平成691日目

平成2年11月29日(木)

1990/11/29

【国連安保理】対イラク武力行使を容認

国連安全保障理事会は29日午後、外相級公式協議を開き、イラクに対して来年1月15日までにクウェートから無条件撤退するよう最後通告を発し、これに従わなければ「あらゆる必要な手段を行使する」との事実上の武力行使容認決議を賛成12、反対2(キューバ、イエメン)、棄権1(中国)で採択した。国連が侵略行為に対処するために全面的な武力行使を容認したのは、1950年6月の朝鮮戦争決議以来約40年ぶり。

今回の決議は、米ソ両国が共同提案国六カ国に名を連ねたことで、冷戦以後の米ソ協調体制を象徴する歴史的な意義を持つ。常任理事国の中国が武力行使は支持できないとして棄権に回ったことは、決議の重みをやや欠く印象も与える。しかし、イラクに撤退を強く迫る趣旨は支持するとして拒否権を行使しなかったことは、事実上の承認とも受け取られている。

決議はまず、イラクがクウェートに侵攻した8月2日に安保理が採択した、クウェートからの即時無条件撤退を要求する決議660をはじめとするすべての関連決議の全面順守を改めてイラクに要求。「善意の猶予期間として、最後の機会を与える」と最後通告であることを明記した。

次いで順守の期限を来年1月15日に設定し、それ以降は、ペルシャ湾岸地域に派兵している米国など「クウェート政府と協力する各国」に「あらゆる必要な手段を行使する権限を与える」と述べ、間接的表現ながら武力行使を明白に容認した。

決議はまた、すべての諸国がこれらの行動に「適切な支援」を与えるよう要請し、日本など派兵していない国々にも相応の貢献をするよう呼び掛けている。

決議原案を起草した米国をはじめ、ソ連や関係各国は一致して、実際に武力を行使することが目的ではなく、イラクに自発的撤退を迫るために国際社会の強い決意を示し、明確な政治的メッセージを伝えることが今決議の主眼であることを強調している。この意味で、1月15日までの猶予期間にイラクがどう対応するかが和戦のカギとなる。

この日の安保理には15理事国のうち、議長を務めたベーカー米国務長官をはじめ、ソ連、中国など13カ国の外相が参加、理事国以外ではクウェートのサバハ外相も出席した。《共同通信》

【イラク・フセイン大統領】徹底抗戦を宣言

フセイン・イラク大統領は29日、「アラブ青年連帯」の各国代表をイラク国民議会に招いて演説、国連安保理がイラクに対する武力行使容認決議を採択しようとしていることを非難、「敵が戦争を仕掛けてくるならば、われわれは断固戦う」と徹底抗戦を宣言した。

国連から突き付けられた“最後通告”に対し、フセイン大統領が強い対決姿勢を取ることを表明したことで、今後、話し合いによる平和的解決の可能性は小さくなったとみられる。

イラクは、戦争となれば長期戦に持ち込んで米国を直接交渉のテーブルに着かせる戦術で臨むとも伝えられており、バグダッドの西側外交筋は「これで戦争への秒読みが始まった」と悲観的見解を表明した。《共同通信》




【国会】議会開設100年記念式典

明治23年(1890年)11月29日の第1回帝国議会開院式で発足したわが国の議会制度は第2次世界大戦を挟み、明治、大正、昭和、平成の四代にわたる激動の歴史を経て、いよいよ二世紀目の歩みに入るが、審議の形がい化や政治不信の声が高まる中で国会は自らの抜本的な改革を迫られている。

11時から両陛下、秋篠宮ご夫妻をお迎えして開かれた記念式典には、衆参両院議員はじめ議長経験者、元国会議員、各国駐日大使、各界代表ら多数が出席。共産党議員は「天皇陛下のご出席に反対し、国会開会式と同様欠席した。

式辞の中で桜内衆院議長は「議会政治を清新で活発なものとして守り育てていくことが議会人の最も重要な責務だ」と述べ、土屋参院議長は「わが国はかつてない豊かさと平和を享受し、国際社会においても重要な責任と役割を果たすことが期待されている」として、国際社会での責任を強調した。

次いで祝辞の中で海部首相が国会への期待を表明。草場最高裁長官も「国会が重大な使命の遂行に最善を尽くすよう念願する」と述べた。

午後からは衆院に舞台を移し祝賀会が開かれる。また30日からは一般市民の国会特別参観や議会政治展示会など多彩な記念行事が予定されている。《共同通信》

【大野明運輸相】在来線問題、早く結論を

大野運輸相は29日、北信越市長会(会長・正橋富山市長)と北陸新幹線関係都市連絡協議会(同)の北陸新幹線建設促進の陳情に対し、並行在来線の取り扱いについて「富山県の対応が遅れ、(予算獲得の)ネックになっている。今の状態では建設できなくてもしようがない」と述べ、来年度予算編成を間近に控え早急な対応を求めた。

東北、九州新幹線沿線自治体が相次いで第三セクター方式で運営する方向を打ち出し、それぞれ着工条件を整えているのに対し、中沖富山県知事は「現状のJR経営による在来線の存続」を主張しており、金沢—高岡、魚津—糸魚川間の着工予算獲得に向け、富山県は厳しい対応を迫られることになりそうだ。

大野運輸相が並行在来線問題について北陸新幹線沿線関係者に直接言及したのは初めてで、「(三線の沿線の中で)「富山県はどうもはっきりせず、ネックになっている」と前置きしたうえで、「脅すわけではないが、今の状態では建設できなくてもしようがない。地元のことだからとやかくいうべきではないが、(予算編成までの)時間的な問題もあり、内部で早急に詰めた方がいい」と語った。

同日の陳情には正橋富山、佐藤高岡、塚田長野各市長ら金沢市を含む37市の自治体関係者や長勢代議士、鹿熊参院議員が参加した。

これについて、石川県の中西知事は「新幹線か在来線かとなれば、新幹線であり、優先着工のきっぷは確保しなければならない」としたうえで、在来線の廃止については「一般県民の足はまもらなければならない。津幡—金沢間は残るわけで、その他の部分については第三セクターがいいのか、代替輸送機関の整備がいいのか、今後検討しなければならない」と述べた。《北國新聞》

【富山県・中沖豊知事】北陸線存続に強い姿勢

富山県の中沖知事は29日の記者会見で、北陸新幹線の建設に伴う並行在来線の扱いについて「並行在来線(北陸線)は県民の通勤、通学の足であり、在来線確保に全力を尽くす」と述べ、在来線廃止は認められないとの強い姿勢を示した。

整備新幹線の東北新幹線、九州新幹線鹿児島ルートの沿線自治体は、在来線のJRからの経営分離などの方針を打ち出しているが、中沖知事は「北陸新幹線は運輸省案では一部区間がスーパー特急である上、全体の整備計画も明確でない状態だ」と強調、他の新幹線と状況が異なることを指摘した。さらに「既設新幹線の並行在来線の問題点には手が付けられておらず、不公平だ」と不満を述べた。《北國新聞》

【星稜高・村松有人外野手】ダイエー入団が内定

ダイエーからドラフト6位指名を受けていた星稜高・村松有人外野手(17)=178センチ、76キロ、左投げ左打ち=は29日、金沢市の同校で鈴木正スカウトと入団交渉を行い、条件面を含めてほぼ合意に達し、近く仮契約を交わす運びとなった。入団が内定した村松選手は「やっと実感が一わいてきた」と硬かった表情を緩ませ「ツイン・ドーム球場で力いっぱいプレーしたい」と抱負を述べた。

交渉には父の建樹さん(43)、母の節子さん(42)、山下智茂監督が同席した。球団側と村松選手は「相思相愛」とあって、話し合いはわずか15分足らずで終わり、村松選手は鈴木スカウトから「星稜の星からダイエーの星になってほしい」と声を掛けられ、満面に笑みを浮かべた。

建樹さんも「条件を聞き、球団側の誠意を感じた」といい、山下監督は「一番しかった子が、最後に一番大きな花を咲かせた」と目を細めた。

村松選手は早速、松田外男校長に内定を報告し「甲子園出場を夢見てきたが、まさかプロに行けるとは。頼れるのは自分だけ、自分をいじめ抜きたい」と表情を引き締め直し、この仮契約した内之倉選手には「良きライバルとして頑張りたい」と対抗意識を燃やしている。

仮契約を済ませたあと、来月20日前後に福岡市内のホテルで正式契約と入団発表が行われることになっている。《北國新聞》

【政界メモ】東京無視で総裁選戦えぬ

〇…29日昼、国会内の自民党国対委員長室でたまたま橋本蔵相と出くわした同党東京都連会長の粕谷茂氏は、大蔵省が新土地保有税導入を推進していることをやり玉に挙げ「導入すれば、東京では自民党は沈没してしまう」と、新土地保有税反対をぶつけた。

「これだから東京の面倒は見切れないよ」と蔵相が冗談交じりにかわそうとすると、粕谷氏は「東京に自民党の国会議員は20人以上いる。いざ総裁選という時、20人はばかにならない人数ですよ」と追い打ち。ポスト海部の有力候補の一人だけに、突然“弱点”を突かれてさすがの橋本氏もこれには思わず絶句。

〇…前日の党大会で選出された石田委員長ら公明党の新執行部はこの日、国会内で自民、社会、民社三党にあいさつ回りした。自民党幹事長室で出迎えた小沢幹事長は「よろしく」を連発。旧知の二見新政審会長には「次元の高い政策を」と語りかけていたが、時間はわずか1、2分。

これに対して社会党控室ではじっくり座り込んであいさつ。土井氏が「大会が盛会で終わって…」と言えば、石田氏も「土井さんは代表質問で頑張っていますね」と持ち上げるなど、和気あいあいムード。右寄り路線への転換を鮮明にしりつつある公明党だが、この日ばかりは「社公路線」。《共同通信》

【ブルガリア】社会党内閣が総辞職

ブルガリア社会党(旧共産党)のルカノフ内閣は29日夜、経済危機を引き金とする労働者ストの圧力に屈し総辞職した。

今春の自由選挙で発足した東欧新政権はいずれも同様の経済危機に直面しているが、政権の崩壊は初めてである。国営通信BTAが伝えた首相の辞任声明は、一部の野党と労組が政府の経済改革を妨害していると批判「首相の地位にとどまる意味はなくなった」と言明。社会党と野党連合「民主勢力同盟」のいずれにも属さない首班の下に新政府を樹立する合意が成立したと述べた。

社会党は六月の国民議会選挙で過半数を獲得、野党が連立を指否したことから同一党単独のルカノフ政権が9月に発足した。しかし「社会党は旧政権と同じ」とする野党からの退陣要求に加え、与党議員団からも離反者が出るなど、政権は安定を欠いていた。

さらに、政府の補助金削減で基本食料品価格が急騰。ソ連原油の輸入減により、暖房用灯油も底を突いた状態で、政府退陣を求める野党系自主労組が呼び掛けた26日からの政治ストが全国に拡大していた。

新政権は少数野党出身者か院外の経済専門家を首相に、各党が参加する連立の形になる見通しだが、政局の安定には時間がかかりそうだ。《共同通信》




11月29日のできごと