平成2630日目
1996/03/21
この日のできごと(何の日)
【オウム裁判】井上嘉浩被告、初公判
地下鉄サリン事件など10事件に関与したとして殺人罪などに問われたオウム真理教元幹部井上嘉浩被告(26)の初公判が21日、東京地裁で開かれ、起訴された全事件が一括して審理された。
植村立郎裁判長は冒頭手続きで、地下鉄サリン事件の起訴状に記載された被害者全員(死者11人、負傷者3796人)の氏名などを読み上げるよう検察側に要請した。これを受け検察側は起訴状別表に書かれた被害者全員の氏名などの朗読に入った。正午すぎまでに約2500人分を読み上げた。
重要事件に関与したとされる教団「大臣」級の裁判で全事件が初公判から審理されるのは初めてで、井上被告はすべての起訴状が朗読された後にまとめて認否を行う予定。
被告弁護団は裁判所などとの協議で、刑事訴訟法の原則重視などを理由に、地下鉄サリン事件の起訴状に記載された被害者全員の名前、加療期間などを読み上げるよう要求、検察側は既に審理入りした元幹部中川智正被告(33)らと同様、朗読の省略を主張していたが、植村裁判長は「法がどこまで予定しているか議論はあるが被告側が要求している」などとして初めて全員の朗読を要請した。被害者が多数に上る事件の公判で、全氏名の朗読は異例。
起訴状朗読に先立つ人定質問で井上被告は職業を「無職です」と答えた。起訴された事件は地下鉄サリンのほか、目黒公証役場事務長監禁致死、信者リンチ殺人、都庁小包爆弾、大阪市のVX殺人、東京の2つのVX殺人未遂、新宿青酸ガス、教団東京総本部に火炎瓶を投げるなどした2つの自作自演事件の計10件。《共同通信》
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地下鉄サリン事件など10事件で、殺人罪などに問われたオウム真理教元幹部井上嘉浩被告(26)は東京地裁(植村立郎裁判長)で21日夕まで続けられた初公判で「すべての事件について関与したことは間違いありません」と事実関係を認めた上で、教祖の麻原彰晃被告(41)から「捜査をかく乱しろ」などと命じられたことを指摘。「すべて松本智津夫氏(麻原被告)が修行の名の下に指示したことです」と供述した。
また、被害者や遺族らへの謝罪も口にし「裁判で松本智津夫氏に立ち向かい、事実を明らかにすることで償いたい」と述べた。弁護人は「断れば殺される危険があった」などとして全事件について法律論で無罪を主張した。
井上被告の意見陳述によると、平成6年1月のOさん事件では、Oさんが暴れると麻原被告は「できないならおれがやる」と叫んだ。昨年5月の新宿青酸ガス事件の前に、村井秀夫元幹部=死亡当時(36)=から「尊師の逮捕を阻止するためにできることは何でもやれ」と指示され、麻原被告からも「4月30日にとにかく捜査をかく乱しろ」と命令されていた。
さらに、麻原被告が東京都中野区の駐車場経営者に対するVX殺人未遂事件(6年12月)で「これはVXの実験だ」などと言って直接指示したり、大阪市のHさん殺害事件(同)でも「VXをひっかけてポアしろ。公安のスパイであることは間違いない」と命令したりしたことを明らかにした。
しかし麻原被告との関係では「共謀ではなく、絶対的命令を修行として実行した。指示を拒否すればポアの名の下において殺されるという恐怖や経験があり、断れなかった」と述べ①VXでは死に至らないと思っていた②青酸ガスや都庁爆弾事件では人を殺害するとは考えていなかった③地下鉄事件の犯行メンバーではない−などと主張した。
最後に麻原被告について「自らを法皇とする真理の国家を形成することを予言の成就と定め教団武装化に向かわせた。修行と称し犯罪行為に関与させた」などと批判した。
検察側は地下鉄サリン、Oさん殺人、2つの自作自演、Kさん監禁致死事件の冒頭陳述を行った。同地裁は予定していた22日の期日を取り消した。《共同通信》
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【フジ系連続ドラマ・白線流し】最終回
【大相撲春場所】12日目
大相撲春場所12日目(21日・大阪府立体育会館)横綱貴乃花は万全の体勢から関脇武双山を寄り切り、11勝1敗で単独トップを守った。大関貴ノ浪は同じ勝ち星の平幕琴の若を落ち着いて決め出し、若乃花は小城錦を寄り切りともに2敗を堅持。大関武蔵丸は関脇貴闘力を押し出し、幕内分場所連続勝ち越しを決めた。関脇の魁皇、琴錦はともに敗れ、小結対決は土佐ノ海が安芸乃島を引き落とした。この結果、1敗の貴乃花を追う2敗は貴ノ浪、若乃花の2人で優勝争いは二子山部屋勢による展開になった。《共同通信》
【橋本龍太郎首相】将棋・羽生善治七冠に総理大臣顕彰
橋本龍太郎首相は21日、将棋の史上初の七冠王・羽生善治さん(25)を首相官邸に招き、総理大臣顕彰を贈った。首相は「将棋界初の七冠を達成し、将棋の普及を通じ文化の向上と発展に功績は誠に偉大だ」と述べ、顕彰状と楯を手渡した。
羽生さんは「泰然自若」と書かれた箱入りの将棋盤をプレゼント。首相は「これは(首相を)辞める時も持って帰っていいんだよね」と軽口をたたき、周囲を笑わせた。
首相は顕彰式後、梶山静六官房長官らとともに羽生さんと懇談。住専問題について「いい次の一手はないか」と冗談交じりに尋ねられ、羽生さんは「僕は将棋以外は全く読めませんから」とかわしたという。
この後、羽生さんは記者団に「顕彰は非常にうれしい。首相はユーモアがあり、笑顔がいい方だ。駒にたとえると、切れ味鋭い角ですか」と感想を述べた。
羽生さんは2月14日、王将のタイトルを獲得し、他の名人、竜王、棋聖、王位、王座、棋王と合わせて初めて将棋の七大タイトルを制した。総理大臣顕彰は、学術・文化、スポーツなどの面で顕著な功績があった個人、団体が対象。《共同通信》
【政界談話室】
○・・・梶山静六官房長官は21日、官邸で行われた将棋の羽生善治七冠王への総理大臣顕彰式で、羽生氏に「あなたのような頭があれば、国会も先が読めるんじゃないか。今日は握手してもらって、つめのあかを少しもらえないかと思ってるんです」と握手を要求した。政界ではトップクラスの将棋六段を誇る梶山氏だが、「橋本・小沢トップ会談」の奇手が功を奏さなかっただけに、何とか七冠王の「御利益」にあやかりたい様子。「2回手を握ったから、これで…。しばらく手を洗わないぞ」と喜んでみせたが、次の一手がひらめくか。
○・・・新進党の鳩山邦夫広報企画委員長はこの日、都内で開かれた住専予算反対集会で「国会議員は国民の代弁者でなければならない。『代議士』とは国民に代わって議論するサムライだ」と、国民の多数が税金投入に反対していることを強調。返す刀で鳩山由紀夫・新党さきがけ代表幹事を引き合いに「いい兄貴だが、住専に対してはちょっと狂っちゃってる。こういう政党の人は代議士としての本分を捨てようとしている。議会制民主主義、国民の代弁をする制度に死をもたらす」と与党をこてんぱん。実の兄ながらも、批判のボルテージは上がる一方。《共同通信》
【英国】「狂牛病パニック」全土に
牛の奇病、牛海綿状脳症(狂牛病)が人間に感染する疑いが表面化、フランスなど欧州各国が英国産牛肉の輸入禁止に踏み切る中、震源地の英国では21日までに、3分の1の小中学校が、給食での牛肉使用を停止するなどパニックは全土に広がっている。
牛肉の小売価格は同日までに15%も下落、英畜産業界は打撃を受けている。スーパーマーケットやハンバーガー店などは「安全」を訴えているものの、消費者の牛肉拒否反応は強く、中華料理店などでも牛肉を食ベ残す客の姿が見られる。
当局が緊急の対応策や予防措置を打ち出さなければ、景気回復基調にある英経済にも深刻な影響を与える恐れも出てきた。
給食を調理、配送している業者らのケイタリング協会によると、小中学校約3万校のうち、1万校が給食に牛肉を使わないことを決めた。ボイコットの輪はさらに拡大する勢いで、協会側は「狂牛病について政府はもっと情報を公開してほしい。業者だけでなく、教師や親、生徒までが混乱している」と指摘した。
ドレル英保健相は対応策として国内の家畜牛約1100万頭を処分する可能性に言及。英農協のナッシュ会長は「国民の安全のためとなれば(処分は)仕方がない選択肢かもしれない」と話している。《共同通信》