平成1011日目

平成3年10月15日(火)

1991/10/15

【中山太郎外相】ソ連・ゴルバチョフ大統領と会談

中山外相は15日午前、クレムリンにゴルバチョフ・ソ連大統領を訪問し、約1時間半会談した。この中で中山外相が北方領土問題の早期解決に向け日ソ双方の指導者の政治決断の重要性を強調した。

ゴルバチョフ大統領は「1956年のことも考慮に入れている。しかし一方で厳しい現実も考慮に入れなければならない。その枠内で歩み寄りの行動をとる努力をしている」と述べ、歯舞、色丹の二島返還をうたった56年の日ソ共同宣言を念頭に置きながらも、返還反対の国内世論も考慮に入れざるを得ないとの見解を表明した。

ソ連崩壊後、大統領が日本の閣僚と会談するのは初めてで、領土問題に対する大統領の姿勢が注目されていた。大統領の発言が日ソ共同宣言についても間接言及にとどまったことは、ソ連国内での反対論の噴出を厳しく受け止めていることを示したものといえる。《共同通信》



【中山太郎外相】ロシア・エリツィン大統領と会談

中山外相は15日夕、モスクワのロシア共和国最高会議庁舎にエリツィン大統領を訪ね、会談した。

焦点の北方領土問題について中山外相が、次の世代にゆだねず20世紀中に解決しなければならないとして、大統領が提案している「五段階解決案」の加速化を改めて求めた。

大統領は「(中山外相の主張は)理解するし、加速化には賛成している」と応じ、領土問題を解決し平和条約交渉締結に向けた動きを加速するため努力することを確認した。ただ大統領は解決のめどについては明確にしなかった。《共同通信》

【長崎県島原市、深江町】警戒区域を一部解除

長崎県雲仙・普賢岳ふもとの島原市と南高来郡深江町で15日正午、立ち入りが禁止されていた警戒区域の一部が指定解除され、避難中の住民が6月8日以来、約130日ぶりに自宅に戻った。警戒区域の縮小は9月25日に次いで2度目。《共同通信》

【自民党・宮沢喜一元副総理】河本敏夫元国務相と会談

自民党の宮沢喜一・元副総理は15日午前、都内の河本派事務所に河本敏夫・元国務相を訪ね、約10分間会談した。宮沢氏は、河本派が総裁選で宮沢氏支持を決定したことに謝意を表明、「宮沢政権」が実現した場合、政治改革、国際貢献、経済政策の三つが最重要課題になるとし、全力を挙げる考えを強調した。

特に、経済政策では、①税収の落ち込みに対応するため機動的な金融政策が必要②貿易黒字を減らすことが国際貢献にもつながる―などの認識で河本氏と一致した。また、総裁選については同日午後開かれる、竹下、宮沢、河本三派の事務総長会議で、都道府県での選挙運動や、宮沢氏の推薦人など具体的な対応についてつめていくことを確認した。《読売新聞》

【海部俊樹首相】中国・鄒副首相と会談

海部首相は15日、首相官邸で、来日中の中国の鄒家華・副首相兼国家計画委員会主任と昼食をともにしながら約1時間15分にわたって会談した。席上、鄒副首相が「日本経済には、企業経営のノウハウをはじめ、学ぶべき点が多い。これからも協力を進めたい」と述べたのに対し、海部首相は、「日中関係の安定は、アジア・太平洋地域の安定に欠かせない。その観点から支援を進めたい」と応じ、経済協力を中心とした日中交流を一層促進することで一致した。

また、鄒副首相は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金日成主席の訪中の成果について、「成功であり、(中朝の)経済関係が進展することを期待している」との見解を示したうえで、日朝国交正常化交渉の成功に期待感を表明。共産主義体制の崩壊と中国との関係については、「政治、経済情勢に影響はない」として、改革・開放路線を堅持していく考えを強調した。

このあと鄒副首相は、自民党本部に小渕幹事長を訪ねて会談、科学技術分野での協力の促進を求めた。《読売新聞》

【ボスニア・ヘルツェゴビナ】「独立確認文書」を採択

ユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナ共和国議会は15日、主権独立国家としての立場を確認する2文書を賛成多数で採択した。同共和国はイスラム教徒、クロアチア人およびセルビア人で構成されるが、セルビア人は採択に反対して退席した。

クロアチア共和国の戦火は既にボスニアにも被害を与えているが「小ユーゴ」と呼ばれるように民族構成が極めて複雑なボスニアのこうした動きは、内戦をさらにボスニアにまで拡大させ、事実上崩壊したユーゴの混迷を一層深める可能性が強い。

タンユグ通信によると、前日から激しい議論を続けたボスニア議会は15日早朝、「法治国家としての共和国の立場と将来のユーゴ共同体に関する綱領」と「ボスニアの主権に関する覚書」を採択した。前者は共和国幹部会が提案、また、後者は「民主行動党(イスラム系)」が「クロアチア民主共同体」の同意を得て提案したもので、「綱領」は「ボスニア・ヘルツェゴビナは、現行国境の枠組み内で、主権・独立国家であるべきである」と規定した。

2文書採択は、ボスニアの即時分離・独立を宣言したものとは受け取られていないが、イゼトベゴビッチ同共和国幹部会議長(大統領、イスラム教徒)は採択後、「ユーゴにはわれわれのいるべき場所がない」と述べており、これが、分離・独立への具体的行動の第一歩であることは間違いない。

ただ、議会議長は2文書採択の直前、閉会を宣言しており、同文書が法的に有効かは明らかでない。審議過程で、「セルビア民主党」は、2文書採択に強く反対、同日未明、議会をボイコットして退席した。《読売新聞》

【セルビア、クロアチア】ソ連調停案に合意

戦争状態が続いているユーゴスラビアのセルビア、クロアチア両国は15日、ゴルバチョフ・ソ連大統領のあっせんによる両国大統領のモスクワ会談の結果、即時戦闘停止と1か月以内に和平交渉を開始することで合意した。

ゴルバチョフ、ミロセビッチ(セルビア)、トゥジュマン(クロアチア)3大統領は会談終了後の同日夜、①全戦闘行為の即時停止が不可欠②セルビア、クロアチアは首脳級交渉を1か月以内に開始する③両国はソ連、米国、欧州共同体(EC)に対し、交渉実現への支援を要請する―の3項目から成る共同コミュニケを発表した。

ゴルバチョフ大統領はこの日、まずミロセビッチ、次いでトゥジュマン大統領と個別に会談して、三者会談への合意取りつけに成功、共同コミュニケには三者が署名した。コミュニケは、「即時停戦」をうたいながらも、具体的な戦闘停止の日時を設定しておらず、また交渉開始を「1か月以内」と時間的な幅を持たせるなど、これまでECの調停が不調に終わっている実情を反映して、原則的な内容にとどまっている。

しかし、「ゴルバチョフ大統領は極めて現実的な考えを持っている」(ミロセビッチ大統領)との当事者評価もあり、中東和平会議などと同様、米ソ共同方式によるゴルバチョフ調停が成功すれば、権力失墜に悩むゴルバチョフ大統領にとって外交的得点となる。コズイレフ・ロシア外相によれば、ミロセビッチ、トゥジュマン両大統領は16日、エリツィン・ロシア大統領とも会談する予定。《読売新聞》



10月15日のできごと