平成2487日目
1995/10/30
この日のできごと(何の日)
【東京地裁】オウム真理教に解散命令
東京地検検事正らによるオウム真理教の解散請求で東京地裁(金築誠志裁判長)は30日、教団施設内の化学プラントで実際にサリンの生成が行われたなどと認定、「このような恐るべき犯罪が社会一般に与えた恐怖感、不安感の大きさには計り知れないものがある。もはや宗教法人としての保護を受けるべき宗教団体とは認められない」として、宗教法人法に基づく教団の解散を命じる決定をした。
教団によるサリン生成などを認定した初の司法判断。また、組織犯罪を理由とした宗教法人の解散命令は初めて。教団の存続や教祖の麻原彰晃被告(40)らの公判にも重大な影響を与えそうだ。決定が確定すればオウム真理教の所有する施設、土地などは裁判所が選任する清算人の管理に入る。教団側は即時抗告して争うとみられる。
オウム真理教外報部は同日夕、決定について「正式な通知を見た上で、担当弁護士と相談しながら今後の対応について協議していきたい」とのコメントをファクスで報道機関に発表した。
決定理由で、金築裁判長はサリン製造プラントと指摘された山梨県上九一色村の「第7サティアン」の化学プラントからサリンの分解物質などが検出された事実を重視。解散請求理由のサリン生成の企てだけでなく「プラントを実際に作動させてサリンの生成が行われた」と踏み込んだ判断を示した。
また金築裁判長は、教団内の麻原被告の存在が絶対的であることや、プラントへ据え付けるなどされた機器材の代金が2億2000万円余と高額に上っている点などから「犯行は麻原被告の指示あるいは少なくとも承認の下に、教団の組織的行為として実行された」と認定した。
宗教法人法は、宗教法人が「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」や、「宗教法人の目的を著しく逸脱した行為」をした場合などを解散命令事由と定めており、同裁判長は教団の行為がそれぞれに当てはまるとした。
教団側は、「第7サティアン」の化学プラントについて、農薬工場と主張し、プラントの鑑定を申請したが、金築裁判長は、サリンの分解物質などが検出された事実と矛盾するとして申請を退けた。
解散請求は、同地検検事正と東京都知事が6月、申し立てた。東京地裁は10月2日、「第7」を検証。同6日の非公開の審問で、検察側、教団側双方の主張を聴いた。教団に対しては東京地検検事正らによる解散請求の申し立て以外にも、松本サリン事件の犠牲者遺族などが同地裁に解散請求を申し立てている。
東京地裁は、事件捜査で得られた有力な証拠が提出されている同地検検事正らの申し立て一本に絞り、解散の適否を判断した。《共同通信》
◇
オウム真理教に対する東京地裁の解散命令決定を受けて東京都の青島幸男知事は30日夕、都内のホテルで記者会見。「地裁の迅速な決定は大変喜ばしく、敬意を表する」と述べるとともに「解散命令が早期に確定し、国民に不安と焦燥を抱かせる事態が収拾することを祈る」と期待を込めた。
オウム教団が宗教法人としての枠が外れた後について問われると「信者の信教の自由を尊重すべきかは別にして、ここまでいろいろな事態が明らかになっているのに、それでもあの人(麻原彰晃被告)に帰依する気持ちが消えないというのは理解できない」と心情を明らかにした。
記者会見は、昔の仲間らが同夜企画した「青島知事を励ます会」の会場ホテルで急きょ設定された。青島知事はこの日、持病の腰痛が再発し午後のスケジュールをキャンセルしており、腰をかばいながら会見に。
話が都庁小包爆弾事件に触れると、青島知事は「私よりも実際にけがをした当時の秘書課の人間が嫌な思いをした。彼が一番安んじているのでは」と卑劣なテロに怒りを新たにし「解散命令の年内決着を」と重ねて期待した。《共同通信》
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【松井裕樹さん】誕生日
【沖縄県・大田昌秀知事】代理署名、あくまで拒否
自民、社会、さきがけの与党外務・防衛調整会議の合同代表団(座長・中山太郎、伊藤茂、前原誠司)の3氏は30日夕、沖縄県庁で大田昌秀知事らと会談し、沖縄駐留米軍基地や日米地位協定問題について意見交換した。
大田知事は米軍用地強制使用の代理署名について、あくまで拒否する考えを明言、基地縮小の具体的な青写真を求めた。沖縄県側は11月4日の大田知事と村山富市首相との会談で①代理署名は国が法に基づいて行う②日米地位協定の全面的な見直し③21世紀の沖縄建設に向け、米軍基地返還のアクションプログラムの策定、の3項目を要請する意向を明らかにした。
沖縄県側があらためて強硬姿勢を示したことを受けて、与党は11月2日の3党首会談で対応策を取りまとめる。与党内では「法的手続きに入るのもやむを得ない」との声が強まるとみられ、首相は自ら代理署名する厳しい判断を迫られよう。
会談で大田知事は代理署名問題について「厳しいと最初から申し上げている。今回は署名できないと理解していただきたい」と拒否する姿勢を表明。その上で「日米安保体制が強調されるが、沖縄にとって(戦後は)差別的処遇の50年だった。基地を未来へ固定化し、沖縄だけが過重負担するのは耐えられない」と強調した。《共同通信》
【政界談話室】
○・・・村山富市首相は30日昼、母校の明治大学の記念講堂が取り壊されることへの感想を記者団から尋ねられると「そうらしいね。聞いてます」とポツリ。講堂については「あそこは待ち合わせによく使った。まあ、僕らの時は戦争中だったけどね」と、50年以上前の思い出を感慨深い表情で語った。首相は「できれば残してほしいけど。シンボルみたいな存在じゃからな」と残念そう。社会党の「シンボル」だった自衛隊違憲や日米安保破棄論を大転換、新党に移行すれば党名も変わるだけに、せめて母校のシンボルだけは残しておきたかった?
○・・・新進党の小沢一郎幹事長はこの日、新潟県長岡市で開かれた党所属議員の励ます会で講演。故田中角栄元首相のおひざ元であることを意識してか「長岡に来ると、田中先生の話を抜きには語れない」と切り出した。「田中先生に師事し、門をたたいて27年になる。先生の列島改造論は戦後日本をつくり上げた」と、繰り返し列島改造論を持ち出し、田中政治を持ち上げた。さらに「われわれが次なる世紀を日本の世紀にするために新たな改革を実行することで、田中先生の薫陶にこたえたい」と力むなど、田中政治の後継者は小沢氏と言わんばかり。《共同通信》
【水俣病全国連】最終解決案を受諾
水俣病被害者・弁護団全国連絡会議(全国連、原告約2000人)は30日午後、未認定患者救済問題の政府与党最終解決案を受け入れるとした村山富市首相と大島理森環境庁長官あての回答書を環境庁に提出した。
回答書では「多くの不十分さはあるがこれまでのチッソ、国などによる患者切り捨て政策の転換を求めている」などと解決案を評価し、受諾を表明している。
最終解決案は5つの被害者団体に提示されていたが、全国連の回答ですべての団体の受け入れ回答が出そろった。また、全国連は原因企業チッソ(本社東京)に対しても「患者らに謝罪し、原告患者らを水俣病として補償せよ」などと求めた申し入れ書を渡した。
環境庁へは全国連の原告、弁護団の13人が訪れた。水俣病第三次訴訟原告団の森葭雄副団長が「高齢の患者のことを考えると今が一番大事な時期と思い、受け入れを決めた」と大島長官に回答書と申し入れ書などを手渡し、大島長官は「誠意を持って執行できるよう、なお努力する」と述べた。
回答書では残された課題として①胎児性、小児性患者の救済②民間診断書を重視した判定検討会の運用―などを指摘し、国、県などの対処を求めている。《共同通信》
【大相撲九州場所】番付発表
日本相撲協会は30日朝、大相撲九州場所(11月12日初日・福岡国際センター)の番付を発表。先場所敢闘賞を受賞したベテランの琴稲妻が、新小結に昇進した。琴稲妻は昭和53年春場所の初土俵から106場所を要しての新三役で、玉竜の107場所に次ぐ史上2位のスロー昇進。33歳6カ月での新三役は、昭和以降5位の高齢。
横綱、大関陣に変動はなし。先場所全勝優勝の貴乃花が3場所連続の東横綱で、今場所に自己初の4連覇、双葉山と並ぶ12度目の優勝を懸ける。西横綱は曙。
関脇は東が魁皇、西が武双山と琴錦。魁皇は6場所連続関脇で、昭和以降10位タイ。先場所小結で10勝を挙げた琴錦は5場所ぶりの関脇返り咲き。琴錦は関脇16場所となり、昭和以降では長谷川に次いで単独2位、また三役通算23場所は同3位の在位記録。小結は東が琴稲妻、西が3場所ぶりに復帰の貴闘力。
平幕では、先場所11勝を挙げた土佐ノ海が西筆頭に躍進。小結で負け越した剣晃と琴の若はそれぞれ東筆頭、西3枚目に後退。元大関の小錦は西10枚目、霧島は東14枚目で後がなくなった。史上10位の幕内在位71場所を誇る隆三杉が、十両に転落した。《共同通信》
【西武・清原和博内野手】FA宣言せず
西武の清原和博内野手(28)は30日、秋季練習を行っている宮崎・南郷町のホテルで記者会見し、今季はフリーエージェント(FA)宣言しないことを表明した。
球団側はFA宣言をした上で、複数年契約を結ぶことを希望したが、清原は、打率2割4分5厘、25本塁打、64打点に終わった今季の成績を挙げ、「今年は最悪のシーズン。実績を残してから堂々とFA宣言したい」と拒否した。
また、複数年契約についても「確かに安定したものがもらえ、選手としては魅力的だが、今年の成績ではそういう気持ちにはなれない」と1年契約を主張。さらに「これまでは優勝チームの四番として高い評価をしてもらっていた。今年は優勝も逃したし、来季は年俸を下げてもらいたい」と異例の申し入れをしたことを明らかにした。
球団側は複数年の契約を求めて看板選手を引き留めようとしているが、清原は「あと10年以上はプレーをするつもり。西武に骨を埋めるとか、そういうやめるときのことを考える時期ではまだないし、考えたこともない」と語った。《共同通信》
【カナダ・ケベック州民選挙】独立反対派が勝利
フランス系住民が多数派を占めるカナダ・ケベック州の、カナダからの分離独立の是非を問う住民投票が30日午後8時(日本時間31日午前10時)締め切られ、即日開票の結果、CBCテレビなどによると、開票率98.5%で賛成49.52%、反対50.48%と、当初リードを許した反対派が小差で逆転勝利した。
連邦を構成する10州のうち面積で最大(日本の約4倍)、人口2位(約730万人)のケベック州が分離独立すれば、カナダの政治経済に大きな打撃を与えるだけでなく、米国など米州圏との関係が悪化する可能性もあった。
反対派の勝利で連邦制が辛うじて維持されることになったが、州を二分した争いは住民に深い傷跡を残し、分離独立を求める火ダネもくすぶり続けることが確実となった。
事前の世論調査では、賛成(46.8%)が反対(41.4%)を5ポイント以上上回り、独立派が勢いづく情勢となっていた。しかし、女性を中心とする約10%の有権者が直前まで態度を決めないまま投票所に足を運んだとみられ、これらの浮動層が「独立反対」に大きく傾いて決着した。晴天に恵まれ、投票率は80%以上に達したとみられる。
ケベック州は、英国系住民が多数派を占める他州と異なり、州住民の約82%がフランス系で、フランス語を州の公用語とする特異な州だ。
フランス文化を防衛するとの意識から、分難独立運動が1950年代以降くすぶり続けている。80年に初めて州の住民投票が行われたが、賛成が40%にとどまり、独立は否決された。《共同通信》
【英・メージャー首相】仏核実験に理解
メージャー英首相とシラク・フランス大統領は29、30の両日、英国内で会談し、核戦力から平和維持活動(PKO)まで幅広い分野での「地球規模のパートナーシップ」推進で合意するとともに、PKOや人道援助での輸送協力などを目的とした両国による「欧州空軍グループ」を発足させた。
両首脳は会談終了後、外務省内で共同記者会見し、シラク大統領は、南太平洋での核実験再開について「核兵器の信頼性を確認するために不可欠である」と正当性を指摘。メージャー首相も「シラク大統領の決定を支持する」として、フランスの核実験再開に理解を示し、両国の蜜月関係を強調した。核分野での協力については共同声明で、独自の核戦カの独立性を保持しながら「抑止力の相互強化を図る」と述べただけで、詳細は今後、合同核委員会で詰めるとしている。
フランスは、欧州連合(EU)の通貨統合ではドイツと歩調を合わせているが、共通防衛政策ではEU内の核保有国同士の英国と連携、主導権を握る狙いとみられる。《共同通信》
【英・エリザベス女王】初めて民間機に
エリザベス英女王は30日、特別機でなく一般乗客とともに民間機に乗って、ニュージーランド訪問の旅に出発した。女王が民間機に搭乗したのは今回が初めて。ニュージーランド政府からの旅費節約の要請を受け入れた。特別機を使用しないことで約40万ポンド(約6600万円)の節約になるという。
女王が民間機の搭乗を選んだのは、特別機費用を節約することでチャールズ皇太子らの結婚をめぐるスキャンダルで国民の人気が落ちた王室のイメージを回復するのが一つの狙いとみられている。
女王が乗ったウェリントン行きのニュージーランド航空機のファーストクラス部分はシートがすべて取り払われ、専用のダイニングテーブルやベッドが設置されるなど、女王専用に改造された。また一般客との間には特別の仕切りが設けられた。
同機の乗客は、搭乗前に荷物を3回点検されるなど極めて厳しいチェックを受けたが「エリザベス女王と一緒とは光栄だ」と語り、「ロイヤル・フライト」を歓迎していた。エリザベス女王の特別機には昨年度だけで約800万ポンドの税金が支出された。《共同通信》