郎首相】

「わたしの改革への熱意は使い捨てライターよりも燃えていますから、大いにこれからも頑張りたい」

小泉純一郎首相は24日夜、政権が発足して26日で3年目に入ることを受け、首相官邸で記者団に「使い捨て」にはならないとばかりに改革に向けた情熱が不変であることを強調した。

首相は、使い捨てライターを引き合いに「かつて『歌手1年、首相2年の使い捨て』という言葉がはやった。政治家はいつも使い捨てにされる」とぼやいてみせたが、「改革はいつ軌道に乗るのか」と記者団に問われると「もう最初から軌道に乗っています」と反論。現在の心境については「いろんな批判に耐えて、丸め丸めよわが心」と「穏やかさ」を強調したが、「改革に対しては激しく熱意をもって、熱い心でまい進したいと思います」と力説した。《共同通信》

【北朝鮮】「核兵器を保有」

米政府高官は24日、北朝鮮が北京で行われた米朝中の3カ国協議の際に、核兵器を既に保有していると米側に伝えたことを明らかにした。米国筋によると、北朝鮮は使用済み核燃料の再処理も開始したと米国に通告した。

北朝鮮が核兵器保有や再処理着手を公式の場で述べたのは初めて。米国筋によると、北朝鮮はブッシュ米政権の今後の対北朝鮮政策次第では、核実験に踏み切る可能性も示唆した。

北朝鮮の核保有発言は、ブッシュ政権内の対北朝鮮強硬派を勢いづかせるのは必至で、米朝関係の緊迫化が予想されるほか、東アジアの安全保障情勢にも影響を与えるとみられる。

ブッシュ米大統領は24日、米NBCテレビのインタビューで、発言について「脅しのゲームだ。屈しない」と述べ、核拡散防止体制を強化する方針を表明した。

米CNNテレビなどによると、3カ国協議の初日である23日の協議で、北朝鮮首席代表の李根・外務省米州副局長が米首席代表のケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)に対し(1)北朝鮮には核兵器開発計画がある(2)核兵器を保有しており廃棄には応じられない(3)核保有の物理的な実証は米国の対応次第である−と伝えた。「物理的実証」とは核実験を指すとみられる。李首席代表はケリー次官補に二国間だけの協議の場でこれらを伝えた。

バウチャー米国務省報道官は24日の記者会見で、北朝鮮の発言について「慎重に分析し、今後の対応を決める」と説明。米国筋は「北朝鮮の主張はどの程度事実か分からない。分析が必要だ」と述べた。《共同通信》

【イラク戦争】アジズ副首相拘束

米中央軍は24日、崩壊したイラクのフセイン政権の最高幹部の一人であるアジズ副首相を拘束したと発表した。拘束時の詳しい状況は不明だが、米NBCテレビは、副首相は数日間に及ぶ交渉の末、バグダッドで投降したと報じた。

アジズ副首相は流ちょうな英語を駆使し、政権の対外的なスポークスマン役を務めてきた。米政府は「(政権崩壊を裏付ける)象徴的な進展と重視している。

NBCによると、米政府当局者は「フセイン大統領の居所や大量破壊兵器開発などの詳細を知っている可能性がある」と指摘、事情聴取の成果に期待をかけている。

アジズ副首相は90年の湾岸危機から91年の湾岸戦争に至る時期には外相を兼務。当時のベーカー米国務長官と丁々発止のやりとりをしたことで一躍、イラクの「顔」となった。《共同通信》

【MLB】

米大リーグ、ヤンキースの松井秀喜外野手は24日、エンゼルス戦に「5番・左翼」で出場し、6試合ぶりとなる2安打(4打数)を放ち、打率を2割7分8厘に上げた。松井は四回二死一、三塁から右前適時打で1打点をマーク。六回にも右前打した。ヤンキースは2−6で敗れ、連勝は7で止まった。

マリナーズのイチロー外野手はインディアンス戦に「1番・右翼」で出場し、3打数1安打で打率は2割7分3厘。2点リードの八回から登板した長谷川投手は1回を1安打無失点の好救援。マリナーズは4−2で勝ち、今季2度目の4連勝。メッツの新庄外野手はアストロズ戦の八回に代打で出場し、一飛に倒れ、そのまま中堅に入った。《共同通信》

【この日の民主党】

「小泉政権の延命を許してはいけない」菅代表が世田谷で街頭演説

民主党の菅直人代表は24日、衆議院東京6区補欠選挙の応援のために、自由党の小沢党首とともに世田谷区三軒茶屋で行われた街頭演説会でマイクを握り、「小泉政権の延命を許さない意志表示を」と訴えた。

菅代表は演説で、前日の党首討論における小泉首相との論戦に触れ、「小泉政権の2年間で、公約した改革のうち何が進んだか、国民にいいことが一つでもあったか、と問い質したが、総理は何も示すことができなかった。外交でも、北朝鮮の核開発問題に対する日本政府としての練り上げた方針はないのかと聞いたが、何一つ示せなかった」と報告。改めて「小泉政権打倒なくして景気回復はない、自立した外交はない」と強く訴えた。

また菅代表は、「税金の無駄使いを追及し、本当の構造改革をめざして頑張った故・石井紘基議員の遺志を引き継ぐ」ためにもこの選挙は負けられないとし、「ここで勝って、次の総選挙で民主党と自由党が手を組んで300議席を、さらには480議席を戦い取っていく」と力強く決意を述べて、聴衆の大きな拍手を受けた。

「自由党との合流 9日までの結論に努力」岡田幹事長

民主党の岡田克也幹事長は24日の定例記者会見で自由党との合流問題について触れ、「5月9日までに、間に合えば結論を出す。(自由党に)『努力する』と言ったが、約束までにはしていない。そうしたいという気持ちはある」と述べ、党内での議論を進める考えを示した。

また、松浪議員に対する与党の対応について「鈍さに驚くばかり。言い訳に終始している。暴力団との関係について、当事者である保守新党と同じ態度でいると指摘されても仕方がない。福田官房長官の発言(「暴力団も有権者」)は論外」と述べ、与党の姿勢を厳しく批判した。

徳島県知事選で前職・大田氏の推薦決める

民主党は24日、臨時の持ち回り常任幹事会で、徳島県知事選挙に立候補を予定している前職の大田正氏を推薦することを決定した。

大田氏は59歳。北島町議会議員、徳島県議会議員をそれぞれ4期務めた後、昨年4月、圓藤前知事が収賄事件で失職したことを受けた知事選に立候補し、民主党はじめ社民党、連合、勝手連などの支援を受けて当選したが、今年3月に県議会野党の自民党、公明党などが不信任決議を可決したため、失職。今回の選挙に再度挑戦する。

徳島県知事選は、5月1日告示、18日投票。

[衆院事態特]首藤議員、国民保護の立場からの法整備求める

有事法制関連3法案を扱う衆議院武力攻撃事態特別委員会が24日行われ、民主党・無所属クラブを代表して首藤信彦議員が質問に立った。

首藤議員は「武力攻撃は平たく言えば戦争」との見方を示した上で、国連決議なしに行われたイラク攻撃のように、世界のルールを無視して行われる攻撃が日本にいつふりかかるかわからない事態にあると指摘。そうした懸念を示した上で首藤議員は、特に修正案について質したいとして「(有事法制関連3法案は)構造がよくない、憲法における根拠も明確でない、内容がかつての旧態依然とした戦争のイメージから脱皮していない、防衛庁中心の対応にすぎず国民の対応が盛り込まれていないといった批判があるが、(修正案が)これらに対応できているとは思えない」と断じた。首藤議員は修正案提出者に対し、大規模リスクに対する国民保護の立場からの対応を考えた法整備こそ必要とする見方を示した。

首藤議員は続いて、修正案は憲法のどこに根拠するかを数回にわたって質問。修正案提出者は「憲法に根拠するというより、憲法の枠内でどういうことを法律として定めなければならないかといった視点に立って整理した」などとする答弁を繰り返した。首藤議員は「憲法に根拠がない法律ということか」と重ねて追及したのに対しても修正案提出者は、「いろんな法律があるが、憲法のどの条項に根拠があるかに基づいてつくられてはいない。憲法は国のあるべき姿としての方向が示されたもので、その枠内で個々に法律はつくられている。いちいち条項に根拠するものではない」などとする逃げの答弁に留まった。首藤議員はこれに対し、「憲法は民主主義の集大成であるはず。すべての法体制を包括しているものであるべき」とする考えを示した。

首藤議員はさらに武力攻撃事態の定義について質問。昨年の審議でも論議の的となり、民主党も再三にわたって不明確さを指摘し、政府に対して明確にするよう求めてきた「おそれ」について、修正案では「定義がわかりにくいために削除した」点を質した。首藤議員は「正確な情報」でなくても「おそれの事態」への対応も考慮する重要性を指摘した上で、「武力攻撃事態において『おそれ』の事態は無視していいということか」として、修正案で削除しただけの修正案に疑問を呈した。

首藤議員はまた、国民保護の立場からの対応を重視する立場から、修正案で「広く国民の意見を求める」としているが、その具体的内容が示されていない点を問題視した。同時に、武装した不審船・武装していない不審船・工作船、大規模なテロリズムなどの定義のあいまいさなどを指摘。首藤議員は「きちっと書かれていなければ、それが法律によって阻止されるべき行為なのかどうかわからない」として法案の不備に重ねて言及した。

[衆院事態特]平岡議員、政府法案の憲法上の根拠を質す

衆議院の武力攻撃への対処に関する特別委員会で24日、政府提出の武力攻撃事態安全確保法案など、有事法制関連3法案について集中審議が行われた。民主党・無所属クラブから首藤信彦議員に続いて、平岡秀夫議員が質問に立った。

平岡議員は冒頭、連休中に小泉首相、川口外相、石破防衛庁長官など12名の閣僚が外遊することを指摘。「最高責任者、日米安保条約の責任者、国防の責任者の3大臣が5月3日については全員海外に行っている。政府の危機管理意識がちゃんとしているのか」と、福田官房長官らに危機管理への対応を質した。

官房長官は「国会のお許しがなければ行けないが、この時期に各閣僚が担当する分野の国際会議があり、それが偶然重なった」「危機管理については、臨時代理をそれぞれ設け、対応に万全を期したい」と答弁。平岡議員は、「そういうことを言い出すこと自体、危機管理意識が乏しい」と政府に対して強く抗議した。

続いて平岡議員は、憲法上、参議院の緊急集会の規定(54条)を除いて緊急事態に対応する規定がおかれていない現状を指摘し、「武力攻撃事態安全確保法案制定の憲法上の根拠は何か」と質した。「武力攻撃事態安全確保法案関連3法案は現憲法の範囲内で立法しようとするもの」と官房長官が答弁したのを受け、平岡議員は「憲法の範囲内とはどこからどこまでなのか」と追及。福田官房長官は「突然の質問で私もよく整理していない」などと極めて無責任な答弁を行ったため、平岡議員は「突然ではない。時間の無駄をしているようなものだ。きちっと答弁してもらいたい」と強く申し入れた。

基本的人権について平岡議員は、武力攻撃事態安全確保法案3条4項の「これ」が「日本国憲法の保障する国民の自由と権利」を指すとの政府答弁を受け、その規定は憲法の保障する「国民の自由と権利」に制限を加えることになるとし、「憲法違反ではないか」と糾した。官房長官は、国および国民の安全を保つという高度の公共福祉のために合理的な範囲と判断される限りにおいては「その制限は憲法13条等に反するものではない」と答えた。平岡議員は同法案が憲法の保障する「国民の自由と権利」を制限するという規定を有するため「問題、疑義がある」と指摘した。

平岡議員は続いて、武力攻撃事態への対処基本方針に対して、民主的統制という視点から国会承認のあり方を質した。「武力攻撃予測事態」から「武力攻撃事態」に認定が移る場合、対処基本方針の部分が変更するとの政府答弁について、国会は最初に認定した対処基本方針そのものを不適切と判断する可能性があると指摘。法案はこうした場合に対応できていないとし、「国会よる部分承認を認めるべきではないか」と提案した。

平岡議員はまた、対処基本方針に基づき、内閣総理大臣が自ら地方公共団体または指定公共機関が実施すべき対処措置を実施することができる、とする規定について「自ら実施するというのは、具体的にどのような方法でどのように実施することを意味しているのか」と質した。福田官房長官は「内閣総理大臣が自ら対処措置を実施する場合の対象・要件等については、今後整備される事態対処法制において個別具体的に規定される」などと述べるに留まった。平岡議員は「自ら実施する」ということが具体的に想像がつかないとし、今後、個別具体的な事例を示すよう求めた。

また、日本で9.11と同様のテロがあった場合、米国がテロ攻撃国に対して、安保条約を根拠に自衛権の行使としての武力攻撃ができるとの政府答弁に関連し、平岡議員は「米軍や自衛隊の戦闘行為により国民が被害を受けた場合、その国民に対して、どのような救済が行われるのか、損害の賠償を認定するための仕組みを整備する必要はないか」と質した。石破防衛庁長官、川口外相は明確に答えられず、十分な制度ができていないことが明らかになった。

[次の内閣]緊急事態基本法案・政府案修正案を了承

民主党『次の内閣』(ネクスト・キャビネット)は24日夜、同日の緊急事態法制に関するプロジェクトチーム・4部門合同会議での論議の終結を受け、臨時閣議を開催した。

閣議の冒頭、菅直人ネクスト総理は、「民主党の全国会議員に呼びかけ、7度にわたって緊急事態法制についての会議を開いた。正面から議論をしてまとめることができる民主党を誇りに思う。今後は国民の前で、国民の信頼に足る緊急事態法制をつくりあげたい」と挨拶した。

続いて、前原誠司PT座長から、まとめられた民主党「緊急事態への対処及びその未然の防止に関する基本法案」、ならびに政府・与党の「武力攻撃事態対処法案」に対する民主党修正案が提示され、了承された。

「基本法案」は緊急時における基本法であり、1)緊急事態における国の責務や対処のための指針・理念を規定し、2)国家権力の濫用・暴走を防ぐため、侵してはならない基本的人権、民主的統制の原則を明らかにし、3)危機管理の権限を集中し、新たな組織(仮称・危機管理庁)の設置を明記するものである。

「修正案」は、武力攻撃事態の定義・認定、基本的人権の保障、国会承認、国民への情報の提供などについて政府・与党案に対し厳しい修正を加える内容。

『次の内閣』終了後記者会見した枝野幸男政調会長は、「民主党の基本法案は衆院に、修正案は委員会にそれぞれ30日に提出し、委員会での両案の趣旨説明を求める。党内のコンセンサスをきっちり取り、政策的、客観的な判断をしたい」と今後の対応について述べた。また前原PT座長は、「国会に提出する民主党案がベストであり、修正案の一部だけを取り上げての論議には応じられない」と述べ、「民主党は政策論をまじめに行う政党であり、極めて実りのある論議だった」としめくくった。

[個人情報特]住基情報提供問題で防衛庁の不明朗答弁続く

個人情報保護法案を審議している衆議院個人情報保護特別委員会で24日、民主党からは長妻昭、今野東、中村哲治各議員が質問に立ち、報道の定義や防衛庁による住基台帳情報等の提供要請問題について質疑を行った。

長妻議員は、報道機関の記者が、ある政治家を陥れるなど報道目的以外の目的で政治家の身辺取材を行う場合や、自称「フリーライター」の名刺を持っているだけで、報道目的として適用除外になるのか、悪意の有無をいずれかの行政官庁が判断するとすれば、フリーライターなどの報道活動は結果的に萎縮することにならないかと質した。細田担当相は、「悪意であっても報道目的と推定され、適用除外になると割り切っている」「この法律は、個人情報を大量に保有する事業者を対象にしているので、指摘のような例は、対象としない。どこの窓口に苦情を持ち込まれても取り扱わない」と言い切った。

今野議員は、前日に防衛庁側が住民基本台帳のうち閲覧可能な4情報(氏名、住所、生年月日、性別)以外の情報を提供していた市町村を332と報告したことに関連し、防衛庁の説明よりも多いとの新聞報道を踏まえ、防衛庁側が現時点で把握している市町村数と市町村名を質した。これに対し、赤城防衛副長官ら防衛庁側は、「精査中で今の段階では申し上げられない」「相手方市町村との関係もあるので、市町村名はご容赦いただきたい」と不明朗な答弁に終始した。今野議員は、「4情報以外の情報を出された人々はどうなるのか。自分の情報が提供されたのかどうか、当然知る権利がある」と食い下がったが、総務省局長は「かりに本人が情報公開法で請求しても、個人情報は開示できない」とこれを拒絶した。

中村議員は、銀行等の保有する個人の信用情報が最もセンシティブな個人情報の一つとの認識に立って、これが銀行系列の企業グループ内などで共有される可能性や悪意の第三者によって盗用される可能性を指摘。信用情報については、基本法だけではなく、より厳格な個別法が必要ではないかと質した。細田担当相も「あらゆる分野の中で金融は一番センシティブな分野と思っており、基本法制定後も金融審議会などで議論を深掘りしていくべきだ」と中村議員の指摘に賛意を示した。

中村議員はまた、防衛庁が自治体から提供を受けた住基情報の使用後の廃棄に関する前日の民主党・細野委員の質問に関連し、文書で明確な廃棄ルールを定めていないことを重大視した。赤城副長官は、ダイレクトメールの宛名を印字した後、打ち込んだデータは廃棄するよう事務連絡しているとしつつも、「今後、委員の指摘を踏まえ、廃棄ルールを明確に定めていきたい」と答えた。《民主党ニュース》



4月24日 その日のできごと(何の日)