平成1519日目

平成5年3月6日(土)

1993/03/06

【金丸信・前自民党副総裁】脱税容疑で逮捕

佐川急便からのヤミ献金事件で東京地検特捜部は6日、所得税数億円を脱税していたとして所得税法違反の疑いで、略式の罰金刑が確定し、衆院議員を辞職した前自民党副総裁金丸信容疑者(78)=東京都港区=と元第一公設秘書のA容疑者(49)=横浜市港北区=の2人を逮捕、東京国税局と合同で金丸容疑者の自宅や東京・永田町の事務所など十数カ所を家宅捜索した。昭和51年7月、ロッキード事件で逮捕された元首相田中角栄被告に次ぐ「大物政治家」の逮捕。政界に大きな衝撃を与え、政治倫理を中心に政局にも大きな影響を与えそうだ。

特捜部は、金丸容疑者が元東京佐川急便社長渡辺広康被告(58)=特別背任罪で公判中=から平成2年1月に受け取った5億円の献金の捜査に引き続き、市民グループの告発を受け金丸氏の税務調査など捜査を継続。この5億円とは別に、脱税容疑が判明したため、証拠隠滅の疑いがあるとして、逮捕に踏み切った。 高齢の金丸容疑者逮捕について特捜部は、本人を医者に診せ、逮捕可能と判断した、としている。

調べによると、金丸、A両容疑者は共謀して金丸容疑者の所得税を免れようと計画、雑所得となるべき収入を除外して簿外資産を蓄積するなどの方法で所得を隠し、甲府税務署長に過少申告して金丸容疑者の昭和62年と平成元年分の所得税数億円を脱税した疑い。 またA容疑者は、同様の方法で山梨税務署長に過少申告し、同容疑者自らの昭和62年から平成3年まで5年分の所得税数億円を脱税した疑い。

特捜部は隠した所得内容について明らかにしていないが、金丸容疑者が個人として受け取った政治献金のうち、自分のために消費した分も含まれている、とみられる。脱税した金のほとんどは預金や有価証券の形で残されていたという。2人が容疑を認めているかどうかについて特捜部は明らかにしていない。

金丸容疑者は同日都内のホテルで特捜部の聴取を受けた後、係官に任意同行を求められ、同6時3分、東京地検で逮捕された。A容疑者は任意出頭し、同5時24分に逮捕された。

昨年の政治資金規正法違反事件の捜査の中でA容疑者は、5億円の使途について「平成2年総選挙の旧竹下派候補者六十数人に配った」と供述、特捜部は落選した候補者や現職衆院議員らから参考人聴取したが、新たな犯罪は突き止められなかった。

弁護士グループなどがこの5億円の配分をめぐって同法違反の罪などで告発。量的制限違反容疑についてはA容疑者の「金丸容疑者の指定政治団体にいったん入れてから配布した」との供述を崩せず、指定団体に量的制限がないことから特捜部は不起訴としていたが、所得税違反容疑については、今年に入って数度にわたり金丸容疑者の税務調査を実施。同容疑者の金の流れの解明に全力を挙げていた。

国会議員やその経験者が在職中の収入をめぐり所得税法違反容疑で摘発されたケースとしては、平成2年12月に稲村利幸・元環境庁長官が約17億円の脱税で在宅起訴された例がある。

宮沢首相は6日夜、金丸前自民党副総裁逮捕について、次のようなコメントを発表した。 金丸前議員が所得税法違反容疑で逮捕されたことは、誠に遺憾である。検察・国税当局は、法律に従って、厳正に対処するものと信頼している。《共同通信》



【宮沢喜一首相】減税は協議見守る

衆院予算委員会は6日午前9時開会、分科会報告に続いて社会党の松前仰、松浦利尚両氏が質問に立ち、締めくくり総括質疑を行った。同委員会は午後、93年度予算案について採決、同日夕の衆院本会議で自民党の賛成多数により可決、参院に送られる。

松浦氏は、日本の景気浮揚策は公共投資に偏り過ぎているとして消費拡大のための所得税減税の実施を強く迫った。宮沢首相は、「与野党(幹事長・書記長会談)の合意はよく承知している。政府としてはその協議の推移を見守りたい」と述べるにとどまった。

また、林蔵相は「公共事業も回り回って消費に効果が表れる。日本全体(の景気)をレベルアップさせるのは公共事業の方が効果が大きい」との見解を改めて示した。

首相は4月中旬に予定されている日米首脳会談で、米国側からコメ市場開放問題が提起された場合の対応について「(コメ問題は)二国間問題ではないが、新多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)との関連で話があるかもしれない。ドンケル・ペーパーは、輸出補助金と国境措置の扱いのバランスがとれていないことが欠陥だ、と思っていることを申し上げたい」と、コメを含む包括関税化には反対する考えを伝えることを表明した。

【渡辺美智雄外相】公務復帰

渡辺外相は6日、衆院予算委の締めくくり総括質疑に出席、先月15日「風邪と過労」のため東京女子医大病院に入院して以来、19日ぶりに公務に復帰した。当面大事をとって退院はせず、同病院から国会や外務省に通うことにしている。《共同通信》

【韓国】4万人規模の大規模恩赦

韓国の金泳三大統領は6日、臨時閣議を開き、新政権発足を記念して史上最大規模の4万1886人の恩赦を決めた。在日韓国人政治犯では、徐順沢(62)=東京都板橋区=が無期懲役から懲役20年に減刑されただけで、7人中6人は恩赦の対象から外され、釈放は1人もなかった。また在日韓国人スパイ事件に連座して服役中だった韓国居住の徐順殷さん(69)=徐順沢さんの兄=と高昌杓さん(59)の2人が残余刑を半分に減刑され、徐順殷さんはあと約2年、高さんはあと約3年の刑となった。

恩赦では、1989年に韓国政府の許可を得ずに朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問し、帰国後逮捕された文益煥牧師が2度目の仮釈放をされた。北朝鮮のスパイ事件関連の70歳以上の長期服役囚6人が釈放されたのをはじめ、公安事件関連者約5800人が減刑または公民権を回復された。文牧師は90年に一度仮釈放されたが、翌年から再収監されていた。

公安事件関連では91年韓国外国語大で起きた鄭元植首相(当時)暴行事件の学生7人などが釈放、一般刑事犯では、長年にわたり、性的暴行された義父を殺害し、執行猶予刑となっていた女子大生の刑抹消などが含まれた。金泳三大統領は「今回の恩赦は文民時代の出発とともに、過去30年間の陰をぬぐい去り、国民和合の新たな出発をするためのものだ」と述べた。《共同通信》

【平成5年度予算】衆院通過

国会は6日タの衆院本会議で、景気てこ入れ策などを盛り込んだ総額72兆3548億円の一般会計など5年度予算案を自民党などの賛成多数で可決、参院に送付した。予算案は衆院の議決が優先され、参院に送付されてから30日以内の4月4日までに参院が議決しなければ自然成立することから、7年ぶりに暫定予算編成の回避が確定した。

参院では与野党ともに自然成立を避ける方針で一致しており、予算案が与野党逆転の参院でいったん否決された後、両院協議会を経て成立するのは4月4日より早まる見通しで、実質的な年度内成立が図られる。

今後の焦点は、参院予算委を舞台にした佐川急便事件など一連の疑惑究明、減税など景気対策、予算案成立後の政治改革関連法案をめぐる与野党攻防に移る。《共同通信》

【ノルディック複合W杯】荻原健司選手が総合優勝

ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)複合は6日、スウェーデンのラハティで個人第6戦の後半距離を行い、世界選手権個人、団体二冠王の荻原健司選手(北野建設)が優勝して今季5勝目をマーク。アルペンも含めてスキーW杯で日本選手初の総合優勝を決めた。

萩原は総合得点を140点まで伸ばした。この結果、残り2戦で萩原を追うフレードボッレ・ルンドベルク(ノルウェー)が連勝しても139点で及ばないため、萩原の優勝が決定した。

またジャンプのノーマルヒル第2戦で葛西紀明(地崎工業)が優勝、ラージヒルと合わせて今季3勝目を挙げ、この日のラハティは“ジャパンデー”となった。

【同志社大学】教授がセクハラ

同志社大学(京都市)の法学部教授(49)が昨年12月、ゼミのコンパで女性をべっ視する発言や女子学生の手を握るなどのセクハラ行為をしたとして、法学部教授会から4月から一年間、講義など教授としての職務を停止される処分を受けていたことが6日分かった。この教授は「酒に酔っていたので記憶は定かでないが、軽率だった」と話しており、処分後女子学生らに謝罪。現在、病気のため入院しているという。

大学によると、この教授は昨年12月中ごろ、京都市内で開かれた自分が担当する四年生のゼミコンパで、女子学生数人を含む約20人の学生を前に「女は能力が劣っている。女は学問をしなくてもいい」などの発言を繰り返した。その後、男子学生2人、女子学生1人と早朝まで飲酒。帰宅の際に女子学生を無理やりタクシーに乗せようとして強く手を握るなどして引っ張り、女子学生の右手首にあざができたという。

この女子学生の訴えで釜田泰介・法学部長らが教授から事情を聴取。同教授は事実を認めたため今年1月の同学部教授会で「教育者として極めて不注意」として、一年間、講後、ゼミのほか学内における教授としての職務を一切停止させる処分した。

この教授は同志社大卒。基礎法学が専門で、同志社大講師などを経て昭和63年から教授。釜田法学部長は「コンパの席ではかなり酔っていたらしく、故意にしたとは思えない。しかし、学生を指導する大学人として適切さを欠いており残念だ」と話している。《共同通信》



3月6日のできごと