平成1676日目
1993/08/10
この日のできごと(何の日)
【細川護熙首相】初会見
細川首相は10日午後、官邸で就任後初めて内閣記者会と会見し、政治改革を中心とした内政、経済運営、外交全般について見解を表明した。首相は、政治改革関連法案を9月上旬にも召集する臨時国会に提案して「年内成立に最大限の努力をする」と公約した上で、法案が成立しなかった場合は、政治責任を取ることを言明した。法案成立後の早期の衆院解散・総選挙には困難との判断を示唆した。
所得税減税については「簡単に減税を考える環境ではない」との認識を明らかにし、コメ市場開放問題では今後とも自給できるかなどを「総合的に判断する」と含みを残した。
首相は9月末のニューヨークでの国連総会を機に訪米し、クリントン米大統領と首脳会談を行いたいとの意向を示した。
焦点の選挙制度改正では、7党合意の小選挙区比例代表並立制の「小選挙区、比例代表各250歳席の配分」を基本にして与党各党間の調整にゆだねる意向を示した。
また政改革実現に伴う新選挙制度での早期解散・総選挙を求める考えに対しては「先のことは考えていない。解散の問題は軽々にすべきことではない。こちらが判断する」と述べると同時に、現実問題として成立後の「選挙制度区割り」の作業や周知期間の確保を挙げ、早期解散は困難との判断を示した。
首相は政治改革を通じての政界再編の在り方について「二大政党制というのが果たして健全なのか」と疑問を投げ掛け、多党化が国民の多様なニーズに合致するとの見方を示した。
新多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)に絡むコメの「例外なき関税化」受け入れ問題に関して、自給体制堅持の国会決議などを挙げて、応じられないとの考えを示しながらも「(生産者の)後継者不足で自給できる状況が続くのか、そうしたことを総合的に考え判断したい」としてコメ市場開放を将来の課題とした。
日米経済問題では、一層の内需拡大の促進による貿易不均衡是正を図るとしながらも米側要求の数値目標を設定しての是正には応じられないとの立場を明らかにした。
外交問題では、日米関係の重要性を強調し、国連総会に加え11月の米国・シアトルでのアジア太平洋経済協力閣僚会議(APEC)首脳会議への出席にも意欲を見せた。
このほか首相は①国連安保理常任理事国入りに積極的に動かないが、自然体でそうなることは歓迎②核拡散防止条約(NPT)の無期限延長を支持する③先の大戦は侵略戦争だったーなどと表明した。新生党の小沢一郎代表幹事の「けじめ問題」について、首相は「証人喚問でしっかり述べている」と述べるにとどまった。《共同通信》
昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。
情報量が少ない日は随時加筆中です。
引用記事は名前、住所など一部修正の上、抜粋してあります。
外国の方のお名前、地名などは現時点で一般的に通じるものに書き換えています。(例・ロシアのプーチン氏はかつてプチン氏と表記されていました)
古い記事の多くは「書き写し」のため、誤字脱字が多数あります。見つけ次第修正しています。
【九州予防接種禍訴訟】控訴審
乳幼児期に受けた予防接種の副作用で死亡したり、後遺症が出たりしたとして福岡、鹿児島両県の被害者とその遺族ら7家族計18人が国に総額7億5900万円の損害賠償を求めた九州予防接種禍訴訟の控訴審判決が10日午後、福岡高裁であった。
鎌田泰輝裁判長は現行救済制度で予防接種の被害者と認められていない5人を含む7人全員について予防接種と死亡や障害発生との因果関係を認めるとともに、国の接種行政の不備を指摘。国の過失を認め原告7家族全員に総額約3億3300万円を支払うよう命じた。《共同通信》
【文部省】新旧大臣が引き継ぎ
憲政史上初の女性大臣同士のバトンタッチとなった文部省。細川連立政権発足2日目の10日午前、新旧大臣の事務引き継ぎがあった。
森山真弓前文相と民間から就任した赤松良子文相は労働省時代から先輩、後輩の間柄。「いままでも引き継ぎをやりましたね」と言う赤松新文相に先輩の森山前文相は「課長時代から40年ぶり。こういう形でやるとは思いませんでした」と共に感慨深げ。労働省の係長、課長の時を合わせると今回が3回目という。
引き継ぎ書類を手渡した森山前文相は「それぞれ難しいことが少しずつあります。ご健闘お祈りします」と述べ、赤松文相は「確かに引き継ぎました」と受け取った。職員へのあいさつで森山前文相は「私の時代にとりかかった男女雇用機会均等法を赤松さんが仕上げてくれた。締めくくりはきちんとやってくれる人だ」と紹介。赤松文相は「文部省には良き伝統もあるだろうがあしき慣習もないとはいえない。私には選挙のしがらみもないし、変えるべき点は変えたいと思う」と改革へ意欲を見せた。《共同通信》
【政界談話室】
○…細川首相は10日午後、就任後初めて記者会見。終始立ったまま質問に答えたり、自ら質問する記者をペンで指名するなど自民党政権の首相会見にはなかったスタイルでざん新さをアピールした。執務室から会見室へ赴く時も官邸とつながる室内廊下は使わず、わざわざ官邸玄関から外にいったん出て記者と同じ出入り口から入室。カメラマンが撮影しやすいようにシャッターチャンスを増やすなど殿様らしからぬ気の使いよう。終了後、武村官房長官からは「88点だ」と合格点を付けられたのだが…。
○…山花政治改革担当相はこの日、自治省選挙部の職員を前に「自民党政権にできなかった政治改革を実現するのが最重点の課題」と就任に当たって意欲満々のあいさつ。しかし、最後は「大臣一人でも大変なのに二人来たという感じだろうが、どうかご協力をいただきたい」「従来と違って何かとご負担をいただくが、どうぞご指導のほどを」と低姿勢。対する森事務次官は「海部内閣で4法案が審議未了となったのは残念だったが、それが今日の細川政権を生む原動力になった」と当時、小選挙区比例代表並立制に反対した社会党にちくりと皮肉も。《共同通信》