平成1600日目
1993/05/26
この日のできごと(何の日)
【長崎原爆松谷訴訟】2キロ以遠も被爆認定へ
原爆症の認定申請を却下された長崎市深堀町、団体職員松谷英子さん(51)が厚相を相手に処分の取り消しを求めた「長崎原爆松谷訴訟」で26日、障害と放射線の因果関係を認め原告勝訴の判決を言い渡した長崎地裁の江口寛志裁判長は「原告の現在の疾病は、原爆の爆風の傷害作用によるもので、治癒能力が放射線の影響を受けているため今も医療を要する状態にある」と判決理由を述べた。
原爆症の認定では爆心地からの距離が2キロ以遠の人の申請を認めることは極めてまれとなっていた。判決が2.45キロの松谷さんの主張を認めたことで被爆距離を判断基準の中心に据えていると被爆者から批判の強い国の認定制度は大きな転換を迫られることになりそうだ。
判決は原爆の被害実態や放射線症状は未解明なものが多いとし「原爆の人体に対する傷害作用の解明については謙虚な態度で臨むべきだ」と指摘。その上で、被爆と障害の因果関係について「爆心と被爆地点との距離関係だけで放射線の影響を直ちに否定することは科学的合理性の見地から疑問」とし「被爆者の置かれたさまざまな状況を考慮せずに一般的に推定された放射線量を一律に当てはめることはできない」と判断、国は書類一枚でしか調べないとの批判のある認定審査に厳しく注文をつけた。
判決はさらに、原爆医療法の制度の根底に国家補償的配慮の面があること改めて指摘、感受性の強い幼児時代に被爆した松谷さんのその後の疾病状況などを総合判断して、放射線との因果関係を認めた。《共同通信》
昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。
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【東京外国為替市場】1ドル=108円台に突入
26日の東京外国為替市場は、円高容認と取れる米財務省の議会報告を受けて円が高騰し、戦後初めて1ドル=108円台に入り、午後の取引で一時108円63銭まで上昇した。終値でも前日に比べて1円91銭円高ドル安の108円65銭となり、これまでの高値の110円台から109円台を飛び越して戦後最高値を大幅に更新した。《共同通信》
【宮澤喜一首相】円高「協調介入に期待」
衆院予算委員会は26日、経済等に関する集中審議、締めくくり質疑を行い、円高、景気対策を中心に政府の見解をただした。
宮澤首相は最高値を更新した円高について「ちょっと急な動きだ。こんな急な動きはファンダメンタルズを反映した動きとばかりは言えない」と懸念を表明。「乱高下する時は対応するとG7(先進7カ国蔵相・中央銀行総裁会議)でもなっている」と述べ、協調介入に期待を示した。《共同通信》
【自民党・梶山静六幹事長】妥協案に難色
自民党は26日午後、党本部で梶山幹事長ら四役も出席して政治改革推進本部の副本部長会議を開き、政治改革法案の処理をめぐって協議した。その結果①28日の野党党首会談を待って自民党側の対応を決める②選挙制度改革の妥協案に絡む政治判断、党議決定の見直しは党四役を交えた推進本部副本部長会議で下し、最終的には総務会で決定する―を確認した。また、衆院政治改革調査特別委員会の下に小委員会を設けて与野党折衝を行う案については、梶山氏が「現場に任せるのは早過ぎる」と指摘、与野党間の意見交換の範囲にとどめることになった。
この日の副本部長会議は、25日の宮澤首相と梶山幹事長との会談を受けた本格的な党内調整の第一弾。今後も野党との折衝に合わせ断続的に開かれる。
協議では、政治改革特別委の野田毅理事が「委員会審議で意見は出尽くした。どう対応するのか、方向付けを」と要請。羽田派代表の羽田孜氏も選挙制度改革の実現を目指して与野党の歩み寄りを急ぐべきだと強調した。
これに対して梶山氏は「妥協を排するものではないが、党内が混乱するのは困る」として選挙制度改革で安易な妥協をすべきではないとの基本姿勢を表明、28日の野党党首会談の結果を見極める考えを示した。《共同通信》
【政界談話室】
○…日韓議員連盟会長の竹下元首相は26日、都内のホテルで開かれた金潤煥・韓日議連会長らの歓迎レセプションに出席、久々に公の席であいさつした。竹下氏は約30年前に日本駐在の特派員をしていた金氏とは旧知の仲とのことだが、「金氏と一緒に銀座に行くべきではない。彼ばかりがもてるから…」と当時「友人」から忠告されたエピソードを紹介、会場は爆笑の渦。この後「私もそのころは若くて金氏にひけを取らなかった」と付け加えたが、「友人というのは竹下さん自身ではないか」との疑惑も場内に広がっていた。
○…社会党の加藤万吉総務会長は記者会見で、「平成維新の会」と提携を目指す党内の一部議員が27日に初会合を開く問題を総務会で取り上げたことを紹介。党神奈川県本部委員長として小林正参院議員の離党騒ぎに巻き込まれているだけに「党の核分裂的な要素にけじめをつけるべきだ」と強硬論を展開した。総務会の席上、赤松書記長が「静観」の態度を崩さなかったことも不満な様子で、「きちっとけじめがついていないからだらだらする。党の指導性を強く望みたい」といらいらを募らせていた。《共同通信》
【ドイツ】難民の流入に歯止め
ドイツ連邦議会は26日夜、難民の大量流入を規制するためコール政権連立与党と最大野党の社会民主党が共同提案した基本法(憲法)改正案を賛成522、反対133、棄権1の圧倒的多数で可決した。改正された条項と関係法規は7月1日から発効する。これにより、冷戦の終結後、旧東欧地域などから西欧に殺到する難民の約60%を引き受けてきたドイツは、その締め出しへ向け大きく転換することになった。
改憲案によると、政治的迫害を理由にした亡命希望者を事実上、無条件で保護することをうたってきた基本法第16条に亡命資格制限条項を追加。関係法規で「迫害のない国」の出身者や「安全な第三国(隣接国)」経由で入国した亡命希望者については強制送還の原則を適用することを決めている。
基本法第16条は多数のドイツ人が国外に逃れたナチス時代の反省から設けられ、戦後ドイツの良心を象徴してきた規定だった。このため社民党左派はその見直しに最後まで抵抗し、改憲案の是非を問う記名投票では同党議員の半数に近い約100人が反対票を投じた。また、議会外では難民締め出しに反対する人権擁護団体や極左グループのデモ隊約1万人が周辺道路を封鎖するなどの抗議行動を展開したため、当局側は警官隊4000人を動員して厳戒態勢を敷いた。
ドイツには昨年だけで約44万人の難民が流入し、外国人排斥を叫ぶ極石勢力が台頭。国内の緊張が高まる中でコール政権与党と社民党指導部は昨年末、改憲へ足並みをそろえることで合意した。ドイツ政府は今回の決議に先立ち、周辺諸国と難民の送還協定を結ぶ交渉を始めており、既にポーランドとの間で最初の協定を締結している。《共同通信》
【キム・ベイシンガーさん】破産申告
映画出演をいったん約束しながら一方的に断ったことで製作者に巨額の損害を与えたとして、740万ドル(約8億円)の賠償支払い判決を受けた米国の人気女優キム・ベイシンガーさんは26日、ロサンゼルス連邦地裁に自己破産の申し立てをした。
それによると、認容額はベイシンガーさんの自己申告による資産約500万ドルを超えており、支払い不能としている。連邦地裁はこの日までに、賠償金と弁護士費用の合計の1.5倍に当たる1200万ドル(約13億円)を保証金(通常は1割を現金納付)として納めない限り、資産を差し押さえると通告していた。
自己破産の手続き開始によって、不動産などの差し押さえは当面免れることになった。ベイシンガーさんの映画出演料は一本300万ドルといわれている。訴訟を起こした映画製作者は「大スターなのに、自分の所有物にしがみついている」と今回の動きを批判している。
「バットマン」「ナインハーフ」などで知られるベイシンガーさんは、外科医が患者の女性に恋をし、手足を切断して自分のものにしようとする内容の映画「ボクシング・ヘレナ」の出演を了承した。しかしヌードシーンを嫌って出演契約を破棄したとして訴えられた。当初話題になった約890万ドルにも上る賠償額は、約150万ドル減額されている。《共同通信》