平成1591日目

1993/05/17

この日のできごと(何の日)

【河野洋平官房長官】PKO要員警護「武器使用は可能」

河野官房長官は17日午前の記者会見で、三塚自民党政調会長が国連平和維持活動(PKO)協力法見直し問題に絡め自衛隊が日本人文民警察官の警護に当たれるようにすべきだと発言したことに関連し「仮に自衛隊員が日本人選挙監視要員と一緒にいる時に不測の事態が起きた場合は自分自身のみならず、わが国要員守るために武器を使用することができる」と指摘。現行法でも、同じ場所にいる場合は自衛隊員による文民要員警護は可能と説明した。

さらに「カンボジアでPKOを行っている同胞の安全について自衛隊としても重大な関心を持つのは当然だ」と述べ、安全対策の一環として自衛隊施設部隊に軍事情勢に関する情報提供など、現行のPKO法でできる限りの協力を行わせる考えを示した。

長官発言は、カンボジア各地に分散している文民警察官の警護は無理だが、自衛隊施設部隊が駐屯するタケオ州に配属された日本人選挙監視要員については、部隊の基地内にいる場合や自衛隊員が輸送や給食などのため選挙監視要員の活動場所へ出向いた際などは警護が可能との見解を示したものだ。《共同通信》

河野官房長官は17日午前の記者会見で、死傷者を出したカンボジアでの文民警察官の任務について日本政府が当初規定していた状況とは異なっているとしてニューヨークの国連本部に先週末、改善などを申し入れたことを明らかにした。

日本のPKO協力法では文民警察官の任務は現地警察官の「指導や助言」とされているが、実際には要人警護や政党事務所の監視などをUNTACに命じられ、危険にさらされている事態を重視したものだ。《共同通信》

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【カンボジア総選挙】邦人選挙監視員、タケオ入り

23日からのカンボジア総選挙を控え、緊張が高まる中、総選挙の監視に当たる日本の選挙監視要員41人が17日午後2時(日本時間同午後4時)すぎ、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)のヘリコプターで配属先のタケオに到着した。

同日未明には北西部バンテイミエンチェイ州シソフオン近くで、プノンペン政権軍とポル・ポト派が交戦、住民を含む約20人が死傷したばかり。またポト派は同日、放送を通じ「UNTACは撤退すべきだ」と初めて明確に要求するなど総選挙阻止に向けた同派の妨害工作の一層の激化が懸念される。

一行は到着後、UNTACの車でタケオにある陸上自衛隊施設部隊のキャンプへ入った。41人全員と同日タケオ入りした各国監視要員は17、18の両日、陸自部隊が用意したテントに宿泊。18日はタケオ市内のUNTACタケオ州本部で選挙監視業務の説明を受ける予定。19日には配置先が決まり、州内の各任地へ展開する。

日本を含む各国の選挙監視要員は、州内125カ所に設置される投票所を各人が一カ所ずつ担当、23日からの投票が公正に実施されるよう監視する。《共同通信》

【自民党・梶山静六幹事長】所得税減税拒む

自民、社会、公明、民社の幹事長、書紀長は17日午後、国会内で所得税減税問題をめぐって会談した。野党側が戻し税方式による所得税減税の実施を重ねて迫ったのに対し、自民党の梶山幹事長は「景気は徐々に回復しつつある。赤字国債を発行してまで所得税減税を行う状況ではなくなった」と拒否、話し合いは物別れに終わった。

ただ梶山氏は、政府税調や党税調で中長期的な課題として本格的な所得税減税を検討することがあり得る、との考えを示した。

野党側は①1993年度予算が衆院を通過する際に、自民党は所得税減税の前向き検討を約束した2景気は依然深刻で所得税減税実施の必要性がある―と主張した。

梶山氏は「野党側に期待を持たせたことは深くおわびする。しかし、景気が底離れした今の状況で、赤字国債発行を伴う戻し税を考慮すべき時期ではないというのが、党政調会の一致した見解だ」と突っぱねた。《共同通信》

【政界談話室】

○…先週末広島にお国入りした宮澤首相は17日の政府、自民党首脳会議を前に閣僚から冷やかされることしきり。林蔵相が「大変な盛会だったようで」と切り出すと、後藤田法相が「(選挙でもないのに)今ごろ盛会をやられたらたまらんよ」と受け、武藤外相も「(集会に)1万人なんか、なかなか集まらないよ」と話に加わった。その間首相はにこにこと笑うばかり。政治改革論議をめぐって解散、総選挙がささやかれる中ではしゃぐわけにはいかないということか。

○…社会党の上田哲衆院議員はこのほど「夢と政治—国民投票法」を出版した。持論の国民投票法試案の解説と資料、それに初めて書いたという政治小説で構成。小説は、宮澤首相、後藤田法相、梶山自民党幹事長らが実名で登場、今年6月に国民投票法が自社両党の賛成で成立し、10月に消費税率を何%にすべきかを争点に国民投票を実施するという筋になっている。上田氏は「夢を小説で書いて国民投票に理解を(してもらう)」と自著をPR。夢のある政治は求められているが、自社が賛成して実現する都合のいい筋立てでは、国民投票は夢に終わりそうとの声も。《共同通信》

【大相撲夏場所】9日目

大相撲夏場所9日目(17日・両国国技館)横綱が全勝を守り、平幕の貴闘力が初黒星を喫したため、曙が単独トップに立った。曙は新関脇若翔洋の土俵際の引き技に際どい勝負となったが、行司差し違えで勝ちを拾った。大関昇進を目指す新関脇若ノ花は琴富士を長い相撲の末、押し出して勝ち越しを決めた。大関貴ノ花も久島海を上手投げに仕留め8勝目。大関小錦は敗れて4勝5敗と再び黒星が先行した。貴闘力は武蔵丸に寄り切られた。

幕内は9戦全勝の曙を1敗で貴ノ花、若ノ花、貴闘力の二子山部屋勢が追う。十両は湊富士が1敗で依然トップ。《共同通信》

【猪熊弦一郎さん】死去

抽象画家として国際的に活躍した猪熊弦一郎氏が17日午前、大動脈りゅう破裂のため東京都中央区の病院で死去した。90歳。高松市出身。

東京美術学校(現東京芸大)中退。在学中に帝展初入選、昭和6年光風会会員となったが、11年には小磯良平らと在野の新制作派協会(現新制作協会)を結成。以後、渡欧してマチスに師事したり、半具象のモダニズム絵画の旗手として画壇をリードした。

53歳を迎えてそれまでの画壇での地位を捨てるかのように夫人とともに渡米、ニューヨークにアトリエを構えた。欧州への途中立ち寄るだけのつもりだった二ューヨークの激しさにひかれ、この先鋭芸術の中心地にとどまり、第二期の猪熊芸術を作り上げる。

作風はそれまでのモダニズム絵画から幾何学的構成による本格的な抽象に転じ、都市をテーマにメカニックな物体とそこに住む人間の温かさを融合させた作品で華々しい活躍を見せた。

ニューヨーク生活は21年にわたったが、脳血せんを患ったのを機に50年帰国。冬はハワイ、夏は日本で制作を続け、明るい色彩、自由かっ達な造形にますます円熟味を見せた。一方、タブローばかりでなく、JR上野駅コンコースの壁画「自由」、香川県庁の壁画「和敬静寂」、東京・帝国劇場のステンドグラス「律動」など公共空間の仕事も多く、「小説新潮」の表紙絵でも親しまれた。

平成3年11月、香川県丸亀市に市立猪熊弦一郎現代美術館が設立された。《共同通信》



5月17日 その日のできごと(何の日)