平成3482日目
1998/07/21
この日のできごと(何の日)
【自民党総裁選】小渕恵三氏、梶山静六氏、小泉純一郎氏が立候補届け出
橋本龍太郎首相(自民党総裁)の後継を決める総裁選は21日、立候補を受け付け、梶山静六前官房長官(72)、小泉純一郎厚相(56)、小渕恵三外相(61)の3氏の順で届け出た。経済再建策など政策論争の一方で、選挙人の過半数(207人)の過半数を目指す各陣営の攻防が激化。
小渕氏はこれまでに、最大派閥の小渕派(88人)の大半を固めたほか、宮澤、旧渡辺派の支持も見込んで200の大台乗せをめざしている。小泉氏は所属する三塚派(87人)をほぼ固め、他派閥の一部を取り込んで100台をうかがう構え。梶山氏は派閥横断の支持を得て小泉氏を追う展開の模様だ。《共同通信》
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梶山静六前官房長官、小泉純一郎厚相、小渕恵三外相の3氏は21日午後、党本部でそろって記者会見した。梶山氏は不良債権問題解決、小泉氏は「選挙の顔」、小渕氏は党をまとめる総合力と、各自の持ち味を訴えた。
梶山氏は「今乗り越えなければならないのは経済不況、金融の不全だ。この二つを解決しなければ将来の展望は開けない」と指摘。これら問題に「短期であろうが全力を挙げ、活路を見いだしたい」と述べ、経済問題一点に絞って支持を求める考えを示した。
小泉氏は「党員に訴えたいのは、どの党首の下で来るべきいくつかの選挙を戦うべきか。それだけだ」と菅直人民主党代表に対抗する選挙の顔としての自らをアピール。「(橋本首相と総裁を争った)前回は負け戦だと思っていたが今回は勝機はある」と自信をのぞかせた。
小渕氏は「参院選で自民党は厳しい鉄ついを下された。党の全力を結集して難局に取り組まなければならない」と強調。「党内の有為の方をすべて網羅する形で政治指導することができるのは総合力だ。大きな勝負の時と考え、立候補した」と強調した。《共同通信》
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【天皇、皇后両陛下】那須で放鳥
天皇、皇后両陛下は21日午後、静養のため東京駅発のJR東北新幹線で栃木県入りし、那須町の那須御用邸に到着後、御用地内でキジやヤマドリの幼鳥を放鳥された。
放鳥は栃木県が昭和28年から続けている野鳥保護事業。42年に昭和天皇が参加して以来、御用邸滞在中の両陛下らがほぼ毎年、参加して実施している。昨年は台風19号の上陸で静養が取りやめになり、両陛下は参加しなかった。
両陛下は24日までの滞在中、同県大田原市のネギ生産農家を視察する。《共同通信》
【政界談話室】
○・・・橋本龍太郎首相は21日、総裁選立候補受け付け直前に自民党本部で開かれた役員会に出席。官邸に戻り感想を求められても「(役員会で)日程の報告を受けた。淡々と予定通り進めるだけだ」と、去りゆく身からか、素っ気ない返事ばかり。ただ、サラリーマン時代は上司であり、日ごろから師事する宇野収・元関西経済連合会会長が訪れると「思いは千々に乱れる」と本音を漏らし、宇野氏から「妄想をなくして冷静に」とやんわりたしなめられる場面も。トップ引退を経験した大先輩だけに学ぶことも多かったようだ。
○・・・民主党の羽田孜幹事長はこの日、都内で開かれた両院議員総会直前に、今回当選組の参院議員らとしばし歓談。ある選挙区から出馬して落選した現職議員の名前を挙げて「どうしていないんだ」と一言。続けて「楽勝だと思っていたんだけどなあ…」。大声で話したため、スピーカーからそのまま流れて会場は苦笑。この現職議員と親しい羽田氏だけに冗談半分と解説する声があった一方、「民主党躍進の中で落としたのは、羽田さんの読みの甘さのせいでは」と厳しい指摘も。《共同通信》
【日中共産党】32年ぶりに首脳会談
共産党の不破哲三委員長は21日、中国の江沢民国家主席(共産党総書記)と北京市の釣魚台迎賓館で約2時間にわたって会談し、両党の関係正常化を評価するとともに「一つの中国」の立場を堅持することで一致した。
両党首脳の会談は1966(昭和41)年、当時の宮本顕治書記長と故毛沢東主席が北京で行って以来で、約32年ぶり。
江主席は新たな日米防衛協力のための指針(ガイドライン)に関して「われわれの最大の関心事は適用範囲に台湾を入れてはいけないということだ」と強い警戒感を表明。歴史認識でも「日本の政治家と交流する時、強調するのは歴史問題にどう対処するかということだ。中国侵略の教訓が日本国内で明確にされておらず、中国人民は特別に警戒している」と指摘した。
不破氏は対中外交で①過去の侵略戦争を厳しく反省②「一つの中国」の立場を堅持③平和共存の原則を貫く④諸課題を平和的に解決⑤アジアと世界平和のために協力―の5原則を提示。江主席はこれに回答する形で新防衛指針、歴史認識問題について見解を明らかにした。
江主席は台湾問題では「中国人民はいつか必ず台湾を統一することを願っている。これは神聖で侵されてはならない」と強調。不破氏は「『一つの中国』論をめぐる逆流の根元は米国側にある。米国は脱法的に台湾関係法をつくり、介入戦略を採っている」と批判した。
不破氏は核兵器廃絶問題に関して「核兵器保有国でイニシアチブを発揮できるのは中国しかない」と期待を表明。江主席は「中国は核保有国の一つだが保有しているものは限られており、先制使用はしないと宣言している」と説明するにとどめた。
双方は9月の江主席来日時の再会を確認。実務者レベルで両党の交流活発化に向けた具体的な計画を検討することになった。《共同通信》
【この日の民主党】
民主党は21日、都内で両院議員懇談会を開き、参議院選挙の総括、今後の活動方針などについて参院選当選者を含む党内議論を行った。冒頭、16日に逝去された奥田敬和両院議員総会長のご冥福を祈り、全員で黙祷した。
つづいて山花貞夫選対委員長が当選者を紹介し、会場は拍手と歓声に包まれた。
菅直人代表は当選者を祝いながら「民主党が勝ったというよりも、今まで投票所に足を運ばなかった多くの人々が自民党にレッドカードを投票したということ」「わが党の支持率も上がっているが、一応票は入れたけれども本当にやれるのか見てやろうという、より厳しい目で見られていると認識しなければならない」と戦勝ムードを引き締めた。
菅代表は現在行われている自民党の総裁選について「3人の候補は(恒久減税や財革法凍結など)民主党が主張してきたことを今になって言っている。しかし誰が総裁になっても自民党ではやれないから、こういう選挙結果が出ている。自民党の比例名簿は税金を無駄づかいする役所の代表ばかりだ」と批判。改めて早期の衆議院解散総選挙を求め、「民主党は国民の前にこういう政策で、こういう仲間づくりで、こういう政権を作るということを示していこう」と呼びかけた。
つづいて熊谷弘参院選対本部事務総長が参院選挙総括の視点を提起。「選挙戦を通じて明らかになった課題は2つ。ひとつは地方の組織化がきわめて不十分であること。ふたつめは一刻も早く衆院選挙の態勢を整えなければならないということだ」として、厳しい選挙戦を戦い抜いた仲間をねぎらうとともに、休む間もなく臨戦態勢に入る必要性を強調した。
羽田孜幹事長は当面の政局対応について「野党第1党としての責任を自覚しながら、他の野党と多角的に連携していかなければならない」と、自民党による野党分断策への警戒感を示しつつ、「国会論戦を通じて自民党政権とぶつかっていく」と、国民に見える形での野党協力、政策的対決を提起した。また、8月11日告示予定の衆議院富山2区補選、故奥田議員の石川1区補選への準備にも言及した。
また、羽田幹事長は党機関として、規約検討委員会、総選挙対策本部、政権構想委員会の早期設置を提案。総選挙対策本部は統一自治体選対策本部と一本化するかどうか、執行部で調整中であると報告された。菅代表を中心に候補者発掘も兼ねた全国キャンペーンを展開していくことも確認された。 羽田幹事長は「新しい民主党を立ち上げた細川護煕元総理の政権戦略会議に次ぐ第2次政権戦略会議を立ち上げ、各界専門家の協力を得て、国民の期待に応えられる政権構想を作りたい」と意欲を示した。
具体的な日程としては、(1)参院選総括の都道府県代表者会議を8月お盆前に行う(2)今後の政権戦略などを議論する議員と支持者による全国研修会を9月13日から15日に行う(3)全国研修会の前日、民主党主催による自治体議員の会議を開催する――ことが提起された。
石井一国対委員長は臨時国会の召集について「今月30、31日召集というシナリオは橋本総理続投を前提としたもの」と述べ、同時に「支離滅裂な自民党に対して、民主党は政府に先駆けて経済対策の具体案を示すべきだ」と、党内に景気・金融問題に関する緊急経済対策本部を早急に設置することを求めた。
菅野久光参議院議員会長は「4月27日の結党の際、参院選が終わるまでは民友連の役員体制でいくことにしていたので、この機会に改めて役員を選出したい」と新体制に移行することを表明。人選は22日現在、参院議員総会で協議している。参院の党所属議員は47名で改選前から9名増となった。さらに無所属議員に入党、統一会派を働きかけている。
質疑討論では「参院選で否定された自民党政治のまま、自民党総裁選がそのまま総理につながっていくのはおかしい。首班指名までに野党共通の総理候補を立てるよう、党首会談を呼びかけるべき」「次の衆院選には全選挙区に候補者を立て、政権を奪取する方針を出してほしい」など、積極的意見が相次いだ。
菅野参院議員会長は「参院の首班指名選挙では自民党が過半数に届かないので、上位2者の決選投票になる。菅代表が指名されるよう頑張る」と決意表明。鳩山由紀夫幹事長代理は「全国キャンペーンも大事。選挙後、ますます民主党の街頭演説を聞いていただける状況になっている」と、各地での街頭宣伝など一層の活動を促した。《民主党ニュース》