平成5178日目
2003/03/13
この日のできごと(何の日)
【小泉純一郎首相】野党党首と会談
小泉純一郎首相は13日午後、緊迫化するイラク問題をめぐり野党4党党首と相次いで首相官邸で会談した。首相は米英両国などが武力行使を念頭に国連安全保障理事会に提出した修正決議案の採択を目指す考えを強調する一方、決議なしに攻撃に踏み切った場合の対応について「その場の雰囲気だ」などと明確な態度表明を回避。野党側は強く反発、首相の姿勢を一斉に批判した。
首相は社民党の土井たか子党首との会談で「米国との同盟関係、協調主義と国連中心主義を両立させる」と強調。ただ自民党の小沢一郎党首が、決議の採択なしに米国がイラク攻撃に踏み切った場合に「賛成するのか」と尋ねたのに対し、首相は「理由を見てみないと分からない。その場の雰囲気だ」と述べた。
小沢氏は会談後の記者会見で「戦争の問題をその場の雰囲気で考えるというのは驚くべき首相だ」と強く反発、民主党の菅直人代表も「何一つ実のある意見を聞けなかった」と述べた。《共同通信》
首相は小沢氏に対し「イラク攻撃に(日本が)協力することになっても、武力行使には参加しないので問題はない」との認識を表明。菅氏との会談では「イラクに武装解除の最後の機会を与えるものだ。イラクが協力すれば武力行使にはならない」とも強調した。
また、共産党の志位和夫委員長の「決議が可決されたら、査察が打ち切られるのではないか」との質問に対し、首相は「その通りだ」と述べ、米国が武力行使に踏み切る可能性が高いとの考えを示した。
◇
小泉純一郎首相は13日の小沢一郎自由党党首との会談で、米国が新決議なしでイラク攻撃に踏み切った場合の賛否を聞かれ「その場の雰囲気だ」と答えたことについて同日夜、「その場の状況ということですね。国連安保理の状況、各国の対応を見ながら日本の立場を発言すればいい」と記者団に釈明した。
小沢氏との会談が武力攻撃を前提に進んだことに関しても「イラクが全面的に協力すれば、武力行使する必要はないんですよ。早とちりじゃないですか」と不快感を示した。
菅直人民主党代表が「実のある意見を聞けなかった」と首相を批判したことについては「国際協調と日米同盟の重要性をわきまえて両立できるよう努力している、と何回も言っている」と反論した。《共同通信》
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【大相撲】
大相撲春場所5日目(13日・大阪府立体育会館)横綱朝青龍は栃乃洋を右外掛けで退け、1敗を堅持。大関は千代大海が貴ノ浪を押し出して全勝を守り、武双山は霜鳥を退け、初日を出した。魁皇は小結出島に押し出されて2敗となった。関脇琴光喜は小結土佐ノ海に敗れ3敗となり、関脇若の里は和歌乃山に押し出されて2敗目を喫した。土佐の海は出島とともに白星が先行した。全勝は千代大海と平幕の琴龍、十文字の3人。《共同通信》
【静岡県富士市】ビル壁崩落3人死亡
13日午後3時35分ごろ、静岡県富士市吉原、旧ヤオハンのビル解体工事現場で、コンクリート壁が南側の県道に崩れ落ち、路上で信号待ちをしていた車3台の上に落ち、うち2台が押しつぶされた。
壁とともに落下した解体作業責任者の同県富士宮市、Aさん(39)が前身を強く打って死亡。路上の車の中にいた富士市、会社員Bさん(40)と別の車の同県清水町、Cさん(29)も圧死した。
道路で作業をしていた富士市、作業員Dさん(27)が意識不明の渋滞。Cさんの助手席にいた長男(2つ)ら2人が重軽傷を負った。
富士署は14日朝から、業務上過失致死傷の疑いで現場検証を行い、作業内容に問題がなかったかなどを調べる。事故を重くみた国土交通省、労働基準監督署、富士市なども調査に乗り出す構えだ。《共同通信》
【オウム真理教・松本智津夫被告】第251回公判
オウム真理教松本智津夫被告(48)=教組名麻原彰晃=の第251回公判が13日、東京地裁(小川正持裁判長)で開かれ、午後から初の被告人質問があった。松本被告は弁護人や裁判長の質問には何も話さず、約45分で終了した。
被告人質問は、3月27日の次回公判を含めてあと2回試みられる予定。次回は滝本太郎弁護士(46)ら被害者の意見陳述や、家族の証人尋問も行われる。1996年4月の初公判から約7年で審理は大詰めを迎え、4月24日には検察側が論告求刑する。《共同通信》
【自民党】党内で「経済失政」批判
日経平均株価の8000円割れが続いた13日、小泉純一郎首相に政策転換を求める自民党各派の圧力が一段と強まった。特に橋本、江藤・亀井、堀内の3派からは厳しい首相批判が噴出するなど反小泉勢力は勢いづいている。
「首相の人徳は素晴らしい。わたしだったら『王道を歩む』などと言う余裕はない」−。橋本派会長の橋本龍太郎元首相は同派総会で、路線転換を拒否する首相を皮肉交じりに痛烈に批判。同派の野中広務元幹事長は講演で「古賀誠前幹事長が『政策の大きな誤りだ』と言っているが、わたしもそう思う」と、堀内派の古賀氏と同様、首相の「経済失政」が株価下落の原因と決めつけた。
江藤・亀井派会長の江藤隆美元建設相も同派総会で「経済政策が完全に失敗した」と野中氏らに同調。堀内派を離脱中の堀内光雄総務会長は、首相が時価会計の停止を「奇策」と否定したことについて「認識がおかしい」と反論した。
さらに山崎派総会では、関谷勝嗣元建設相が「予算を前倒し執行すれば、補正をいずれ考えなければならない」と補正予算案の編成を求めた。こうした党内の厳しい空気に、首相を支える立場の森派会長の森喜朗前首相は安倍晋三官房副長官に「十分政府も反省して、謙虚に党とも協議するよう首相に伝えてほしい」と求めた。《共同通信》
【この日の民主党】
「公党間の約束違反には重大な決意で臨む」4野党国対
民主党など野党4党の国会対策委員長は13日、国会内で会談し、12日に与党側が「19日に(大島農水相公設秘書に600万円を渡した)イトーヨーカドー八戸店のビルオーナー1人を参考人として呼ぶ」と提案したことについて、「10日の週に複数の参考人を呼ぶという公党間の約束に反する」との認識で一致。与党側に13日昼までに元公設秘書らの参考人招致の追加などの回答を求めることで合意した。
会談後に記者会見した民主党の野田佳彦国対委員長は、与党側から前向きの回答がない場合には、「重大な決意をせざるを得ない」とし、今後新たな法案の審議に応じないことも含め、強硬な姿勢に出る考えを表明した。
農水相疑惑の参考人招致問題で与野党が合意 国会正常化へ
「10日の週に大島農水相疑惑問題で複数の参考人を呼ぶ」との衆議院予算委での与野党合意を与党側が一方的に反故にしたため、野党側が新たな法案審議の日程協議を拒否していた問題は、13日夜、「参考人質疑について複数を実施すべく誠意を持って対処する」と与党側が表明して結着。これを受けて14日朝から衆議院の各委員会などの運営は正常化する。
与野党が13日夜に交わした合意文書では、(1)与党は大島農林水産大臣に関する参考人質疑について複数を実施すべく、誠意をもって対処する(2)3月19日(水)にビルオーナー今淵氏について参考人質疑を行い、その後、できるだけ速やかに関連する参考人質疑を行うべく対処する(3)明日3月14日(金)に理事会、委員会を開き、3月19日(水)の参考人招致を議決する–としている。
同じく大島疑惑問題に関する参考人招致をめぐり審議が空転していた参議院でも、13日午後、大島農水相の秘書を予算成立後1週間以内に参考人として呼ぶことを与党が確約し、予算委員会などの審議が再開した。
「食品安全基本法案」趣旨説明に後藤議員が質問
民主党の後藤斎議員は13日、政府提出の「食品安全基本法案」について衆院本会議で趣旨説明に対する質疑に立ち、消費者の権利保護の明確化、食品安全委員会の独立性、情報公開などの点で法案の不十分さを指摘、「この法案で食品安全行政の問題が解消されたとは言い難い」と表明した。
後藤議員は、BSE問題で明らかになった日本の食品行政の弱点は(1)リスクアセスメントとリスクマネージメントの混同(2)農林水産省と厚生労働省の縦割り行政(3)飼料を含む6割の輸入食品の安全性についての無頓着–だったとし、これらを解決するために民主党がいち早く「食品安全基本法案」「食品安全委員会設置法案」の骨子をとりまとめて公表したことを紹介。これに対し、政府案は民主党案も参考にしてはいるものの、なお不十分だと述べた。
具体的な不十分点として後藤議員は、消費者の権利保護を法律の目的の中心に据えていないこと、食品安全委員会が独立した権限を持つ国家行政組織法第3条の行政委員会でなく、同第8条の審議会並の行政委員会とされたことなどを指摘するとともに、同委員会の情報公開の徹底、委員や事務局から事業者と関係のある者を除く欧州の食品安全庁のような人事や活動の独立性などを強く求めた。
これに対し、答弁に立った福田官房長官と谷垣国務大臣は、「国民の権利保護が最も重要との考えは法案の理念に含まれている」「情報公開には十分意を用いている」「行政処分を行う機関ではないので、8条委員会にした」「中立性には十分配慮し、委員は国会の同意を得て任命することとしている」などと素っ気ない回答に終始した。
4野党、参考人招致で新たな与党提案をつっぱね、再回答を要求
「与党から前向きの回答がなければ重大な決意をせざるを得ない」との13日午前の野党4党の再回答要求に、自民党側は同日昼「19日にビルオーナーの参考人質疑を行い、質疑を通じて必要とあらば新たな参考人をすぐに呼ぶ」との新回答を行った。これを受けて午後に再び開かれた野党4党国対委員長会談では、「『必要とあらば』と言うが、必要だから4人の参考人を要求している」として自民党側に再回答を求めることで合意した。
会談後、民主党の野田佳彦国対委員長は、記者団に「10日の週に複数の参考人を呼んで質疑することは、予算の出口(衆院の予算の採決日程)を決める際に予算委員長もいる場で決めたこと。公党間の約束の不履行が続くなら、明日以降の法案審議の日程協議には応じられない。万やむを得ない。『寝っころがれば何か取れる』という悪弊は断ち切りたい。これはお互いの信義の問題だ」と心境を語った。
菅代表、イラク問題で態度語らぬ首相を批判
民主党の菅直人代表は13日午後、首相官邸を訪れ、イラク問題をめぐって小泉首相・自民党総裁と会談を行った。会談には、民主党から岡田克也幹事長が同席。山崎自民党幹事長、福田官房長官も同席した。
会談では、菅代表がまず国連監視検証査察委員会のブリクス委員長の報告などを踏まえ、日本として国連によるさらなる査察の継続・強化を求めるべきだとする民主党の考えを提起。その上で、米英が求める決議が成立せずに米国が武力行使に踏み切った場合、日本政府はどうするのか、と小泉首相に質した。これに対して首相は「その時点になって考える。英米の国連決議案は支持しているが、最終的にどうなるかわからない。状況を見守る」と答えるに止まった。
また菅代表は、「イラクのことも重要だが、北朝鮮の動向はより直接的な脅威として問題だ」と述べ、核拡散防止条約(NPT)脱退や黒鉛減速実験炉の再稼働といった北朝鮮の行動が日朝平壌宣言に違反している点について、小泉首相の見解を質した。しかし首相は「平壌宣言は守られなければならない」と述べるに止まり、福田官房長官に至っては「まだ平壌宣言はギリギリ守っている」などと語った。
会談後、国会内で臨時の記者会見を開いた菅代表は、「考えられないくらい残念な会談だった。大変失望した」と厳しい表情で報告。「総理の口から出たのは“その時点になったら考える”“状況を見守りたい”といった言葉だけで、何一つ中身のある意見を聞くことはできなかった」と会談を振り返り、「いったい何のためにわれわれは呼ばれたのか」とその場で首相に抗議したことを明らかにした。
さらに菅代表は、重大な外交問題について再び首相が国民への説明責任を果たさなかったことを重視し、「総理としての責任を放棄したもの。総理としての資質を疑う」と厳しい口調で批判した。
党首会談概要
日時:2003年3月13日(木) 午後3時~午後3時20分
場所:総理官邸4階
出席者:小泉内閣総理大臣、福田官房長官、山崎自民党幹事長
当方:菅代表、岡田幹事長総理:忙しいところ来ていただいて感謝する。今日は、党首討論ということではなく、意見を聞かせて欲しい。
菅代表:イラク問題等ということで、党首会談を呼びかけてもらったことは感謝する。意見をということなので、まず、私の方から言うと、今の状況の中で、国連の新たな安保理決議がないままに武力攻撃をすることは、わが党としては賛成できない。現時点では、ブリクス委員長も報告しているように、さらに査察を強化・継続するべきだというもの。今日は、総理のはっきりした考えを聞きたい。場合によっては、今週中にも国連である種の決着がみられるかも知れないという状況であるし、さらに言えば安保理決議がないまま米国が武力攻撃にでることも言われているが、その場合、私たちとしては、支持できない。もしそういうことになったとしたら、国連憲章と反した行動になる、これはアナン事務総長も言っていることだが、そのように考える。あえて、国連憲章違反の行動を米国がとったとしても日本政府は支持するのか。総理の考えを明確に聞きたい。
総理:このことについては、自分ははっきりしていると思っている。まず、これはイラクの方に責任がある。今も、国連では最終的な交渉が行われている。これまで、軍事的圧力のもとで査察をしてきたことで、不十分とは言え、イラクが若干の協力をはじめた。先日も、中間派のメキシコ、チリ、パキスタンの大統領とも電話で意見交換をした。中間派も迷っている。最後まで、国際協調が守られるような働きかけをしていかなくてはいけない。その点については、アメリカにもフランスのシラク大統領に言ってきた。この決議、国連での議論が、どういう状況になるかわからない現時点では、何も言えない。その点は、ご理解いただきたい。その時点でないと言えないということだ。どういうことになるのか、もう少し様子を見てみないといけない。政府としては見守りたいと思っている。
菅代表:今日は党首討論ではないと言われたが、これではいったい何のための党首会談なのか。改めて申し上げるが、私たちとしては、はっきりと言っている。つまり、ブリクス委員長も言っているように査察を強化・継続していくべきとの立場。逆にいえば、現時点で査察をやめて、武力行使を容認する決議そのものは、時期尚早である、支持できないというものだ。しかし、総理、外務省は、その武力行使を容認する決議案を支持すると表明し、また事実に各国に働きかけているのでしょう。やっているとしたら、明らかに米英の決議案に加担しているのではないか。そこで党首会談に招かれたというのだから、なぜ査察の強化・継続を言わないで、武力行使を容認する決議案採択への働きかけているのか、きちんと説明して欲しい。
総理:これは、武力行使の容認を働きかけているのではない。
菅代表:武力行使の容認する決議案に賛成しろと働きかけているのではないのか。
総理:我々は違います。国連が一致して採択することを期待している。国連が協力できるような方法はないのか、アメリカ、フランス、国際社会が一致するようなことはないのかということ。
岡田幹事長:今の話だと、総理が各国に言っている決議案は、武力行使を容認する決議案ではないという認識なのか。
総理:これは、イラクが協力すれば武力行使にはならない。
岡田幹事長:そうではなくて、この決議案は、イラクが最終的に協力しなければ武力行使を容認する決議案だと、一般的には認識されている。
総理:いやいや、どういう状況になるかはわからない。そんなことはない。それはイラクが武装解除すれば武力攻撃にならない。
菅代表:1441ではなくて、米英が次の決議案を政治的に出しているわけですから、それに対して、総理は賛成なのでしょ。
総理:そうです。それは、決議案があってもイラクが協力すれば武力攻撃にはならない。
菅代表:武力攻撃になるならないじゃなくて、もしイラクが協力しない場合には、武力行使を容認する、決議案自体はそういうふうになっているのではないかと聞いている。
山崎幹事長:新たな決議案は1441決議とワンセットで考えなくてはいけない。
菅代表:これ以上の継続ではなくて、17日なら17日で、イラクが協力しなければ、武力行使を容認するというものになっているというのは、世界中が認めている。その決議案自体には、賛成なのだろう。
総理:そうだ。それは、イラクに一致して圧力をかける。イラクに武装解除の最後の機会を与えるものだ。イラクが協力すれば、武力行使はしない。そこらへんが違う。武装解除をお前たちがやれというもの。
岡田幹事長:それでは、これは武力行使を容認決議ではないということか。万一、イラクが協力しないとなった場合、どう考えるのか。
総理:それはその時の状況を見ないとわからない。
岡田幹事長:それでは、たとえこの米英の決議が採択されても、イラクが協力しない場合の武力行使を容認する根拠にはならないということか。
総理:だから、それはわからないといっている。状況を見てみないと。
岡田幹事長:状況のことではなくて、決議案の内容だ。
福田官房長官:これは、国際社会と一致させることが重要で、今、イギリスが修正案を出し議論もされているので、国際社会でどういう形でまとまるかが問題。どういう形でまとまるかがわからない。目的は、イラクの大量破壊兵器を放棄させるということ。戦争することが目的ではない。その前の段階で、国際社会が努力をしている。
総理:そう。立場が違う。YES、NOの問題ではない。
菅代表:かってに決め付けないで欲しい。YES、NOなどとは言っていない。私たちは、少なくとも現時点では、査察の強化・継続とはっきりと言っている。それに対して総理の方は、この新しい米英の決議案に賛成だということは、一般論からすれば、一定の期限を切って応じなければ、武力行使をするという決議案と理解して、それに賛成というのではないのか。それもそうではないというのか。そんなことを言われたら議論がおかしくなる。だから、英米の決議案を支持しているのか。一般的な国際関係でのことで言えば、査察を維持するなど色々な形での結論はあるわけで、スタンスは英米案ということではっきりしているのだろう。そこははっきりしてもらわなくては。
総理:それは今でもはっきりしている。
菅代表:総理は英米案に賛成ということであるならば、米英の決議案が採択されて、イラクがそれに応じなければ、武力行使を容認するという内容ではないか。
総理:採択されたら、イラクが武装解除をすればよいことだ。
岡田幹事長:しかし、しない時には、武力行使をすることを認める決議案であるから、そうでない状況をいわれても。
山崎幹事長:そこがちょっと飛んでいるんだな。
福田官房長官:まずは、国際社会の意見をまとめること。それでイラクと対処しようということ。それからイラクがどうするのか、これはわからない。まだ見守らなくてはいけない。決議が出たら、即攻撃するというものではない。
菅代表:では、問い方をちょっと変えたいが、国際的な一致が望ましいということで、総理は国会でも新しい決議が望ましいと言っているが、しかし、それができなかった場合、例えば拒否権が行使されるなど、その時でもアメリカが武力行使をするといった場合、十分考えられるが、それを総理は支持するか。
総理:その時点で考える。
菅代表:もうここ2日とか3日の話だ。
総理:英米が武力行使をしても、日本は武力行使しないから。その時の日本独自の立場で判断する。イギリスとは違う。
岡田幹事長:そんなことを聞いていない。これでは党首会談の意味がない。
福田官房長官:だからその時点で考えるということだと言っている。
菅代表:我々はもうぎりぎりの問題だと思ったから、そういうことも含めて、総理の意見を聞きたいと思ってきた。我々はきちんと言っているのだ。新たな国連決議がないままで、米国が武力行使をすることには反対だ。アナン事務総長も国連憲章に反するといっている。国連憲章と米国の行動が矛盾した場合、現実にはその可能性も高くなっている中で、どうするのか。それは、その時点で考えるというのでは、答えにならない。
総理:いや、党首会談は今日限りではないのだから。もうしないというわけではないのだから。
菅代表:それはどういうことか。総理が結論を出す前に、また党首会談をやるということか。
総理:それもその時点での判断だ。状況が変わればまたその時に話す。
菅代表:状況が変わって、総理が何らかの結論を出す時に、党首会談をやるというのか。
総理:それは、状況によってということだ。
福田官房長官:17日に向けて色々と動きがある中で、丁寧に議論をしていこうということだ。
菅代表・岡田幹事長:まったく答えになっていない。
総理:これが現段階の答えだ。
菅代表:これは、国民をあざむくことだ。英米の決議案は、一種の最後通告というものを出しているというのが、一般の理解だ。フセインが受け入れればよいが、応じない時には、武力行使までしますという決議案を出し、それが通るかどうかという、ぎりぎりのところまで来ている。通らなかった時に米国は現実として、ブッシュ大統領は武力行使をするとまでいっている。その時点で考えると言うのでは、あまりに無責任だ。
山崎幹事長:だから英米案が通るように取り組んでいて、日本政府としても協力している。通ったということが望ましい。しかし、通らなかった場合での武力行使は、国連憲章違反ではないかというご指摘だったが、必ずしもそうとはいえないと思う。個人的には、国連憲章違反ではないと思うが、そういうことを総合的に判断すると、この時点での武力行使にはまだ早いと思う。
菅代表:なんで今日、呼ばれたのかまったくわからない。
山崎幹事長:この大切な時点で全力でやっているわけで、意見交換をしてそちらの意見を承るのが大切。
菅代表:意見が違うのは仕方がないが、意見がないではないか。我々は少なくともはっきりと意見を言っている。新たな決議がある時、ない時、はっきりと意見を言うべき。そのことすら言わないのは、意見がないというのが、意見というのではないか。
総理:その時点で判断するというのが意見だ。そういうはっきりした意見だ。
岡田幹事長:国会での議論はどうなるのか。
菅代表:各国では、イギリスでもフランスでも自分はこうやりたいと指導者が意見をきちんと国民に対して言っている。それに対して国内では賛成や反対がもちろん色々出ている。その時点になって判断するのが私の意見だ、といわれたら、国民は何を持って判断したらいいのか。その時点になるまで待ってろということなのか。
総理:その時点で判断する、これが意見だ。
菅代表:それは意見がないといっているのと同じだ。
岡田幹事長:なぜ、その時点にならないと判断ができないのか。
総理:どういうことか。
岡田幹事長:つまり新たな安保理決議があった場合とか、ない場合とか。
総理:米英の決議があっても、イラクが武装解除すればよい。そうすれば、武力行使をする必要はない。そういう圧力がないとイラクは協力しない。アメリカの圧力があるから、イラクは協力する。
岡田幹事長:圧力が必要であることは否定しない。しかし、それだけでは、米英案支持の説明にはなにもなっていない。
菅代表:少なくとも、私たちは、査察の継続を言っている。
山崎幹事長:総理は、米英案を支持するといっている。その成立に全力をあげているといってるではないか。どことどことどことに働きかけているといっているではないか。
菅代表:その米英案は事実上、通りにくくなっている。これが一般の見方だ。この現実にどう対処するのか。
山崎幹事長:そりゃ、結果をみてみないとわからない。
総理:国際協調と日米同盟とをいかに両立させるかということだ。
菅代表:問題は変わるが、北朝鮮問題はどうするのか。どうも総理の危機感が、イラクに比べて北朝鮮に対して非常に薄い。イラクは何度も国連決議に反しているというが、北朝鮮はまだそうなっていない、と言っているが、そんなことでいいのか。日本にとっては北朝鮮問題をより大きな直接の脅威ではないのか。
総理:だからこそ韓国、米国と連携を取って対処している。日朝平壌宣言に則って行っている。
菅代表:日朝平壌宣言は空洞化しているではないか。
福田官房長官:たしかに、ちょっとお休みしている。しかし、北もその存在は認識しているわけで、ちゃんとなる。息の長い交渉なのだから。
菅代表:総理の訪朝後に、現実に北朝鮮がNPT脱退表明し、黒鉛炉の再稼動などし、つまり、じっとしていて進まないのではなくて、平壌宣言とは逆の方向にどんどん進んでいるのに、まだまだ空洞化していないというのは、国民が納得できないのではないか。
総理:これは北朝鮮も日朝平壌宣言を評価している。日本は守るように努力しているし、北朝鮮が守るように働きかけていくのが日本だ。
菅代表:だから、守られてないのではないかと聞いている。総理は守られていると見ているのか。
総理:それは、守ることが大切だ。
菅代表:日本の立場を聞いているのではない。北朝鮮が守っていないのではないか、行動が平壌宣言に反するのではないかと聞いている。
総理:見解の相違だ。北朝鮮も宣言の重要性は認めているから。これを実行するように努力していくことが大切。
福田官房長官:たしかに、日朝平壌宣言はかなりあぶないところまでいっているような感じはする。しかし、それが完全に向こうの意向が、宣言の精神にもとっているかと言うと、精神と言うとおかしいというかもしれないが、まあぎりぎりのところで守っていると考えている。それは、我々としてはよく状況を観察しながら、守るという意向も伝えてきているわけで、我々としてももう少し長い目で見ていく。しかし、その間に何かあれば、それはそれで考えるが。
菅代表:交渉することを反対したわけでなくて、現実の行動は守られていないのではないか、ということを聞いた。
福田官房長官:それはまぁ、色々と見方もある。
菅代表:守られていないからといって、何をするかということは、こちらの意見は国会でも言った。あえてここでいう必要はない。
福田官房長官:だからと言って、我々が何でもやっていいというわけにはいかないし、自制をして守っていく意向があるのであれば、話をしていこうというもの。
菅代表:党首会談をよびかけてもらったこと自体は感謝するが、こういう内容には残念である。意見交換といっても、総理に意見がないということをわざわざ伝えてもらった。残念な内容だったということを最後に言っておきたい。
総理:残念だと言われたが、現時点での自分としての意見を言った。
菅代表:意見がないということが残念といった。
福田官房長官:この時点で行うことに意味がある。そういう状況だと言うことをご理解いただきたい。
菅代表:まったく失望した。《民主党ニュース》