平成5072日目

2002/11/27

この日のできごと(何の日)

【国連】イラク査察を再開

イラクのフセイン政権の大量破壊兵器開発疑惑に対する国連の査察が27日、バグダッド北東のイラク軍施設など2カ所で始まった。イラクに対する国連査察が実施されるのは約4年ぶり。

査察の内容や結果、イラクの協力状況などは来年1月26日に国連安全保障理事会に報告される。8日に採択された安保理決議への「重大な違反」があれば、直ちに安保理に報告され、イラクに対して武力行使に踏み切るかどうかの流れが決まる。

パリ訪問中の国連のアナン事務総長は「査察は順調に始まった」と述べた。

同決議は「最後の機会」としてイラクに査察受け入れを要求。12月8日までに大量破壊兵器開発計画に関する全情報の開示も義務付けている。イラクは「米国に侵略の口実を与えた」と反発する一方で「大量破壊兵器はない」と主張。査察が公正に実施されれば、「米国のうそが暴露される」とし、査察への全面協力を表明している。《共同通信》

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【ジー・オー事件】大神容疑者らを追起訴

「ジー・オーグループ」の巨額詐欺商法事件で、東京地検は27日、名誉会長の大神源太(40)ら5容疑者を、別の詐欺罪などで追起訴した。処分保留で釈放されていた社員2人と、書類送検されていた社員23人は起訴猶予にした。被害者135人、被害総額13億4000万円に上った事件の捜査は、これで終結した。《毎日新聞》

【静岡県御殿場市】おもちゃの拳銃強盗

27日午後2時45分ごろ、静岡県御殿場市萩原の駿河信用金庫永原出張所に男が押し入り、おもちゃの拳銃のようなもので「パン」と一発鳴らし「金を出せ」と職員を脅迫、約15万円を奪ってミニバイクで逃げた。けが人はなかった。御殿場署は強盗事件として捜査を始めた。

同信金によると、奪われたのは1万円札10枚を使って現金1000万円に見せ掛けた防犯用札束と、1000円札50枚。札束のうち本物の札は表裏5枚ずつだけで、真ん中には模造紙幣が挟んであった。

男は当初、持参したバッグに現金を入れるよう職員に指示。職員は防犯ベルをひそかに押す一方、警察官到着までの時間を稼ぐため、1000円札50枚を入れて渡すと、男は「少ない」と怒り、職員が防犯用の札束を入れると、男は中身を確認して逃走したという。

調べによると、男は40−50歳で、身長160−170センチ。やせ形で、青色のジャケットと黒っぽいズボン、白のヘルメットとマスクに黒のサングラスを着けていた。

事件当時、店内には職員5人と客3人がいた。拳銃のようなものは、弾丸が出た形跡がなく、おもちゃとみられる。《共同通信》

【名古屋刑務所】受刑者死亡で2人再逮捕

名古屋刑務所(愛知県三好町)で5月、男性受刑者=当時(49)=が死亡した事件で、名古屋地検特捜部は27日、革手錠で受刑者の腹部を強く締め付けて死亡させたとして、特別公務員暴行陵虐致死容疑で、副看守長A(40)、看守B(27)両容疑者を再逮捕し、刑務所など関係先数カ所を家宅捜索した。

特捜部は同日、9月に別の男性受刑者(30)に重傷を負わせたとして、両容疑者を含む5人を特別公務員暴行陵虐致傷罪で起訴した。

法務省によると、受刑者を死傷させたとして刑務官が逮捕、起訴されるのは極めて異例。刑務官の密室での暴行が常態化していた疑いが濃厚になった。刑務所長が事件について法務省に虚偽報告していたことも判明し、幹部の監督責任を含め刑務行政の在り方が厳しく問われる事態となった。

名古屋刑務所の桜井智舟所長は、記者会見で、「被害者や国民に深くおわび申し上げます」と陳謝した。

調べではA、B両容疑者は5月27日、指示に従わなかった受刑者を懲らしめるため、必要がないのに約2時間にわたり革手錠で腹部を強く締め付け、外傷性腸間膜損傷などによる心不全で、同日午後8時半ごろ死亡させた疑い。両容疑者は受刑者に革手錠をかけて保護房に収容した後、再度ベルトのサイズが小さい革手錠に付け替えて、さらに腹部を締め付けていた。

名古屋刑務所では今年の革手錠の使用件数が158件と全国でも突出していたが、昨年夏、A容疑者の進言を受けた上司が「規律維持のため、革手錠の使用を控える必要はない」と了承した後、急増していたことが分かった。

また、起訴状によると、A容疑者ら5人は9月25日、別の受刑者を懲らしめるため、暴力を振るう恐れがないのに、革手錠で腹部を強く締め付けて、約70日の重傷を負わせた。《共同通信》

【野党】統一会派構想

来年の通常国会に向け民主、自由両党内で、社民党も加えた統一会派結成構想が浮上し、民主党の鳩山由紀夫代表と自由党の小沢一郎党首は27日の記者会見で、そろって前向きに取り組む考えを表明した。《共同通信》

【北朝鮮による日本人拉致事件】

曽我ひとみさん、安倍晋三官房副長官と面談

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に拉致され日本に帰国している曽我ひとみさん(43)は27日午後、初めて首相官邸を訪れ、安倍晋三官房副長官と面談し、夫で元米兵のジェンキンス氏の早期来日の実現に向け、あらためて政府の取り組みを要請した。面談には中山恭子内閣官房参与も同席した。

安倍氏は、ジェンキンス氏の身柄について、米国政府に引き続き特段の配慮を求めていることを説明。「曽我さんからお願いがあったことをきちんと受け止める」と述べ、引き続き政府として努力する考えを伝えた。

曽我さんは「ありがとうございます。(夫のことを)一番心配しているが、皆さんも心配してくれている。よろしくお願いしたい」と重ねて要請した。《共同通信》

【韓国大統領選】公示

韓国の次期指導者を決める大統領選挙が27日公示され、与党、新千年民主党(民主党)の盧武鉉(56)、野党ハンナラ党の李会昌(67)の有力2候補が立候補を届け出た。盧候補は釜山駅前で遊説を、李候補はソウルの党本部で出陣式をそれぞれ行い第一声。12月19日の投開票日に向け約3週間にわたる本格的な選挙戦がスタートした。

人権派弁護士出身の「進歩派」盧候補と、裁判官出身の「保守派」李候補による事実上の二者対決で、韓国大統領選での与野党候補一騎打ちは31年ぶりとなる。

盧候補は「国民統合21」の鄭夢準氏との候補一本化に成功、公示前の世論調査では支持率が李候補を小差で上回り、激戦の様相だ。

韓国政界が金大中大統領、金泳三前大統領ら「三金」と呼ばれた領袖支配に終わりを告げ、世代交代や地域主義解消が進むかが注目されるほか、北朝鮮への包容(太陽)政策の是非も争点となっている。《共同通信》

【高円宮憲仁親王殿下】通夜

高円宮さまの通夜が27日夜、東京・元赤坂の赤坂御用地にある高円宮邸で営まれ、皇太子ご夫妻ら皇族方や衆参両院議長、最高裁長官ら各界の代表、ゆかりの人たちが参列した。通夜は28日夜にもあり、29日には文京区大塚の豊島岡墓地で本葬の「斂葬の儀」が行われる。慣例により通夜にも斂葬の儀にも出席しない天皇、皇后両陛下は、通夜の前に宮邸を弔問された。28日にも宮邸を訪れる。

通夜に先立つ「正寝移柩の儀」で、遺体を納めたひつぎは、宮邸二階の寝室から通夜の行われる一階の部屋(正寝)に移された。枕元には守り刀と大勲位菊花大綬章が飾られ、灯明である「菊灯台」が左右一対ともされた。

通夜は午後6時から30分ずつ、参列者が入れ替わりながら行われた。最初の回では、喪主の久子さま(49)や皇太子さまら参列者が、順に正面のひつぎに拝礼した後、着席。菊灯台以外の明かりが消された暗がりの中、ひつぎに対座して故人をしのんだ。《共同通信》

【この日の民主党】

アフガニスタン女性支援会議を開催

民主党は27日、アフガニスタン女性招聘事業の中心企画であるアフガニスタン女性支援会議を東京都内で開き、NGO・NPO関係者、女性運動家、ジャーナリスト、写真家、学生など、約150名が参加した。

会議は支援会議実行委員長である鎌田さゆり男女共同参画委員長の司会・進行で始まり、鳩山由紀夫代表が主催者挨拶に立った。

鳩山代表は「日本として、民主党として、アジアの同胞としてアフガニスタンに対して何ができるか、考える機会を持ちたい。鎌田実行委員長はじめ議員の皆さんのそうした情熱が実り、今回の会議が行われることになった」と経緯を報告。「支援のあり方の検討に向けた有意義な会議となるよう積極的な参画を」と参加者に呼びかけた。

続いて日本赤十字九州国際看護大学の喜多悦子さんが、ユニセフ・アフガン事務所の初代保健栄養担当官として現地で保健医療活動をしてきた体験をふまえて基調報告を行った。喜多さんは「民主的ですべての人びとの人権が尊重される、安全で生活の幅がある自由な社会をつくるためには伝統や習慣を変える勇気も必要」とし、それは現地の人の手で行わなければならないと、支援のあり方を提言した。続いて、アフガニスタンから来日した3人の女性が基調講演を行った。

アフガニスタン暫定評議会において女性大臣を務めた後、移行政権の人権委員会委員長に就任したシマ・サマルさんは、アフガニスタン復興への提言として5点を提示。1)カブール市内だけでなくすべての地域での平和維持軍の強化と、全国的な武装解除が不可欠、2)教育と社会サービスの整備が必要、3)女性の権利・人権について、男性にも教育を行うことが必要、4)女性や戦争に関わっていた人びとへの雇用機会の提供、5)女性が力を結集することで軍事化へ対抗し、平和を促し、人権の尊重を世界へ広げる、などを提起した。

ジャミラ・ムジャへッドさんは「アフガニスタンの女性たちは自分の力で仕事をし、独立していきたいと考えているが、現実にはむずかしい」と語り、事実を声高に口にできない現実、女性への権利制限が続いている現実などを、ジャーナリストの視点から報告した。

クドゥシア・マジャージャさんは、難民キャンプで行ってきた母子保健や医療活動、識字教育、女性の自立を手助けするための洋裁技術教育などについて報告。また、子どもたちへの教育が始まったが、学校施設・文房具などの不備・不足、教師の絶対数の不足と教師自身の経験不足・教育不足など多くの課題についてレポートした。

午後からはアフガニスタンの女性3人と喜多さん、そして日本国際ボランティアセンター(JVC)アフガニスタン事務所代表の谷山博史さんを交えて、小宮山洋子参議院議員のコーディネートでパネルディスカッションが行われた。

会場からは、日本在住のアフガニスタン女性が、女性が声を上げることのむずかしさなどについて語り、またピースウィンズジャパンの松信章子さんから「どういう立場でコミットするのか。日本からの支援金がどう使われているか、具体的に見ていく必要がある」といった意見が出された。民主党に対しては、ODA予算などの使われ方について十分監視し、国民に情報公開していく責務があるとの指摘があった。

意見交換後、「アフガニスタン女性支援会議アピール案」が提示され、その内容についての検討がなされた。参加者からは、「ジェンダーの視点をもつ」といった一文を加えるべきではないか、(アピール文に列挙された項目は)誰がどう進めるかが書かれていない、などの指摘も出された。

議論に踏まえてアピール文が採択され、岡崎トミ子参議院議員が閉会挨拶。「シマ・サマルさんがおっしゃっていた平和と正義への取組みに感銘を受けた。これは日本社会でも取り組まなくてはならない課題だ」として、アフガニスタンの女性たちと連帯し、党としてさらに継続した取り組みを行うことを表明した。

「米にイラク攻撃の自制を促すべき」鳩山代表

民主党の鳩山由紀夫代表は27日の定例記者会見で、イラクの核開発に対する国連の査察が始まったことについて言及し、「米国に武力攻撃を自制するよう働きかけるべきだ」との考えを明らかにした。

会見で鳩山代表は、イラクが国連決議を受け入れたことは前進だと評価した上で、「イラクには全面的に査察に協力することを求めるとともに、米国に対しても、イラクが決断したのだから、しっかりその対応を見守りながら、武力攻撃については自制するよう働きかけるべきだ」と政府に注文した。

また、日朝国交正常化交渉が暗礁に乗り上げていることについて代表は、「初動の甘さが響いている。ここは日本の国益のためにとことん頑張る時だ」と指摘した。

記者からは、自由、社民両党との統一会派結成を求める議論があることについて質問が出され、鳩山代表は「一つの方向として検討する価値がある」と答えた。

[衆院厚労委]拉致被害者支援法を全会一致で可決

北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法案が27日の衆議院厚生労働委員会で委員長提案され、全会一致で可決された。同法案は28日の衆議院本会議で可決、12月4日には参議院本会議で成立する見通し。

委員会では民主党から菅直人議員が、拉致問題と被害者支援策、北朝鮮核開発問題に関して質問した。菅議員は冒頭「私自身を含めて拉致問題について、十分な取り組みができなかったことを反省したい。政治家の一人としてお詫びしたい」と発言。次いで「曽我ひとみさんの夫のジェンキンスさんの訴追免除をケリー副長官に求めたのか」と質問した。安倍内閣官房副長官は「極めて微妙な問題なので曽我さんには話しているが、この場では内容を言うことがいい結果につながるかどうか、心配」であるとして、直接質問には答えなかった。菅議員は「要請すべきだ」と重ねて考え方を表明した。

菅議員はさらに、今回の法案の趣旨を中国残留邦人にも適用すべきだと提起。「中国残留邦人の調査・作業を始めたのは81年。帰国作業の遅れは行政の不作為にあたる。(拉致問題と)共通と考えるべき」と迫った。坂口厚労相は「残留邦人への対策・施策には不十分なところがあると思っている。総合的に判断する。可能性は否定しない」と今後の対策を示唆した。

さらに菅議員は核開発について「(平壌宣言では)国際的合意を遵守するとなっているが、北は核開発をしていないとも言っていない。第一回目の国交正常化交渉で確認したのか」と質した。安倍副長官は「約束を守れと今後も言っていく」と質問には直接答えなかった。

法案は「国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、被害者及び被害者の配偶者等の自立を促進し、被害者の拉致によって失われた生活の基盤の再建等に資するため、拉致被害者等給付金の支給及びその他の必要な施策を講じること」を目的としている。具体的には、帰国費用の国による負担、生活保障として5年を限度の給付金の毎月支給、年金の給付、公営住宅への入居、雇用機会の確保、教育機会の確保などで、かなりきめ細かなものとなっている。給付金は単身世帯で月17万円、2人世帯で24万円、3人世帯で27万円で、一人増えるごとに3万円が加算される。《民主党ニュース》



11月27日 その日のできごと(何の日)