平成1544日目

平成5年3月31日(水)

1993/03/31

【名張毒ぶどう酒事件】名古屋高裁、再審請求を棄却

昭和36年に三重県名張市で農薬入りぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡、12人が中毒になった「名張毒ぶどう酒事件」の死刑囚、奥西勝・元被告(67)=名古屋拘置所在監=の再審請求棄却に対する異議申し立て審の決定が31日、名古屋高裁(本吉邦夫裁判長)であった。

決定は再審請求を棄却した63年の同高裁の決定には誤りはなく弁護側新証拠には証明力がないとして、奥西元被告の異議申し立てを棄却、再害を認めなかった。

一審無罪、二審逆転死刑という戦後裁判史上例のない経過をたどった同事件は、第五次再審請求で初めて実質審理にこぎつけたが、確定判決の壁は厚く、再審は極めて難しくなった。弁護側は最高裁に特別抗告する方針。

52年からの第五次再審請求審で、弁護側は死刑判決の有力な物証とされた歯形鑑定に疑問を投げかける新鑑定を提出し、63年の名古屋高裁の棄却決定でも「旧鑑定の証明力は減少した」とした。

しかし、今回の決定は「歯形鑑定は死刑判決の不可欠の根拠とはなっていない」とした上で①元被告以外には農薬をぶどう酒に混入する機会のある者はない②捜査段階の自白は信用性が高い—ことなどを強調。「農薬混入の機会は他の者にもあった、自白は物証の裏付けもなく信用できない」などとした弁護側主張を全面的に退け、再審棄却決定を支持した。

弁護側はまた奥西元被告が所有、犯行に使われたとされる農薬が赤く着色されていたとして「事件のぶどう酒は白であり混入すれば異常に気付くはずで自白などが不自然」と主張した。しかし決定は「弁護団が裁判所で行った実験は証拠価値はほとんどない。農薬混入実験は一審で行われており、わずかな量では色に変化はない」と退けた。《共同通信》



【草加事件】浦和地裁、元少年らは「えん罪」

昭和60年、埼玉県草加市で起きた女子中学生殺人事件をめぐり、被害者の両親が、殺害実行犯として少年院送致の保護処分が確定した少年3人(既に全員成人の保護者)に計約5500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日浦和地裁であった。山崎健二裁判長は「元少年らの犯行とは認められない」と非行事実を否定、「元少年側に賠償責任はない」として遺族側の請求を棄却した。民事訴訟の中で少年審判の結論を覆した異例の逆転「無罪」判決で、えん罪少年の成人後の再審の道が閉されている現状を改めて問い直す判決となった。これを受け元少年側は、4月上旬にも3度目の保護処分取り消し(再審)を申し立てる方針。

判決で山崎裁判長は、争点となった遺体に付着した体液の血液型について「元少年3人とはいずれも異なるAB型」と新たに認定した。

犯行状況や場所に関する元少年らの自白についても内容が不自然で、変遷が著しい点を指摘。「自白は捜査官の誘導の疑いがある上、客観的証拠と明白に矛盾する」として信用性を否定した。

また「埼玉県警は元少年らに有利な証拠を隠そうとした疑いがある」「鑑定方法に落ち度があった」と捜査当局を批判。「元少年らが被害者を暴行して殺害したとする証拠はなく、請求の原因となる事実が認められない」と述べ、元少年らの非行事実を明確に否定し、賠償請求を退けた。

訴訟は、同県八潮市に住む被害者の父親(47)もと母親(46)が、元少年の親(計4人)を相手に「監督者としての注意を怠った」と平成元年1月に提訴。元少年側はえん罪を主張、浦和地裁は遺体の解剖会などを証人として尋問、改めて非行事実の有無を審理していた。

元少年らは少年審判の途中から無実を訴えたが、元年7月に処分が確定。2度の処分取り消し申し立ては成人したことなどを理由に退けられていた。《共同通信》

【 93年度予算】22年ぶりに「年度内」成立(宮沢内閣)

景気対策などを盛り込んだ総額72兆3548億円に上る一般会計など1993年度予算が年度内ぎりぎりの31日夜、与野党逆転の参院本会議での否決ー両院協議会を経た上で、憲法60条の衆院議決(可決)優位の規定通りに政府案通り成立した。

深刻な不況を配慮して自然成立や暫定予算は回避したいとする与野党の共通認識を背景に、本予算は1971年の佐藤内閣以来、22年ぶりに完全年度内成立した。《共同通信》

【政界談話室】

○…粟森喬参院議員が31日の同院予算委で締めくくり総括質問に立ち、宮沢首相を二度にわたって陳謝させた。最初は平成4年度実質成長率の政府修正見通し(1.6%)の達成について、首相は「困難であろう。同じ過ちを繰り返さないよう注意したい」と神妙に。また、金丸前自民党副総裁の巨額脱税事件による政治不信の問題を取り上げた中で、首相は「(疑惑をかけられたことの)責めは、私にもある」と、首相としての責任に言及した。手応えの一ある答弁を引き出し、溜飲を下げた思いの粟森氏は、「質問の持って行き方がよかった」とニンマリ。

○…この日の参院予算委で、森田健作氏(民社党・スポーツ・国民連合)が初質問。「出来の悪い役者上がりの一年生議員ですが…」と謙そん気味に切り出したが、カンボジア視察の体験から「自衛隊員の苦労は大変なもの」と宮沢首相に激励訪問を要請。森田氏の私塾「森田塾」主宰者の立場から「障害を持った子供が青春をおう歌している姿を見ると、同情心は親切心ではないことに気付く」首相、森山文相は気迫に押されたのか「同感だ」「ご指摘の通り」。“熱血議員”のデビュー戦に傍聴席はまずずの評。《共同通信》

【日建連】ヤミ献金を全面廃止

総合建設会社上位57社と関連業界10団体で組織する日本建設業団体連合会(会長・吉野照蔵清水建設会長)は31日、緊急理事会を開き、自民党前副総裁、金丸信被告の巨額脱税事件で明るみに出たヤミ献金を廃止し、今後の献金を政治資金規正法の枠内に限ることを申し合わせた。しかし各社のヤミ献金の実態については、それぞれの社が調査中として明らかにしなかった。

理事会後、記者会見した吉野会長は「今後、違法な献金は一切行わず、社会的批判を招く恐れのあることを厳に慎むことが会員各社全体の意見だった」としたが、具体的な是正措置については「企業の意識や制度、教育面などいろいろある。簡単にはいかないが執念深くやる」と述べるにとどまった。

金丸事件で明るみに出た盆、暮れの付け届けや選挙の資金の提供については「ヤミ献金は当然やめる。使途不明金の処理も改める」と断言した。しかし各社の献金実態については「目下調査中で分からない」と答えるだけで、日建連としての独自調査の実施やその結果の公表に関しては確答しなかった。

吉野会長は「信用されないかもしれないが(改革への)決意は普通の決意ではない」と強調。企業献金が大幅に減る見通しを述べたが、具体的な改善策に関しては「個人的には考えているが、公表できる段階ではない」とした。《共同通信》

【能登西部バス】発車式

能登西部バスの発車式は31日、石川県富来町地頭町の富来バスターミナルで北陸鉄道の山口元二会長、織田廣社長、松田町長ら関係者らが出席して開き、富来発中島駅行きの七富線第一便の出発を祝い、地元住民の身近な足として北鉄から8路線を引き継いだ同バスの発展に心を合わせた。

北鉄から分社化された同バスは住民のバス離れの傾向の中、路線維持継続のため路線移管を受け、地域実態に合わせて運営を図るため22日に免許を受けた。富来町を中心に門前、志賀、中島などの近隣町を結ぶ8路線を運行する。門前地区の能登中央バス七尾東部地区の七尾バスに次いで県内3社目になる。

第一便の酒井秀次郎運転手に富沢香織ちゃん(5つ)から花束が贈られたあと、酒井さんが「安全運転の徹底と真心サービスに努めます」と安全宣言をした。続いて山口会長、織田社長、松田町長らがテープカットし、第一便が乗客8人を乗せて午前8時55分、中島駅に向けて出発した。《北國新聞》

【中国・李鵬首相】香港・台湾問題、対話で解決を

中国の第八期全国人民代表大会(全人代)第一回会議で再選された李鵬首相は31日の全人代閉幕後、北京の人民大会堂で記者会見し、香港・台湾問題での原則的立場を改めて表明するとともに対話による問題解決を呼び掛けた。

中英間で紛糾している香港民主化問題については「対話の門戸を閉ざしたのは英国。英国が原則的立場に戻るなら積極的に対話したい」とし、パッテン香港総督の民主化案推進を批判。今会議で民主化案に対抗し1997年の香港返還に向けた予備工作委員会の早期設置を決議したことについては「準備しなければならないことが多く、香港の安定と繁栄を維持するため」と説明した。

また、台湾統一問題について李首相は政府活動報告で昨年までの「両党(共産党と国民党)の接触」を今年から「双方の接触」に改めたことを指摘し「台湾独立を主張しないすべての政治勢力と喜んで接触したい」と述べ、統一に向けた広範な対話に積極姿勢を示した。

武力行使を意味する「断固とした措置」が政府活動報告に依然として記されていることについては「台湾独立や『一つの中国、一つの台湾』などの限られた状況だけを想定している」と説明。

4月にシンガポールで開催が予定されている中台の半官半民の窓口である「海峡両岸関係協会」(中国)と「海峡交流基金会」(台湾)とのトップ会談については「経済協力関係の促進に役立つことを期待する」と述べ、中台の一層の経済関係強化に期待を表明した。

中国にとっての今後の最重要課題について李首相は「経済の発展」と言い切り、社会主義市場経済の構築を柱とする改革・開放を進め、国民総生産(GNP)を1980年の4倍とする目標達成に努力する、と述べた。《共同通信》

【カンボジア】ベトナム系7000人避難

国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)報道官が31日語ったところによると、カンボジア北西部シエムレアプ州でベトナム系漁民ら33人がポル・ポト派に虐殺された3月10日以降、約7000人のベトナム系住民が事件再発を恐れ、トンレサップ湖周辺からプノンペン方面へボートで避難した。

特に29、30日は、先週、別の虐殺事件が起きた中部コンポンチナン州からの脱出者が多く、報道官によると、この2日間で、約5000人が1000隻のボートに分乗し、プノンペン方面へ南下した。

ベトナム系住民は、女性や子供を陸路で首都へ移動させており、避難民の数はさらに増えるとみられる。このうち、どのくらいの数がベトナム領内へ脱出したかは明らかではない。《共同通信》

【第60回選抜高校野球大会】第5日

第60回選抜高校野球大会第5日は31日、甲子園球場で2回戦の残り3試合を行い、浜松商(静岡)鹿児島実(鹿児島)世田谷学園(東京)が勝ち、3回戦に進んだ。

浜松商―岩国(山口)は、1試合両チーム最多の大会新記録となる37安打が飛び交う乱戦。浜松商は10―10で迎えた八回、宇田の勝ち越し3点二塁打などで5点を奪い、20年ぶり出場の粘る岩国を15―12で振り切った。浜松商の山本は大会史上11本目の満塁本塁打を放った。第2試合は一回から小刻みに得点を重ねた鹿児島実が八回、1点差まで追い上げられたが、藤久保が九回の反撃をしのぎ、33年ぶり出場の関西(岡山)に6―5で辛勝した。九州勢(4校)がそろって初戦突破するのは26年ぶり。初出場の世田谷学園は九回、無死二、三塁から目黒がサヨナラ中犠飛し、北嵯峨(京都)に4―3で勝った。この日で出場34校が出そろった。《共同通信》

【大相撲】武双山、十両昇進

日本相撲協会審判部は31日、大阪市内のホテルで、夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、十両昇進力士5人を発表した。 新十両は大至(押尾川部屋、茨城県出身)尾曽改め武双山(=武蔵川部屋、茨城県出身)吉種(立田川部屋、千葉県出身)の3人。再十両は栃天晃(春日野部屋、群馬県出身)と天竜(大鵬部屋、大阪市出身)の2人。 武双山は専大時代の昨年、“アマチュア横綱”となり、今年初場所、幕下最下格(8枚目)付け出しでプロデビュー。その場所を7戦全勝優勝し、春場所も7戦全勝優勝で、輪島(のち横綱)長岡(のち大関朝潮)に続いて3人目の幕下2場所通過を果たした。 このほか元幕内の常の山(出羽海部屋)ら26人の廃業も発表した。

相撲春場所で初優勝した小結、若花田(22)=二子山部屋、東京都出身=の「若ノ花」改名届が、31日の夏場所番付編成会議に提出され、受理された。《共同通信》

【米・コダック】ソニーを提訴

米大手写真機材メーカー、イーストマン・コダック(ニューヨーク州)は31日、ビデオカメラ、VTRなどに広く用いられている磁気記録システムの特許をソニーが侵害しているとして、日本のソニー本社と米国ソニーを相手取り、ソニー製品の販売差し止めと損害賠償請求(額未定)を求める訴訟を米テキサス州の連邦地方裁判所に起こした、と発表した。

訴状によると、記録ヘッドの溝の間隔を0.38ミクロン以下とすることで、録画や録音の質が飛躍的に改善されることをコダックの子会社に勤めていたレムキ博士が発見、1979年にコダックの特許として米国で登録した。

コダックはその後、ソニーを含むさまざまな企業と同特許に関する特許料支払い交渉を行ったが、ソニーは同特許の無効を主張して製品を作り続け、故意に特許を侵害したとして、陪審による評決を求めている。

米国ソニーはコダックとの交渉の事実を認めたが「対象製品などについて調査中でコメントできない」としている。

米薬界筋によると、コダックには同特許を用いた自社製品はない。しかし、カメラの自動焦点特許紛争で日本メーカーから巨額の賠償を勝ち取った米制御機器メーカー、ハネウェルで特許訴訟の仕掛け人と目されたステフェン前副社長が最近コダックに副社長として引き抜かれたばかりだけに、経営不振のコダックがハネウェルの成功を受け、対日特許攻勢に打って出たとの見方が出ている。《共同通信》



3月31日のできごと