平成5011日目

2002/09/27

この日のできごと(何の日)

【北朝鮮による日本人拉致事件】小泉首相、拉致被害者家族と面会

小泉純一郎首相は27日午後、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による日本人拉致事件被害者の8家族30人と面会し、事態を長期化させたこれまでの政府の対応について「反省すべき点があった」と遺憾の意を表明。「長年の問題解決なしに国交正常化はあり得ない。政府全体として解明に全力を挙げる」と述べ、家族の意向を十分に踏まえながら問題の全面解決に努力する決意を強調した。

首相が日朝首脳会談後、被害者家族と面会するのは初めて。

家族側は(1)北朝鮮で生まれた子どもを含め生存者全員の1カ月以内の帰国と、死亡とされる被害者の科学的根拠による確認(2)歴代政権、外務省の貴任の明確化(3)新たな拉致被害の可能性がある人の救出方策の検討−など5項目を要請した。

首相は被害者の生死は、北朝鮮の説明で「日本政府が確認したのではない」として、調査団派遣で全容解明を行う考えを強調。政府が認定した以外の拉致被害者についても真相解明を進め、北朝鮮側との間で協議していく考えを示した。

また家族側が「事件解決までコメ支援はやめてほしい」と要請したのに対し、同席した安倍晋三官房副長官は「現時点で全く考えていない」と説明。家族からは「国家犯罪で主権侵害だ」「外務省の謝罪がなく正してほしい」との注文も出された。

面会後の記者会見で家族側からは「一般論で具体的な回答がなく残念だ」と不満の声も出た。首相は面会後、記者団に「長年にわたり家族の思い、つらさは変わらない。家族の気持ちを政府として共有しながら交渉に当たっていきたい」と述べた。

また安倍副長官は家族側に「正常化交渉の中で真相究明をするかもしれないし、交渉をせずに真相究明する場合もある。情勢次第だ」と述べ、今後の北朝鮮側の対応を見極めた上で交渉を慎重に進めていく見解を示した。今後の調査結果については、すべてを家族側に公開することを安倍氏と、中山恭子内閣官房参与が約束した。《共同通信》


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閉ざされた国の扉をこじ開けた主役に、家族は憤りと不安をぶつけ、そして最後の望みを託した。27日夕、首相官邸で小泉純一郎首相に面会した朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による拉致被害者の家族たち。「25年間の命懸けの日々を、どうか無駄にしないで」。最初の拉致事件から四半世紀を経て、家族の胸にさまざまな思いが募る。日朝首脳会談から10日。初めて家族の前に姿を見せた首相は「全容解明に全力を挙げる」と誓った。

午後4時。首相官邸2階の大ホールのテーブルに約30人の拉致家族らが着席した。約3メートル隔てた反対側に安倍晋三官房副長官が座る。

やや遅れて入室した小泉純一郎首相は硬い表情のまま、家族に向けて一礼した。小泉首相の左手に座っていた有本恵子さん(行方不明時23歳)の父親、明弘さん(74)は、両手のこぶしを白いテーブルクロスに押し付けるようにして、小泉首相を厳しい表情で見つめた。着席した小泉首相の視線が、何度も泳いだ。

「でっち上げと言ってきた拉致事件を(北朝鮮の)最高責任者が認めた」。日朝交渉に対する評価を求める小泉首相の言葉。聞き取りづらい小声だった。

家族側からは政府、外務省に対する不満の声が相次いだ。増元るみ子さん(同24歳)の姉の平野フミ子さん(52)は「訪朝前に会ってほしかった。帰国直後の面会もかなわなかった。それが実現していれば、これほど政府、外務省を恨むことはなかった」。

次々と投げかけられる悲痛な叫びに、首相は「全力を挙げて真相究明に取り組む」と繰り返した。面会時間は予定の30分間を超え、1時間近くに及んだ。

午後6時。被害者9人の家族約20人が、衆院第1議員会館に姿を見せた。50分間にわたる面会を終えた家族の印象はさまざまだった。

「もっと明確な答弁がいただければよかった。物足りなかった」。家族会代表、横田めぐみさん(行方不明時13歳)の父、滋さん(69)は、静かな語り口の中に、面会への不満をにじませた。家族たちは五つの質問項目をまとめたが、「個々の問題には回答いただけなかった」。

「総理の言葉は全く聞こえないほど小さな声で、よく分かりませんでした」。蓮池薫さん(44)の母ハツイさん(70)は落胆の表情を浮かべながらも、「この25年間を無駄にしないで、と総理にはお願いしました。今後も頑張るので、無駄にしないでほしい」と今後の成果に期待をにじませた。

めぐみさんの母早紀江さん(66)は「25年の苦労を背負ってきて、やっと首相に伝えられた」と安堵(あんど)の表情を見せた。そして付け加えた。「首相の姿勢を見つめていくしかない。もし私たちの思いと(行動が)違った場合は、マスコミにも糾弾してほしい」

首相との面会に出席した松木薫さん(同26歳)、石岡亨さん(同22歳)の家族は会見に姿を見せなかった。曽我ひとみさん(同19歳)の妹、金子富美子さん(37)は出席したものの、硬い表情で前を見据えたまま。

「セレモニーだった」。会見終了後、蓮池さんの兄透さん(47)はこう言い残して会見場を立ち去った。《毎日新聞》

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【JFEホールディングス】設立

NKKと川崎製鉄は27日、経営統合の第一段階として、持ち株会社「JFEホールディングス」を設立した。両社合わせた昨年度の粗鋼生産量は業界トップの新日本製鉄に迫る年間約2500万トン規模。世界でも第4位となる。世界的な業界再編成の動きが続く中、日本の製鉄業界は、誕生したJFEグループと新日鉄の「二強」を中心とした体制になった。

記者会見したJFEホールディングスの江本寛治会長は「会社が大きくなっただけでは、しょうがない。何を置いても収益力の高い会社にすることが最大の目標」と強調。下垣内洋一社長も「一つの課題は財務力。どこにも負けない会社にしたい」と語った。

持ち株会社設立でNKKと川鉄は完全子会社化。来年4月には、さらに事業別の子会社に再編成する。事業別子会社は、鉄鋼、エンジニアリングなど五つが決定済み。江本会長と下垣内社長は、NKK、川鉄のそれぞれの子会社についても、業務の重複をなくす方向で統合を急ぐ意向を強調した。《共同通信》

【小泉純一郎首相】内閣改造の基本方針を提示

小泉純一郎首相は27日午後、自民党臨時役員会に出席し、今回の党三役人事、内閣改造の基本方針を提示した。基本方針は、今後半年間で構造改革を加速させるための政策を強化することを打ち出し「2004年度には不良債権処理問題を集結させる」と強調。

同時に(1)道路関係4公団民営化推進委員会の意見を尊重する(2)郵政公社を郵政民営化の第一歩として位置付け準備を進める–と明記した。閣僚就任に当たり同意するよう求めていく考えで、いわば「踏み絵」となる。内閣改造は首相の意向を踏まえ、必要最小限にとどまる見通し。《共同通信》

【民主党】人事調整持ち越し

民主党の鳩山由紀夫代表と中野寛成幹事長は27日午後も、同日中の執行部人事の骨格づくりを目指して調整を続けたが、結論を28日以降に持ち越した。

中野氏の幹事長起用に反発する若手議員の一部は、依然、中野氏の「自発的辞任」を求めている。27日夜、羽田孜特別代表は中野氏と党本部で会談し「あなたに責任はないが、世論の風当たりが強い」と辞任を促した。中野氏は「単に自分自身の問題ではない。辞めれば済むという問題ではない」として、自らの去就が鳩山代表の責任問題に直結するとの認識を示し、辞任する考えのないことを重ねて強調した。

鳩山氏は同日夜、記者団に、「(中野氏の辞任は)現在、考えていない。私が任命しただけに、私の思いをできれば通るようにしてほしい」と述べ、引き続き党内に理解を求めていく姿勢を示した。鳩山氏は代表選を争った菅直人前幹事長らに呼び掛けていた「四者協議」開催を断念した。《共同通信》

【G7財務相・中央銀行総裁会議】

先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が27日午後ワシントンで開かれ、世界経済に同時株安などのリスクが残っており、適切な経済政策と構造改革が成長強化に必要とする共同声明を採択、閉幕した。塩川正十郎財務相は会議に先立つ日米財務相会談で、必要があれば公的資金を視野に入れて不良債権処理を促進する方針を表明。公的資金の投入による抜本処理が事実上、国際公約となった。

財務相は、G7で不良債権処理を加速し2004年度に正常化するとの目標を明示。日米会談では企業の再生・整理や銀行過剰(オーバーバンキーング)の解消が必要との認識を伝えた。財務相によると、「その結果、必要な場合は公的資金を活用すればいい」とオニール米財務長官に表明した。ただ、財務省広報は「会談では公的資金への言及はなかった」としている。《共同通信》



9月27日 その日のできごと(何の日)