平成1175日目

平成4年3月27日(金)

1992/03/27

【東京地裁】勝新太郎氏に有罪判決

ハワイ行きの飛行機内にコカインと大麻を持ち込み出したとして麻薬、大麻取締法違反(密輸出)に問われた俳優の勝新太郎「勝プロモーション」元社長(60)に対する判決公判が27日午前、東京地裁刑事10部で開かれた。

大野市太郎裁判長は「勝被告には長期間にわたる薬物の使用歴があり、犯行後も薬物を使うなど常習性がある。また不合理な弁解を繰り返し反省の態度がない」とする一方で、「本件により映画人としての活動を自粛するなど考慮すべき事情もある」と述べ、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑・懲役2年6月)を言い渡した。

大野裁判長は、「勝被告はホノルル空港で逮捕された際、取り調べに対し薬物は日本で入手したと述べているが、この自白は任意かつ自発的に行われ信用性は高い」と判断。 また、機内入手の可能性については、勝被告に薬物を手渡す者がいたとは認められないとしたうえで、「被告の弁解は変遷が多く、本人も弁解がおかしいと述べているなど、到底信用できない」と退けた。

そのうえで、量刑についで「規範意識の乏しさは強く非難されなければならず、実刑に処すべきだとの考えもある」とした。しかし、薬物が少量だったこと、持ち込みは自分自身が使うためだったこと、またすでに米国で罰金刑を受けていることを指摘。 自業自得とはいえ映画やコマーシャル等の仕事を失うなどの考慮する事情もあるとして、「今回に限り自力更生の機会を与えることにした」と述べた。

勝被告は平成2年1月17日(日本時間)、ホノルル空港でコカインと大麻を隠していて税関当局に逮捕され、罰金1000ドルの有罪判決を受けた。勝被告は昨年5月に帰国、警視庁に逮捕された。 起訴状によると、勝被告は平成2年1月16日、羽田空港でハワイ行きの中華航空機内にコカイン約1.04グラムと乾燥大麻約9.49グラムを持ち込み、出国した。

判決後、勝被告は勝プロモーションを通じて「ハワイの税関で、(コカインや大麻を)日本から持ってきたと言ったことが、最後まで尾を引いた。執行猶予は、早くいい仕事をして復帰しろということと聞いた。今後もファンはじめ皆様のご支援をお願いします」などとするコメントを出した。《読売新聞》



【私鉄9労組】スト突入

大詰めの折衝が難航していた私鉄大手の労使交渉は、経営側が昨年の妥結額を1300円下回る1万5700円(大手14組合加重平均5.70%、中央集団交渉9社従業員平均5.39%)を提示したのに対し、組合側がこれを拒否。27日始発からストライキに突入した。

しかし同日午前、経営側が改めて同額を正式回答したのを受け、組合側は一転、これを受け入れることを決め、6時間後の午前10時20分、スト中止指令を出した。

時間切れのスト突入は一昨年以来2年ぶり、ラッシュ時までストがずれ込んだのは昭和56年以来、11年ぶりの事態となった。民鉄協によると、このストで約2万2000本の電車、バスが運休、通勤客630万人の足が乱れた。

ストに突入したのは、関東では、東武、営団地下鉄、東急、京成、相模鉄道の各労組、関西では阪急、阪神、南海、京阪の計9労組。《読売新聞》

【連合・山岸章会長】賃上げで全電通批判

連合の山岸章会長は27日午後、連合本部で記者会見し、大手私鉄の労使交渉妥結を節目にヤマ場を越えた今春闘について、「労働時間短縮について、胸を張って成果を強調できるものの、賃金は厳しい戦いだ」として、賃上げの成果について不満を表明した。

特に、26日妥結した日本電信電話(NTT)の賃上げ額の1万4800円(4.98%)について、「昨年の実績(1万7000円)を2200円も下回る極めて不十分な結果だ。連合会長として遺憾と言わざるを得ない」と述べ、出身労組の全電通(園木久治委員長)の賃上げ結果を批判した。

そのうえで、「NTTの賃金交渉はその後の春闘相場を冷やすことになった。NTTショックとか、連合会長として鼎の軽重を問われるといった声もある。申し訳ないと思っている」と述べ、今春闘での全電通の責任の重さを指摘した。

また、大手私鉄が11年ぶりに早朝ラッシュ時までストライキしたことについて「ストをやらずに労使交渉妥結するのは一番だが、労使の主張に隔たりがあり、労働側が納得できない場合には、スト権を行使したのは当然のことだ」とし、スト突入に理解を示した。

連合の推計(27日現在)によると、加盟215組合(170万人)の妥結状況は、加重平均で1万3171円(4.97%)。昨年実績の1万4564円(5.72%)を1400円程度下回っている。《読売新聞》

【宮沢喜一首相】渡辺美智雄外相と会談

宮沢首相は27日午後、首相官邸で渡辺美智雄外相と会談し、平成四年度予算案成立後の焦点となる国連平和維持活動(PKO)協力法案の取り扱いについて協議、今通常国会での成立に全力を挙げることを再確認した。

政府としては予算案の成立、江沢民・中国共産党総書記(4月6日―10日)の来日などの外交案件処理後、同法案の修正問題も含め、対野党折衝を本格化させる構えだ。渡辺外相は27日昼、山岸章連合会長と26日夜に会談した自民党の金丸信副総裁とも会っており、金丸氏が山岸氏に提案したPKO法案のうち国連平和維持隊(PKF)部分の凍結についても、宮沢首相と意見交換したものとみられる。《読売新聞》

【自民党・金丸信副総裁】渡辺外相と会談

自民党の金丸副総裁は27日昼、党本部で渡辺美智雄外相と約20分間会談し、国連平和維持活動(PKO)協力法案を今国会で成立すべきだとの認識で一致した。

また金丸氏は、先にカンボジア・プノンペン政府のフン・セン首相が来日した際、外務省がPKO法案の成否のカギを握る民社党・大内委員長との会談を実現させなかったことに対し、国会対策上の配慮に欠けるとして、苦言を呈したという。《読売新聞》

【渡辺美智雄外相】天皇訪中を本格検討

渡辺美智雄外相は27日の衆院外務委員会で、今秋に予定される天皇、皇后両陛下のご訪中問題について、「中国側から何回も要請があったが、今回は本気になって検討すると答え、目下真剣に検討している」と述べ、現在、ご訪中実現に向けて調整中であることを改めて明らかにした。

また、渡辺外相は、中国側が「(天皇陛下を)熱烈歓迎するし、迷惑になることはしない」として、天皇陛下のご訪中を熱心に求めてきていることを強調した。土井たか子氏(社会)の質問に答えた。《読売新聞》

【東京地裁】前科公表許されぬ「毎日」に賠償命令

「サンデー毎日の記事で前科が公表されプライバシーを侵害された」として、静岡県熱海市の政治団体代表(66)が、出版元の毎日新聞社と当時の編集長を相手取り、損害賠償などを求めた訴訟の判決が27日、東京地裁民事39部であった。谷沢忠弘裁判長は「前科は他人に知られたくない事実で、みだりに公開されないという法律上のプライバシーの権利がある」と述べ、毎日側に50万円の支払いを命じた。

問題とされたのは平成元年12月3日号で、政治団体代表が熱海で豪遊しているという内容の記事。この中で、同代表が過去にゴルフ場のニセ会員権を売るなどして約7億4000万円をだまし取り、9年間服役したことを報道した。

谷沢裁判長は「原告は公務員でも、公選による公務員の候補者でもなく、単に政治団体代表で、前科の公表が公共の利害に関することとは到底いえない」とし、「記事は冷やかし半分で、犯罪防止の目的があったという毎日側の主張には大きな疑問がある」と述べた。

そのうえで、「犯罪それ自体の報道とは違い、前科の公表はむしろ本人の更生を妨げる恐れがあり、掲載は許されない」と結論付けた。しかし、謝罪広告の掲載については、「むしろ再びプライバシーを侵害することになる」と退けた。

福永平和・サンデー毎日編集長の話「我々の主張が認められず残念だ。判決文を検討したうえで対応したい」《読売新聞》

【オーストリア・ワルトハイム大統領】ドイツ訪問

第二次大戦中ナチスによる残虐行為に加担したとのスキャンダルにつきまとわれ、外国訪問がままならなかったワルトハイム・オーストリア大統領が27日、初めてドイツを訪問、コール首相にミュンヘンでの昼食会に招待された。同大統領はこれまで、ナチ疑惑のため西側諸国から招待されず、公式訪問したのは、アラブ諸国、バチカンだけで、ユダヤ人組織からは、コール首相批判の声があがっている。

同大統領は、国連事務総長として平和へ貢献したことに対し、保守系財団から贈られる賞を受け取るため、訪独した。非公式訪問だが、コール首相は空港まで出迎えた。

これに対し、最有力ユダヤ人組織の一つ、世界ユダヤ人会議は、「ユダヤ人に対する道徳的鈍感さ」の表れだと非難。しかしコール首相は、昼食会後に記者団に対し、「だれと会うかは、首相である私が決めることで、忠告は不要だ」と一蹴し、選挙で選ばれた隣国大統領と会うのは当然だと述べた。さらに、「同会議は、ドイツ統一にとんでもないふうに反対した」と述べ、「それについて釈明を求めたが、いまだに返答を得ていない」と、同会議への不満を口にした。

独政治家は従来、ユダヤ人組織への言及に慎重だっただけに、コール発言は反響を呼ぶとみられる。

ワルトハイム大統領は86年に就任したが、独軍士官として赴任したバルカン半島で、収容所へのユダヤ系市民移送に関与した疑いが持ち上がり、世界ユダヤ人会議から攻撃され、米国からは入国を禁止された。《読売新聞》



3月27日のできごと