平成2217日目
1995/02/02
この日のできごと(何の日)
【宮崎勤被告】公判再開
幼女連続誘拐殺人事件で誘拐、殺人などの罪に問われ、精神鑑定のため中断していた元印刷業手伝い宮崎勤被告(32)の公判が2日、約2年ぶりに東京地裁(田尾健二郎裁判長)で再開され、同被告について「多重人格」と「精神分裂病」と、結論の異なる2通の鑑定書が証拠採用された。
いずれも宮崎被告に完全な責任能力を認めることはできないとした点で、弁護側主張に沿う内容になっている。裁判所には平成4年3月「被告には完全責任能力があった」とする1回目の鑑定書が提出されており、3つの鑑定書をめぐって弁護側と検察側の間で激しい論争が繰り広げられそうだ。
宮崎被告は鑑定書朗読に先立ち意見を求められて「押収とか言って持って行かれた物が傷つけられたり、盗まれていることが分かった。私の物がどれくらいやられているか、見に行きたい。私の物だから見に行くことができると思う」などと述べた。
また弁護側は、この鑑定中に宮崎被告の父が自殺したことを明らかにし「長らくお世話になりました。勤のことをよろしくお願いします」との弁護士あての遺書を朗読した上で、被告の責任能力についての慎重な審理を求めた。
2回目の精神鑑定を委嘱されていたのは、内沼幸雄帝京大教授、関根義夫東大助教授、中安信夫東大助教授の3人。このうち内沼、関根両氏は、宮崎被告が多重人格とした上で「人格発達の障害に祖父の死亡が加わり反応性精神病だった」とし「完全責任能力を求めるのは無理ではないか」と結論付けた。
多重人格は、時によって性格や記憶などの異なるいくつかの別の人格に変化するのが特徴。宮崎被告の場合①幼児人格②犯行声明文を送りつけた「今田勇子」の人格③衝動的殺人の人格ーなどの人格があると鑑定された。外国の症例はいくつか知られているが、日本の裁判で多重人格が本格的に問われるのは初めてとなる。
中安氏は、同被告が犯行当時すでに精神分裂病だったと鑑定。しかし、犯行との関連は薄いとし「心神耗弱に相当するが、免責される部分は少ない」としている。
刑法では、精神の障害で物事の是非を識別できないか、その能力が著しく低下した場合には、責任能力が不完全として刑を減免すると規定している。《共同通信》
昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。
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【山陽新幹線】復旧はGW明けに
JR西日本は2日、阪神大震災(兵庫県南部地震)で、不通になている山陽新幹線の新大阪ー姫路間を当初予定より約1カ月早い5月連休明けにも復旧したい、と発表した。被災区間の被害上京を詳しく調べた結果、短縮が可能になった。
芦屋ー神戸間が不通の東海道線も同時に全面復旧させる予定。復旧費用は総額約1200億円に上る見込み。
東海道新幹線は既に東京ー新大阪の全線で運転しており、阪神間で途切れている日本の交通の大動脈も地震から約4カ月ぶりに全面開通することになる。
山陽新幹線は橋げたが神戸市や西宮市など計8カ所で落下したり、六甲トンネルが損傷するなどして新大阪ー姫路間で不通。姫路ー博多間を「ひかり」と「こだま」で折り返し運行している。同社は壊れた橋げたや軌道、柱などを調査。これまでに高架橋の橋脚など704本が損壊していることが判明した。
しかし、強度に不安がなければ落下したものも再利用することなどを検討し、復旧方法の詳細を詰めた結果、5月上旬の復旧が可能との結論に達した。工事が順調に進めばさらに早い復旧もあり得るという。《共同通信》
【兵庫県五色町】仮設住宅に入居
阪神大震災から2週間たった2日、兵庫県・淡路島の五色町都志で家が倒壊するなどしたお年寄り4世帯5人が県内で初めて仮設住宅4戸に入居した。
当初は4日入居の予定だったが、住民の強い要望を受け「体の弱いお年寄りが、早く安心できれば」と五色町長が繰り上げ入居を決めた。部屋は2DKタイプで広さ29.16平方メートル。
兵庫県は選難所で生活している約26万人のため、仮設住宅約3万戸の建設を計画。そのうち約1万1000戸は既に発注済みで、2月下旬までの完成を目指している。2月上旬には第一次発注分約3000戸が完成、入居ができる見通し。3万戸すベての完成は3月いっぱいはかかると予想されている。《共同通信》
【村山富市首相】援助隊法改正の意向
村山首相は2日午後の衆院予算委員会で、海外の災害派遣に限定されている国際緊急援助隊について「海外には出られるが、国内で何かあったときに組織的に動いてもらえない。制度に検討を加える必要がある」と述べ、国内災害にも対応できるよう国際緊急援助隊派遣法を改正する意向を明らかにした。
首相は既に国際協力事業団(JICA)に対し、同援助隊医療チームを弾力的に運用できるよう協力要請している。
亀井運輸相は「東海地震の予知は相当自信を持っているが、直下型地震については過去のデータの集積度から予知はほとんどできない」と言明。首相も「阪神大震災の経験から、今ある計画を全面的に見直し、遺漏なきようにしたい」と述べ、国の防災基本計画とともに南関東など地域防災計画も見直す意向を示した。《共同通信》
【政界談話室】
○…2日の衆院予算委員会に出席した材山首相は、阪神大震災対策の心労のせいかいつになく不機嫌。「こういうときだから大変だとも言っておられんわ」と自らを奮い立たせていたが、新民主連合の新会派結成断念について記者団が質問しようとすると「僕の頭には、党のことはない」とムッとした表情。さらに記者団が阪神大震災について「責任を感じる」との過去の答弁に触れると「非を認めるということではないッ」と、普段の温厚さはどこへやら。危機管理能力など首相としての厳しさが問われているだけに、甘い顔ばかりもしていられない?
○…この日の新進党役員会で、市川政務会長は「衆院予算委員会は議員の傍聴者が少ないし、予算委のメンバーが張り切っていない。あまりに優等生過ぎる」と低調な審議をやり玉に挙げた。論戦に立っている明日の内閣の“閣僚”にも「内閣の格好はつくったが魂が入っていない」と不満たらたら。これに対し、影の首相の海部党首は「今(中身を)つくりつつあるところだ。きのうも震災対策をまとめ、6日には移動キャビネットもやる」と気色ばんで反論したが、新進党も予算の早期成立に協力の方針を打ち出したため、攻め手に欠けるとあってイライラが募る様子。《共同通信》
【マルコポーロ事件】文春社長が謝罪
「ナチスによるユダヤ人虐殺のためのガス室は存在しなかった」とする記事を掲載した月刊誌「マルコポーロ」(花田紀凱編集長、公称25万部)の発行元・文芸春秋の田中健五社長は2日午後、都内で記者会見して「深く反省している」と謝罪するとともに、同誌の廃刊を正式に明らかにした。しかし自らの進退については「文芸春秋を立て直すためにも辞めない」と述べた。
田中氏は、記事に抗議していた米国のユダヤ人団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」のアブラハム・クーパー副所長と並んで会見した。
冒頭、田中氏は「今回の記事が大虐殺(ホロコースト)の犠牲者、すべてのユダヤ人や海外の日本人にいかにご迷惑をお掛けしたかを知り、鉄棒で殴られて目を覚ます心境に達した」と述べ、この問題に関して認識不足があったことを認めた。
田中氏は、マルコポーロ誌についてはでき上がる以前の段階で目を通していなかったことを明らかにした上で「チェック機能がなかったということは大いに感じている。チェックの強化とオンブズマン制度などについて検討したい」との考えを表明した。一方、クーパー氏は今回の文春側の対応に満足していることを表明した。
問題になった記事は、神奈川県相模原市の医師西岡昌紀氏(38)が昨年夏ごろから同誌編集部に持ち込み、ことし2月号に10ページにわたり掲載された。①「ガス室」は存在せず、戦後宣伝のためにつくられた②ヒトラーがユダヤ人絶滅を命じたことはなかったーなどの内容。
文春側は、廃刊と同時に花田編集長の解任、同号の回収を決めているが、西岡氏は「一方的に言論を封じ込められた」などと反論している。《共同通信》
【中東4首脳】和平、反テロで合意
カイロで開かれていたエジプト、イスラエル、ヨルダン、パレスチナ解放機構(PLO)の四者による首脳会談は2日、中東和平プロセスの推進と、和平を危機的状況に陥れているイスラム過激派のテロに対決していくことなどを盛り込んだ共同声明を発表して終了した。
今回の首脳会談は、イスラエルが初めてアラブ側の3首脳と一堂に会して和平推進を再確認し合う場となった。昨年10月末に開かれた中東・北アフリカ経済サミットに引き続き、イスラエルとアラブ陣営との和解が着実に進展していること示したと言える。
声明によると、イスラエルとパレスチナ自治政府間の和平プロセスを継続するため、ラビン・イスラエル首相とアラファトPLO議長が9日、会談することで合意した。
さらに、四者は協力態勢を整えるため、ワシントンで1週間以内に米国を交えた外相会談の開催も決めた。
和平推進への大きな障害となっているテロについて、声明は「すべてのテロや暴力を非難し、こうした行為に断固とした立場で臨んでいくことを再確認した」とし、イスラム過激派によるテロ活動への対決姿勢を明確に示したが、具体的な方策は打ち出していない。
このほか、今年10月末にヨルダンの首都アンマンで開催される第2回中東・北アフリカ経済サミットに向けて地域の経済協力を進めていくことでも合意した。《共同通信》