平成733日目

平成3年1月10日(木)

1991/01/10

【海部俊樹首相】韓国・盧泰愚大統領と会談

海部俊樹
https://www.kantei.go.jp/

海部首相は10日午前、ソウルの青瓦台(大統領官邸)で盧泰愚大統領と2回目の首脳会談を行い、両国間の最大の政治的懸案だった在日韓国人の指紋押なつ制度について来年中にも廃止、「家族登録制」の導入検討を最終的に確認した。

両首脳は同問題の合意で日本の植民地支配などに起因する過去の問題に決着がつけられた、との認識で一致、「未来志向の新日韓関係」構築に向け(1)パートナーシップの強化(2)アジア太平洋地域の平和と繁栄に貢献(3)地球的な問題への取り組み–の「日韓関係3原則」に沿って進むことを確約した。《共同通信》




【海部俊樹首相】懸案決着を評価

海部首相は10日午後、ソウル市内の韓国プレスセンターで内外記者団と会見し、今回の韓国訪問について在日韓国人問題など過去の歴史に起因する問題について決着がついたことを指摘し「未来志向型の友好関係の基礎が固められた」と成果を強調した。

同日昼、歴代首相として初めて韓国独立運動の“聖地”パゴダ公園を訪れたことについては「歴史の厳しい反省の上に立って初めて日韓新時代も開かれる。過去に対する率直な反省と認職が必要なことを身をもって示そうと思った」と、意義を説明した。

ただ韓国民から要望が強い強制連行者名簿の追加提出などについては「できるだけ誠意ある対応をしなければならない」と指摘するにとどまった。

日韓間の貿易不均衡是正に関し「拡大均衡の形で双方が努力しなければならない」と述べ、日本側の努力とともに韓国側も日本からの投資や技術移転受け入れの環境整備が必要との見解を示した。

今月下旬から始まる朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との国交正常化本交渉に関し首相は「(日本の)朝鮮半島政策の根本は韓国との友好関係を基礎に置き南北対話、平和的な南北統一に資する形で行う」との基本方針を繰り返し韓国側への配慮の姿勢を強調した。

湾岸危機に絡む国際的な平和協力のための施策では「今出している資金、物資協力が限度だ」と述べ、当面追加支出の考えがないことを明らかにした。平和協力の新法案づくりについては「政府や各党間で模索している」と述べたが、具体的な方向は示さなかった。《共同通信》

【歌開始の儀】3年ぶりに開催

新春恒例の宮中行事「歌開始の儀」が10日午前10時半から、皇居の宮殿・松の間で行われた。昭和天皇ご逝去でここ2年中止になっており、昭和63年以来3年ぶり。《共同通信》

【岩手靖国訴訟】住民側が逆転勝訴

首相らの靖国神社公式参拝を要請した県議会決議と靖国神社への玉ぐし料県費支出は国家と宗教の結び付きを禁じた憲法の政教分離原則に違反する、と岩手県の住民11人が議長、知事らに費用の返還を求めた「岩手靖国訴訟」の控訴審判決が10日午後、仙台高裁で言い渡された。

糟谷忠男裁判長は公式参拝決議、玉ぐし料の県費支出のいずれも憲法違反とする住民側逆転勝訴の判決を言い渡した。議長や知事らに賠償は命じなかった。

玉ぐし料の県費支出については一昨年、愛媛玉ぐし料訴訟で松山地裁が違憲判決を出しているが、高裁では初めての判断。岩手靖国訴訟は、県議会が昭和54年に公式参拝要請決議をしたのは憲法違反とした訴訟と、県56年、靖国神社に玉ぐし料など計2万1000円を出したのは違憲とした訴訟の二本立て。

控訴審では靖国神社の歴史、公式参拝や玉ぐし料の宗教的性格、政教分離原則の解釈などが争点となった。

住民側は①国家神道の施設である靖国神社への公式参拝は国による宗教的活動②決議の最大の目的は天皇の公式参拝で、戦前の神権天皇制復活につながる③玉ぐし料支出も特定宗教への援助―と違憲を強調した。

これに対し県側は「公式参拝は戦没者に対する社会儀礼で宗教的活動に当たらず、玉ぐし料も習俗的なもので違憲ではない」と反論。さらに、免責条例を盾に「玉ぐし料支出が違憲としても、責任は問えない」と知事以外の職員の免罪を主張した。《共同通信》

【政界メモ】混迷あらわ都知事選協議

○…自民党は10日、党本部で東京都選出国会議員会議を開き、焦点の都知事選問題を協議した。この問題での同会議は初めてとあって、賛否両論が戦わされた。鈴木知事擁立派が「都財政を立て直し、クリーン度も高い。人柄、正義感を尊重したい」と四選出馬を主張すれば、「四選には反対。勇退すべきだ」と反対派。

公明党が鈴木四選に難色を示していることを挙げ「他党が言うだけで同調するのはおかしい」と公明党に八つ当たり気味の発言も。中にはポスト鈴木の有力候補の磯村尚徳NHK特別主幹を副知事にして、鈴木知事とワンセットで臨むとの妙案まで飛び出すなど混迷ぶりがあらわに。

○…民社党はこの日、党本部で統一地方選対策本部の看板掛け。本部長の米沢誉記長は「一年の計は元旦にありというが、一年の計を立てるような気持ちになれない。選挙に勝って初めて本当の正月を迎えたい」と本部職員にげきを飛ばした。先の総選挙で惨敗しているだけに米沢氏は決意を新たにしていた。

とはいえ、小政党に落ち込んだ同党は、各地での候補者選考がままならないのが現状。守りの選挙を強いられていることもあって米沢氏のいつもの迫力もいまひとつ。《共同通信》

【社会党・土井たか子委員長】仏・ミッテラン大統領と会談

社会党の土井委員長は10日午後4時半(日本時間11日午前0時半)エリゼ宮でミッテラン・フランス大統領と中東和平問題をめぐり約1時間会談した。その結果、国連安保理決議に基づくイラクのクウェートからの撤退期限を目前に控え、最後の段階まで平和的解決の可能性を探る努力を続けるなどの点で一致した。

大統領は独自の和平提案をするなど活発な動きをみせているが、会談では①最後まで平和的解決の努力は続ける②中東和平国際会議を開く③撤退期限の15日までの国連安保理開催は難しいーなどの見解を改めて一強調した。

会談で大統領は「15日までの間に国連安保理の開催は難しいと思われる」と分析する一方、「しかし、中東和平国際会議の開催支持を言い続けるべきだ。十互日以後も和平のための努力は必要と思う」と述べ、イラク軍のクウェートからの完全撤退と合わせ平和的解決のカギは同会議の開催にあると強調、パレスチナ問題との関連づけ(リンケージ)を嫌う米などの立場との違いを改めて示した。

大統領はパレスチナ問題について各国の姿勢が微妙に変化していることを指摘、「中東が活発に動いているので、それに準じて米国も動く可能性がある」との見方を示した。

土井氏はミッテラン和平提案を党として支持していることを説明した。《共同通信》

【ソ連・リトアニア共和国】新首相に中道派の経済学者

ゴルバチョフ政権が空てい部隊を投入、緊張が高まっているソ連リトアニア共和国の最高会議は10日夜(日本時間11日未明)、辞任したプルンスキネ首相の後任に社会民主党のアルベルタス・シメナス最高会議議員(40)を賛成78票、反対1票、棄権29票の圧倒的多数で選出した。

シメナス新首相は社会民主主義を掲げる中道派に属する経済学者。リトアニア側は、連邦との直接対決を当面は避け、大統領直轄制導入の危機の乗り切りを図ることになるが、ゴルバチョフ大統領の独立阻止策にどう応じるかという難問は依然残っている。

シメナス新首相は、選出後のあいさつで「リトアニアは非常に困難な道を歩んでいる。最善の道はだれにも分からないが、われわれは、中道の立場を取ることを決めた」と述べた。《共同通信》



1月10日のできごと